- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784041110195
作品紹介・あらすじ
容疑者は50名!90歳の英国女王、奇怪なピアニスト殺人事件に挑む!
英国で10万部突破、18カ国で翻訳
ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。その名もエリザベス2世。御年90歳。世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!英国で10万部突破、18カ国で翻訳。解説・大矢博子
【絶賛の声】
今年出版された犯罪小説の中で、もっとも愛らしい作品。『ザ・クラウン』と『ミス・マープル』を掛け合わせたら、この魅力的なホワイダニットにしあがるだろう(ルース・ウェア)
優しく愉快で、控えめながら説得力があり、全くもって魅力的。英国王室の神秘性に探知性を加えている(アマンダ・クレイグ)
抜け目なく賢明で好奇心旺盛な女王陛下の姿である(ガーディアン紙)
本物のディテールが満載で、ストーリーはスマートかつねじれていて、そして全体が素晴らしく、奇妙なほど説得力がある。絶対的な完成度(イザベル・ブルーム)
プロットはよく考え抜かれ、見事に観察されている。今年読んだミステリーの中で最高の一冊だ(フレッシュフィクション)
この本のすべてを愛している…。女王陛下が王冠の下に他の事件も隠し持っていますように。『木曜殺人クラブ』は面白かった。『ウィンザー城の殺人』はもっと面白い(TheBookbag.co.jp)
エリザベス2世を探偵役とする楽しいシリーズ。ベネットが描く、温厚で賢く、機知に富んだ女王とその王室生活は魅力的だ(パブリッシャーズ・ウィークリー誌)
感想・レビュー・書評
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エリザベス女王の若い頃の設定だと思って読んだら違っててびっくり。89歳のエリザベス女王が登場。物語の中で90歳を迎えるんだけど、わりと最近の設定。ロイヤルファミリーや各国のお偉いさんの名前がそのまま出てくるので、読んでて顔が頭に浮かんで、物語に入り込みやすかったかな。これ実際あったことではないか、と思ってしまう。
エリザベス女王のお気に入りのウィンザー城で事件が起きます。その事件解決のためにエリザベス女王が動きます。秘書官補のロージーがアシスタントしてます。安楽椅子探偵なのかな?と思ってだけど、違います。女王自ら現場を見に行ったりとなかなかの行動派。ロージーは女王が動きが取れないときに、秘密裏に動いて女王を助けます。この二人を読んでて、アガサ・クリスティの『パディントン発4時50分』のミスマープルとスーパー家政婦(名前は忘れちゃったけど)みたいと思いました。
物語を読み終え、エリザベス女王はどんな方だったんだろう?と考えてしまいました。私が知ってるのは、遠い異国の女王、国民に愛されている、それくらいしか知らない。これもTVの情報であって実際はどうなんだったんだろう?この物語では、女王としての顔を持ちながら、好奇心旺盛で行動派。優しくて、家族、城に仕えてる人たち、国民を愛している。そういう風に読み取れたけど、実際もこういう方だったらいいな。
1ページに文字がギッシリ詰まってて、目が疲れたけど、楽しく読めました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
MI5の見立てに同意できなかったエリザベス女王は、秘書官補のロージーに頼んで、背景を調べていくが……。
シリーズ第1作。
オバマ大統領夫妻を招き、叙勲をし、さまざまな公務を精力的にこなす。
90歳の誕生日を目前に控えた、リアルなエリザベス女王が描かれていて、新鮮。
立場上、直接言えなかったり、動けなかったりする中でも、最大限相手のためになにかしようとする。
エリザベス女王がチャーミングで魅力的。
周りの男たちが、愛すべき老婦人を賢い我々がお支え申し上げなければ、と思っているのに、実はエリザベス女王の方が一枚も二枚も上手、という構図もコミカル。
フィリップ殿下との歯に衣着せぬやりとりも、楽しい。
事件そのものはさらっとしていて、ミステリよりは王室の描写がメインという感じ。 -
シリーズ2巻をnetgalleyで読みかけたのだが、読了できないままタイムオーバーとなってしまい、とても心残りだったため1巻から読んでみよう!と図書館で予約。
数か月待たされ、ようやく順番が回ってきた。
エリザベス女王がウィンザー城の晩餐会の余興に出演していたピアニストの青年の死の謎を解くミステリー。
先般崩御された英国女王が主人公。
その設定だけで、どれだけ国民に愛されていたかが伺える。
ミステリーとしても面白いのだが、王室の決まり事や純然たる階級社会が今もなおきっちりと存在していることが興味深かった。
もっと知りたいなぁ...ということで作中にも出てきた『ザ・クラウン』をネットフリックスでリリースされている全シーズン視聴した。
こんなにつまびらかに王室のことをドラマ化しちゃっていいの?と思うほどのドラマだ。こちらもおすすめ。 -
エリザベス女王がウインザー城に滞在中、城内でロシア出身の若いピアニストが殺された。早速ロンドン警視庁とMI5が捜査に乗り出すが、ピンボケな捜査方針に不満な女王は、秘書官補のロージー(アフリカ系)や元護衛官を使って自ら捜査に乗り出す。90歳になるエリザベス女王が実は頭脳明晰、記憶力抜群の名探偵だった(しかも周りには少々頭の鈍い老婦人と思わせている)!
