- KADOKAWA (2021年2月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784041111123
作品紹介・あらすじ
【第13回 新井賞受賞決定!】
切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。
ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼らと言い合いをしながらも笑いに満ちた一か月が、章介の生き方を変えていく。『ホテルローヤル』『家族じまい』著者が放つ圧巻の人間ドラマ! このラストシーンは、きっとあなたの希望になる。
みんなの感想まとめ
心温まる人間ドラマが展開される本作は、北国のキャバレーで共同生活を始めた四人の不器用な仲間たちの物語です。主人公の章介は、ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、アルバイトをしながら日々を過ごして...
感想・レビュー・書評
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ずっと気になっていた桜木紫乃さん
レビューを参考に選んだのは、この作品です
もう面白過ぎて、何度も不適な笑みを浮かべてしまいました笑
まずは、この場末感満載、昭和臭がプンプン漂うカバー絵、更に金ピカの帯
そして何と言っても、このタイトルに照れてしまいます(^^;;
『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』
俺・・・章介
師匠・・・自称世界的有名マジシャン
ブルーボーイ・・・自称シャンソン界の大御所
ストリッパー・・・自称今世紀最大級の踊り子
北海道釧路にあるキャバレー「パラダイス」で働く章介
そこに新しいショー参加のマジシャンと歌手とダンサーがやって来て、一ヶ月期間限定の4人の奇妙な共同生活が始まります
一見、バケモノの集まりか?仮装大会か?と目をひん剥いてしまいそうな3人ですが、中身は苦労して来ただけあって大人で、温かいんです
極東の凍える様な寒い地を背景に、どん底を味わって来た4人の笑いに満ちた濃厚な一ヶ月間が、章介の生き方を変えようとします
もう、4人とも好き!
友達になってくーださいっ
桜木紫乃さんの他の作品も、独特の世界観なのでしょうか?
また踏み込んでみようかな詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桜木さんはオール讀物等の連載で読んでいるが、単行本でのブクログは初登録。
作者を調べると、主婦の後に作家となり、趣味がストリップを観ることとあった。釧路のラブホテルが実家の家業で高校時代に手伝っていたとも。
この作品は昭和の時代の釧路のキャバレーを舞台にしたもので、12月に巡業に来た3人の表題のタレント達と主人公の心温まる交流を描いたもの。
厳冬期にキャバレーのボロボロの寮で4人が肩を寄せ合い生活する。皆んな訳ありの人達。
主人公は20才でアルバイト暮らし。世間知らずであり、親との縁も薄い。濃厚な4人での生活で徐々に人生がわかって来る。巡業のため、4人の生活も一月ほど。やがて、別れがやって来る。
最後に主人公のその後が描かれているが、ほんのりと明るいエピソードが描かれ、心を癒される。 -
釧路のキャバレーで働く二十歳の章介。
ある日、寮の部屋の前に父親の骨壷が置かれていた。置いていったのは母親‥‥出だしからインパクトが凄すぎる!
キャバレーの下働きをしながら淡々と日々を過ごしてきた章介。目覚まし代わりにラジオをセットする。誰とも喋らない毎日だから、人間の声を聞くためにラジオを聴いている。
