翡翠色の海へうたう

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 202
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110799

作品紹介・あらすじ

派遣社員、彼氏なし、家族とは不仲。冴えない日々を送る葉菜は作家になる夢を叶えるべく、戦時中の沖縄を舞台に勝負作を書くことを決める。しかし取材先で問題の当事者ではない自分が書くことへの覚悟を問われ……。

感想・レビュー・書評

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  • ヘイトは消えたか:差別が許されないのは恥だから? 在日作家・深沢潮さんの違和感 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20210714/k00/00m/040/333000c

    連載「深沢潮「翡翠色の海へうたう」」一覧|カドブン
    https://kadobun.jp/serialstory/hisuiiro/

    「翡翠色の海へうたう」 深沢 潮[文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322010000475/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      [A Book for Peace 森田裕美 この一冊] 「翡翠(ひすい)色の海へうたう」 深沢潮著(KADOKAWA) | 中国新聞ヒロシ...
      [A Book for Peace 森田裕美 この一冊] 「翡翠(ひすい)色の海へうたう」 深沢潮著(KADOKAWA) | 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター
      https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=119474
      2022/05/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <差別なき社会へ>沖縄の朝鮮人慰安婦の小説執筆 作家・深沢さんが川崎区で講演 母のチマ・チョゴリまとい 「共生社会への願い深まった」:東京新...
      <差別なき社会へ>沖縄の朝鮮人慰安婦の小説執筆 作家・深沢さんが川崎区で講演 母のチマ・チョゴリまとい 「共生社会への願い深まった」:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/184883
      2022/06/23
  • 女として生まれたことを悔しくてたまらない、と思わざるを得ない人生。
    その理不尽さと悔しさを思う。

    女という性を、人としての尊厳を凌辱され続ける。死ぬ道さえ選べぬその過酷な日々。戦時下の日本が生んだ慰安婦という存在。なぜ彼女たちは名前を奪われ、人生を蹂躙され続けなければならなかったのか。いま、SNSでその言葉を発信することはかなりのリスクを負う。その存在自体を否定する空気、かかわりたくない、かかわるべきではないという暗黙の了解。
    それを「小説」という形で描こうとする一人の女性。女として、その問題に真っ向から立ち向かうことはできるのか。当事者ではない、関係者でもない、ただ、小説家になるための題材としてそれを扱うことの危うさ。

    私たちはいつもこの問題と地続きで生きている。表面的な関係者ではないとしても、女として生まれ、女として生きている限り。そして男として生きているすべての人にとってもそれは無関係とはいえない問題である。
    誰でも当事者となりうる。今でも、これからも。
    いつかきっと向き合わなければならない。どんな形であったとしても。
    深沢潮が私たちに眼をそらすな、他人事として自分と切り離すな、とこの小説を突きつける。
    知れ、そして考えろ、と突きつける。

  • 好きか嫌いかとか、得意不得意は抜きにして、ものすごい話を読んでしまった感がハンパない。
    慰安婦って言葉はニュースでとてもよく聞くけど、実際のこと深く知らない人が多いのでは?
    なんとなくでしか知らずにいる人に是非読んでもらいたい。
    この作品を書き始めた覚悟、書き切った想い。熱すぎて苦しくなるほど。
    久しぶりに「この作品に出会えてよかった」と思えた一冊。

  •  ウクライナがロシアから侵略されている。

     街は破壊された無残なアパートや壊れた戦車が放置してあり、人々の苦しみ、うろたえ、希望のもてない姿がメディアで映し出されている。

     昭和4年生まれの母は16歳の時に終戦を迎えている。激動の戦前戦後を生き延びてきている。
    きっと、ウクライナ国民とあの頃の自分がリンクしているだろう。

     そんなことを考えていると戦争から目をそむけてしまう。

     しかし、この小説により心が激しく動かされた。

     すべての国の人に幸せになってもらいたい。ウクライナの人もロシアの人も・・・

     感動のあまり言葉に表せれない。心が激しく何かに打ちのめされた・・・

  • 新人賞を獲るために選んだ題材は従軍慰安婦。沖縄を訪れ取材をすすめるが…。
    自分の国のことなのに沖縄で何があったかを知らない。「民間人がたくさん犠牲になった」という言葉の裏の現実を知らない。戦争を始めた時点で策は失敗だ。人類はいつになったら折り合うための建設的な方法を見出だすのか…

  • 「今も昔も、女をモノ扱いして、自分たちを慰める道具ぐらいにしか考えていない男が多すぎますね」
    という言葉にとても共感しました。
    戦時中よりはるかに平和な現代に生きているはずなのに。

  • 家族との関係や仕事が上手くいかない小説家志望の女性と、戦時中わけもわからないまま従軍慰安婦となっていた女性が交差して物語は進んでいく。
     著者と主人公はもちろん別の人物なのはわかるんだけど「多くの時間を費やして、覚悟と責任を持って創り上げた作品」である事は一緒なんだろうな。
    最後の参考文献の多さを見てもわかる。
     性を詐取される時の淡々とした描写が余計に辛さを感じさせる。美しい海の色の風景もさらに切なさが募る。私自身、勉強不足でもあり、きっと誤解もしてる部分もあったり、今も様々な事に繋がっているこの問題はつい目を背けがちだが、読む事ができて良かったと思う。

  • いなかったことにしないこと。
    自分が色々なことを知りたいと思うのは、これかもしれないと読んで思った。
    何気ない、あ、いたの?とか、想定されてなかった来客みたいな扱いに対してすごく気持ちが揺らぐのはそういうことなのかも。

  • 一気に2時間ほどで読めてしまった短い小説だったけれど、(そんなつもりはないけれど上から目線っぽいコメントしか思いつかない...)良く書けてる、と思った。重たいテーマと現代っ子の軽さ・浅さが上手くマッチしていて、売れたのがうなづける。今時は重たいテーマを重厚感で包むのではなくてこうやって身近に感じられるように書いたほうがウケるんだろうな。

  •  本作品は、2人の女性の現在と過去が交錯しながら、一本のストーリーに展開する。1人は小説の新人賞に挑戦し、取材のために沖縄に向かった派遣社員河合葉菜の現在進行形の物語。もう1人は、朝鮮で暮らし日本兵のお世話をする仕事と言われて沖縄に連れてこられ慰安婦にされ、無理矢理日本名をつけられた「コハル」の戦中・戦後の物語。葉菜は沖縄の戦跡や当時を知る人の取材で、沖縄の朝鮮人慰安婦の歴史を深く知ることになる。一方の「ハルコ」は日本軍の「穴」にされ、沖縄戦に巻き込まれ、壕(ガマ・穴)の中でも、繰り返し「穴」にされる。逃げ惑う壕で一命を取り留めるも声を失い、沖縄住民に助けられ、戦後は赤線で働く女たちの子どもを預かるなど、沖縄の女たちの力になっていた。葉菜は、取材が進む中で、シェルターを運営する女性の母親が戦災孤児で助けてくれた人こそ「コハル」である事に結びつく。朝鮮人慰安婦、戦時性暴力、沖縄戦、ジェンダーの問題など、非常に難しい問題を素晴らしいバランス感覚でコンパクトにまとめた至極の1冊。感涙。
    想像して欲しい「また男が部屋に来る。切符を受け取る。脚を広げる。男はサックをつけて入れる。事が済んで出ていく。消毒する。また男が部屋に来る。」の繰り返しの描写は正に、1995年の映画「きけわだつみの声」の1シーンであり、2020年にグラフィックノベルで綴った「草」の1シーンである。

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2021年 『翡翠色の海へうたう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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