涼宮ハルヒの直観 (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 521
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041107928

作品紹介・あらすじ

ハルヒとSOS団の、不思議も変化もない、いつもの日常。「あてずっぽナンバーズ」「七不思議オーバータイム」の再録に加え、250ページ以上の大ボリューム書き下ろし「鶴屋さんの挑戦」を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの新刊でしたが、前巻もずいぶん空いた末だったし、今回も全書き下ろしってわけじゃないようだし…と薄目で少しずつ読んでいましたが、後半はとっても楽しみました。

    部室から一歩も出ずにミステリ談議→謎解きゲーム、ときて最後にSF要素をちらっと置いていく感じ、わくわくして読みました。
    中編のハルヒ不在のお話も番外編らしくて好きです。

    完結が求められるようなストーリーでもないし、たまにこうやって出してくれれば嬉しいです。

  • 9年ぶりとなる涼宮ハルヒシリーズの最新刊。

    『なんせ今日は新年が始まってまだ三日しか経っていないわけで、北半球が春への準備体操をし始めるにはまだ多くの日数が必要だろう』

    初っ端のキョンのこの独特の言い回しだけで、もう懐かしくてたまらなかった。

    収録作品は3編。
    「あてずっぽナンバーズ」は涼宮ハルヒが団長を務めるSOS団の初詣を描いた日常回。読みどころは、ハルヒとキョンの甘酸っぱいような、そうでもないような二人きりのとあるやり取り。ここは挿絵が特に良かった。思わずにやつきながら読んでしまうところ……

    「七不思議オーバータイム」は、SOS団が自分たちの通う高校の怪談を創作する話。
    ハルヒの特殊能力というのは、本人が「こうあってほしい」となかば無意識的に願ったことが実現してしまうというもの。そのハルヒが七不思議に興味を示していると知ったSOS団は、もし本当に起こっても現実に害を及ぼさない七不思議を創作することになるのだが……

    現実に起こったとしても問題のない怪談とは何か。色々な理屈をあーだこーだ言いつつ、七不思議を創り上げていくSOS団のやり取りが楽しい話。ハルヒが満足する、現実に害のない怪談は何か、というのが段々エスカレートしていって、読んでいて「これでいいのか?」と思いつつも、それはそれでまた面白く読めました。

    「鶴屋さんの挑戦」は300ページほどのボリューム。旅行中だというSOS団と何かと縁の深い鶴屋さんから届いたメール。それは旅先で面白い事件に遭遇したというもの。『最後のほうに問題を出すから、皆の衆には回答をお願いするよ』という鶴屋さんからの挑戦の言葉に、ハルヒはがぜん色めき立つ。

    本格ミステリ好きにはなんともたまらない話でした。本編の前フリとして話される、SOS団の古泉と長門、そしてこの巻から登場するミステリ研のTのミステリ談話からして、素人置いてけぼりの濃さ(笑)

    クイーンやカーの好きなミステリから始まり、後期クイーン問題をめぐるあれこれ。本格ミステリの様式美の一つ〈読者への挑戦状〉に込められた意味。それを国内外、様々な本格ミステリ作家の著作を引用しつつ解説していく。本格ミステリを多少は読んでいる自分としては、古泉のミステリ談義も興味深く読めました。

    そして、本編となる鶴屋さんからの挑戦メール。この手のトリックは、衝撃と一種の感動まで覚えたものから、スッキリしないもの、憤懣やるかたないものまでこれまで色々読んできましたが「鶴屋さんからの挑戦」が一番、フラットな目で読めた気がします。

    作中作というメタ的な構成になっているから、個人的に多少アンフェアと思っても「まあ、作中作だし」と一歩引いた目で見れたのが良かったのかもしれない。そうやって読むと「この文章の書き方は何を隠しているのか」とSOS団と同じ視点で、また一種のゲーム感覚で鶴屋さんからの挑戦を楽しめたように思います。
    そして鶴屋さんの挑戦はメールだけにとどまらず、現実世界にも仕掛けられていて……。この盛り込み具合も読んでいて楽しかった。