物語の序盤は、昭和の場末のキャバレー‥‥北海道の厳しすぎる寒さ‥‥と、なんだか寂れた物哀しいお話なのかと思っていました。なんとも言えないこの懐かしい感じ、あ!昔よく観た角川映画みたいなんだ!なんて思って確認してみるとやっぱり角川書店‥‥て、関係あるのかな?(歳がバレる 汗)
しかし!ある日キャバレーにやってきたマジシャンとシャンソン歌手と踊り子のお陰で章介の毎日が変わる。同じ寮に住み込むのだけれど、いつの間にか章介の部屋でみんなで暖を取り食事をするのが当たり前になっていて、毎日どんちゃん騒ぎ。もう角川映画の雰囲気はまるでなし。
章介も「笑い声が響く部屋で、なにやら幼い頃に過ごしたアパートの数少ない親子らしいひとときを思い出し」たりして。
でも、マジシャンたちの契約の期間は決まっていて、いつかこの生活に終わりがくることを章介同様読者も心の片隅では気付いていて、楽しければ楽しいほどなんだか切ない。
みんなで暮らしたのはほんのひと月のことだけれど、この間の章介の心の成長ぶりが文章にも現れているような気がしました。
酸いも甘いもの噛み分けた人たちのあったかいお話でした。 -
桜木紫乃さん4作目
昭和の北海道、場末の夜書かせたら抜群ですね♪
ラブホテル、ドサ回り、ゲイボーイ…
そして今作はキャバレー‼︎
あのシャンデリアのある昭和のゴージャス感笑
タイトル良いですね〜♪
部屋とYシャツと私 みたいな笑
俺(主人公)
師匠(自称ラスベガス帰りのマジシャン)
ブルーボーイ(ゲイのシャンソン歌手)
ストリッパー(実は50歳)
キャバレーに出演する為に地方からやって来た3人と20歳の俺との短いけれど最高の同居生活がはじまった。メチャクチャだけど最高の3人と過ごした時間が俺をちょっとだけ変えてくれた…
ラストの再会に感動‼︎
笑って泣ける良い作品でした\(//∇//)
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ミヒロさんおはよ〜\(//∇//)
本当にこの人の作品ってジワ〜っとくる♪
師匠は小日向さんかな笑ミヒロさんおはよ〜\(//∇//)
本当にこの人の作品ってジワ〜っとくる♪
師匠は小日向さんかな笑2023/04/14 -
2023/04/14
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しずくさん♪おはようございます(^^)
桜木さんの作品は読むと子供の頃からの事を思い出して懐かしさでグッと来ます。
ストリッパーの作品も読み...しずくさん♪おはようございます(^^)
桜木さんの作品は読むと子供の頃からの事を思い出して懐かしさでグッと来ます。
ストリッパーの作品も読みたい♪2023/04/14
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北国のキャバレーが舞台って、めちゃくちゃ昭和っぽいなと思って読んでいたら、まさにその時代の物語だった。
タイトルにもなっている4人の暮らしはたった1ヶ月間なのに、とにかく濃密。
やってること、出来事はなかなかぶっ飛んでいて笑えるものばかりだけど、なぜだか物悲しさがつきまとう。
それぞれが抱えているものがチラチラ見えてしまうからだろうな。
ラストの数ページは個人的にはなくてもよかった気がしたけど、その後どんな話をしたのか知りたい。 -
愛おしさがつのる一冊。
好きだ。
このタイトルをリフレインするたびにこの物語へのこの四人への愛おしさがつのる。
マジシャンと歌手とダンサー。この三人と俺とのわずか一か月の共同生活。
真冬の厳しい寒さと人生に哀愁を感じながらも絶え間なく笑いと人の温もりが心に降り積もる。
何度シャネルたちの掛け合いに和んだだろう。何度、気付きと温かい言葉と涙をもらっただろう。
それこそが何よりの暖、温もり。
俺と一緒にそれを感じるたびに心の奥が幸せ感で満たされた。
出会いがあれば別れもある。
一期一会、かけがえのない出会いと時間は人生の宝。 -
桜木紫乃さんは初読みの作家さん!
