准教授・高槻彰良の推察 鏡がうつす影 (6) (角川文庫)

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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111468

作品紹介・あらすじ

長野での記憶を失ってから元気がない高槻のもとに、絶縁状態だった従弟の優斗から連絡が。
なんと、婚約者の肩に「人面瘡」が現れたという。
高槻と尚哉が赴くと、婚約者がは高槻を見るやいなや「天狗様!」と叫んで駆け寄り……?(――「肌に宿る顔」)

高槻が運営する怪談収集サイト「隣のハナシ」に、実家の旅館にある「紫鏡」の調査依頼が寄せられた。
依頼人は19歳の女性。幼い頃、母親がその鏡に吸い込まれて消えたという。
古参の従業員も、鏡については言葉を濁し――。(――「紫の鏡」)

異界に魅入られた凸凹コンビの民俗学ミステリ、第6弾!


イラスト/鈴木次郎

感想・レビュー・書評

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  • 鏡に映るものは、自分の本当の姿。自分の偽りの姿。幽霊。異世界。
    鏡って、生活に普通にあるものだけど、怪異と相性がいい気がしますよね〜。夜中はあま りジーッと見たくないような。

    『肌に宿る顔』では、高槻の過去の話や、高槻の母親が登場し、高槻自身の秘密が少し明らかに。そして、『紫の鏡』では、高槻の中にいる、もう一人の高槻の存在が少しでてくる。
    まだまだ謎は深まるばかり。
    記憶が途切れてしまう高槻に対して、「記憶の外部メモリー」として、側にいることを決意する深町君がいいよね~。

  • ひっぱるね〜の一冊。

    第一章の遊園地のお化け屋敷、微笑ましさに心癒されるスタート。

    アキラ先生も尚哉もなんだかお互いを思いやる心が溢れていてますます良き良き、そして好き♡

    今作は民俗学の知識がいつもよりも濃密に味わえた気がする。
    心の苦しみを映し出すかのような鏡のシーンがどれも印象的。
    紫の鏡は最高。
    鏡と怪異、バッチリな相性を楽しめた。

    そしてひっぱるね〜、アキラ先生の瞳の謎。

    これはどう捉えれば良いのか…尚哉と読み手を惑わせていく数々の言葉。
    油断は禁物なのかな。
    やっぱりこの先まだまだ恐ろしさが待っているのかしら。

  • 第1章は、この時期にぴったり、夏の風物詩、お化け屋敷が舞台でした。不確かですが、私の記憶では、「富士Qに似たようなのがあったような」と思いました。私は絶叫系もお化け屋敷もダメなタチなのであまり遊園地に縁がありませんが。登場人物たちと一緒に楽しんでいるように感じられました。

    第2章では、高槻先生のいとこ登場しました。結婚を前に何やら不穏なことがおきているようで…。先生が「天狗様」だった時代を知る者はあまり登場しないので、不謹慎ですが、また新たな情報を得られるのでは…と思って期待しちゃいます。

    第3章『紫の鏡』は私もこの本を読むまで忘れていましたが、「20歳まで覚えていると死ぬ」という怪談についてでした。20になってから読んでよかったです…。迷信とわかっていても、怖くて眠れない夜を過ごしていたと思います。

    やはりこのシリーズの醍醐味はたまに「ホンモノ」のかいいが出てくるところです(*^^*)

  • 鏡に纏わる怪異や怪談。
    3話ともテンポがよくて面白かったです。

    深町君の先生に対する過保護さがどんどん増している感じです。

    鏡って怪談絡みでなくても少し怖い感じがするので、それだけでも盛り上がります。

    先生の講義の怪談もわかりやすかったです。20歳までに忘れないといけない「紫鏡」の存在は知りませんでした。

  • 長野での祭からの帰還後のエピソード3編。サブタイトルにもある「鏡」がそれぞれの話のキーワードになっていて、一冊をまとめあげる芯になっていたと思う。
    「お化け屋敷の幽霊」は長野のショックから高槻先生と深町くんの日常に戻る位置づけのエピソード。皆でワイワイとエンタメを楽しむ姿、大分ほっこりする。やっぱり、ちょっと霊感ありそうな佐々倉さん好きだなあ。「肌に宿る顔」は一転、「天狗様」だった高槻先生の過去に踏み込む。謎や疑念の多い高槻家だけども、いとこの優斗は普通に良い人そうなのが救いだ、と読後感として抱いている。高槻ママの実物も出てきたが、今はそんな感じなのか。今後も登場するのだろうか。
    3編目の「紫の鏡」は、ガチの怪異だった。長野のあの後にホンモノがくるとは思わず、密かにびっくり。そして高槻先生の中にいるもう一人に対する、深町くんの解像度が上がっていっている。確かに、何かしら高槻先生に対して執着がありそうなんだよなあ。もう一人と、深町くんとの絡みも今後あったりするのだろうか。なにはともあれ、「記憶の外部メモリ」としての新な関係性に進展した高槻先生と深町くんの物語はどんどん面白くなっていて目が離せなくなっている。

