紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109687

作品紹介・あらすじ

ふじさき記念館にインクメーカーとガラスペン作家によるコラボ企画が持ち込まれる。館長の一成は百花に協力を頼むが、「インク沼」と言われるほど人気のカラーインクに百花自身すっかり魅了されてしまう。商品のネーミングに悩む百花。ある夜、母の冬海から百花の父親の遺品である万年筆を渡される。作家だった父との会話を懐かしく思い出した百花は、自分の名前の由来が童謡「春の小川」だと知らされる。そして、企画会議で百花の出した童謡のタイトル案が採用され、カラーインク単独でも商品化され発売されることに! しかし、製造数が上がったことで藤崎の本社の営業部、一成の従兄弟浩介からの横やりがまたしても入り、企画が本社案件になってしまい……!? 紙に書く、思いを書く。そして、伝わる優しい絆。

感想・レビュー・書評

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  • 第3巻は水引とガラスペン(及びインク)。

    百花は、年末に飯田市にある母の実家に帰省し、祖母から水引を教わる。

    "「水引っていうのはね、もともと『結』のためのものだったんだよ」
    「ユイっていうのは、助け合いの心だったんだそうだよ。誰かが助けを求めたら、自分のこと置いても助ける。その心こそが『結』。贈り物にそういう気持ちをこめるために、水引で結んだんだよね」"

    水引って、ご祝儀袋のイメージだったけれど、箸置きにしたりアクセサリーにしたりもできるんだね。ついまた検索して、「水引ステキ」と思う私。そういえば、可愛い水引は捨てられなくて取ってあるなぁ。

    しかし、迎えられる方はいいけど、親戚20人分?!のおせちを用意したり、小姑らが1週間近く泊まったり、しかも絶妙に親戚の輪に入りづらそうにしていて、嫁の多津子さん大変すぎる。。。私は嫁らしいこと何もしてないズボラ嫁なので、頭下がります(本題はそこじゃない)。

    それからガラスペンとインク。ふじさき記念館に、インクメーカーとガラスペン作家によるコラボ企画が持ち込まれる。百花は新しいインクシリーズの名付けを頼まれる。

    百花が単なるバイトじゃなくなってきた!いくつかネーミング候補を考えるのだけど、どれもいいなぁと唸ってしまった。
    ガラスペンは初めて知ったのだけど、一度インクに浸すと、葉書一枚分くらいはもつという。
    割れないの?と思うところだが、一般的なガラスのイメージよりも強度は高いらしい。でも調べてたら「机から落としたり、叩きつけるなど、よほどの事が無い限りは簡単には割れません」とあって、いや、机から落とすよな?と粗忽な私はちょっと手出しできそうにない。
    インクの色がたくさんあり、インク沼に嵌っていく人続出だとか。

    出てくる文房具が興味深すぎて、うきうきしてしまう。3月に休みとれそうだから、本屋と文具店巡りの一日にしようかな。

    追記:そうそう!何気なく、物語ペーパーで活版印刷とのコラボが実現してた!三日月堂かな?わくわくしちゃうね。

  • 第3弾。

    百花は、年末年始に母の実家である飯田市へ…。
    そこで祖母に水引きを教わる。

    水引きとは、熨斗で使っているもの、としか印象になく一般的な紅白、黒白、黄白くらいだと思っていたが、最近では、カラーも豊富に使っている熨斗もある。
    ただ小物を作るのは、かなり技術が必要だろう…と。
    もちろん誰かの手解きがいるわけで。

    1話から2話にかけては、水引きのワークショップを文字箱主催でやる〜そして、代理の講師で祖母が参加する。
    この話も心が温かくなるのは、若い人や祖母まで年齢など関係なく、和気藹々とする雰囲気だろう。

    水引きとは、「結ぶ」こと結び納めることから結納。
    そして、助け合いの心。

    水引きの雛飾りで…
    そろそろお雛祭りの時期だ

    3話は、ガラスペンとカラーインク。
    百花の大学の後輩もインク集めの喜びを知り、どっぷりとインク沼にハマったらしい。
    確かに文具大好き女子には、たまらないだろうと思う。
    私ごとだが、やっぱり、ハマる。
    特にインクの色など…。
    ガラスペンは、持っていないが万年筆のインクは、色々使った。懐かしい。
    今は、ボールペンの色にこだわってブルーブラックとオレンジとグリーンとゴールドを使い分けしているが…。

    3話も文字箱が、ガラスペンとカラーインクをセット販売…ということで、インクのネームを考えるのに今回は、百花が苦悩する。
    そして、またまた従兄弟の浩介による横槍が入って…と。
    スムーズにはいかないところも一成と百花が親密になる要素かな…と思える。


  • シリーズ3作目。
    今作は百花たちがお正月を母の生家のある長野県飯田市で過ごす様子から描かれる。
    母の実家に帰った百花は、祖母がかつて水引の職人であったことを知る。
    おせち料理をせっせと作る母たちの輪に入れずにいた百花は、祖母が作っていた水引の箸置きを作る手伝いをすることにしたが、いざ水引を結っていくと、その奥深さにはまっていく百花。お正月休みが明ける頃にはみんなで吊るし雛ではなく「吊るし水引」を作成してしまうほど。
    一方、年が明けた記念館では、新たに「物語ペーパー」を作成する準備に追われていた。
    その準備に集まった関係者から、記念館の使っていないスペースを利用し、ワークショップを開くことを提案され、水引のワークショップを開催することに。
    ここでも百花の祖母が活躍し、水引を通じて、いろんな人の心が結ばれていく様子が描かれる。
    「結」とはまさしくこういうことを言うんだなぁ、と感じさせられる。
    最終章では新たにインクの包装箱のアイディアを任された百花たち。ガラスペン、万年筆、既定概念に捕らわれない様々な色のインクに夢中になっていく…
    他の方のレビューにもあったが、一言でいうと、この作品を読むと出てくるものが欲しくなるし、作りたくなる。まさしく「沼」にはまる人の心境そのもの。
    次はどんなものを取り上げるのか、続きが楽しみなシリーズ。

