- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041110195
作品紹介・あらすじ
容疑者は50名!90歳の英国女王、奇怪なピアニスト殺人事件に挑む!
英国で10万部突破、18カ国で翻訳
ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。その名もエリザベス2世。御年90歳。世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!英国で10万部突破、18カ国で翻訳。解説・大矢博子
【絶賛の声】
今年出版された犯罪小説の中で、もっとも愛らしい作品。『ザ・クラウン』と『ミス・マープル』を掛け合わせたら、この魅力的なホワイダニットにしあがるだろう(ルース・ウェア)
優しく愉快で、控えめながら説得力があり、全くもって魅力的。英国王室の神秘性に探知性を加えている(アマンダ・クレイグ)
抜け目なく賢明で好奇心旺盛な女王陛下の姿である(ガーディアン紙)
本物のディテールが満載で、ストーリーはスマートかつねじれていて、そして全体が素晴らしく、奇妙なほど説得力がある。絶対的な完成度(イザベル・ブルーム)
プロットはよく考え抜かれ、見事に観察されている。今年読んだミステリーの中で最高の一冊だ(フレッシュフィクション)
この本のすべてを愛している…。女王陛下が王冠の下に他の事件も隠し持っていますように。『木曜殺人クラブ』は面白かった。『ウィンザー城の殺人』はもっと面白い(TheBookbag.co.jp)
エリザベス2世を探偵役とする楽しいシリーズ。ベネットが描く、温厚で賢く、機知に富んだ女王とその王室生活は魅力的だ(パブリッシャーズ・ウィークリー誌)
感想・レビュー・書評
-
イギリスで10万部、18か国で翻訳されているという人気シリーズの1冊目。
原題は”(Her Majesty The Queen Investigates) The Windsor Knot”。()内はシリーズ名でもあって、つまり『女王陛下は「ウィンザーノット」を捜査する』となる。原著の既刊は3冊、刊行予定が1冊で、いずれも『女王陛下は「〇〇」を捜査する』となる。なかなか気が利いた作り。
邦訳は2冊目の『バッキンガム宮殿の三匹の犬(The Three Dog Problem)』まで。
さて、本シリーズの探偵役は先ごろ亡くなった英国女王陛下その人である。
実のところ、巻末解説にある通り、女王陛下が登場するフィクションは少なくないという。行き過ぎたタブロイド紙などとの攻防はあるが、英王室は「コンテンツ化」されることに比較的鷹揚であるようにも感じる。愛され、親しまれ、それでいて隠されたミステリアスな部分もあり、想像を働かせるには格好の題材なのだろう。王室側もそれを許す懐の深さ(逆に言えばしたたかさ)を持っているということかもしれない。
本シリーズ、まだ1作目を読んだところであり、私は英王室に取り立てて詳しいわけではないが、王室内部の描写がある程度実態に近いのではないかと思われる。晩餐会や各国要人との面会などの行事、秘書官や近習ら、女王付きの人々の仕事、次々と公務をこなさねばならない女王のハードスケジュール。小柄でありながらエネルギッシュで魅力的なエリザベス女王や、口は悪いが磊落で悪気のない伴侶フィリップ王配の人柄も、人々がさもありなんと想像する通り。
そうした「舞台装置」がかっちりしているからこそ、投げ込まれるフィクション部分の「謎」が生きてくる。
2016年4月。
女王お気に入りのウィンザー城で、一人の若いロシア人ピアニストが遺体で発見される。前の晩、宿泊晩餐会に参加していた1人だった。
彼は当初、性的な快楽を得ようとして誤って事故死したと見られていた。だが、そうと断じるには不審な点が出てくる。
女王は、密かにこの事件を調べ始める。
本書の準主役はナイジェリア出身の若き女性秘書官補、ロージーである。この職について間もない。
女王が探偵といっても、表立って軍配を振り、犯人を追い詰めてとっちめるわけではない。手となり足となる存在が必要だ。実は女王は昔から謎解きがお得意だった。海千山千の各国政治家を相手にして渡り合ってきたのだ、その洞察力と政治力が凡庸なはずはない。女王の内緒の助手は代々、近しい部下が務めており、今回はロージーに白羽の矢が立ったというわけだった。
女王はあからさまでなくロージーに指示を与え、ロージーはその意を汲んで内密に捜査を進めていく。
さらには、警視庁やMI5にそれとなくヒントを与え、捜査を正しい方向に導いていく。
原題の「ウィンザーノット」はネクタイの結び方(knot)として知られているが、ウィンザー城の難局(knot)とも解釈できる。今回の事件では、紐の結びが事件の謎を解く1つのカギとなっており、なかなか洒落たタイトルである。
謎の出来もまずまずだが、やはり一番の魅力は女王の人柄だろう。
女王には手柄も名探偵の称号も不要である。そうしたものは欲しがる相手に与えてやればよいのだ。女王陛下ならではの慎ましさと寛容さ。人々は、一見優しい老婦人に見える女王に操られているのに、最後までそれに気づきもしない。
本書の事件、犠牲となったのは1人ではなかった。その人々の死を、女王は衷心から悼む。
そんな姿に胸を射抜かれて、この人を守りたい、この人に付いていきたいと思うのは、お付きのロージーだけではないだろう。
なかなかの快作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エリザベス女王主催の晩餐会のあと、当日ピアノ演奏したロシア人ピアニストが殺されていた。しかも、裸で。公には病死としながら、警察やMI5はロシアのスパイではないかとそれぞれ捜査を始める。そして、エリザベス女王も独自の推理を展開していく。
なんと、エリザベス女王が安楽椅子探偵!
