- 本 ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041107553
作品紹介・あらすじ
父の江戸追放で上総の田舎に逼塞を余儀なくされるも、学問への情熱絶やさず猛勉強を積んだ荻生徂徠。苦労を重ねつつも江戸の儒学に新風を巻き起こし、ついには日本の学問を変えた知の巨人の実像に迫った歴史長編!
感想・レビュー・書評
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ブログに掲載しました。http://boketen.seesaa.net/article/403067109.htmlどうしてこれが小説になる。作家の読ませる力のすごさ。新井白石だ、荻生徂徠だといったって、教科書で名前をみたことがある程度。藤沢周平が書いたからしょうがないなあという感じで『市塵(しじん)』(1989年)を読み、新井白石の生涯に触れた。
こんどは佐藤雅美が書いたんじゃしょうがないという感じで『知の巨人ー荻生徂徠伝』を読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐藤雅美の作品なので、読んでみた。
荻生徂徠がどれほどの才能豊かな知識人だったかはわかった。
子供の頃、将軍のおさじ医師だった父親が、その日にあったことを、語り文章を書かせるという習慣を4歳からしていたというのがすごい。ここあたりから文章を書く、物を知るということへの飽くなき欲求があったようだ。
自ら欲すれば、苦痛はなく喜びになる。
そんな荻生徂徠は物を知るという欲求に常に動かされた。
が、殿上人に引き上げられれば、潤沢な資金がそれを後押しする。
知識人も資金は必要だ。
学閥が生まれる。
そこに悲劇が起こる。
才能があればあるほど、その一番となるには、政治力が関わってくる、その辺りが哀しいところ。 -
膨大な読書量を通じ、博覧強記ぶりを発揮、徳川吉宗がその学識からくる知見を治世の参考に意見を求めるまでに至った荻生徂徠。地道で静かな生き方の中に、妥協を許さない強い意志が垣間見える。父親が不遇にあう中、学問を途絶えることなく続け、逆境から立ち戻り、苦労の成果が開花していく。古文と現代語訳を併記しながら、伝記が綴られ、人となりへの理解が深まる。朱子学に傾倒した時期を恥じ、古の文献を渉猟することで、朱子学に批判的な独自の解釈を打ち立てる。先妻を早くなくしながらも、一人娘が18歳まで育つが他界する無念さに、心打たれる。
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なかなか面白かった。
しかし、もっと面白くても良かった。
作者は学者気取りなのか、いちいち勢いに乗せない。
盛り上がりそうになると、腰を折る。
ともあれ、儒学の歩みが荻生徂徠と共にあったという話は分かった。 -
佐藤雅美は本当によく調べている。
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とても地味な題材でよくここまで書けるか作者の力量に感心
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最初だけ読んだが、あまり自分の中に入ってこなかったので積読本
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どうにも説明がだらだらと長く感じ…、途中で放棄。
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江戸時代の学者荻生徂徠の話
多分、中華よりの思想が中心だった日本に
初めて国産の思想を打ち立てた人物だったのだろう
と思います。
ただ、智者であるからこその、他者との関係において
少し難があったのかなあと思わせる部分と。
結局なにを成し遂げた人なのかというのは
あまりわからない部分もありました。 -
174p:動(どう)もすれば→動(やや)もすれば
358p 同じ
176p:依樣葫蘆
・依樣畫葫蘆の略。模倣するばかりで,創見がない。
宋・魏泰『東軒筆錄』卷一:「頗聞翰林草制,皆檢前人舊本,改換詞語,此乃俗所謂依樣畫葫蘆耳,何宣力之有」。樣に依りて葫蘆を画く。「照葫蘆畫瓢」「依本畫葫蘆」。
195p:中夜便ち起き,手の舞ひ足の蹈むことを覚ず……
「天地は活発に活動している」というのにはたと思い当たってがばっと起きあがり,足が地につかず,宙に舞っているような思いがした。
・原文はみていないが,漢文だったらたぶん,「不覺手舞足蹈」なのだろう。
『孟子』離婁上:「不知足之蹈之,手之舞之。」
とてもうれしいさま。
趙注:「樂生之至,安可已也,豈能自覺足蹈節手舞曲哉。」
『傳習錄』卷上・徐愛の末「諸如此類,始皆落落難合。其後思之 既久,不覺手舞足蹈」。
うれしくて,おもわず小躍りした。
316p:上(うえ)大名ヨリ下(した)小身ノ諸士ニ至ル迄(まで)
江戸時代の人は,おおかた「かみ」「しも」と読んだと思う。
327p:腰腹は杯圏の如く:
「杯圏」は,桮棬に同じ。薄い板を湾曲させてつくったさかづき。「杯棬」とも書く。『孟子』告子上:「性猶杞柳也,義猶桮棬也。以人性為仁義,猶以杞柳為桮棬。」
おそらく,お偉方の前で,一日中,腰を曲げ頭を下げている状態をいうのであろう。
著者プロフィール
佐藤雅美の作品





