山亭ミアキス

著者 :
  • KADOKAWA
3.20
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本棚登録 : 1069
感想 : 89
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109885

作品紹介・あらすじ

――日常から逃げ出したいあなたへ――

心に悩みを抱える人が迷い込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。
超絶美形のオーナーに不思議な従業員、ロビーでは暖炉が赤々と燃え、食事は絶品のアイルランド料理。
しかし、泊まると間違いなく酷い目に遭わされる。
ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女性など、今日も救いを求める者がたどり着く。
人をたぶらかす、謎めいた彼らの正体と目的とは――?

「マカン・マラン」シリーズの著者が描く、愛と涙の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 土砂降り、大雪、濃霧。
    心に迷いを持つ人たちがたどり着く先にその山亭はあった。
    使い捨て駒のようなアイドルグループのスキャンダル処理を押し付けられた女性マネージャー。
    同棲相手から妊娠を告げられ思わず逃げ出したヒモ男。
    勉強も美も仕事も…、努力してきたのに仕事も結婚もうまくいかず行き詰まった、(自称)リマーカブルウーマン。
    監督から恫喝され、猛暑の練習と深夜までの作戦会議、そんなブラック部活に疲弊したアメフト主将。
    貢いだホストの子を妊娠し、男からは逃げられ、仕事を解雇されて途方に暮れる女性。

    疲れた人が心を癒して人生を取り戻していく宿の話かと思っていたけど、ちょっと違う。この山亭も、オーナーを始めとする従業員も意外にダークなのだ。
    各話には猫にまつわる神話が登場し、ミステリアスな雰囲気も漂う。
    紀元前の昔から脈々と受け継がれる、猫だけがもつ叡智、人間との不可思議な絆ーー。

    冒頭には、ゲームセンター駐車場の車内に放置され、亡くなってしまう女の子と、その女の子を助けようとした黒猫のプロローグがあり、漆黒の髪を持つ美貌のオーナーが、この黒猫と関係することは容易にわかるのだけど、なるほどそういう繋がりなんだ…。

    シェフのパンガーさんの作るアイルランド料理がめっちゃ美味しそうだったが、全体的には何となく消化不良だったかな。でも他の従業員が山亭にいる理由もそれぞれにありそうだから、続きがあればまた読みたい。

  • 何か心に迷いがある人だけがたどり着く、「山亭ミアキス」
    こんな風に書くと、迷える人が救われる、心温まるストーリーように思われるかもしれないけれど、人の醜さや欲望が浮き上がってくる、ざらざらとした感覚の残る物語だ。
    でもこういう話、嫌いじゃないんだよねぇ…

  • 猫をモチーフにした、御伽噺のような作品。

    人間の世界にしばられて、生きにくくなった人間が、ある時不思議な屋敷に迷い込む。
    猫はいつどんな世界でも不思議な魅力を持ち、人間を「支配」してきた…。

    アイルランドの料理、どれも美味しそうだなぁ。古くから伝わる数々の猫の伝説も面白いし興味が出てきた。

  • マカンマランの先入観もあったので、迷いや悩みのある人が救われる感じかなーと思っていましたが…
    少し黒い部分も出てくるし、すっきり爽やかな話しではありませんが、自分と向き合って前に進んでいく作風は好きなので、続編が出るならまた読みたいと思います。

  • 【収録作品】序/競わせる女/逃げる男/抗う女/隠れる少年/背負う女/終
     心に悩みを抱える人を呼び込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。オーナーは美形、部屋も料理も絶品、悩みが晴れ、心が癒やされて現実に戻る……などという、甘い話ではない。得体のしれないオーナーと従業員の醸し出す不穏さが安穏と心を休ませることを許さない。……が、やっぱり人間に甘いような。
     全然違うけど、『注文の多い料理店』(宮沢賢治)の不気味さを思い出した… と書いたところで、ふとググったら、なんだモチーフはこれだったのかと納得。
     猫好きの人には特に響く作品かもしれない。

  • エピローグに繋がる山亭を巡る短編集。

    猫に纏わる神話と人間の業の繋がりを上手に描いている。

  • 今まで読んだ古内作品とは少し趣が異なるが、大変面白かった。猫にまつわる各国の伝承を下敷きに、現代日本社会の陰を描いている。どの話もラストは前を向いており救われる。

  • 他作品から、勝手にほっこりをイメージしていましたが、雰囲気は全然違ってました。

    山亭ミアキスに導かれた悩みを抱える人たちの連作短編集。
    救いの物語なんですが、超絶美形オーナーと美味しいご飯にうっとりした後は、漏れなくゾクッがついてくる。
    作中のアイルランド出身パンガーさんの料理がたまらなく美味しそうでした。

    猫と人間には太古からの絆があるという。世界の猫の神話・伝承の数々をオーナーが語ってくれます。
    個性派揃いの従業員たちが、ちょっと不思議でミステリアスな世界につれていってくれる。
    プロローグとエピローグが繋がったとき、胸が詰まって涙があふれました。


    『誰からどう思われようが、知ったことじゃないよ。要は自分がどうしたいかさ』

    『あんたの眼に映ってるものが、俺の眼に同じように映るわけじゃないんだから。みんな違う眼で物事を見てるんだしさ』

  • ファンタジーというには重く感じました。
    神話なのかな。
    教訓のようなものを感じました。
    難しいですね。

  • 悩める登場人物達が、導かれるように辿り着いた山亭は、実はある猫達が、目的を果たすために人の姿となって修行している幻の山亭・・・そこには青い湖があり、長時間、親から車中に放置され、熱中症で亡くなったと思われる少女が母親を待っていて・・・そんなあるはずのない山亭で、猫の化身とは思いもせずもてなしをうける登場人物達・・・という、古内一絵さんの作品では珍しく、猫の神話や伝説を盛り込んだ、猫が少し気味の悪いファンタジーな物語でしたが、その山亭を訪れた問題や悩みを抱えた人物たちは、一歩踏み出していくという、やっぱり古内一絵さんらしい、前向きになれる素敵な作品でした。

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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