犯罪乱歩幻想 (角川ホラー文庫)

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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110638

作品紹介・あらすじ

本格ミステリ大賞受賞の鬼才が乱歩に挑む!「屋根裏の同居者」「赤過ぎる部屋」「G坂の殺人事件」など乱歩トリビュート5編に加え「骸骨坊主の話」「影が来る」を収録。刺激的かつ挑戦的な珠玉のミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 何年か前『〜の如き』シリーズを3冊位読んであまりにも怖くて封印してたものの、アンソロジーに入っているとやっぱり読んでしまう三津田さん。既読のものもあった今回の短編集、どれもじっとりとして怖いのにやめられない中毒性あり一気読みした。

  • 江戸川乱歩トリビュート作品に、リングとウルトラQトリビュート作品も加えた短編集。
    乱歩は薄ら覚えてるレベルで読んだけど大変面白かった。
    それぞれの話の語り口調がいかにも乱歩な感じで、昭和な世界観で進んでいくのだけど、急にスマホとか出てきて現代に引き戻される。

    「赤すぎる部屋」が結末まですっきりしてて好き。
    衝動を引き起こす原因には気づかなかった。

    「屋根裏の同居者」はミステリとして解決したと見せかけて、最後に突き放された。
    探偵の身が危ないのか、語り手の身が危ないのか。

    リングというか貞子トリビュートの「骸骨坊主の話」は確かに貞子っぽくて面白かった。

    作者の他の作品は未読なので、「G坂の殺人事件」の探偵とか、他の作品とリンクしてるだろう部分が楽しめなくてちょっと悔しい。
    ホラーと民俗学とミステリが合わさった作風という事が分かったので、今度読んでみようかな。

  •  『D坂の殺人事件』や『赤い部屋』といった江戸川乱歩御大の作品や『リング』『ウルトラQ』のトリビュートがコンセプトである作品で、それぞれの世界観を踏襲しつつも三津田信三先生特有のぎょっとするようなラストが魅力的だった。そのまま読んでも面白いが、江戸川乱歩作品や『リング』をあらかじめ読んでおくことでまた違った面白さも出てくるとも感じた。

  • 江戸川乱歩のトリビュート短編五篇と、『リング』「ウルトラQ」トリビュートが収録された短編集。乱歩トリビュートは、乱歩の世界と、作者のホラー・本格ミステリの世界が融合した作風で、乱歩の諸作品のオマージュが良い。また、『リング』トリビュート作品の『骸骨坊主の話』は、収録された短編の中で最も怖かった。呪いの拡散ほど恐ろしいものはない。

  • 久しぶりに三津田信三先生の本を読む!
    江戸川乱歩はほとんど読んだことがなかったけど文庫版が出たことをきっかけに買ってみた。
    もとの作品を知っていると確かに一層楽しめるし、乱歩ネタの意味もわかるのだろう。

    乱歩作品以外に刀城言耶が登場したのにはとても胸熱。
    百目鬼さん、どの作品で見たのだろう…
    あと死相学探偵事務所も登場して、三津田先生の他作品の世界とちょっとだけ交差している世界観がいい。

    リングはなるほど!だった。
    そして怖かった。
    伝染する恐怖。

  • 単行本からの再読。まえがきが書き下ろされていました。「骸骨坊主の話」が大好きなので、手軽に読める文庫化されて本当に良かったです。前振り、本編、オチ、とどこを取っても完璧で、何回読んでも飽きないです。
    単行本は寝る前にちまちま読んでいたのでいまいち全体像が掴めませんでしたが、今回一気読みしたおかげで「G坂の殺人事件」が面白いと感じました。

  • 乱歩ワールドに挑んだ連作5編に「貞子」「ウルトラQ」トリビュート2編を加えた短編集。トリビュート作品でありつつ、間違いなく三津田氏独特の世界として成立しているのが面白い。
    ・「屋根裏の同居者」は原典は勿論だが、春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ』にかなり触発されたと思しい(参考文献にもある)。
    ・「赤過ぎる部屋」は猟奇趣味が語られる秘密倶楽部を舞台に二人称で書かれた作品。異常心理を扱った点で本作が乱歩の作品世界に最も近いように感じられた。
    ・「G坂の殺人事件」は作者自身(がモデルの人物)が殺人の被害者だったり、探偵役として登場するのがファンにはお馴染みの人物だったりと完全に三津田作品の世界。……ところで横浜市のG坂って、権兵衛坂か弘明寺坂か、それとも別の(架空の)坂?
    ・夢遊病を発症し人を殺めてしまった経験を男が語る「夢遊病者の手」は、精神分析医の謎解きもさりながら、一瞬目眩を覚えるようなラストが乱歩世界への深い造詣によるものーと解説を読んで納得。
    ・「魔鏡と旅する男」は鏡と双生児という乱歩好みのガジェットがふんだんに用いられている。
    ・かつて著者自身が聞き書きしておいたという体の「骸骨坊主の話」は、貞子トリビュート企画で書き下ろされたもので、登場作品の「リング」そのものをモチーフにした得意のメタフィクション仕立て
    ……と思い込むことにする。
    ・ラストの「影が来る」は登場人物などウルトラQの世界を舞台にしたSFホラーでありながら、ここでも著者の作品世界としれっと地続きにしてくるところで思わず笑ってしまう。とは言え仮に「ウルトラQ」のリブート作品でこの話を映像化されたとしても、違和感は何らない気がする。

    全7編共トリビュート作品であり、元ネタを知らないよりは知っている方がより面白いだろうな……というところ。乱歩作品を言わば自家薬籠中のものとして自身の作品世界を構成した感があり、自分含めた三津田ファンには愉しめるだろうが、例えば乱歩ファンが読んだらどんな評価なんだろう、か。

  • 乱歩・貞子・ウルトラQのトリビュート作品集。「赤過ぎる部屋」が一番好き。二人称小説が新鮮だし、オチも面白い。

  • 今読んでる

    子どもの頃好きだったな〜江戸川乱歩……
    と思って購入〜

    三津田信三さんの小説は前に何か読んでた気がする。
    角川ホラー文庫から出てるってことはミステリじゃなくてホラーメインなのかな?

