准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111468

作品紹介・あらすじ

怪異大好き准教授・高槻の元に「遊園地のお化け屋敷の鏡に幽霊が映る」という調査依頼が。長野での記憶を失って以来元気がない高槻を心配した尚哉は、彼を外に連れ出そうと依頼を受けることを勧めるが――。

感想・レビュー・書評

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  • ひっぱるね〜の一冊。

    第一章の遊園地のお化け屋敷、微笑ましさに心癒されるスタート。

    アキラ先生も尚哉もなんだかお互いを思いやる心が溢れていてますます良き良き、そして好き♡

    今作は民俗学の知識がいつもよりも濃密に味わえた気がする。
    心の苦しみを映し出すかのような鏡のシーンがどれも印象的。
    紫の鏡は最高。
    鏡と怪異、バッチリな相性を楽しめた。

    そしてひっぱるね〜、アキラ先生の瞳の謎。

    これはどう捉えれば良いのか…尚哉と読み手を惑わせていく数々の言葉。
    油断は禁物なのかな。
    やっぱりこの先まだまだ恐ろしさが待っているのかしら。

  • 鏡に纏わる怪異や怪談。
    3話ともテンポがよくて面白かったです。

    深町君の先生に対する過保護さがどんどん増している感じです。

    鏡って怪談絡みでなくても少し怖い感じがするので、それだけでも盛り上がります。

    先生の講義の怪談もわかりやすかったです。20歳までに忘れないといけない「紫鏡」の存在は知りませんでした。

  • 物語は明らかにフェーズが変わってきている。町田君の謎はある意味、前巻で説明がついたのだと思う。これからは徐々に、高槻の謎に迫っていくのだろう。今後の展開がますます楽しみ。

  • 民俗学ミステリ第六弾。祭りの後である今回は、三作の中短編が収録されて平常運転へ。しかし、その中でもあの祭りという体験を経た高槻や深町の絆、成長が窺えてよかった。前作がとんでもないところで終わっていただけに、ここまで一息に読んだ方が内容としてもスッキリできると思う。こんな風に怪異を紐解きながら、主要キャラを深掘りしていくドラマの作り方は絶品。

    『お化け屋敷の幽霊』
    お化け屋敷のバイトから届いた怪異調査依頼。アンケートに書かれた「出口の前の廊下にある鏡が怖すぎる」という言葉たち。それはただの姿見で何の仕掛けもないはず。訪れた客は鏡の中に何を見たのか?!

    お化け屋敷と言えば、幼い頃に祖父と夏祭り会場で入ったのを思い出す。入口付近でもう泣き叫び、お化け役の人に「大丈夫だよ」となだめられたのはいい思い出。それにしても、「最後に殺された夜香先生は首を切り落とされたのだが、その首は宙に飛び、殺人鬼の喉元に食らいついて、そのまま噛み殺した。」というエピソードが凄まじい。殺人鬼より殺意高い(笑)

    遊園地という場所は怪異が発生しやすいという話や、『ハレ』と『ケ』について、『怖い』と『楽しい』を繋ぐ脳の働きなど、今回も勉強になりつつ楽しめる。なぜその場所に鏡が置かれなければならなかったのか。まさにミステリかつ心理学的でもあって興味深かった。前作の重いエピソード後ということもあって、まさに緊張の後の緩和回。深町くんの『死者の祭』のエピローグ的な側面もあって救われた。

    『肌に宿る顔』
    絶縁状態だった従弟・優斗からの依頼。それは婚約者・未華子の肩に人面瘡が現れたというものだった。未華子が口にした「天狗様なら何とかしてくれる」という言葉。幼い頃に顔を合わせていた彼女との再会に不安を覚えながらも、人面瘡の謎へと挑む。

    今までのエピソードの中で一番好きかもしれない。講義で語られる『ジェットババア』の話からもう最高。確かにこの手の怪談はあるよね。四時ババアといい、ババアの出没率が半端ない!なぜ老婆がモチーフになるのかという部分も掘り下げてあって腑に落ちた。追いかけてくる女は怖い。その勢いが速ければ速いほど──。

    未華子の肩にある人面瘡との対面。高槻の過去を巡っての会話劇にヒリヒリする。見るべき顔は何なのか。見てほしいと思っている顔は何なのか。不気味な痣に隠された秘密。あっはっは、これは横溝正史作品だったかな?という情念の深さの描き方に舌を巻く。高槻を想って振り上げた深町くんの腕、現実を生きようとする高槻の決意などのドラマも重なって読み応え抜群だった。

    『紫の鏡』
    実家の旅館にある「紫鏡」を調べてほしい──依頼人・志穂が幼い頃、母がこの鏡に吸い込まれて消えたという。家長しか入ってはならない納戸に収められた鏡の正体とは?!