    作者である谷川流さんのあとがきにも書かれているけれど、『一度やってみたかったことを全部まとめてやってみました』というのが、読んでいて伝わってくる。本格ミステリとは何か。そして小説や物語とは何か。はたまた涼宮ハルヒとは何なのか。メタ的な問いかけも多数含んだ挑戦的で実験的な、ある意味本編に負けず劣らず、濃い一編だったと思います。

    時系列的には、「七不思議オーバータイム」「鶴屋さんの挑戦」は、『涼宮ハルヒの驚愕』より後の話みたいで、9年越しに『驚愕』のその後に言及されたのもシリーズを読んでいた身としては、うれしかった。ここからシリーズ再始動なのか、また眠りについてしまうのかはあれですが……。

    それでもハルヒやキョンたちにこうして会えたのは、昔の友人に久しぶりに出会ったような、懐かしさと嬉しさを伴うものでした。前作からかなり間が空いていたので、作品の雰囲気にスッとなじめるか、疑問でもありましたが、やっぱりハルヒもSOS団も好きなんだなあ、ということが再認識できました。

    あとがきでは京都アニメーションの事件についても少し触れられています。ハルヒなくして京都アニメーションは語れないし、その逆もまたしかりだと思います。単に「このアニメがすごい」を超えて、「このアニメ会社がすごい」とまでなったのは、ハルヒと京都アニメーションというタッグだったからに違いありません。

    個人的に劇場版『涼宮ハルヒの消失』の出来は忘れられない。テレビアニメシリーズの全体的に明るい雰囲気から一線を画した冬の寒々しい描写や表現が、キョンの心情とマッチし、そしてなにより話の山場での、キョンのモノローグの演出は素晴らしいの一言に尽きる。

    『私はあなた方を忘れない。
    私はあなた方が為したことを忘れない。
    前二行に賛同いただける方は主語の部分を複数形にして読んでください』

    事件のことについては、京都アニメーションに関連する作品に触れるたびに、たぶん思い出されると思います。でも谷川流さんの言葉を読んで、京都アニメーションの一ファンとしては、悲しい事件の記憶だけでなく素晴らしい作品たちのことも心に刻み、そして作品の素晴らしさを、こうして誰かに伝えられたらなあ、と強く思いました。

  • 面白かった!いやはや、久しぶりだが、やっぱり読みやすい。基本蘊蓄系ミステリというジャンル(大好物)があるように、ハルヒも蘊蓄系ラノベというカテゴリーに進化してる感あり。初期の頃よりはこういう感じのほうが個人的好みに合致している。主役ハルヒが落ち着いてはきてるが、それも周囲の努力の賜物というのがよくわかる。鶴屋さんがメインででてきてとても嬉しい(主観)し、新キャラのTも良い。七不思議捏造も大変楽しめた。これからまた定期的に新作が読めるととても嬉しいと思うがどうだろう。みくるさんも鶴屋さんも3年になった、すこし寂しい。驚愕の一件については数行言及されるだけだが、それなりに繋がりをつけているところが泣ける。ハルヒとキョンの高校1年生活がフォーエバーにループするのは回避されたし、未来の様子(一つの選択肢)は示されているが、先がとても楽しみである。このままの能力をキープしつつ大団円へと繋がって欲しい。
    古泉とTと同じ歳の頃に同じミステリを読み漁ったのを思い出し目頭が熱くなった。筒井本にハマりまくったのも同じ年頃、久しぶりに『バブリング創世記』再読しようと思う。

