- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041110546
作品紹介・あらすじ
芦屋の定食屋「ばんめし屋」で働く、元俳優の五十嵐海里。
バイト先のカフェ兼バーで、朗読劇への出演を目指し、
演じることに再び向き合うことになるが、
作家の淡海が手掛けた登場人物にどうしても感情移入できない。
そこで人の姿になれる眼鏡のつくも神、ロイドとともに、
淡海の取材に同行することに。
しかしロイドが、淡海の中に存在するはずの、
彼の死んだ妹の気配を感じられないと言い出して……。
大人の青春お料理小説、第15弾!
感想・レビュー・書評
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最後の晩ごはんシリーズ第15作。
夜だけ営業する〈ばんめし屋〉には、時折亡くなった人が現れる…。
この設定を忘れるような、海里始めドラマ要素が強かったここ数作だったが、今回は久しぶりに亡くなった人が現れる。
それは〈ばんめし屋〉の常連客で作家の淡海五朗が身の内に住まわせている妹。
メガネの付喪神・ロイドが、最近淡海の中に妹の気配が感じられないと言い出すことをきっかけに、淡海と妹との別れの物語が描かれる。
初期のシリーズ作品を思い出すような、記念のディナーと再出発の話。また過去の回で何故淡海が海里を傷付けるようなことが出来たのかも分かる。
もう一つの軸は、海里の朗読俳優としての葛藤。
淡海が朗読劇のために書き下ろした物語で、海里に当てられた役は二股男でそのことに罪悪感も持たないという、いわゆる悪役。
海里はどうしてもその役に感情移入出来ず、役作りが出来ない。
だが役者を目指す以上はどんな役柄もこなしていかなければならない。海里はこの難役をどう自分のものにするのか。
さらに今回は海里の兄夫婦にもドラマがあった。
夫婦としての苦しみや挫折と、そこを乗り越えての希望。
こういう苦しみや挫折を夫婦で乗り越え、海里の母もまた支えたことが微笑ましい。
そしてその苦しみを海里に見せることなく、乗り越えた後にサラッと報告する兄夫婦が良い。
今後どのような展開が待っているだろうか。
海里も淡海も今回を機に一皮剥けるだろうか。
夏神の出番は少ないが、ちゃんと見守ってくれている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先生と妹との別れが寂しさもあり温かくもあった。
最後を朗読と料理でサポートする3人もまた良い。
このシリーズは割とどこから読んでもいいタイプかなと思っていたけど、このお話はやっぱり前作なりを読んでからの方がいいなと思った。 -
シリーズ第15弾。
今回もすごく良かったです。
しっかり、幽霊さんの思い出ご飯のお話しもあります。
このシリーズに於いて大事なキャラクターである、小説家の淡海先生の妹が、この幽霊。
大好きな兄の為に、ある決心をする。
主人公、五十嵐海里の兄夫婦のお話しも、本当に心に響いて泣ける。
色々あるけど、一歩一歩、前に進んでるなぁ。
海里の朗読劇への挑戦も、前進してますよ。
このシリーズ、ホロリと泣けるんだけど、元気の出る作品たちです。 -
久しぶりの「最後の晩ごはん」シリーズ。
朗読劇の登場人物に感情移入できない海里。
その朗読劇の原作を作った淡海の死んだ妹の気配が消えて。
加えて一憲と奈津の夫婦にも悩みと新たな決断もあったりで。
今回も内容の濃い物語でした。
それぞれが決断の後新たな未来へ進む。
これらを経て海里もまたどのような影響をもたらすのか。
次のシリーズも楽しみにしていたいと思います。 -
朗読劇での役作りに悩む海里の姿と淡海に対する純佳の願いを軸に、「シェ・ストラトス」のマスター、淡海の取材相手、海里の義兄夫婦の挿話が挟まれている。折々にはさみこまれる料理がおいしそうで、食べに行きたくなる(レシピは載っているけど、自分で作るのは……)。このシリーズは真っ当な感覚で描かれているので読み心地がいい。
