砂の家 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2021年2月25日発売)
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  • 本 ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041108857

作品紹介・あらすじ

大手企業「AZフーズ」で働く浅野健人に、知らない弁護士から電話が。「お父さんが出所しました」健人が10歳のとき、父親が母と妹を刺し殺して逮捕された。以来「殺人犯の子」として絶望的な日々を過ごしてきたのだ。もういないものと、必死で忘れてきたのに。父の動向を気にする健人だが、同じ頃AZフーズ社長・竹内に、社長個人の秘密を暴露する脅迫メールが届く。竹内から息子のように信頼される健人は解決役を任されるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 感想を簡単に言うと
    【恨みは何も産み出さない】
    ですかね…

    なんでも他人のせいにしても、意味ないし
    自分の人生は自分で決まるんだから自分の事だけやって
    余裕があれば他人に幸せを分けるだけ
    人のせいにする人は他人の足を両手で掴んでるからその間 、両手塞がってるから
    自分がやるべき事は出来ない

    スーパーボールは強く投げればその分強くかえってきて
    優しく投げれば優しくかえってくる
    ってことだと思います

  • 途中から健人が社長を守る為に考えていいる事が、よからぬ事だと感じられ読むのが辛かったです。
    最後がどうなったんだろう?とスッキリ出来なかった。

  • 堂場瞬一さんの初めて読んだ作品。

    一家心中を図った父親によって殺された母と妹、生き残った主人公と弟。
    「殺人犯の息子」として周りからの厳しい当たりに耐えて成長した20年後の兄弟は、進んだ道が正反対だった。一見、真っ当な道を進んでいるように見える兄も心の闇は深い。
    主人公の父親に対する恨みや弟に対する負い目、弟の兄に対する嫉妬…第3者が言うほど家族の縁は簡単には切れないし、それぞれの想いがある。
    兄弟の成長過程を通して、人の成長において環境や良い影響を与えてくれる人の存在の大切さを改めて感じた。

    物語自体はこじれることなくスムーズに進んでいくので読みやすいが、個人的には最後がモヤっとした終わり方だった。
    でも読み手次第で兄弟の今後について様々考えられるので、そうゆう意味では思考(想像)が広がる終わり方だとも思う。

  • 幼い頃、父親に母親と妹を殺され伯父の家と施設で離れ離れになった兄弟。
    被害者家族でもありながら加害者家族でもあるという重いテーマの話。
    竹内が、頼り甲斐のある芯の太い人だと感心して読み進めたらどんどん女性問題も出てくるしギャップにびっくり。
    なんだか色々てんこ盛りで最後にうまくまとまっていなかった感があるなあ。

  • これからどうなるのかってところで、"はい、終了"みたいな終わり方かな、色んなことをちゃんと完結させてくれって感じ。

  • #読了 殺人者の息子でありながら、殺人被害者遺族でもある主人公。主人公自身は人生を立て直すことができたものの、その恩人のため、また立て直しのきかなかった弟のために泥沼に……。
    本人のあずかり知らぬところで人生が決まってしまう不条理を感じる。ただ、恩人のためといって犯罪にまで手を染めることは、さすがにやりすぎ。けれど、こういうストップがきかないところに、殺人者の息子だという自己暗示と周りからの白眼視があるんだろうな。

  • 私は物語はハッピーエンドで終わって欲しい、といつも思う。
    もちろんイヤミス、ホラー、その他の本を読まないことはないわけではないが、どこかに救いを求めてしまう。
    現実の追体験だけでは苦しいから。

    さて、そんなことをいうのだから、本書が(私の心とは反対に)少し不本意な終わり方になってしまったのは十分香らせられたかと思う。
    犯罪者の子供は犯罪者か?
    子供の人生はどう変わるか、がメインテーマだが、なんとも苦しい結末となった。
    主人公の弟正俊が不憫でならない。
    もう、大人になってしまった彼は変わらない、かもしれない。
    きっとこういうことは往々にして起こる。

    主人公の浅野健人は苦しいながらも勤務先の社長と出会ったことで学費やその日の糧を得られ、「普通」の生活を送っている。
    社長には多大な恩を感じている。
    これが社畜の始まりで、これが終わりまで続く。
    男女の違いを簡単に言うのは時代にそぐわないかもしれないが、男性的な生き方だと思った。
    会社が存続してくれればいい、自分はどうなってもいい、自分はなんとか立ち上がった、迷惑をかけないように生きてきた…。
    なんだか息苦しい。
    恩はあっても会社に人生を捧げたいとは思わない。
    物語の本質はそこじゃない、のはわかっているが、主人公の行動は理解し難い。
    子供の頃の環境が大事なことも、救ってくれる大人がいたら依存してしまうことも、頭では理解できる。
    だが、せめて小説の中は夢を見せてよ。
    現実には助けてくれる大人が少なくても、いないわけじゃない。
    正俊が救われて欲しかった、その思いでいっぱいだ。

  • 『砂の器』を数倍にした感じで、過去から逃れられない人たちが交錯してしまうストーリー。けっこう長かったなと思ってしまった…

  • 評価を付けるのは難しい作品だった。
    緊迫する物語の合間に挟まれる、主人公と周りの人々の食事の描写が、登場人物たちが生きていることを感じさせた。またそのリアルな描写が読者の食欲をそそらせ、どこか現実離れした物語と読者をつなげているように感じた。「食べることは生きること。」食に全く興味がない人も一定数いる中で、主人公がそのタイプではなかったことは大きな救いだっただろう。

    読み進めながら、砂の家というタイトルにはどんな意味が込められているのだろう?と考えていた。
    もし砂でできた家で暮らしていたら、ざらざらしていて脆く、あまり希望は感じないだろう。しかし解説を読んで初めて、砂の家は意外と脆くなく、壊れても再構築しやすいという特性を知って、物語全体の見え方が少し変わった。

    父親が人殺しという環境は同じ中で、主人公と弟・正俊の道を分けたものは何だったのだろう。弱った人間には手を差し伸べてくれる人がいる。ただそれがどんな種類の救いなのか、は運でしかない。日の当たらない道に引き込む人もいれば、日の当たる道に引き込んでくれる人もいる。それを冷静に判断する力をまだ若く、壮絶な経験をした彼らに求めるのは難しいかもしれない。

  • 健人は、10歳の時父親が妹と母親を殺害し、被害者であり、人殺しの息子になった。そんな絶望的な日々を手助けしてくれたAZフーズに社長竹内個人の秘密を暴く脅迫メールが届くようになった。恩返しをしようと解決しようとするが、同じように助かった弟正俊が健人を破滅させる為に、仕組んだ事だった。それを解決する為、出所した父親にあるお願いをしたのだが、弟が父親を殺害してしまう。健人が捕まるのか自首するのかそれとも警察の出方を待つのか、どうするんだと思ったら、ここで終わりでした。モヤモヤ感が残りました。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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