消えない月 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.52
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  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 572
感想 : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109731

作品紹介・あらすじ

彼らは出会って恋人になり、やがて別れた。ありふれた恋のはずだった、彼が”ストーカー”になるまでは。――被害者の恐怖と、加害者の執着。ストーカーの闇を両側の視点から抉る畑野智美流傑作イヤミス!

感想・レビュー・書評

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  • ブクログさんが「十五夜に読みたい 月のつく小説」を推していたので迷う事なく便乗。否、至極当然暗黒Ver.である。

    マッサージ店で働くさくらは客であった松原のアプローチを受け交際を始める。優しく包容力のある彼に惹かれたさくらだったが、交際してまもなく彼女は松原の支配欲に違和感を感じ別れを切り出す。これにより、松原の異常なまでの執着が延々と彼女に付き纏う事となる。女性陣は鳥肌不可避の「ストーカー」の誕生だ。
    はっきりしないさくらの言動が模範過ぎるストーカーへの滑走路を造り出してしまった。

    そんなストーカー松原の狂気度は個人的には低く感じた。いや、しっかり気持ちが悪いのだが、なんだろう、許容範囲と言うか、いや、自分がされたらと考えると恐れ戦くが、フィクション内の狂気を求めると弱い。(語彙力)
    しかしこれ、裏を返せば「とてもリアル」。名前のイメージもあって淡いピンクな雰囲気をまとっていたさくらは松原に追い詰められた事により段々と薄くなり、白くなり、最終的は透明な精神状態となる様が恐ろしかった。
    現実に起こるであろう範囲内で究極の気持ち悪さが彼女の色彩を奪ってゆくのだ。

    これを踏まえて今回のテーマである「月」をなぞった文を改めて見返してみる。
    「青い空に傷をつけるような白くて細い月が見えた。月はいつも、振り返るとそこにある。どこまで行っても、ついてくる。」
    ....やだぁ、怖い。(語彙力)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    小説としては微妙。ストーカーの視点だけで物語を追うと内容は在り来りだし展開はめちゃくちゃ。後半は「不運な偶然」とやらが多い。粗探しは野暮だが、ご都合主義感は否めなかった。
    終わり方はとても胸糞悪い。私はこれを褒め言葉として使う事が多いが、今回に限っては言葉通りの意味である。アンチハッピーエンドという人間性疑う癖を持ち合わせているはずなのに、この釈然としないラストには眼球が埋もれるくらい眉間の皺を刻んだ。

    ストーカーの問題定義だけではなく、承認欲求についてや男女の意識の差、幼少期の境遇による意識の変化等、心理学的な要素にも触れられていたので「ただただ嫌な気持ちになる作品」とは言わないが、ここら辺の主張は浅い。
    決して短くは無い物語だったので広がりを期待し過ぎてしまったのだろう...。
    これに加えて、着地点到達時のあっさり感とあっさりさせるには重すぎる結末に少々グロッキーとなった。

    うーん、はっきり言うと面白くはなかった。
    ので、今回は興味深かった事のメモとそれに対して感じた事を保存する場として使わせていただきます(._.`)
    ーーーーーーーーーーーーーー

    接近欲求
    理性を凌駕すれば対象への関心が固着する
    成就すれば恋愛だが、拒否される「摩擦」が生じれば欲求が高まりアディクションが始まる。つまりストーカーとなる。