    「20歳までに紫鏡という言葉を覚えていると死ぬ」という怪談は初めて知った。19歳の生徒の前でその講義をするのは鬼畜すぎる(笑) その鏡の怪談を娘の志穂に伝えた母は、鏡がある納戸に入ったまま消えた。開かずの間にいわくつきの鏡、密室からの人間消失。異界を覗き込むような緊張感がすごい。

    高槻の中に潜むもう一人の誰か。瞳という鏡の向こう。そこに映る夜空はまさしく異界なのか。日常と非日常の境界が少しずつ異界側へと落ちていくのを感じる。高槻の瞳が夜から明ける日は来るのか。

  • 今回は「鏡」。収録されている3話はそれぞれ方向性が違っていたのがよかった。まあ、2話目はある意味定番ネタではあったが。そして『もう一人の高槻』の存在感がどんどん増してきている中で、前巻の危機を乗り越えた尚哉が活動的になってきたことに成長を感じる。それが、前に進めない高槻との対比にも思えてしまうのだが。

  • だんだんと1話完結より、彰良先生の秘密に迫ってきてる。
    人面瘡で、いとこが出てきて、最終的には和解。私は50過ぎても〇〇ちゃん、〇〇くん呼びだけど(笑
    お化け屋敷でも、高槻と意気投合するプランナーも出てきて、味方が少しずつ増えてくれるのかな。
    もう一人の高槻が、かなり意思を表現してきてて、この先どうなるのか楽しみ。

  • 2021年5月角川文庫刊。書下ろし。シリーズ6作目。お化け屋敷の幽霊、肌に宿る影、紫の鏡、の3つの連作短編。怪異なのか、それともそう見えるだけなのかという事件の調査を行う高槻と深町の二人こそが怪異の中心にいることが、前巻で語られましたが、その秘密は、予想通り少しずつ小出しにされます。前巻の展開の続きをやって欲しかったです。最終巻だけ読めばいいかなという気になります。ちょっと不満です。

  • 「ムラサキカガミ」思い出してしまったではないか。
    大人だからセーフだとしても、やはり背筋がぞわっと来てしまう。
    子ども時代に感じた恐怖を覚えているからだろう。
    そして、最近は「本物」への遭遇率の高い尚哉たちである。

    前回の命がけの展開を少し引きずったまま(高槻先生のワンコぶりが本調子でないまま)始まる6作目。
    今回は鏡に纏わる話と、追いかける女性の恐ろしさについて。
    前回を引きずっているのと、高槻先生のご実家絡みの話もあるので、前作とはまた違った意味で油断できない読書だった。
    心安まる暇がない。

    「ジェットババア」や「ムラサキカガミ」の講義は今回も楽しく読んだが、特に今回のムラサキカガミは「本物」の話。
    そして命の危険性を伴う展開に。
    不穏さと一緒に危険さも上がってしまったか。

    前作のお祭りを再び生きて脱出した尚哉には、そんな「本物」の気配を感じる力も追加されたと思われる。
    まだ腕力では全然高槻先生を守れない尚哉にとって、身を護る武器となってくれるといいが。
    幸い先生の中にいる存在は先生の敵にはならないようだが、決定的に分かり合えない・譲れない部分もあるのでやはり油断はできない。
    だから、尚哉はこれからも傍にいなくてはいけない。
    高槻先生との約束を果たすためにも。
    そして、おそらく自身の信念のためにも。
    これは尚哉の頼れる度爆上げフラグが立ったかも。
    楽しみである。

    そして遅ればせながら、ドラマ化おめでとうございます!
    高槻先生がどなたになるのか全く想像できませんが、こちらも楽しみにしております!

  • シリーズ第6弾
    「お化け屋敷の幽霊」「肌に宿る顔」「紫の鏡」の
    3編を収録。
    長野で黄泉比良坂に迷い込んだ時、走馬灯のように
    高槻は記憶を取り戻した
    しかし、もう一人の高槻によって記憶を消された。

    だから、一緒にいる尚哉はそれを記憶する
    目撃して、対峙して、その全てを高槻先生に報告する
    そう約束したから。
    本物の怪異も出て来て、もう一人の高槻との遭遇率も
    高くなってきている。
    ドキドキしながら次を読みます♪

  • もう1人の高槻教授が何度も現れるようになり、、、

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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