- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041109687
作品紹介・あらすじ
ふじさき記念館にインクメーカーとガラスペン作家によるコラボ企画が持ち込まれる。館長の一成は百花に協力を頼むが、「インク沼」と言われるほど人気のカラーインクに百花自身すっかり魅了されてしまう。商品のネーミングに悩む百花。ある夜、母の冬海から百花の父親の遺品である万年筆を渡される。作家だった父との会話を懐かしく思い出した百花は、自分の名前の由来が童謡「春の小川」だと知らされる。そして、企画会議で百花の出した童謡のタイトル案が採用され、カラーインク単独でも商品化され発売されることに! しかし、製造数が上がったことで藤崎の本社の営業部、一成の従兄弟浩介からの横やりがまたしても入り、企画が本社案件になってしまい……!? 紙に書く、思いを書く。そして、伝わる優しい絆。
感想・レビュー・書評
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第3弾。
百花は、年末年始に母の実家である飯田市へ…。
そこで祖母に水引きを教わる。
水引きとは、熨斗で使っているもの、としか印象になく一般的な紅白、黒白、黄白くらいだと思っていたが、最近では、カラーも豊富に使っている熨斗もある。
ただ小物を作るのは、かなり技術が必要だろう…と。
もちろん誰かの手解きがいるわけで。
1話から2話にかけては、水引きのワークショップを文字箱主催でやる〜そして、代理の講師で祖母が参加する。
この話も心が温かくなるのは、若い人や祖母まで年齢など関係なく、和気藹々とする雰囲気だろう。
水引きとは、「結ぶ」こと結び納めることから結納。
そして、助け合いの心。
水引きの雛飾りで…
そろそろお雛祭りの時期だ
3話は、ガラスペンとカラーインク。
百花の大学の後輩もインク集めの喜びを知り、どっぷりとインク沼にハマったらしい。
確かに文具大好き女子には、たまらないだろうと思う。
私ごとだが、やっぱり、ハマる。
特にインクの色など…。
ガラスペンは、持っていないが万年筆のインクは、色々使った。懐かしい。
今は、ボールペンの色にこだわってブルーブラックとオレンジとグリーンとゴールドを使い分けしているが…。
3話も文字箱が、ガラスペンとカラーインクをセット販売…ということで、インクのネームを考えるのに今回は、百花が苦悩する。
そして、またまた従兄弟の浩介による横槍が入って…と。
スムーズにはいかないところも一成と百花が親密になる要素かな…と思える。
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シリーズ3作目。
今作は百花たちがお正月を母の生家のある長野県飯田市で過ごす様子から描かれる。
母の実家に帰った百花は、祖母がかつて水引の職人であったことを知る。
おせち料理をせっせと作る母たちの輪に入れずにいた百花は、祖母が作っていた水引の箸置きを作る手伝いをすることにしたが、いざ水引を結っていくと、その奥深さにはまっていく百花。お正月休みが明ける頃にはみんなで吊るし雛ではなく「吊るし水引」を作成してしまうほど。
一方、年が明けた記念館では、新たに「物語ペーパー」を作成する準備に追われていた。
その準備に集まった関係者から、記念館の使っていないスペースを利用し、ワークショップを開くことを提案され、水引のワークショップを開催することに。
ここでも百花の祖母が活躍し、水引を通じて、いろんな人の心が結ばれていく様子が描かれる。
「結」とはまさしくこういうことを言うんだなぁ、と感じさせられる。
最終章では新たにインクの包装箱のアイディアを任された百花たち。ガラスペン、万年筆、既定概念に捕らわれない様々な色のインクに夢中になっていく…
他の方のレビューにもあったが、一言でいうと、この作品を読むと出てくるものが欲しくなるし、作りたくなる。まさしく「沼」にはまる人の心境そのもの。
次はどんなものを取り上げるのか、続きが楽しみなシリーズ。 -
さて、このシリーズ3冊目。今度もまた配偶者のほうが先に読み終えた。
タイトルは「カラーインクと万年筆」だけど、今回は百花の母の実家がある飯田での、中でも水引の話が印象に残る。
飯田と言えば、ずっと昔に職場のレクリエーションで行ったことがあるな。
その時に水引工芸館みたいなところも行ったけど、実演してた人が作ったものをその場で部下の女性にプレゼントしてくれたことを思い出す。
ネットで動画を見たら、あわじ結びなどあっという間に出来上がるけど、私にはそれすらきれいに出来そうもないぞ。
お話はと言えば、多少の茶々が入ってもうまくことまとまっていく他愛もないお話だが、本作においては水引や旧い家など古き良きものを今の時代にうまく残していきたいねという想いがよく伝わった。(組子障子、新しい家でも残ったかな?)
百花ちゃんも最初の頃に比べたら頑張ってるしね。 -
いかん、この本を読むと書いてある物が欲しくなる。
水引にチャレンジしよ。
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水引とガラスペンとインクが心に残る。
水引は『結(ユイ)』のためのもの。結とは助け合いの心。誰かが助けを求めたら、自分のことを置いても助ける。
ガラスペンが欲しくなった。そういえばあな?万年筆が好きだった。卒論も万年筆で書いたっけ。
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何の遠慮もなく2人の小姑が子ども連れで盆暮れに帰省してくる習慣が、自分の子どもが社会人になって小姑の子どもが大学生になっても脈々と続いていてお嫁さんが気の毒になりました。
小姑達は実家に帰省しているのに、お嫁さんが盆暮れに実家に帰らず小姑達のおもてなしの準備をしなければならいことに何の疑問も言及もなかったことにうんざりです。今は令和だよ?
お嫁さんが用意してくれたお料理を“〇〇家の味になった”と地雷ワードまで飛び出す始末でした。
実家の建て替えに小姑やその子どもが内心とはいえ不服に思うのにも嫌悪感でした。そこで生活しない人間が介入するなよ、その不服な気持ちは口に出さずともお嫁さんは感じているハズだよ。
ついお嫁さんの視点になってしまって、話の筋とは関係ないのにげんなりしてしまいました。
1章がこの内容だったので、1章以降から登場人物達への見る目が変わってしまいました。
紙やインク等々自分の“すき”をくすぐられる内容なのに、まったくたのしむことができませんでした。
物語が悪いのではなくて、自分の変化の問題が大きいですが、物語とは関係ないとはいえ当たり前のように“嫁”の役割を強いる描写に令和の時代一考がほしかったです。
自分の変化によって映画『サマーウォーズ』がたのしめなくなってしまったのと同じ現象なので、問題なくたのしめる人も多いと思います。
自分はダメでした。本当に残念です。 -
【収録作品】第一話 結の里/第二話 水引の雛飾り/第三話 カラーインクと万年筆
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沼が……ここに……ある!文房具にはまるひとたちの気持ちがわかってしまうシリーズです。おばあちゃんが楽しくすごせてよかったー。
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今作もほっこり。今回のキーワードは「結」。人も物も、様々な結びつきがあって初めて生かされる。文字から作品を想像するのも楽しい。このシリーズは中学生くらいで娘たちに読んで欲しいので子ども本棚に並べる。