優秀な女性秘書官補に指示をしながら、様々な公務をこなしつつ真相を探る。ミステリーとしての評価は人それぞれかと思うけれど、実在の女王とその家族をこんな風にフィクションにしてしまう英国、それを許容する英国王室に日本や皇室との根本的な違いを感じた。 -
エリザベス女王が崩御され、今更ながらに偉大な愛された方だったと知り、
色々興味が湧き購入。
ミステリーとしても面白かったし、イギリス王室のお話としても面白かった。
オバマ前大統領などもちらっと出てきて、物語とわかっているのに
実際の王室は、エリザベス女王はこんな方なのかと思え楽しめた。 -
イギリスの女王が、推理小説の主人公として執筆をお許しになったことがすごい事だと思う。
日本だと天皇陛下??ちょっと想像できない。
エリザベス女王がどれだけ国民に近かったのか、よくわかる。お人柄も描かれていて、みんなが好きになるのが納得。 -
面白かった。ミステリそのものより、プーチンやメルケル元首相、オバマ氏など実名が出て来るのがドキュメンタリーみたいだったし、宮殿での女王の執務やそこで働いている人々の日常がとてもリアリティがありついつい引き込まれた。
それにしてもエリザベス女王がチャーミングで何たる公平無私な事か。その人柄に動かされる職員の気持ちも手に取る様だ。ご冥福をお祈りします。 -
んだきっかけはエリザベス2世崩御。女王が主人公の小説は『やんごとなき読者』以来だけれど、本書は事件簿とあり、90歳の女王が城内で起きた殺人事件を解決に導くって??と、通勤本として読み始めたのに面白くてこの連休で読み終わってしまった。英王室のことはほぼ知らないけれど、フィリップ殿下や王室職員とのやり取りや城内のことや女王の生活や公務の準備などリアルだと感じられるように設定してあり、登場人物一人一人の思索場面も多くあり事件自体は難問じゃないにしても別世界にじっくり浸れる1冊だった。
フィリップ殿下って実際ああいう人だったのねw(ググった)
まだご存命の時に刊行されているという続刊の翻訳版が出たら是非読みたい。 -
チャーミングで思慮深く、国民から愛され尊敬されているエリザベス女王。
そんな現役の女王陛下を推理小説の主人公にするなんて…日本じゃ考えられない‼︎
実在する人物や出来事などが登場し、これは実話なのでは?と思わせる1冊でした。残念ながら私に合わないなと思った点は、人名や出来事、場所などカタカナが多すぎて話が入ってきづらかったところ。そして、下品な描写(遺体発見時の状態とか)があるのも受け付けなかったかな。ストーリーとして必要なことだったけど、ちょっと嫌悪してしまいました…汗 人にオススメするのに躊躇するかも。 -
ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。その名もエリザベス2世。御年90歳。世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!英国で10万部突破、18カ国で翻訳。
現役のイギリス女王陛下が主人公で、しかも探偵役のお話、と聞くだけで、気になって読みたくなる。単なるミステリではなく、王室に生まれた女王の苦悩や、女王という立場として培われてきた強さ、王室に仕える使用人たちの陛下に対する忠誠心と、彼らを家族のように慮る陛下の優しさ…などなど、陛下の人間性を描いた部分が胸を打つ。
オバマ元大統領やプーチン大統領など、各国の首脳たちの名前も出てくるのが、この話をリアルに仕立てていて興味深い。
400ページ超えという大ボリュームだけど、飽きることなく読み終わった。大満足!