ラスプーチンの庭

著者 :
  • KADOKAWA
3.20
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本棚登録 : 1119
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109052

作品紹介・あらすじ

中学生の娘・沙耶香を病院に見舞った警視庁捜査一課の犬養隼人は、沙耶香の友人の庄野祐樹という少年を知る。長い闘病生活を送っていた祐樹だったが、突如自宅療養に切り替え、退院することに。1カ月後、祐樹は急死。犬養は告別式に参列するが、そこで奇妙な痣があることに気が付く。同時期に同じ痣を持った女性の自殺遺体が見つかり、本格的に捜査が始まる。やがて〈ナチュラリー〉という民間医療団体に行き当たるが――。主宰の謎の男の正体と、団体設立に隠された真の狙い。民間療法の闇を描き、予想外の結末が待つシリーズ待望の最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁捜査一課の犬養隼人には、別れた妻との間に出来た、沙耶香と言う娘がいる。
    沙耶香は、腎臓を患っていて、長い闘病生活を送っている。

    ある日、沙耶香の病院での友人・庄野祐樹が退院すると聞かされた。
    祐樹は、原因不明の難病、慢性糸球体腎炎を罹患していた。
    そして、自宅療養後一ヶ月、祐樹が亡くなったと知らされた。葬儀に参列した、犬養父娘が、祐樹の身体に付けられた痣を見つけた。

    同じ頃、祐樹と同じ痣を持つ、中年女性の自殺遺体が見つかった。

    死因は、病死と自殺。
    事件性無しと判断されたが、犬養は、2件の共通点が気になり、捜査する事に。

    お決まりのどんでん返し。
    後半に「ヒートアップ」の、マトリの七尾究一郎が登場。
    他シリーズの主人公が、こういう風にに、ちょい出するのが、好き。

  • しまった!
    ラスプーチンをググってしまった。
    まあ、そこを読めば
    自ずから今回の作品の概要がわかってしまった。
    が、
    そう簡単に読者に悟らせないのが
    中山七里の中山七里たる所以。

    新興宗教、高額医療、コカインなど薬麻薬問題
    せっかくの犬飼隼人刑事お出ましだけど〜
    もう一つスッキリしない代わりに
    この作品では、犬塚隼人、闘病中の娘沙耶香とのやりとりは辛いがコミュニケーション取れただけ
    一歩前進というところ。
    病気の子供を持つ親というのはたまらない。
    変われるものなら変わってあげたいというのが本心だし
    できることはなんでもしたいというのも本音である。

    まさか〜が〜されるとは!
    最初に登場した汲田姉妹という付箋が引かれてた。
    後からどう関係するのかなとは思っていた。
    ふーんこうなるんだ。

    テーマがテーマだけに
    動的なワクワク感と高揚感はなかった。
    久しびりの、マトリの「麻薬捜査官」七尾究一郎がお出まし
    ここが中山七里作品の面白いところ〜

    扱う社会問題はちょっとやそっとでは解決できないがいよいよ世の中は複雑でもっと問題山積みである。やはり意外な方向に行ってしまった。
    あまりドキドキ、ワクワクする高揚感はなかったが
    こうきたかというところかな。

  • 犬養隼人シリーズ。
    序盤の幼い姉妹の不幸な境遇から物語は始まり。
    少年と女性の不可解な死から浮かび上がった民間医療団体。
    そこにおける様々な不審死の謎と影に隠された目的。といった流れ。
    序盤から終盤までドラマティック。
    どういう結末を向かえるのかと思ったら。
    少し唐突で強引な終わり方だったかな。
    個人的に同じシリーズと比べて少し消化不良感の残った作品でした。

  • 犬養シリーズももう6弾なんですね。

    民間医療と標準医療。難しい問題ですね。
    テンポとしては読みやすく、最後の展開は早すぎる感じでした。

    前作ほどの社会問題を孕んでいるわけではないですが、スッキリとまではいかないのはこのシリーズでは仕方ないのかなぁと思います。

  • 病気で苦しんでいる人につけこんで、高額な謝礼をむしりとる民間療法団体。
    新興宗教めいたその団体の主宰が撲殺される。犯人は誰なのか。

    絶対に冒頭に出てくる姉妹がどこかで出てくるはずだと思って読むと、自ずと犯人は見えてくる。
    が、それが"復讐"という形になる???という疑問が残る。自分たちと同じように病気で苦しんでいる家族から、インチキ療法で高額のお金を巻き上げることが、どうして父親を救えなかった先進医療への復讐になるのかちょっと意味が分からない。
    傀儡をつくりあげる過程もなんか杜撰というか、事件が起きるまでの前半部分がダラダラと長くて、解決は一気にくるくるっと巻物をまくかのように閉じてしまって、『はい?』という感じ。
    不完全燃焼だ。