『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』
釧路のキャバレー「パラダイス」を舞台に
二十歳で下働きをしている主人公の名倉章介と、
師走の1ヶ月間巡業でやって来た
「世界的マジシャン」ことチャーリー片西
「シャンソン界の大御所」ことブルーボーイのソコ・シャネル
「今世紀最大級の踊り子」ことフラワーひとみ
の四人が縁あって共同生活を始める。
あぁ〜なんだろう、この昭和感。
何とも落ち着く〜笑
そして、北海道の場末のキャバレーの臨場感ある描写が堪らない。なるほど、桜木紫乃さんは北海道出身なのか。厳しい寒さの中で生きる道民の人生観が節々に出て来るのも納得だ。
展開が穏やかな中に、濃くて甘くて哀愁誘う雰囲気が独特の存在感を放つ作品だった。
時々、何故か『ザ・ノンフィクション』が頭にチラついた。
あぁ、サンサーラ♪がぐるぐる流れてくる〜
私だけ?笑
主人公の章介が出会った三人の様に、若い時に一回りも二回りも年上の方と接する機会って、その時は気付けなくても、凄く貴重で、時に生き方すら変えてしまうのかもしれない。振り返ってみれば、私も立ち止まって悩んだり迷った時に、印象に残っている声はいつも年長者のものだった。こういう方とのご縁は、ずっと大切に胸に抱いて生きていきたいと思う。
読者が主人公の章介に感情移入してしまう構成で、出会いと別れの切なさや愛おしさが、ギュッと詰まった作品だった。
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ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。自称「世界的有名マジシャン」師匠と「シャンソン界の大御所」のシャネルに「今世紀最大級の踊り子」50台と思われるひとみ。売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼らと言い合いをしながらも笑いに満ちた一か月が、章介の生き方を変えていく。
☆―☆―☆―☆―☆
今年ベスト3に挙げたい本なのに、読んでから10日以上も経ってしまった。私の場合、良い本に出合ったら「よっしゃあ!」と意気込むあまり、感想がのびのびになり、非公開のままになることが多い。気付くとお気に入り30冊ぐらいの本や映画が棚上げにされたままになっている。今回はそうならないように気を取り直し、読みかけの本を閉じパソコンに向かった。取り急ぎ最低限の感想だけは残しておこう。
彼ら3人が章介の働くキャバレーを去り次の巡業地へ行くのが寂しくて、彼らを引き留めて欲しい思いでページを繰り続けた。章介がそこに留まってちゃいけないと私自身だって分っているのに・・・。若い章介は前に踏み出させてやらなければならないのだ。3人を含む周囲の大人たちがそれぞれ手を変え品を変え、決心がつかずに留まっている章介を引っ張りだそうとしている姿が微笑ましかった。彼らに年長者としての自負を感じさせる。
『住む親も兄弟も、何ひとつない持たない今の章介をうらやましがる人間もいるのだった。だからこそ、出ていくのなら今なのだと言われてもさしあたってどうすればいいのかがわからない。期限はせいぜい長くて2カ月。そのあいだに、できるだけ前向きな進退を示さなくてはいけない』と悩む章介に、師匠は『名倉君(章介)の若さは、この先何度も立ち上がることの出来る強みですからね。住むところもしらがみもない人間のつよさは、本人に自覚がないぶん周りがうらやむことなんでしょうねえ』と言葉を続ける。”住むところもしらがみもない人間のつよさ”にハッとさせられた。住むところやしがらみを求めている人も居る一方で、それは若さだけに与えられた特権なのだろうか? 年を取った者には許されないのだろうか?
章介は上京して小さなプロダクションで5年働いている。社長は章介を同じ釧路出身という理由で採用を決めた。社長は20年もの間故郷の釧路に帰っていない。冠婚葬祭も同窓会にも出ず故郷とのつながりをもとめていない。捨てた街の人間関係で悩む暇があるのならもっと面白いことを考えようぜという。『この感じ、なかなか分かってもらえなくてなぁ』という決め台詞で自身の境遇や仕事、人間関係のぼやきを毎回終える。そんな社長を見て、人間どこに暮らしても多少の消化不良を抱えるものらしいと章介は考えるのだが、私には社長の気持ちが手に取る様に分かる。故郷で暮らさなかった者のやるせない心情が含まれていると思った。
終章で描かれた師匠との再会に、やっぱりねと相槌を打った。バックで流れる”オリーブの首飾り”の曲も懐かしい!
