小学4年生の世界平和 (ノンフィクション単行本)

  • KADOKAWA/角川書店 (2014年3月26日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107379

作品紹介

アメリカで話題の「世界平和を目指す」というゲーム形式の授業――子どもたちは首相や大臣といった役割を与えられ、互いに交渉のなかで世界平和という勝利を目指す。ゲームの考案者であり教師である著者が今、語る。

小学4年生の世界平和 (ノンフィクション単行本)の感想・レビュー・書評

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  • 世界平和のための想像力
    これはアメリカ黒人教師のライフワークの記録です。彼が30年以上続けているワークショップがある。それは「ワールド・ピース・ゲーム」。ゲームの中で子供達は4つの国の首相や大臣、国連事務総長や世界銀行総裁となり、世界に迫る50の課題を解き、すべての国の経済を成長させ、平和に導かなければ、ゲームに勝利しない。他に2つの少数民族に武器商人、秘密の破壊工作員、はたまた気象の女神(気象現象や戦争の勝敗などで賽をふる)までいて、さながら国際政治の縮図のようだ。課題も環境破壊、貧困、民族紛争に原発問題・・・。すべての問題が複数の国に跨がっていて、問題を見ただけで悲鳴をあげそうだ。しかし、今まですべての子供達が最後には勝利を勝ち取っている。そのプロセスは一様ではなく、またピンチの連続だ。自分を過信して、世界を自分の力で掌握できると思い、失敗する子供もいる。その挫折で自分を発見し仲間に再び受け入れられる。普段はもの静かで行動も遅い子が、ある時ゲームの状況のすべてを掌握し、一気に解決策を提示することもある。子供達が最後に手に入れるのは集団的英知だという。最初はバラバラだったクラスメイト達が課題に取り組むプロセスで、心を一つにして解決策を導きだしていく。だれも答えを知らない課題に取り組み自分たちの解をみつけ出す。そこには世界平和を生み出す想像力がある。しかも彼らは小学4年生だ。考案者のジョン・ハンターが何よりも大切にするのは、エンプティスペースだ。その目的は「まだ見えていないもののために場所を空けておいてやること、可能性や潜在能力が生まれる余地を与えるため」である。「充実と空隙、決まった枠組みと自由さ、知識と創造性など」の両方が必要であるという。このエンプティスペースこそが子供達を集団的英知へと誘って行く。日本でもこのような教育は実践できないのだろうか?「ワールド・ピース・ゲーム」は、何よりもジョン・ハンターその人の英知によっているところが大きいのであるが、そう願わずにはいられない。

  • 子供たちにゲーム形式で政治のシミュレーションをさせ、
    世界が抱える問題について考えてもらう「ワールド・ピース・ゲーム」の実施記録。

    「ワールド・ピース・ゲーム」では子供たちは4つの国の首相や閣僚、
    世界銀行や武器商人、破壊工作員や少数民族の長等の役割を与えられ、
    既定の日数以内に、設定された複数の”世界の危機”を全て解決した上で、
    4か国の全ての総資産を開始時より増やすことを求められる。

    ”世界の危機”は、「貧しい国家が所有する島に未開拓の油田が発見されるが、生態系保護を信念とする国家から開発の反対を受けている」等複雑かつ複数の要因を解決しないいけない問題ばかり。

    子供たちは協力したり、騙したり、開発したり、協定を結んだり、戦争したり、
    融資を頼んだりしながら問題の解決に当たる。

    ゲームの規則がいまいちはっきりしないため、時々首を傾げるような点もあるものの
    「争いを好む首相を連続クーデターで追い落とす」だとか
    「武器商人がエネルギー産業に参入し、国家の資源問題を解決する」だとか
    「無計画に隣国の石油地帯を占領したように見えた少女の本当の意図」だとか
    ゲームの場面はエキサイティングで面白い。

    その一方で多々挟まれる著者の教育哲学の部分になると、
    読み物としては冗長かつ観念的になってしまうのが残念。

  • 子供はぼくらが思っている「子供」とはだいぶちがうんだと思う

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=150625

  • 9歳のこどもに世界を丸く収める方法なんて見つけられるのか?と半信半疑で読んだ。ゲームの勝ちは全員の協力なくしては達成し得ないが、逆に言えば全員が協力すればあっけなく終わるところをドラマが生まれるのは子どもならではか。なんにせよ面白い授業だと思うし得られるものも大きそうだ。世界平和のためにとった方法が実現可能か否かは問題ではなく、その立場になりきってものを考えられる力は多様なところに生きてくると思う。映画も見てみたい。