    トリビュート
    尊敬の印,賛辞,贈り物

    トリビュート作品
    あこがれの存在であったりするアーティストに対しての敬意を表す作品

    オマージュ作品とはいえ江戸川乱歩を久しぶりに読んでる感覚になった

    『赤過ぎる部屋』
    当たり前っちゃ当たり前だけどラストの完成度は江戸川乱歩の赤い部屋の方が綺麗だった。
    内容は赤過ぎる部屋のほうが完成度に拘らない、それこそ猟奇趣味の会員同士らしいオチだった。

    確率の犯罪に魅了を感じるのも衝動殺人、殺したいから殺す、っていうのもとてもいい。
    が、内容が少し杜撰かな……赤い部屋は作り話っていう前提で書いててこちらは本当にやったという体で書いているからなのかもしれないけれど。
    それ、実行したらさすがにバレるでしょ〜って少し冷めちゃった。

    『D坂の殺人事件』
    元になった乱歩の作品で明智小五郎は「物質的な証拠は当てにならない」と言っていたが。
    物的証拠とトリックを暴く古典的なミステリで敢えてこの作品をモデルに書いたのだと思うと面白かった。
    関係ないけど冒頭の本格云々、ホラーミステリなんて云々のアンチシーン、最後のあたかも一緒に推理し全ての可能性を除外してから「犯人はあなたですよね?」って書き手を指名するシーン、江戸川乱歩の作品にもあった気がするんだけどどの作品だっけ?!も、もやもやする〜!

    『夢遊病者の手』
    最後のシーン、これだと少し間抜けで面白い。
    こーであーでこーだから……じゃあ私たちって?って自分の意識まで見失ってて草
    原作もそうだけどそもそもあなたの体験した物語すら病気の見せた幻覚だったのかも?というオチはちょっとゾッとする。
    胡蝶の夢的な(雑)

    『魔境と旅する男』
    言いたいことも1番あるけど雰囲気は1番好き。ホラーの要素を最後まで纏わせつつミステリの要素もしっかりあって読者へのヒントもちゃんとある。

    『骸骨坊主の話』
    ふ、普通に怖くてびっくりしたぁ〜。
    ミステリじゃなくてホラーだものね、そうだわね。
    『リング』のトリビュート作品という立場を最大限利用して『元々構想していたけど書かないうちに出てきた流行作品と酷似していて発表できなかった』という体で面白かった。
    個人的に人の口にとは立てられないって言うけど口伝で伝染していくのがビデオよりも絶望感凄かった。
    大人が『悪いところ』って言ったり井戸の話を途中で切り上げたり、こういうのって大人がちゃんと理由を言わないから子供は興味を持つわけだし良くないってツッコミ要素になっちゃうんだけどこの場合親たちも言ったら伝染するって知ってるから言うのをやめたのかな?
    でもそしたら何で生き残ってるの?って思ったけどだからこそ『知ったら死んでしまう』という要素だけ伝えていてそれがいつの間にか『悪いところ』みたいなふんわりした内容に変わっちゃったのかな?
    ちょっと敷居の高い洒落怖って感じだった。

    『影がくる』
    トリビュートと言われてもウルトラQを知らない人間なのでちゃんと楽しめていたかは謎。
    最初は楽しめる気しないし読み飛ばそうと思ってたらところがぎっちょんこれが割と1番好きと言っても過言ではないくらいちゃんとホラー。
    もしかしてウルトラQってホラーなの?しらんけど。
    これ途中で一人称の女の子の方がドッペルゲンガー側だったら怖いなぁって思ったけどさすがに違うか。
    最後どちらかがドッペルゲンガー側に意識を乗っ取られてたりとかね。

  • 江戸川乱歩の小説は題名だけ知っていて、内容とかほぼ知らない私。
    そもそもトリビュートって何だろう?っていう無知さで、ホラー系が読みたいのと表紙のイラストに惹かれて読み始めた。

    内容は面白かった、江戸川乱歩の小説を読みたくなった。
    どうしても過去の文豪って難しそうで、とっつきにくいイメージがあって手が伸びなかったけど、この本がきっかけくれた。
    『赤過ぎる部屋』と『魔鏡と旅する男』が好き。
    読み進めてゾクゾクする感じと、自分で考える余韻が好き。
    あとは、自分にも何か危ないことを奇想してしまう時があると感じた。
    やってはいけないけど、もしそれが起こったらっていう想像をしてしまう、カリギュラ現象みたいなソワソワ感を感じた、やばい。
    解説読むと、まだ自分の読書に足りないものとか知れる。
    小説に仕込まれている謎や、面白さをまだまだ取りこぼしてるなと思う楽しさよ。
    そして表紙を見るたびに、この部分はあの短編かなと探す楽しさ笑
    一冊でとても楽しめた。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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