アンナの土星 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041108604

作品紹介・あらすじ

14歳のアンナは、両親と大学生のお兄ちゃんと暮らす中学生。
学校でも家庭でも、日々はおだやかに過ぎていくが、
気になる先輩への想いや、友達とのすれ違い、ふとした言葉や出来事に、心がざわめくことがある。
そんなときアンナは、毎晩のように屋上の望遠鏡で星を見ているお兄ちゃんから、宇宙の話を聞くのが好きだった――。

みずみずしい痛みと喜び、不安と成長、地上と星空。
14歳だったすべての人に贈る青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 定期便の益田ミリさんですが、エッセイと漫画以外の小説を初めて読みました。

    14歳、中学生のアンナちゃんと宇宙が大好きな大学生のお兄ちゃん、家族や学校のお話ですが、思っていることや出来事が中々辛辣でした。
    でも、よく考えたら漫画でも結構辛口な事をいっている姉ちゃんとかもいて、あの絵によって柔らかい印象を受けていたんだなぁと実感。

    でも、益田ミリさんは本当に年頃の女の人の気持ちも、中学生の多感な時のちょっとした不安だったり、将来のモヤモヤだったり何とも言い難い気持ちを表現してくれているなぁと感じました。
    死について漠然と怖いと思っていたのは、私もやっぱり中学生くらいだったのかも。

    そこにお兄ちゃんの宇宙のお話が、とても和やかに穏やかにすーっと入ってくる感じ。

    エッセイや漫画とはまたちょっと違う感じで、私は好きでした。

    • にゃんちびさん
      魔法の薬屋さま
      コメントありがとうございます!
      素敵な企画ですね〜♪
      どうしても偏った本を選びがちなので、ぜひぜひお願いします♡楽しみにして...
      魔法の薬屋さま
      コメントありがとうございます!
      素敵な企画ですね〜♪
      どうしても偏った本を選びがちなので、ぜひぜひお願いします♡楽しみにしてます!
      2021/08/10
    • にゃんちびさん
      好きなジャンルは心に沁みるいい話的な物語、イヤミスですかね。後は特殊なお仕事のお話(雲を紡ぐとか舟を編むとか)とかがハマります。
      挑戦したい...
      好きなジャンルは心に沁みるいい話的な物語、イヤミスですかね。後は特殊なお仕事のお話(雲を紡ぐとか舟を編むとか)とかがハマります。
      挑戦したいジャンルは刑事物とか推理ものです。全然気持ちがわからず感情移入が出来ないと思って敬遠していたのですが、「犯罪者」とか「護られなかった者たち」を読んで、他もおもしろいのが有れば読みたい!と思っています。
      そして、手に取らないジャンルは恋愛メインのですかね。

      すごく情けない語彙力の回答でしたが…如何ですか??
      2021/08/10
    • にゃんちびさん
      赤川次郎さん!読んだことないんです、わたし!
      そして、自分で選ぶ本は何故か女性作家さんばかりになってしまうので男性の作家さん、読んでみたいと...
      赤川次郎さん!読んだことないんです、わたし!
      そして、自分で選ぶ本は何故か女性作家さんばかりになってしまうので男性の作家さん、読んでみたいと思っていたんですよ!
      わー嬉しいです!ありがとうございます♪
      早速ブクログで探してスクショしましたので買ってみます!
      楽しいですね、この企画!ありがとうございました!
      2021/08/11
  • 自分の周りに宇宙の話をしてくれる人はいない。
    こんなお兄さんがいたら素敵だと思う。
    中学生のアンナの日常的にある問題をお兄ちゃんは宇宙というスケールの大きな話で包んでくれる。
    自分の日々の細々とした感情も海や空や宇宙を考えて一旦どうでもいいことって思えたら、少し息がしやすくなる様に思える。そんな事を思える一冊でした

  • 14歳のアンナのみずみずしい日々。いろんなことがあるけれど、宇宙が何よりも好きなお兄ちゃんの話を聞くと読んでるこっちまで、悩みがすーっと軽くなる。こんなお兄ちゃんがいたらいいなって思う読者も多いはず。

    「今夜見た星の美しさを誰かに伝えたい気持ちのほうが、大きいんじゃないかって。」というお兄ちゃんの言葉がすごく印象的でした。

  • 14歳のアンナちゃん。
    お兄ちゃんは宇宙好きの大学生。
    学校には仲良しのみずほちゃんがいる。

    ちょっとした親とのケンカ。
    友達との心のつながり。
    そして優しいお兄ちゃん。

    そこを歩いてる普通の中学生の日常。
    益田さんのほんわかした文章。

  • ひたすらにお兄ちゃんがいい人だった。
    アンナちゃんの14歳という思春期ならではの悩み、葛藤に凄く共感したし、私も中学生の時は同じような悩みをもっていたなと思った。お兄ちゃんの優しく包み込むような話し方、宇宙を心から愛しているのが伝わる豆知識の伝え方が素敵だった。宇宙ってとても神秘的なもので儚いことを改めて認識することができた。

  • 後半で思わぬところに話が進んで、ボロボロ泣きながら読んだ
    マックで100円のコーヒー飲みながらしくしくなく女は怖すぎるけれど、先が読みたくて時計も見る余裕もなく、読み切ってしまった

    わたしも小学生の頃流星群を見て宇宙飛行士だの、天文学者だのを一度は夢にしていたばかのひとりなので、お兄ちゃんが可愛くて仕方ないし、同い年の女の子を思ってご飯が食べられなくなったり、眠れなくなってしまうアンナの気持ちがわかりすぎて、こんなはずじゃなかったくらい落ち込んでしまったけれど、でもお兄ちゃんに助けられた。
    はあ〜良かった、読んで良かった〜泣