「陛下にとって、謎解きはライフワークなの。最初の事件を解決なさったのが、十二歳か十三歳のころのことだった。それ以来、事件が起こるたびに解決に導いていらしたの。ご自身の推理力を働かせて。陛下には、ほかの人に見えないものが見える――それは、まあ、誰だって眼のまえに女王陛下がいらっしゃれば、ほかのものなんて眼に入らなくなるものね。知識の量も深さも並外れだし、鷲のように鋭い眼で物事を見抜き、嘘のにおいを嗅ぎ分ける能力もお持ちだし、記憶力も抜群よ。王室の職員はもっと陛下を信頼するべきなの」、「陛下は知略に富んだ凄腕の政治家よ」。
女王が、忙しい日常行事をこなしながら、秘書官補らを使って隠密裡に捜査を続ける様が克明に描かれている。王室をリスペクトする英国人にはたまらないだろうなあ。非英国人読者も、女王のフランクで愛くるしいおばあちゃんキャラを堪能できる。ストーリーと直接関係しない描写がかなり細かくて、読むのに時間がかかるのが難点。 -
ウィンザー城で起きた殺人を、エリザベス女王が解き明かす!
女王ならではの行動制限や気遣いで思うように動けないのを上手く利用して、面白いミステリーに仕上げている。
もっとイギリスに詳しければ小ネタも拾えたのにな、というのと、“その後”の現実を知ってしまっているために(今作はまだアメリカはオバマ大統領なのだけど、ここで期待を持って書かれている初の女性大統領の就任はなかった、とか)、ひんやりしたものとともに物語の中から引き戻されてしまうことがしばしばあったというのは残念だが、そこは作品の良し悪しとは別の話。
しかし、自分が見くびられている方が円滑に進むから、という理由で女王が表に出ないことを温かい話のように描いているけれど、女王を見くびり、さりげないアシストを自分の手柄だと思い込んだりするのは皆男性で、女王の真の姿を知り、共に影で動くのはたいてい女性。
男性の王であれば違う話になるよねー。
現状維持が皆のため、としているけど、それじゃ次世代もそのままなのよ…。
そのスタンスはちょっとモヤモヤした。 -
イギリスで10万部、18か国で翻訳されているという人気シリーズの1冊目。
原題は”(Her Majesty The Queen Investigates) The Windsor Knot”。()内はシリーズ名でもあって、つまり『女王陛下は「ウィンザーノット」を捜査する』となる。原著の既刊は3冊、刊行予定が1冊で、いずれも『女王陛下は「〇〇」を捜査する』となる。なかなか気が利いた作り。
邦訳は2冊目の『バッキンガム宮殿の三匹の犬(The Three Dog Problem)』まで。
さて、本シリーズの探偵役は先ごろ亡くなった英国女王陛下その人である。
実のところ、巻末解説にある通り、女王陛下が登場するフィクションは少なくないという。行き過ぎたタブロイド紙などとの攻防はあるが、英王室は「コンテンツ化」されることに比較的鷹揚であるようにも感じる。愛され、親しまれ、それでいて隠されたミステリアスな部分もあり、想像を働かせるには格好の題材なのだろう。王室側もそれを許す懐の深さ(逆に言えばしたたかさ)を持っているということかもしれない。
本シリーズ、まだ1作目を読んだところであり、私は英王室に取り立てて詳しいわけではないが、王室内部の描写がある程度実態に近いのではないかと思われる。晩餐会や各国要人との面会などの行事、秘書官や近習ら、女王付きの人々の仕事、次々と公務をこなさねばならない女王のハードスケジュール。小柄でありながらエネルギッシュで魅力的なエリザベス女王や、口は悪いが磊落で悪気のない伴侶フィリップ王配の人柄も、人々がさもありなんと想像する通り。