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最後の晩ごはん、15巻目。
朗読劇の役になかなか入り込めない海里の苦悩の巻。兄夫婦の決断、そして淡海先生と妹純佳の別れ。そういえば最近淡海先生の妹出てこないなと思ってた。純佳は自分がこのまま兄の中にいることで、兄が純佳に依存しきってダメになっていくと気付き、自ら消えることを決意する。淡海先生は困った大人だけど、純佳は本当に兄想いのできた妹だ(私だったら、どんなに大好きな妹でも自分の中に一心同体でいられるのはかなり嫌だな…と思ってしまうけど)
海里の悩みに少しだけ光が見えたところで次巻へ続く。
豚ロースのはちみつ焼きがおいしそうだった。 -
最後の晩ごはんシリーズ、第15弾。
元タレント・五十嵐海里(いがらしかいり)は、定食屋で働く一方、演技のレッスンをしてくれる倉持悠子(くらもち ゆうこ)と共に、朗読劇に取り組んでいる。
「ばんめし屋」の常連客でもある作家・淡海五朗(おうみ ごろう)による脚本だが、海里は自分の役である登場人物に共感できず、どう演じていいのか悩む。
今回のお話は、この、海里の「役を自分のものにできない悩み」が軸になるのだろうと思ったが、自分的になかなか難しい読みだった。
作者の意図を勘繰ったりせず、素直にエピソードに感動したりすれば良いのだが、なぜか今回は、「戦争体験を語る人の話は、本筋にどう関わりがあるのか」とか、「海里の兄夫妻がどうして、子供を持てないなんて目に遭わなくてはいけないのか」などと考えてしまった。
今回のテーマは、「異なるものを身の内に入れる」だろうか・・・?
そして、このシリーズ、海里の成長という軸と、もう一つ必ずある、あの世の方と思い出の料理のエピソード・・・
今回は淡海先生絡みであった。
淡海先生は、ちょっと他にはいない感じのキャラクターで、いつもその言動には、考えさせられると言うか悩まされてきた。
妹と離れてやっと乳離れした?。
もうこれ以上成長することはない、と言う純佳だが、ずいぶん成長したのではないか、むしろ兄よりは成長している、大人びていると思った。
これからの淡海先生への興味が高まる。
そして『花束をめぐる諍い』の全貌が気になる。
次回に持ち越しかな?
プロローグ
一章
二章
三章
四章
五章
エピローグ
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演劇のことは専門的には分かりませんが・・・
「カメレオン俳優」とか「憑依型俳優」などという言葉を耳にしますよね?
海里はここからどこに向かうのか。
今は、「自分は定食屋の従業員、芸能界とは縁を切りました」というスタンスで表向きを通している。
しかし、純粋な「演じたい」気持ちも高まっている。
じっくり付き合っていくしかありません。 -
だんだん舞台再デビューに近づいてて
ワクワクします。
そして食べ物が美味しそう。食べに行きたい…!
今回は、淡海先生の取材の人の話から感じたことがありました。
戦中・戦後のお話の一部ではありますが、
戦争当時は、現在のように生活が安定?というか
良い状態、戦争のない平和な状態がくるなんて思ってなかった、というようなことを話していて、
今のコロナ禍に関しても似たことが言えるのかな、と思いました。
コロナ前を知ってるから、
今の子たちが不便で大変な思いをしているし、
この先もどうなるのかと不安もありますが、
いずれ安定した状況が訪れ、昔はこんなこともあったなぁ、
信じられないなぁと思えるときが来るのかな、と希望が持てました。
本編も多いに楽しんでます。
続きも読むのが楽しみです。 -
15弾。海里が俳優業に戻るのか、料理の道に進むのか、
どっちつかずのまま。成長するには時間が必要なんかな。
著者プロフィール
椹野道流の作品