    ストーカーは警察や被害者よりも努力する。運は、努力するものの味方をする

    解説者は小早川明子さん。
    (ストーカー問題を始めとする人間観のトラブルを手掛けるカウンセラーの方)の解説内の言葉。

    「こうしてほしい、しかしそうしてくれなくてもあなたの自由だ、私は諦める。でももし私の希望を受け入れてくれたら感謝でいっぱいだ」

    ここだけ抜粋すると圧の強めな発言に聞こえるが、純粋に言葉自体を受け止めると普通に生活している私達が人に何かを要求する時って大体こうだと思う。
    〈してくれたら嬉しいけどしてくれないのは自由だしそれに対して負の感情は持たない〉のを当たり前に繰り返している。だが、このリミッターが外れる瞬間なんて誰にも分からない。
    回避方法も分からない。なので、月並みな言葉ではあるが、どんなに近くにいる人にも思い遣りの精神は忘れてはいけないと改めて強く感じた。
    人のためは勿論だが、もし自分のリミッターが外れて見境が無くなったモンスターになってしまったら嫌ではないか。つまりは己自身のためでもあるのだ。この理論は美しくは無いが、悪でも無いと思いたい。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    • NORAxxさん
      土瓶さん、こんばんは♪

      ちょ、やってみないでください(笑)誇張がバレてしまうではないですか(笑)
      実際、目と眉を近付けたくて一人鏡の前でア...
      土瓶さん、こんばんは♪

      ちょ、やってみないでください(笑)誇張がバレてしまうではないですか(笑)
      実際、目と眉を近付けたくて一人鏡の前でアウトローな顔面晒してた経験者の発想です!!
      2022/10/01
    • 土瓶さん
      アウトローな顔面(笑)
      アウトな顔面(だいぶ失礼)
      アウトローな顔面(笑)
      アウトな顔面(だいぶ失礼)
      2022/10/01
    • NORAxxさん
      アウトで改行されなくてホッとしてたのに...( ー̀ н ー́ )笑
      アウトで改行されなくてホッとしてたのに...( ー̀ н ー́ )笑
      2022/10/01

  • 畑野智美/消えない月

    被害者(さくら)と加害者(松原)の双方視点から、
    一人称で淡々と描かれる小説。

    被害者・加害者の考えが交差し淡々と進む中で、
    被害者は逃げ切れるのか?
    加害者の心に終わりはあるのか?
    着地点が気になり読み進めました。

    ストーカーは決して軽視してはいけなくて、
    もう大丈夫、これぐらいなら平気、
    といった一瞬の隙や油断がとんでもない事態に。

    ストーカーに合っていると認識した時から、
    被害者は次に何が起こるか分からない恐怖に常に
    怯えて暮らし、少しずつ心や生活が壊れていく様が切々と書かれてます。

    どんな言葉を選んで伝えても伝わらない、
    話が噛み合わないもどかしさのなか、
    被害者の心は諦めに変わります。

    加害者は常に自分が正しく、
    相手は間違っていると疑わない。
    自分の言う通りにすれば幸せになる。
    自分が相手を守らなくてはならない。
    自分に助けを求めてる。

    そもそも客観視という概念がなく、
    全てを自分の中心で都合よく捉える
    加害者の心理には恐怖を感じます。

    でも、その加害者の心理とその成長背景が詳細に
    書かれていて、歪んだ考えを生むに至った経緯が
    なんとなくわかり、本当に求めていたものの姿が
    明確になった時、ストーカー加害者の行為や
    考え方は決して受け入れられないけれど、
    なんとも言えない苦さを感じました。

  • 畑野智美『消えない月』角川文庫。

    ストーカー事件の被害者と加害者の双方をリアルに描いたサスペンス小説。

    典型的なストーカー事件の被害者と加害者。全く救いの無い結末に厭な気分のままに読み終えた。

    主人公の河口さくらは一度地元の松本にある信用金庫に務めるが、顧客の老人男性によるストーカー被害に遭い、退職。上京し、専門学校に通い、マッサージ師となる。さくらは何度かマッサージの客となった大手出版社に勤務する松原と恋人の関係となるが、松原の態度の豹変に別れを決意する。次第にエスカレートしていく松原の行動。