  • 相も変わらぬSOS団のメンバーの日常を描く。
    ・あてずっぽナンバーズ・・・初詣に出掛けたSOS団の面々。
      突如起こったハプニングは、偶然か?それともハルヒの願望?
    ・七不思議オーバータイム・・・学校の七不思議をハルヒが考える
      前に捏造しなくては!その騒動と顛末。交換留学生T登場。
    ・鶴屋さんの挑戦・・・ミステリ談議に花咲く中で届いた鶴屋さんの
     メールは、挑戦状?旅の思い出話の中に潜むトリックを探せ!
    参考文献有り。
    時系列では『涼宮ハルヒの陰謀』のプロローグから繋がる、
    というかキョンとしては忙しい案件解決の翌日の、超短編な
    初詣の話。変わらぬメンバーの立ち位置にホッとする内容です。
    続いて、2年生5月末、『涼宮ハルヒの驚愕』の後の短編な、
    七不思議捏造作戦。古泉が愛称で呼ぶ事に拘ったのは『驚愕』の
    出来事があったからかと、深読み。
    最後は長編。2年生の梅雨の前の頃で、交換留学生Tもいる。
    始まりから数十ページに亘る読者への挑戦状付きミステリ作品の
    談議の後、鶴屋さんから挑戦状メールが届く。
    複数のメールに潜む謎。叙述トリックの妙。裏にいるのは誰?
    本格ミステリ賛歌な話かと読んでいたら、やはりSFな要素は
    あるわけで、次回作品への期待に繋がります。オーパーツの件も。
    個人的には、エラリー・クイーン関係がどっさりで嬉しかったです。
    最後の、京都アニメーションへの言葉には、涙。

  • 待ちかねていたものほど積読してしまうのは何故なんだろうか……。
    久しぶりすぎて思い出せるかな、と思いながら読んだけども杞憂であった。
    鶴屋さん巻!

  • シリーズ12作目。
    前作から9年ぶりの新作らしい。
    自分が前作を読んだのが、4年半前でした。もう覚えてないな…。
    300ページ近い「鶴屋さんの挑戦」が本番。
    ミステリ談義を詰め込んだメタミステリ。
    この作者さん、本当にミステリ好きですね。
    また忘れた頃にでも続編出てほしい。

  • 久々の涼宮ハルヒシリーズ。
    推理系の話が冗長な印象を受けた。

  • 気軽に読み始めたら、思ったよりマニアックなミステリ談議に終始してて驚いた。わりと面白かった。

  • 「あてずっぽナンバーズ」
    初出は『いとうのいぢ画集 ハルヒ百花』の短編で、初読み。
    SOS団がお正月に初詣に出かけるというなんてことのない日常の話で、いかにも画集のおまけという感じ。

    「七不思議オーバータイム」
    初出は『ザ・スニーカーLEGEND』の短編で、こちらは雑誌で読んだことがあった。
    ハルヒが北高の七不思議を探しているらしいという情報を得たSOS団の面々は、ハルヒが奇抜な七不思議を思いついてそれを具現化してしまうことないように、あらかじめ用意しておくことにした。
    こちらもハルヒをめぐるメインストーリーとは関わりはなく、またハルヒのいない時間の話なのでこのシリーズらしさは感じられなかった。
    でも個人的にはあほらしくてちょっと好き。

    「鶴屋さんの挑戦」
    書下ろしの中編。
    冒頭、ミステリの技法やルールについて談義しているところに、鶴屋さんからの挑戦が届く。
    これから送る文章にどんな謎が隠されているのか解き明かせ、というもの。
    わざわざルールに触れていたりタイトルに「挑戦」とつけているぐらいなので、ミステリとしての出来はなかなか。
    また、「七不思議オーバータイム」からの新キャラクターであるミステリ研部員のTが登場したり、鶴屋さんの新たな一面も見えたりするエピソードになっている。
    ただ、やはりメインストーリーが進むわけではないので、何年も待たされて用意されたのが本作となるとやや物足りない。
    むしろハルヒを全然知らない人がミステリとして読む方がウケがよさそう。
    一応過去のエピソードを引っ張り出してきて今後の展開を示唆するような描写もあり作者はまだ書く気はあるようなので、そちらに期待しておこう。

  • 鶴屋さんの挑戦が面白い
    夢中で読んだ

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著者プロフィール

2003年、第8回スニーカー大賞<大賞>を『涼宮ハルヒの憂鬱』で受賞し、デビューをはたす。ほかに『学校を出よう!』(電撃文庫)などがある。

「2019年 『涼宮ハルヒの驚愕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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