山亭ミアキス

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1532
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109885

作品紹介・あらすじ

――日常から逃げ出したいあなたへ――

心に悩みを抱える人が迷い込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。
超絶美形のオーナーに不思議な従業員、ロビーでは暖炉が赤々と燃え、食事は絶品のアイルランド料理。
しかし、泊まると間違いなく酷い目に遭わされる。
ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女性など、今日も救いを求める者がたどり着く。
人をたぶらかす、謎めいた彼らの正体と目的とは――?

「マカン・マラン」シリーズの著者が描く、愛と涙の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 猫が霊力を得るために全国に「猫岳」とゆう修行場があることは何かの本で読んだ事があるような「猫魔ヶ岳」もその一つ。妖術を使って迷える人たちを洋館のようなホテル「山亭」に導く。
    マカン・マランのようなところをイメージしてたのですがちょっと不気味にダークでした。オーナーをはじめ従業員たちもオカマ以上にミステリアスでした。
    ぼったくり宿かと思えばそうでもなさそうで、なんのためとかわかりぬくいのですが訪問者にあわせて接待の設定が違うみたい。
    ヒモ男がやってきた時の歓待ぶりはゾクゾクしましたが、人の世のゴタゴタなんかよりも、もっと崇高で神秘的な命について見直すことができました。

    古今東西の猫にまつわる童話や民話、神話まで興味深く仕掛け時計が午後4時の鐘を打つのが楽しみでした。

  • 人生には荒治療が必要なときってあるよね?!
    そのように思わせてくれるストーリーでした。

    このままではいけない、このままでは未来がない。
    何かしなくちゃ!
    頭では分かっているけど、変化を起こそうとするのに腰が引ける時ってあります。
    未来は見えないからね。
    変化してマイナスに変わるくらいなら、何もしない方がいい。(決断することがものすごくストレスなのです)
    快楽主義者の私はそう思ってしまいます。
    とは言え、逃げ続けていても決断の先送りをしているだけで、時間ばかりが経ってしまうだけなんですよね。
    (その分歳も取るというおまけつき)

    そんな甘っちょろい事を言っている人間は、痛い目を見ると目が覚めるのは周知の事実だと思います。
    暴飲暴食していた人が胃潰瘍になったことをきっかけに、健康オタクになり生活を改めた、みたいな事です。

    本では猫たちが迷いのある人間にちょっとしたいたずらをするのですが、それがシャレにならない。笑
    でも、そのいたずらがあったから迷いある人間は自分の人生の進路を決めることができたとも言えます。
    (グッジョブ!猫たち)
    そして、決断する時に必ず捨てるものがあるのです。
    それは”執着”。
    何かを決断するというのは、執着を捨てることも含まれているのかもしれません。
    何に執着しているかは人ぞれぞれ(プライド、習慣、意地など)ですが、意外とその執着って、新たな人生には必要ないモノなんですよね。
    むしろ、捨てたから新しい生活に集中できる気がします。

    古内先生の「マカン・マラン」シリーズが好きで、こちらを読んでみましたが、今回はかなりスパルタです。笑
    「マカン・マラン」は、優しく包み込んでくれるような(藤木直人のビューネ君のような)雰囲気で、疲れた人達の憩いの場ともいえる本でした。(懐かしい…)
    「山亭ミアキス」は「あんた自分じゃ決断できないんだったら、あたしが背中押してやるよ!」っていう意地の悪さがあります。(バンジージャンプの台に立ってビクビクしている人間の背中を押すような感覚)結果としてそれは優しさの裏返しになるのですが。

    こちらの作品も4部作になるのでしょうか?
    まだ猫は3匹いますね。

  • 山亭ミアキスは人生に迷える人が辿り着く不思議な宿。各章,猫の話が面白い。
    1.長靴をはいた猫 2.金華猫
    3.猫妖精の王ファザーガット
    4.ローザンヌ湖の怪猫
    5.ショスティ母神の神話

  • 短編 一話読み終えるたび何となくこういう事が言いたいのかなと、霧がかかった感じ。
    人生色々ある中 悩んだり迷ったり怒ったり、その都度誰か関わっている人がいるということなのかな 急がず見つめ直す事で悩みを解決していくこともできる。

    心に残った文
    P268三枝弁護士の言葉
    「子供の虐待は、大抵、手遅れになってから大ごとになる、でも、それじゃあ、意味なんて一つもないんだよ。死んでしまってから大勢で騒ぎ立てたって、遅いんだ」

    子供に親は選べない。

  • 何か心に迷いがある人だけがたどり着く、「山亭ミアキス」
    こんな風に書くと、迷える人が救われる、心温まるストーリーように思われるかもしれないけれど、人の醜さや欲望が浮き上がってくる、ざらざらとした感覚の残る物語だ。
    でもこういう話、嫌いじゃないんだよねぇ…

  • 猫をモチーフにした、御伽噺のような作品。

    人間の世界にしばられて、生きにくくなった人間が、ある時不思議な屋敷に迷い込む。
    猫はいつどんな世界でも不思議な魅力を持ち、人間を「支配」してきた…。

    アイルランドの料理、どれも美味しそうだなぁ。古くから伝わる数々の猫の伝説も面白いし興味が出てきた。

  • 少しホラーよりな不思議な話。
    猫のスタッフは個性的だし、自由だなと思う。
    それぞれ餌食となった人たちは、みんなが良かったとはならない。

  • マカンマランの先入観もあったので、迷いや悩みのある人が救われる感じかなーと思っていましたが…
    少し黒い部分も出てくるし、すっきり爽やかな話しではありませんが、自分と向き合って前に進んでいく作風は好きなので、続編が出るならまた読みたいと思います。

  • 【収録作品】序/競わせる女/逃げる男/抗う女/隠れる少年/背負う女/終
     心に悩みを抱える人を呼び込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。オーナーは美形、部屋も料理も絶品、悩みが晴れ、心が癒やされて現実に戻る……などという、甘い話ではない。得体のしれないオーナーと従業員の醸し出す不穏さが安穏と心を休ませることを許さない。……が、やっぱり人間に甘いような。
     全然違うけど、『注文の多い料理店』(宮沢賢治)の不気味さを思い出した… と書いたところで、ふとググったら、なんだモチーフはこれだったのかと納得。
     猫好きの人には特に響く作品かもしれない。

  • エピローグに繋がる山亭を巡る短編集。

    猫に纏わる神話と人間の業の繋がりを上手に描いている。

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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