  • さて、このシリーズ3冊目。今度もまた配偶者のほうが先に読み終えた。
    タイトルは「カラーインクと万年筆」だけど、今回は百花の母の実家がある飯田での、中でも水引の話が印象に残る。

    飯田と言えば、ずっと昔に職場のレクリエーションで行ったことがあるな。
    その時に水引工芸館みたいなところも行ったけど、実演してた人が作ったものをその場で部下の女性にプレゼントしてくれたことを思い出す。
    ネットで動画を見たら、あわじ結びなどあっという間に出来上がるけど、私にはそれすらきれいに出来そうもないぞ。

    お話はと言えば、多少の茶々が入ってもうまくことまとまっていく他愛もないお話だが、本作においては水引や旧い家など古き良きものを今の時代にうまく残していきたいねという想いがよく伝わった。(組子障子、新しい家でも残ったかな?)
    百花ちゃんも最初の頃に比べたら頑張ってるしね。

  • 「紙屋ふじさき記念館」その3。

    前巻で百花の企画した「物語ペーパー」から、さらに新しい個性的な書店主たちとの出会いを呼び、また新たなコラボ企画が記念館に持ち込まれる。

    第一巻で百香が初めて作った麻の葉紋様のカードのヒントとなった飯田の祖母の家で、水引細工の手仕事を讃美するエピソードを挟み、カラーインクとガラスペンの物語へ。


    物語としては、またまたやたらとトントン拍子。
    百香も一成も、本作では大きな人間的な成長も、恋愛的な進展も無かったような。うーん。


    そして、またまた好みの問題かもしれないけど、表紙のイラストが…とにかくうるさい。色も素材も、とにかくうるさい。
    そして、一成らしき男性の左腕の長さが変!
    作風に、どうにも合ってないような…

    巻末で、『キャラクター文芸』という言葉を見て…
    少し前に読んだ「拝啓、本が売れません」の中で、ラノベはとにかく強烈なキャラを必要とする…というようなことが書いてあったんだけれど、どうやらこのシリーズはラノベと文芸書の中間狙いなのか…?
    ラノベも読むし楽しめるけれど、ほしおさなえさんにはそれを期待していないので、どうもどこか物足りない。

    もし、このシリーズを読んでほしおさなえさんのファンになった人がいたら、それはそれで結構。でも、次はぜひ、「三日月堂」を読んでもらいたい。


    ところで…ガラスペンは、本当に美しいです。
    インクが溜まっているところも美しいので、無色透明のガラスペンを持っているんだけど、幸い?あいにく?私がインク沼にそれほどハマらないのは、カラーインクを画材としてしか使わず、文字を綴ることにはそれほど執着が無いからか。

  • いかん、この本を読むと書いてある物が欲しくなる。
    水引にチャレンジしよ。

  • 水引とガラスペンとインクが心に残る。
    水引は『結(ユイ)』のためのもの。結とは助け合いの心。誰かが助けを求めたら、自分のことを置いても助ける。
    ガラスペンが欲しくなった。そういえばあな?万年筆が好きだった。卒論も万年筆で書いたっけ。

  • 何の遠慮もなく2人の小姑が子ども連れで盆暮れに帰省してくる習慣が、自分の子どもが社会人になって小姑の子どもが大学生になっても脈々と続いていてお嫁さんが気の毒になりました。
    小姑達は実家に帰省しているのに、お嫁さんが盆暮れに実家に帰らず小姑達のおもてなしの準備をしなければならいことに何の疑問も言及もなかったことにうんざりです。今は令和だよ?
    お嫁さんが用意してくれたお料理を“〇〇家の味になった”と地雷ワードまで飛び出す始末でした。
    実家の建て替えに小姑やその子どもが内心とはいえ不服に思うのにも嫌悪感でした。そこで生活しない人間が介入するなよ、その不服な気持ちは口に出さずともお嫁さんは感じているハズだよ。
    ついお嫁さんの視点になってしまって、話の筋とは関係ないのにげんなりしてしまいました。
    1章がこの内容だったので、1章以降から登場人物達への見る目が変わってしまいました。
    紙やインク等々自分の“すき”をくすぐられる内容なのに、まったくたのしむことができませんでした。
    物語が悪いのではなくて、自分の変化の問題が大きいですが、物語とは関係ないとはいえ当たり前のように“嫁”の役割を強いる描写に令和の時代一考がほしかったです。
    自分の変化によって映画『サマーウォーズ』がたのしめなくなってしまったのと同じ現象なので、問題なくたのしめる人も多いと思います。
    自分はダメでした。本当に残念です。

  • 【収録作品】第一話 結の里/第二話 水引の雛飾り/第三話 カラーインクと万年筆

  • 沼、恐ろし

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『銀塩写真探偵 一九八五年の光』がある。

「2022年 『紙屋ふじさき記念館 結のアルバム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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