☆彡北海道の土地柄を、みんな親兄弟を捨ててきた人の末裔で来る者は拒まず去る者は追わずの土地だと説明されている箇所に、とても興味を覚えた。いつか訪れたいものだ。 -
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3.5
釧路の老舗のキャバレーで、その日暮らしの下働きをする20歳の章介。そこへ営業でやって来た、どん底のマジシャン、シャンソン歌手、踊り子というクセの強い3人。ショーの間の1ヶ月、4人の同居生活が始まる。
本を読んでるのに、まるで映画を観ている様な感覚だった✨昭和レトロな釧路の夜の風景がそこにある感じ。←行った事ないけど笑
みんな風変わりだけど、とても温かい。みんなでストーブを取り囲んで、がやがや食べるご飯。家庭の愛にあまり縁のなかった章介には、この1ヶ月は生涯忘れられない大切な時間だっただろうな✨
素敵な話でした!これほんとに映像化されたらいいのに〜☺️ -
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【BOOK】もう一つ自分を“産み直す”場所 “他人”と繋がる…リアルな私の内側の「家族」 桜木紫乃さん『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー...【BOOK】もう一つ自分を“産み直す”場所 “他人”と繋がる…リアルな私の内側の「家族」 桜木紫乃さん『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210627/lin2106270003-n1.html2021/06/28
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昭和50年頃の北海道の釧路のキャバレー。店にはステージがあり月替りで色々な旅芸人が舞台に立ち連日客を楽しませる。
主人公は中卒でそのキャバレーにて下働きをしている20歳の章介。複雑な家庭環境故に、自我を出さず、というよりも自我を持たない章介。最低限の会話しかしないし人間関係も希薄。
書き入れ時の12月に店にやってきたのは、パッとしないマジシャン、大柄な女装シンガー、そしてベテランストリッパーの3人。
冬の北海道のハズレの港町のキャバレーにて、芸人の3人と章介との仕事上の関わり合いはモノクロームのような雰囲気を味わう。時間も場所も登場人物の設定も、全てにおいて場末感が充満している。
ところが芸人3人がいい味を出しているので、不思議と読んでいて悲壮感はない。
逆に、物語が進むに連れて、脳内映像が徐々にカラー化していき、読了後には爽快感を味わえる。
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読んでしまったけれど、もう一度4人に会いたくて、1週間も経たずに再読
何が私の心を掴んだのだろう
昭和感? 北海道釧路の12月の感じ? 4人のキャラクター? どれもこれもいい
まるで演歌のような舞台セットではあるけれど、ジメジメしていない、暗くない、ほんわかとぬくもりさえ感じさせる
釧路に降り立った今世紀最大の踊り子 フラワーひとみ、失敗で飯を食う肝の据わり方が芸なのか マジシャン チャーリー片西 (師匠)
どん底のソコから這い上がる シャンソン歌手ソコ・シャネル
三人それぞれ訳ありの過去を持つ身でありながら、人情味たっぷりあったかい
ステージでの肝の据わったパフォーマンスを披露するプロ根性もお見事!
そんな三人と奇妙な同居生活を始めることになったキャバレーパラダイスの下働きをしている二十歳の章介
鬱陶しいなと思う間もなく、狭く、臭く、寒いながらも楽しい我が家ならぬ共同生活
家族の縁が薄い章介にとっては、三人は父であり母であり姉?兄?だったのではなかろうか
安アパート、ストーブを囲みながらの共同生活を見ているうちにこの時間がずっと続いて欲しい、別れが来てほしくないとさえ思ってしまった
しかし、そんな私の期待もむなしく、1か月が過ぎ、根無し草の章介の心の中に確実に何かを残し、三人はそれぞれ次の地へ
年号は平成となり、その後の章介と読者サービスとも思えるサプライズ的なラストにグッときた
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思い出したことが二つあります。
一つは昨年桜木紫乃さんの『恋肌』読んだ時にも
元バレリーナのストリッパーが登場していて
すごく見に行きたくなった私。
二度も出てきたということは
実際に桜木紫乃さんが出会ったということなのでしょう。
どうしたら見られるのかなあ。
もう一つはずいぶん前ですが、出張先近くに可愛い女の子の名前の店があったので、寄ってみた時のこと。
「いらっしゃいませ」と初老の男。
他に客なし。
げっ…。一杯だけ呑んで退散しよう…。
そしたらその店主、ブルーボーイだったのです!