  •  標準診療の範囲で厚生労働省が認可した薬剤を使用した場合、社会保険の適用があり、概ね三割負担となるのは周知のとおりです。しかし、厚労省が許認可されていない医療行為については、自由診療となり高額になります。医療と薬学の進歩は、日進月歩で目覚ましい進化だと聞きます。知己のドクターは、常に学会に出席し技術を磨くため日々研鑽に勤しんでいます。

     日本が難病指定している病気は、多くの研究者によって病巣を治すため、悪化を遅らせる新薬や外科手術によって、一般の人にも受診できるように認可されつつあると言われています。先端医療といえども、今のところ標準診療に限界があるのは否めませんが、自由診療の中に、いずれ許認可されるものもあるようです。一方民間療法で、末期の患者が治ったという紛らわしい症例もあるようです。

     人間には、ある程度自然治癒力があるのは、理解できます。しかし自然治癒力を謳い文句に現状の医化学を攻撃し、何の根拠もない民間診療に、眉唾ものの治療方法があたかも全能だとは思いません。そういう民間療法の妄信者が、巻き起こす騒動が書かれています。

     標準診療で治らなかった患者が、藁をも縋る思いで自由診療を受けたくても、支払うお金がないため『あなたが貧乏だから、先端医療が受けられない。貧乏を恨みなさい』って言われたら絶望しかない。

     この作品は、謎を隠しているところに気付けば、過程は別にして容易にミステリが解けると思います。それでも納得作品でした。

    更なる標準診療のレベルアップを望みます。

    主人公犬養と明日香のコンビは板についてきました。中山七里さんの犬養隼人シリーズがおもしろい。

     読書は楽しい

  • 犬養シリーズ第6弾は、「標準治療 VS 自由診療(代替医療、民間療法)」がテーマ。

    腎臓疾患で長期入院中の犬養の愛娘(沙耶香)の患者仲間(佑樹)が、大学病院での治療を諦めて退院していった。自宅で別の治療を施すとのことだったが、時を置かずして佑樹は亡くなってしまう。佑樹の遺体には、全身に無数の痣がついていたが、死因とは無関係なものだった。

    事件性は乏しいが、娘の言葉に動かされて暴走気味に真相究明に走る犬養。

    本作、後半失速気味というか、ドラマが描かれずにあっさりと終わってしまったので、一応のどんでん返しはあるものの、物足りない感のある作品だった。

    「ヒートアップ」で活躍したマトリの七尾がチラッと登場したのはちょっと嬉しかった。


  • 先進医療を信じたことで両親を失った
    幼い姉妹の苦しみと悲しみ、心の底に深く
    染みついた医療への不信感がラスプーチン
    という稀代の怪僧を現代に作り上げ、
    復讐を成し遂げようと画策する物語。

    姉妹の生い立ちから犬養刑事が奮闘する
    時間軸まで空白があって、どんな風に話が
    繋がっていくのか読んでいて戸惑いましたが、
    最後に一気に畳み掛けるように姉妹の関係と
    事件が集約されていく急展開のラストでした。


  • もし癌になったら
    代替療法でなく
    しっかりした病院に頼ったほうがいいと
    決意新た。

  • 犬養シリーズ6作目。
    1月29日発売のはずなのに、全く本屋に売ってなくて、やっと購入。
    社会問題をテーマとすることが多い犬養シリーズ。今作では民間療法の闇に迫る。
    入院している娘の見舞いに訪れた犬養は、娘の沙耶香と同じ年で腎臓を患っている少年と出会う。
    しかし、その少年は回復した様子も見られないまま、ある日突然退院して、自宅療養するという。
    その1か月後、少年は亡くなり、沙耶香と共に葬儀に出席した犬養は少年の遺体の不自然な痣が気になり、所轄の刑事と共に真相を追っていくと、別の管内で同じような痣のある女性が自殺したことで、民間の医療団体「ナチュラリー」にたどり着く。
    詐欺まがいの医療行為をしている「ナチュラリー」だったが、被害届が出されていないので、捜査することも出来ず、歯がゆい思いをする犬養たち。
    そんな中「ナチュラリー」の主宰が道場で殺害される。
    自由診療と標準診療の闇を描きつつ、殺された「ナチュラリー」の主宰の辿ってきた人生に、「派遣切り」「ホームレス」「医療費の貸付」など、貧困層にのしかかる問題も織り込んでいる。
    結局、世の中はお金…
    そんな感想になってしまう、ちょっとやり切れない内容だった。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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