ヤンキー化する日本 (角川oneテーマ21)

  • KADOKAWA (2014年3月6日発売)
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感想 : 47
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107416

作品紹介・あらすじ

気合いとノリ、母性に絆、バッドセンス。日本人は急激にヤンキー化している!現代日本に巣くうヤンキー性を村上隆、溝口敦、與那覇潤、デーブ・スペクター、海猫沢めろん、隈研吾と徹底対論!

感想・レビュー・書評

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  • 本書から読んでも十分楽しめるが、『世界が土曜の夜の夢なら』から読んだ方がより楽しめる。
    様々な立場の方との対談を通じて紡ぎ出される知の発露。特に「ヤンキーと国家」「ヤンキーと新歌舞伎座」の教養主義的な遣り取りに知的好奇心をくすぐられた。

    「偽善か偽悪かという違いがあるだけで、僕らはつい偽悪のほうを信頼してしまいがちである」
    「考えない者には、感じることすらできない」
    「日本は「盆栽文化」なんですよ。完成したプロはお呼びじゃない。未熟なアマチュアがだんだん変なふうに育っていくのを愛でるという」

  • ヤンキー文化を定義し、色々な分野にこれを見つける本。面白い。特に建築家の隈健吾さんとの対談が面白かった。
    ただ「あとがき」にも書かれている通りヤンキー文化=日本文化と思えてしまう。それを踏まえて、なぜヤンキー文化がダメか、を論じた部分が欲しかった。著者がヤンキー文化からの脱出を志していることが伝わるだけに。前著を読まないといけないかな?

  • 世代論の延長にある文化論に基づく社会論であり、その根拠となるような統計的データや学術的考察、さらには他の学問(特に社会学、経済学)の参照もないまったく独自の「文化論」ないし「日本人論」を臆面も出すことができるのはある意味では貴重ではあるかもしれない。少なくともこの本における「ヤンキー」をめぐる議論を見る限りでは、最初に「ヤンキー化」なる独自の規定が存在し、そこからいろいろなことがつなげて論じられているが、結局のところ独りよがりな概念の弄びでしかないだろう。また「日本人は逃れることができない」「日本人は多かれ少なかれヤンキーの要素がある」式の物言いや、昨今の(筆者が好まない)政治的状況を絡めて劣化言説を弄する様も、完全に不毛な「日本人論」そのものでしかない。

  • ●2025年3月24日、メルカリで「狂いのすすめ」と抱き合わせ処分品。セット302円。→このセットをお値引していただき300円で購入(3冊)。①

    ●2025年3月29日、ネコポスで到着。

  • ヤンキー的な価値観を美とする、ヤンキー遺伝子が日本人には備わっている。
    そのため底辺は最底辺にならず、ヤンキーの中に吸収されていくことで連帯が生まれ、ヤンキー的な誇りをもって生きることができる。ゆえにこの国の治安は崩れない。日本の治安の良さはヤンキー文化が支えている。
    という理論ですが、スケールがでかすぎて最高ですね。そうかもしれないよ。

  • 『ヤンキー化する日本』
    2023年3月14日読了

    本書は、はじめに著者・斎藤環氏のよくまとまった論説があり、
    アート、建築、日本近代史など様々な専門を持つ人々との対談が中心をなす。

    特に、著者の「なぜ今、ヤンキーを語るのか」という論説が、ヤンキー文化を簡潔にまとめており大変わかりやすい。(斎藤氏には『世界が土曜の夜なら』というヤンキー・テイストを分析した著書がある。わたしは未読のため想像になるのだが、この論説はこの本がもとになっているだろう。)

    本書では「日本社会そのものがヤンキー的な価値観に基づいて、その大半が構築されている」としている。妙に説得力があるのは、きっとわたしにもヤンキー的な価値観が内包されており、身近な経験として思い当たる節があるからだ。

    学生時代には「気合主義」に基づくスローガンを掲げ、体育祭では「(みんなのために)がんばれ」と応援していた。テレビなどのマスメディアでは、論理的で整然としたインテリよりも、地頭がよくてコミュ力の高いヤンキーの方が目立っているだろう。