  • 物語は明らかにフェーズが変わってきている。町田君の謎はある意味、前巻で説明がついたのだと思う。これからは徐々に、高槻の謎に迫っていくのだろう。今後の展開がますます楽しみ。

  • 【収録作品】第一章 お化け屋敷の幽霊/第二章 肌に宿る顔/第三章 紫の鏡

    第二章の狂気は、お化け屋敷より怖い。
    第三章では、高槻の中の彼が助けてくれたわけだが、その彼が過去を思い出すのを邪魔しているということは、思い出すのは高槻のためにならないと彼が考えているのだといえよう。どれほど怖い過去なんだろうか。あの母親の狂気よりも恐ろしいものなのか。

  • 先生の人間関係にふかまち君が踏み込んでいけたのがとても嬉しいです。
    グイグイ話を進めてもらえるのは、購入意欲に繋がります!
    これからも楽しみにしてます。

  • 民俗学ミステリ第六弾。祭りの後である今回は、三作の中短編が収録されて平常運転へ。しかし、その中でもあの祭りという体験を経た高槻や深町の絆、成長が窺えてよかった。前作がとんでもないところで終わっていただけに、ここまで一息に読んだ方が内容としてもスッキリできると思う。こんな風に怪異を紐解きながら、主要キャラを深掘りしていくドラマの作り方は絶品。

    『お化け屋敷の幽霊』
    お化け屋敷のバイトから届いた怪異調査依頼。アンケートに書かれた「出口の前の廊下にある鏡が怖すぎる」という言葉たち。それはただの姿見で何の仕掛けもないはず。訪れた客は鏡の中に何を見たのか?!

    お化け屋敷と言えば、幼い頃に祖父と夏祭り会場で入ったのを思い出す。入口付近でもう泣き叫び、お化け役の人に「大丈夫だよ」となだめられたのはいい思い出。それにしても、「最後に殺された夜香先生は首を切り落とされたのだが、その首は宙に飛び、殺人鬼の喉元に食らいついて、そのまま噛み殺した。」というエピソードが凄まじい。殺人鬼より殺意高い(笑)

    遊園地という場所は怪異が発生しやすいという話や、『ハレ』と『ケ』について、『怖い』と『楽しい』を繋ぐ脳の働きなど、今回も勉強になりつつ楽しめる。なぜその場所に鏡が置かれなければならなかったのか。まさにミステリかつ心理学的でもあって興味深かった。前作の重いエピソード後ということもあって、まさに緊張の後の緩和回。深町くんの『死者の祭』のエピローグ的な側面もあって救われた。

    『肌に宿る顔』
    絶縁状態だった従弟・優斗からの依頼。それは婚約者・未華子の肩に人面瘡が現れたというものだった。未華子が口にした「天狗様なら何とかしてくれる」という言葉。幼い頃に顔を合わせていた彼女との再会に不安を覚えながらも、人面瘡の謎へと挑む。

    今までのエピソードの中で一番好きかもしれない。講義で語られる『ジェットババア』の話からもう最高。確かにこの手の怪談はあるよね。四時ババアといい、ババアの出没率が半端ない!なぜ老婆がモチーフになるのかという部分も掘り下げてあって腑に落ちた。追いかけてくる女は怖い。その勢いが速ければ速いほど──。

    未華子の肩にある人面瘡との対面。高槻の過去を巡っての会話劇にヒリヒリする。見るべき顔は何なのか。見てほしいと思っている顔は何なのか。不気味な痣に隠された秘密。あっはっは、これは横溝正史作品だったかな?という情念の深さの描き方に舌を巻く。高槻を想って振り上げた深町くんの腕、現実を生きようとする高槻の決意などのドラマも重なって読み応え抜群だった。

    『紫の鏡』
    実家の旅館にある「紫鏡」を調べてほしい──依頼人・志穂が幼い頃、母がこの鏡に吸い込まれて消えたという。家長しか入ってはならない納戸に収められた鏡の正体とは?!

    「20歳までに紫鏡という言葉を覚えていると死ぬ」という怪談は初めて知った。19歳の生徒の前でその講義をするのは鬼畜すぎる(笑) その鏡の怪談を娘の志穂に伝えた母は、鏡がある納戸に入ったまま消えた。開かずの間にいわくつきの鏡、密室からの人間消失。異界を覗き込むような緊張感がすごい。

    高槻の中に潜むもう一人の誰か。瞳という鏡の向こう。そこに映る夜空はまさしく異界なのか。日常と非日常の境界が少しずつ異界側へと落ちていくのを感じる。高槻の瞳が夜から明ける日は来るのか。

  • 今回は「鏡」。収録されている3話はそれぞれ方向性が違っていたのがよかった。まあ、2話目はある意味定番ネタではあったが。そして『もう一人の高槻』の存在感がどんどん増してきている中で、前巻の危機を乗り越えた尚哉が活動的になってきたことに成長を感じる。それが、前に進めない高槻との対比にも思えてしまうのだが。

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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