そうした「舞台装置」がかっちりしているからこそ、投げ込まれるフィクション部分の「謎」が生きてくる。
2016年4月。
女王お気に入りのウィンザー城で、一人の若いロシア人ピアニストが遺体で発見される。前の晩、宿泊晩餐会に参加していた1人だった。
彼は当初、性的な快楽を得ようとして誤って事故死したと見られていた。だが、そうと断じるには不審な点が出てくる。
女王は、密かにこの事件を調べ始める。
本書の準主役はナイジェリア出身の若き女性秘書官補、ロージーである。この職について間もない。
女王が探偵といっても、表立って軍配を振り、犯人を追い詰めてとっちめるわけではない。手となり足となる存在が必要だ。実は女王は昔から謎解きがお得意だった。海千山千の各国政治家を相手にして渡り合ってきたのだ、その洞察力と政治力が凡庸なはずはない。女王の内緒の助手は代々、近しい部下が務めており、今回はロージーに白羽の矢が立ったというわけだった。
女王はあからさまでなくロージーに指示を与え、ロージーはその意を汲んで内密に捜査を進めていく。
さらには、警視庁やMI5にそれとなくヒントを与え、捜査を正しい方向に導いていく。
原題の「ウィンザーノット」はネクタイの結び方(knot)として知られているが、ウィンザー城の難局(knot)とも解釈できる。今回の事件では、紐の結びが事件の謎を解く1つのカギとなっており、なかなか洒落たタイトルである。
謎の出来もまずまずだが、やはり一番の魅力は女王の人柄だろう。
女王には手柄も名探偵の称号も不要である。そうしたものは欲しがる相手に与えてやればよいのだ。女王陛下ならではの慎ましさと寛容さ。人々は、一見優しい老婦人に見える女王に操られているのに、最後までそれに気づきもしない。
本書の事件、犠牲となったのは1人ではなかった。その人々の死を、女王は衷心から悼む。
そんな姿に胸を射抜かれて、この人を守りたい、この人に付いていきたいと思うのは、お付きのロージーだけではないだろう。
なかなかの快作。 -
エリザベス女王が崩御され、今更ながらに偉大な愛された方だったと知り、
色々興味が湧き購入。
ミステリーとしても面白かったし、イギリス王室のお話としても面白かった。
オバマ前大統領などもちらっと出てきて、物語とわかっているのに
実際の王室は、エリザベス女王はこんな方なのかと思え楽しめた。 -
エリザベス女王主催の晩餐会のあと、当日ピアノ演奏したロシア人ピアニストが殺されていた。しかも、裸で。公には病死としながら、警察やMI5はロシアのスパイではないかとそれぞれ捜査を始める。そして、エリザベス女王も独自の推理を展開していく。
なんと、エリザベス女王が安楽椅子探偵!
優秀な女性秘書官補に指示をしながら、様々な公務をこなしつつ真相を探る。ミステリーとしての評価は人それぞれかと思うけれど、実在の女王とその家族をこんな風にフィクションにしてしまう英国、それを許容する英国王室に日本や皇室との根本的な違いを感じた。 -
面白かった。ミステリそのものより、プーチンやメルケル元首相、オバマ氏など実名が出て来るのがドキュメンタリーみたいだったし、宮殿での女王の執務やそこで働いている人々の日常がとてもリアリティがありついつい引き込まれた。
それにしてもエリザベス女王がチャーミングで何たる公平無私な事か。その人柄に動かされる職員の気持ちも手に取る様だ。ご冥福をお祈りします。