その話が面白くて、楽しくて、長居してしまいました。
どうしているかなぁ。
ところでこの小説は1975年12月の話なんですが、
この時代特有のものなのか
今でも地方にいけばこういう風景が見られるのか
私にはわかりません。
けっこう楽しそうです。 -
身寄りも友達もいない場末のキャバレー「パラダイス」で働く二十歳の章介と、ひと月だけタレントとして演目を披露するマジシャンとブルーボーイとストリッパー。
四人での同居生活は、チグハグながらもかけがえのない日々だった。
心細さや諦念を抱えながら、その身一つで人は生きているのだと気付かされる。
物悲しい、寂しいと思っていたものは、反対を向けばしがらみのない人間の強さにも見えてくる。
たったひと月の同居生活の余韻はいつまでも続いた。
ストーブの天板で各々転がしながら温める菓子パン。丼もなく、鍋ごと4人でつついたインスタントラーメン。凍った水道。
気付けばほとんどの時間を彼らタレント達と一緒に過ごし、感じたことのない穏やかな日々を送る章介にとって、三人は初めて心を許した存在だったのだと思う。
家族から離れきっていた感情も、決して真心を傾けてこなかった女性たちへの想いもすべて、彼らが章介の気持ちにケリをつけさせてくれた。
心の奥に居座る後悔の念。
ふとした瞬間に思い出される後ろめたさ。
そういったものに対峙するだけのエネルギーをくれた彼らの存在の大きさを思った。
人は他人には見せないだけで、多分ギリギリの場所に立って自分の居場所を掴んでいる。
その心を無意識にでも救ってくれた存在は、若い章介のこれからの人生の灯となる。
これから歩んでいく未来は、匂いも温度も柔らかさも出会うものすべてが今までとは違うだろう。
今まで我慢できたことが辛くなること。
どうでもいいと思っていたことに思いを巡らせること。
人の温かさを知ったことで手にした感情や記憶は、彼らと出会ったことで自分だけのものでなくなった。
だからこそ別れは切なく、ラストのシーンに胸を打たれる。
寂しさを孕みながらも、心地よく胸に迫る文章に包まれていく長編小説。
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なんか臭いとか、湿度、温度、音とか色んな感覚が刺激される小説というものがあって、それを僕は好きなんだなあということを改めて確認した。
化粧の匂い、楽屋や寮の湿気や埃の臭い。石油ストーブが燃える臭い。寒い北海道の空気。読みはじめは不快感しかなかったのだが、読んでいくにつれて、自分の使い古したタオルケット手放せなくなるような、そんな愛着を感じてしまう。
ああ、家の臭いって、馴染んでしまうとクサイというより、自分にとって心地よいものになっていくんだよなあ。それはこの小説の中の人物達と家族になったような感覚。すごく暖かいなあと思ったら、最後は思わぬ出来事と、別れとなってしまう。まさに馴染んだ家族からの自立も描かれていて切ない。
素敵な小説でしたw -
タイトルに惹かれて手に取った。
冬の北海道の、多分場末、という言葉がしっくりくる場所で、その日暮らしの青年と、3人のゲストの一ヶ月の共同生活。
ゲストは、失敗ばかりのマジシャンのおじさん、歌がやたら上手いシャンソン歌手のゲイ、年齢不詳だけどかなり歳がいってるストリッパーの女性、、、
生活の闖入者としては濃ゆい笑
章介の、ただこれしか知らない、この世界があたりまえ、というキャラと世慣れた3人の生活が絶妙なハーモニー、という作品でした。
2024.2.10
20 -
すごく、良かった。涙目になりながら心が温かくなって、ページを閉じました。
この温かい感情は何なんだろうと考えていたら、「家族」のそれだったんだな。
もはやギャンブル依存症の父と家庭を支えるために働き詰めの母のもとを去り、北海道のキャバレーで働いている20歳の章介。キャバレーの寮というボロボロのアパートで誰にもちゃんと心を開かず、その日を何となく生きていたが、そんな中、新しいショーの出演者3人と期間限定で同居することになった。彼らとの出会いが章介の固く閉ざしていた扉を少しづつ開いていった。
ショーの出演者3人が、何とも個性的で人間味溢れ、もう本当に泣けるほど温かい。隙間風がビュービュー吹き付ける寮にある、古いけど暖かすぎる石油ストーブの様である。ストーブの上では、餅も焼けるしラーメンも食べられる。
温かすぎる人との出会い。人生、人間、捨てたもんじゃないと私も思いたい。 -
ザ・昭和。その暑苦しい感じが苦手で前半は読みづらかったですが、なぜか後半から引き込まれてしまいました。
大晦日みんなで囲む鍋、ストーブで焼くパン、演歌、酒、家族愛。
時代は平成から令和となり、家族のあり方や距離感もどこか変わったように思います。昭和のあの暑苦しさも今にして思えば暖かさでもあり、徐々に懐かしく感じられたからかもしれません。
そういえば昔の大人ってずいぶん老けて見えたものです。(主人公の母親もさんざんな書かれようでしたがまだ四十代前半だったんですね)
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著者プロフィール
桜木紫乃の作品