  • ワールドピースゲームについてのノンフィクション。
    現実のような複雑に絡み合った模擬世界で小学4年生たちが様々な問題を解決していく様子を描く。
    ワールドピースゲームやその進め方は興味深いが、文章構成がまどろっこしく読み難い。新書サイズで十分。
    自己満足のような文章が多いのも気になる。もっと簡潔にまとめられるはず。ノンフィクションは感情が多く語られるためかもしれないが、私には合わない。

  • すごい!
    やっぱり子どもってすごい!
    そして、私もこんな先生になりたい。

  • BISから。TEDも映画もまだ観ていない。
    ワールドピースゲームという、現実世界を模した複数の仮想国の首脳を務める子供達がそれぞれに抱えた課題を解決しつつ最終的に全世界の平和を目指すゲームを通じて、通常のテストに合格するための授業で学べない様々なことを生徒だけでなく教師もまた学んでいく。
    面白い。確かに面白いのだけど、TRPGのプレイログのような楽しみ方を期待していた私としては、その欲求が満たされなかったことに消化不良感が残る。子供達の一連のプレイを眺めることは出来ず、複数のプレイのうちから様々なシーンを抜粋してそこから子供達が学んだことや教育論が説明される。
    教育論をぶつのは構わない。が、ゲームの複雑さ故かも知れぬが何度も同じような説明が挟まれたり、あまりにもその比重が大きかったりして全体のテンポを損ねている。語り方によってはもう少し紙幅を減らすことも出来たろうし、子供達のプレイ自体にそちらを割くことも出来たろう。そこは残念である。
    教育者でなくそれになるつもりもない人間には多少くどいが、教育者並びにそれに準ずる人たちには是非勧めたい一冊。

  • 〈『パブロ!君は見抜いたんだね!』と、私は我を忘れて叫んでいた。
    『ハンター先生、ボクには全部見えてます』と彼は答えた〉

    子どもたちが首相や大臣や武器商人になり、世界を平和にするため外交する–––
    そんなボードゲームを授業に取り入れた先生の話。

    生徒たちがぶつかる問題は、実際に世界が直面しているものばかり。
    子どもたちがゲームの中で成長し、思いやりや想像力を駆使して世界を平和にする姿に感動します。

    教育、子育てに関心がある方へ。

  • そもそもワールドピースゲームとは具体的にどのようなものか?ワールドピースゲームは日本に導入されているんだろうか?日本に馴染みそうな内容なのか?
    に興味があり読んでみることに。

    1枚1.2メートル四方のアクリル板が縦に4層の構造。これが地球全体を表す。
    一番下の層から、海中、陸地と海面、大気圏、宇宙空間。
    4つの異なるタイプの国がある。
    ゲームを始めるにあたり各国の首相を指名する。
    国連や世銀、さらには株式市場や気象といった無作為に変動する要素を決める気象の神を決める。
    指名された首相は外務、国防、財務大臣を指名する。
    他にも数多くの役割があり、誰にどの役割を割り当てるかはまさに教育者の腕の見せどころ。

    このゲームの一番の特徴は冒頭で50もの課題、問題が、与えられること。例えば
    「ある貧しい国家が領有する辺鄙な孤島に絶滅危惧種が生息していて、その島には偶然にも未開拓の油田がある。この石油資源からの収入を得られなければ、飢饉を防ぐことができない。そこで、この国は石油の新たな調達先を確保したいと熱望している経済的に豊かな隣国に油田の採掘権を売却したい。しかし油田開発は絶滅危惧種を危機にさらすからと、生態系保護に強い信念を抱いている第三国が反対している。」
    こんなのが他に49個ある。
    1ゲームデイとして各国に順番が回ってくるまでに各国の中で検討や他との交渉を行い、自国の番が来た時に首相は決めた事を(いくつでも)宣言する。
    1回2時間程度で8〜10タームを1ゲームとし、4国全ての資産がゲーム開始時点より増えていること。がゲームの勝利条件。

    50もの難題を突きつけ、一旦、途方に暮れさせる。無力感を感じさせる。そこがスタート。


    それにしても日本の4年生に出来るのかな?
    日本なら中学1年生くらいが妥当な様な気もするが。
    (本当は電車の中でゲームばかりやってるサラリーマンにまっさきにやらせたいけどね)

    成果の評価が難しいので、文部省が推奨するとは思えないが、自分で考え、周りと議論・交渉してそして決断していくという問題解決のアプローチを教えていく事が、今の教育現場にとってまさに喫緊の課題だと思う。
    日本で普及活動しているのであれば、関わってみたい。調べてみよう。

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