天地雷動 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.68
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本棚登録 : 307
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107522

作品紹介・あらすじ

信玄亡き後、戦国最強の武田軍を背負った勝頼。これを機に武田家滅亡を目論む信長、秀吉、家康。息詰まる駆け引きの果て、ついに合戦へと突入する。かつてない臨場感と、震えるほどの興奮!待望の歴史長編!

感想・レビュー・書評

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  • この歴史小説がすごい!2014年版の1位だそうです。

    歴史的にも有名な、長篠の戦が描かれた歴史小説。
    信長、秀吉、家康、利休VS武田勝頼。
    単純な【戦い】ではなく、人間臭くドラマチックの描かれています。

     もう、散々書かれ尽くした戦国時代の歴史小説なのに、また、こうやって面白い本んが出てくる。

     沢山人が死んだ、歴史的に暗黒な時代なのに、これほど惹きつけられるって、やっぱ日本の男子のDNAに、絶対何か入ってるな!!

  • 長篠の戦い。織田・徳川の連合軍が武田軍を叩き潰した合戦だ。これ以後、武田家は滅亡へとまっしぐら。織田信長は天下統一へまっしぐら。戦国時代の大きなターニングポイントであり、兵器として鉄砲が重視されるきっかけともなった。その合戦に挑む羽柴秀吉、徳川家康、武田勝頼、そして名も無き1兵士の4人を主人公に、それぞれの長篠の戦いを描いた歴史小説。

    秀吉は上司である信長のパワハラに耐えながら、決して「無理」という言葉を返さない。家康は信長の便利屋扱いに、ストレスを貯めるが、領土を守るために舌打ちで我慢する。勝頼は父信玄と比較する老将どもに、実力を誇示しようとする。そして、1兵士は生き延びて、故郷に帰ることだけを願う。

    4者4様の考えが長篠でぶつかり、戦いを終えた彼らは自分の人生のゴールを見つける。敗者の勝頼にも、意義のある戦いだったという解釈がおもしろい。

    全体を通して、女っ気なしのムサ苦しい男たちの熱いドラマ。そのスピード感と熱量は、この前読んだ「峠越え」にも通じる作者のスタイルだ。そして、長篠の戦いで武田軍は、なぜ無謀な突入を選んだのかを推理する歴史ミステリー要素もあり。

  •  武田信玄の死から長篠の戦いに至るまでを、勝頼、信長に仕える秀吉、家康、それぞれの視点から描いた歴史小説。

     自分はあまり戦国時代の歴史に強くないので、歴史解釈についてはあまりどうこう言えないのですが、話としては非常に面白かったです!

     それぞれの武将の心理描写が濃密です。勝頼は偉大な父信玄の後を継ぐわけですが、父が偉大すぎるために父の時代から活躍した家臣たちをまとめるのに苦労します。そうした苦悩とともに見えてくるのが宿敵信長への想い。突撃を決意する場面も非常に読みごたえがありました。

     一方で家康は信長とともに武田軍と対峙するわけですが、自分の弱さを認め強いものに巻かれるため、不本意ながらも信長に振り回される家康の心理描写もとてもしっかりと書き込まれています。

     秀吉が信長からの無理難題に対しての活躍っぷりも楽しく、そしてそれぞれの武将視点から、信長像というものも浮かび上がってくるようにしっかりと描かれていました。読み終えたとき、歴史上の名前だけしか知らなかった人物に、それぞれしっかりと人格が与えられたような気分になりました、

     そして武将目線だけでなく、武田軍の兵士の視点を取り入れているところもこの本の良さであると思います。仲間のため、家族のため生きようとする姿や、戦に対する思いを語る場面はとにかく切なく、戦国時代の話とはいえ、こうなることを避けることはできなかったのかな、と思いを馳せてしまいました。

     長篠の戦は有名な戦いで、どちらの軍が勝ったか知ってる人も多いと思います。それでも戦いに向かって進み続ける男たちを真正面から描き切ったこの小説は、結果が分かっていても、楽しめる小説だと思います!

