小説 妖怪大戦争 ガーディアンズ (角川文庫)

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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109816

作品紹介・あらすじ

日本列島を東西に分断する裂け目、フォッサ・マグナ。そこに眠る古代の化石たちが1つに結集し、巨大な妖怪獣へと姿を変えた。
向かう先は東京。進路には日本最強の怨霊を祀る将門塚が――。
人間には天災にしか見えないこの襲来に、妖怪たちだけが真相と行く末に気づいていた。
このままでは世界が滅んでしまう。止められるのは、伝説の妖怪ハンター、渡辺綱の末裔である小学生・渡辺兄(ケイ)。
突然〈世界を救う勇者〉に選ばれた少年と、彼を巻き込んだ妖怪たちの大冒険が今始まる――!

感想・レビュー・書評

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  • 渡辺綱の子孫の兄弟が主人公。
    映画を観ていないからか私の理解力が乏しいからか唐突に思える場面もいくつかあり、映画を観てから読んだ方が良かったのか?と少し悩みました。
    兄の担任が加藤先生なのですがやはりあの加藤と関係があるのでしょうか?

  • 映画・妖怪大戦争ガーディアンズの小説版。企画段階から携わる荒俣宏による。

    日本列島を東と西に分ける境界、フォッサ・マグナ。そこには多くの古代海洋生物の化石が眠る。太古の昔、そこは海だったのだ。
    化石となった生きものたちの怨念が募り、1つの巨大な「妖怪獣」となって「海へ帰らせろ」と進撃を始めた。人間の目には天災にしか見えないが、この異変に気付いたものたちがいた。妖怪たちだ。
    これでは世界が滅んでしまう。妖怪獣と立ち向かうために白羽の矢が立てられたのは、かつて妖怪ハンターとして知られた渡辺綱の子孫、渡辺兄(ケイ)という少年だった。尻込みするケイだが、弟の弟(ダイ)が妖怪たちに連れ去られてしまい、助け出そうと戦いに身を投じる。

    ぬらりひょん、姑獲鳥、子泣き爺、雪女とおなじみの妖怪たちが出てくるのも楽しいところ。さらに四国の八百八狸、玉藻前、茨木童子とオールスターキャストである。冒頭の縄文土偶となるともはや妖怪の枠も超えている。渡辺綱の子孫が出るとあらば、伝説の宝刀・鬼切丸だって出てくるのである。
    物語の方も盛りだくさんで、時空を超える悲恋の物語があれば、兄弟の絆、結ばれる友情、勇気の力、とフルコースである。
    細かいことを言えば、あの人とこの人が恋仲になるのは時代的にちょっとずれてないか?とかいろいろあるのだが、小さなことにこだわるより、ここは楽しんでしまったもの勝ちである。

    太古から、人は自然の中に人知を超えた存在の気配を感じてきたのだろう。
    土偶にしろ、妖怪にしろ、そうした人の思いが形になったものともいえる。
    そんな連綿と続く「怪」への人の視線を感じさせる作品でもある。

    一方で、角川映画の歴史も背負う作品である。
    「妖怪大戦争」は元はと言えば、大映(角川映画の前身)が製作した1968年の映画であり、リメイク版が2005年に作られている。その際、主演した神木隆之介がこのガーディアンズにも出演している。
    後半に出てくる武神は、往年のヒット作『大魔神』(こちらも大映)の巨大埴輪を継承した造形である。
    いや、何だかお腹いっぱいな感じもするのだが、妖怪特撮映画に対する人々の熱意、なんてものも感じて、何だか妙に感じ入ってしまう、不思議な迫力のある作品である。
    機会があれば映画も見てみたい。

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著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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