    また宇宙の勉強がしたくなった
    「俺たちには関係のないことなのかもしれないけど、誰かと今夜の星空の話をして生きていくことって悪くないと思わないか?」
    なにそれ、大好きだよ、結婚してくれ…

    娘との夢がまたひとつ増えた
    一緒に夜空を見上げて、宇宙のことを話してあげたい

  • エッセイや漫画を多く書かれている益田ミリさんによる小説。2009年に単行本として出版された作品をこの度文庫化したもの。

    2008年が舞台のお話。主人公は大学生のお兄さん(19)がいる14歳の女の子アンナ。お父さん(47)が35年ローンを組んで購入した東京近郊家に家族4人で暮らす。家族とのやり取り、学校でのこと、友達との放課後の寄り道などアンナの日常生活が描かれている。自意識の塊のようなお年頃、学校では、大人になって振り返れば何でそんなことを気にしていたんだろうと思うような、些細な友人関係に一喜一憂したり恋をしたり親にちょっぴり反抗してみたり。心が揺れ動く繊細なお年頃だからこそ、宇宙の好きな飄々として優しいちょっと鈍感なお兄さんの存在が癒しになっているようだった。

    お兄さんの一樹は成績優秀で大学でも物理学を専攻。宇宙が大好きで色々なお話を妹に聞かせてくれる。読者であるわたしも、お兄さんが妹にする宇宙の話を一緒になって聞いているような感覚で読み終わる頃には何だか壮大な宇宙が少し身近に感じられるような感じだった。このお兄さん、ちょっぴり不器用だけど物静かで優しさに溢れたとても魅力的な人だと思う。アンナは何かと大変な中学生活の中、こんなお兄ちゃんが近くにいてすごく救われているだろうな、良いなぁと思った。
    物語の最後の方、兄妹2人でで鹿児島の親戚の家に行き、夜空を見に行くところ特に好きだった。

    物語の中盤には、人類が初めて月に行った年(1969年)に生まれたと話すスナックのママが出てきたが、作者の益田ミリさんと生まれ年が同じで、ご自身を少しモデルにされてるのかなぁと思った。

  • (2023/11/8読了)
    益田ミリさんの漫画以外の本で、こんなに心が動いたのは初めて。
    後半、アンナの思いが胸に来てうるっと来てしまった。
    アンナと同年代の、中学2年生の女の子に読んでほしいな。。。共感できる私は精神年齢が中2なのかな?

    《紹介》
    益田ミリ初の小説がついに文庫化!
    14歳のアンナは、両親と大学生のお兄ちゃんと暮らす中学生。
    学校でも家庭でも、日々はおだやかに過ぎていくが、
    気になる先輩への想いや、友達とのすれ違い、ふとした言葉や出来事に、心がざわめくことがある。
    そんなときアンナは、毎晩のように屋上の望遠鏡で星を見ているお兄ちゃんから、宇宙の話を聞くのが好きだった――。
    みずみずしい痛みと喜び、不安と成長、地上と星空。
    14歳だったすべての人に贈る青春小説。

  • 純粋にお兄ちゃんから天体についてたくさん学んだ!
    おりひめ星がベガだってことは知っていたけど、宇宙人がいるかもしれないこととか、住むなら火星が良さげだとか。

    昔は月がとても大きく見えたというのはどこかで絵か何かを見たことがある。巨大な月というのはちょっと恐怖を感じる、が当時の人たちにとっては今のこんなに小さい月の方が恐怖だろう。

    私はもう母親の立場なのに、アンがお母さんに感じた“鼻の奥のツン”は今も遠い記憶を介して蘇る。
    来ないでと言った体育祭はないけど、自分で避けたのに1人でいるお母さんを見て鼻の奥がツンとする経験。矛盾しすぎていてこの感情を表す言葉を誰か作って欲しい。

    どんなについてないことがあっても、今日も850もの小惑星は地球にぶつからなかった。それだけでついてると思いたい。

    星を見ていたら電柱に鼻をぶつけたお兄ちゃんの話を読んで、小学生の頃を思い出した。
    友達と喧嘩をしていて、お互いうつむいて無言で下校していたら、私が電柱に激突した。自然に涙が出るほど痛かったのに、友達が笑っててちょっと嬉しかった。

    アンの14歳は私よりずっと大人っぽいけど、考えていたことはとても似ている。
    世界は小さく必死で生きていた。
    でもアンのように、とてつもなく大きな世界を感じたりもしていた。14歳だった全ての人に読んでほしいという言葉がしっくりきた。

    アンとみずほの友情の話読んでたら涙出たなー。

  • ただ今夜の星空の話をしよう。

    私にもこんな日々があったな。同じ中学生だった日々。違う、ひとりとひとりだけど、確かに同じ気持ちを持っていたよ。
    アンナに見えない幸せと、私に見える幸せと、アンナに見える幸せと、私に見えない幸せがあるよね。
    大事に、今日の星空を抱えて、いこう。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に『欲しいものはなんですか?』『みちこさん英語をやりなおす』『そう書いてあった』『今日の人生』『しあわせしりとり』『すーちゃん』シリーズ、『マリコ、うまくいくよ』『僕の姉ちゃん』シリーズ、『スナック キズツキ』『ツユクサナツコの一生』『ヒトミさんの恋』『ランチの時間』等がある。

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