  • 長篠の戦いをメインとし、家康、勝頼、秀吉、帯刀(武田の一兵士)の視点からの話でした。主人公(話し手)がコロコロ変わる小説というのは、あんまり好きzyないのですが、これは非常に読みやすく、そして展開も早くすぐに読んでしまいました。

    秀吉の信長の無理な注文や家康の管理職的な悩み、勝頼の2代目のつらさ、帯刀の一兵士の気持ちが非常にわかりやすかった。

    個人的には、武田家というのは好きなんで山県・馬場がもう少し前に出てきてもよかったのではないかなぁと感じましたが・・・この作品の釣閑は非常にいい味を出してました。信長以上の濃さでした

    伊東さんの作品の武田家滅亡も読んでみようと思います。

  • 信玄が亡くなってから長篠の戦いに至るまでの、勝頼軍、織田軍、徳川軍の思考や動きがとても興味深い。

  • 長篠の戦い。武田勝頼を織田・徳川連合軍が打ち破った戦い。戦術、戦略両面で鉄砲の有用さを示した戦いだったと思っています。
    エポックメイキングな一戦として扱われることが多いのは事実。強力な兵器を潤沢に使用することの重要さと、それの大量生産と補給が可能になったことが強い。

    その鉄砲の前に敗れた武田勝頼。彼が再起を期して未来へ挑む心意気で終わるラストシーン。その心意気虚しく、武田は滅亡するのが、哀れさを誘う。
    勝頼の時代に武田家の領土は最大となるのですが、はち切れる寸前の危うさと思ってしまうのは、未来の視点なんだろうな。

  • なるほど。そうだったのかも。
    勝頼、家康、秀吉 それそれの苦悩が興味深い。
    足軽の視点で戦を見ている部分も良かった。

  • 菫。邇?′豁サ繧薙□逶エ蠕後°繧臥黄隱槭?蟋九∪繧九?ょ享鬆シ縲∝ョカ蠎キ縲∫ァ?蜷峨?√≠縺ィ蝗ス莠コ縺ョ驟堺ク九〒縺ゅk螳ョ荳句クッ蛻?縺ョ遏ュ縺?お繝斐た繝シ繝峨′莠、莠偵↓蜃コ縺ヲ縺上k縲ょ享鬆シ繧?ョカ蠎キ縺悟?縺ヲ縺上k縺ョ縺ッ蠖鍋┯縺ィ縺励※縲∫ァ?蜷峨→莉贋コ募ョ嶺ケ?↓繧医k驩??イ隱ソ驕皮オ??隕也せ縺」縺ヲ縺ョ縺梧眠魄ョ縺?縺」縺溘?

  • 章ごとに武田勝頼、豊富秀吉、徳川家康、そして武田軍の末端に位置する兵士の4つの視点で、物語が進んでいく。
    物語の集結点は、勝頼が信長・家康連合軍(カタチ上は)に歴史的大敗を喫した長篠の戦い。いかにして勝頼は長篠の戦いで負けたのか、いかにして信長は大勝したのか。そこに秀吉はどう貢献したのか。家康は何を感じたのか。名もなき兵士(帯刀という名はあるが)はその戦いに何を感じたのか。
    それぞれが長篠の戦いに至る数年を、綿密に、飽きさせず読ませてくれる。
    最後のほう、ちょっと現代に通じる戦争批判めいたところが、強引さを感じさせて興ざめな点はあるが、それも許せるほどに面白かった。

  • 長篠の戦いを描いた大河小説。
    織田軍を侮り、騎馬による突撃を鉄砲の三段撃ちで粉砕された、というステレオタイプな長篠の戦いのイメージが払拭されました。そもそも織田軍は武田軍よりも人数でだいぶ上回っており、いくら無敵の騎馬軍団でも正面突撃はまともな作戦ではないわけで、武田軍にそこに至らせるまでの織田軍の作戦、さらには火薬産地を利用した鉄砲戦における織田軍の周到な準備。どこまで史実かはよく知りませんが、面白かったです。

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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