    著書が書かれた当時の日本社会を分析する上でも、現在を生きる自分自身を知る上でも、納得する部分が多く大変興味深い内容だった。

  • 新書というサイズなので
    仕方がなかったのでしょうが
    もう少し突っ込んだ
    お話を聞きたかったなぁ
    が どうしてもしてしまいます

    個人的には
    最近「建築家走る!」を読んだこともあり、
    隈研吾さんとのお話が秀逸でした。

  • 丸山眞男が古事記に見出した「 つぎつぎになりゆくいきほひ」を、ヤンキー文化の本質としてこう言いかえている。
    「気合とアゲアゲのノリさえあれば、まあなんとかなるべ」。
    ヤンキーとは何かを定型化しようとしているが、個々の対談はとても面白い。
    誰もが素晴らしい言語感覚で定型化していく様子が本当に楽しい。
    個人的には隈研吾氏の建築の世界を語る言葉がとても好きだ。

  • 『どうしてみんなEXILEが好きなのか』『どこの町でもよさこいソーラン』『LINE大人気とスクールカースト』『ラーメン屋は作務衣でポエム』『地元LOVE、母性、ファンシー。コミュ力、保守志向、現実的ー。』
    そう、これらは帯紙に書かれている宣伝文句。分かる。非常に分かる。ただ『浜崎あゆみ』が入ってないぞ、まだまだヤンキーが分かってないなあこの筆者。
    筆者曰く、ヤンキーとはバッドセンスな装いや美学と、「気合い」や「絆」といった理念のもと、家族や仲間を大切にするという一種の倫理観とかアマルガム的に融合したひとつの“文化”であると。
    分かる。非常に分かりやすい。ヤンキーは『絆』好きだよなあ、地元のお祭りも大好きだし、ただこの点については『マイルドヤンキー』と言う言葉を生んだ原田曜平氏著『ヤンキー経済学』の方が面白い。こんな感じの軽いヤンキーdisり本を期待してたんですが、何ですかこの筆者様。イデオロギー臭プンプンで、全ては安倍総理が悪いらしいです。本当にありがとうございました。
    私が思うヤンキーとはセンスなんですよ、センス。このセンスをもっと深く探求して欲しかったなあ。手首や首に数珠してるオッサンゴルファーのヤンキー指数の高さ、40過ぎて時間が止まったような茶髪、最高の親友!とか言ってSNSで一緒に呑んでる写真をアップする偏差値低めの奴とか、期待したのはそこなんですよ!安西先生!!自民党批判はどうでもいいです。

    とは言え、基本各著名人とのヤンキーをテーマにした対談で、タイトルとズレは有りながら面白く読めた本ではないでしょうか。
    結構勉強になる事も有りましたし、まあ、そんな本としてはいいんじゃないでしょうか。
    左巻きの人にはお勧めです。

  • 保守派イデオロギーへの憎しみにあふれた文章。安倍晋三や維新の会を批判するが、左派系勢力、例えば共産党や旧民主党系には言及しない。典型的なパヨク本であったのが残念。題材は良いのでイデオロギーを抜きにして書いて欲しかった。

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著者プロフィール

斎藤 環(さいとう・たまき)
「つくばダイアローグハウス」院長、筑波大学名誉教授。博士(医学)。専門は思春期・青年期の精神病理、病跡学。
岩手県生まれ。筑波大学大学院卒業。著書に『イルカと否定神学─対話ごときでなぜ回復が起こるのか』(医学書院)、『映画のまなざし転移』(青土社)、『フレーム憑き─視ることと症候』(青土社)、『「自傷的自己愛」の精神分析』(KADOKAWA)、『その世界の猫隅に』(青土社)、『関係の化学としての文学』(新潮社)、『アーティストは境界線上で踊る』(みすず書房)、『戦闘美少女の精神分析』(ちくま文庫)など多数。

「2025年 『シネパトグラフィー 映画の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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