    さくらが密かに都内のアパートを引き払い、松本の実家に戻るも、執拗に追い掛けて来る松原。

    男性の気持ちに流され、自己を余り強く主張しないさくらと自身の異常な性格と執着に気付かず、相手を傷付けることに無頓着な産まれながらのストーカー・松原……

    本体価格840円
    ★★★★

  • 良く考えて行動、発言しないと思わぬ事態が起こると思った。文章になると恐怖が伝わる。
    ストーカーの心理を感じる事が出来ます。

  • ショッキングな結末だったなあ。
    田沢さんの台詞があったから、きっと伏線だろうとは思ったけれど・・・

    物語ではあるけれど、ストーカーの背景とか、やっぱりこうなのかなって
    わかったな。
    愛されていない、挫折だらけの半生。
    怖いな、すげぇ迷惑だし。
    だいぶ序盤から別れ話になったから、
    え、このあとずっとストーカー?と思ってびっくりした。
    かなり濃くしつこく描かれている。
    でも一気に読めた。

    リベンジポルノとか合鍵とか、
    都合のいい思い込みとか警察やサイトの対応とか
    本当にこうなのかな、酷だな。
    それはだめでしょ。。。っていう対応とか、いろいろ考えながら読んだ。

    和樹くん、いいね。
    でも、和樹くんの行動歴からわかってしまったってきついな。
    これを彼が知ったらと思うと・・・つらいところの多い話だ。

    「月はいつも、振り返るとそこにある。
    どこまで行っても、ついてくる」

  • 4時間くらいで一気読みした。
    松原があまりにも気持ち悪すぎて霞むけど、さくらのいまいちはっきりしない態度にもちょっとイラついた。
    読みながら、キモ!とかコワ!とか言ってしまった。
    ラストはまあそうなるしかないよなあと言った展開。

  • 今日購入して読み終えました。
    加害者と被害者の心情をリアルに描かれていて良かった。ストーリーとしても、どんでん返しを期待していたけど予測通りのものでした。ただ、この小説において、どんでん返しを期待したのはわたしの勝手な願望です。どんでん返しがない予測通りの展開だからこそ、リアルだった。

    ストーカーは努力します。警察よりも被害者よりも、努力します。そして運は平等に、努力する者の味方をします。(p358) の一文がとても怖い。
    間違った努力なのに、それでも。事実こういった事件は起きている。
    やるせない、許せない。

  • 読後に帯をあらためて見ると、いやいやそこまでじゃない・・・と思う。
    始終さくらにイライラしつつも、松原は松坂桃李さん、池田先生は濱田岳さんが良いなと勝手にキャスティングして読みすすめてたら結構楽しめた。

  • 帯の煽りがすごかったので買ってしまいました。
    、、、が、衝撃のラストって程ではなかったかな。丁寧に描かれていて読みやすいですが、重さや余韻みたいなものは個人的にはそこまで…でした。
    主人公が頼りなさすぎてイライラするのと、新彼が主人公のどんな所に惹かれたのかが分からないのが感情移入できなかった理由かもです。

  • わりとじわじわと追い詰めていく感じなのかと思ったら最初からいきなり豹変してて驚いた。
    思い込みと被害妄想、自分に都合の悪い部分は無かったことに。
    なるほど、モラハラやストーカーの思考回路はこんな感じなのかと納得した。
    別れたかったらせめて理由ぐらい言ったらいいのに。
    嫌な思いしたなら文句のひとつでも言いたくならないのかと不思議に思うけど、こういう性格だからこそターゲットに選ばれてしまうこともあるのかもしれない。
    大した対策もしないで下ばかり向いているさくらに最後までイライラさせられるけど、結末は悲しかった。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年『国道沿いのファミレス』で第23回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。13年に『海の見える街』が、14年に『南部芸能事務所』がそれぞれ吉川英治文学新人賞候補となる。ほかの著書に『夏のバスプール』『感情8号線』『罪のあとさき』『タイムマシンでは、行けない明日』『家と庭』『消えない月』『シネマコンプレックス』『大人になったら、』などがある。

「2022年 『水槽の中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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