君たちは今が世界 (角川文庫)

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本棚登録 : 289
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111529

作品紹介・あらすじ

六年三組の調理実習中に起きた洗剤混入事件。犯人が名乗りでない中、担任の幾田先生はクラスを見回してこう告げた。「皆さんは、大した大人にはなれない」先生の残酷な言葉が、教室に波紋を生んで……。

感想・レビュー・書評

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  • 家庭科の授業で、調理実習中にいたずらで洗剤を混入したり、先生を揶揄ったりと学級崩壊寸前の6年3組。そのクラスの生徒たちは、それぞれ同級生のことや進路のことなど様々な悩みを抱えている。自分の心地よい居場所を求めて、どのように過ごし、どのように切り抜けていくのか?


    2020年の中学入試問題に取り上げられたということで、興味本位で読んでみました。

    小学6年生というと、小学校の中では大先輩。子供ならではの心の余裕が盛んにある時期。
    その反面、クラス同士での立ち位置は様々で、色々な心情があると思います。

    同じクラス内の小学生四人の視点で進行する連作短編集です。それぞれが抱える同級生同士の友情や苦悩、ジレンマといったものが描かれていて、自分が小学生だった頃の光景が色々思い出されました。

    小学生と同じ年代の人が読むと、共感するところがあるのではと思いました。
    大人が読むと、あの頃の心情といったものが思い浮かぶのではないかと思いました。

    大人から見た6年3組は、小学生としては度が過ぎる光景で、先生は大変そうだなと感じてしまいました。先生の視点はありませんが、裏側では生徒をどのように指導していくのか苦労が絶えなかったのではと大人目線で読んでいました。

    そう思うと、当時の先生方には申し訳なかったなと感じてしまいました。

    子供時代は、その空間だけが世界だと思っていた時期。その限られた空間で、他人とどう過ごしていくのか?それぞれの生徒の心情が丁寧に描かれていました。

    あの頃には戻りたくないなと思いましたし、この先世界はこんなに広いんだよと助言したくもなりました。


    ちなみに入試問題に取り上げられたということで、2020年の開成中学では、第4章の部分が出題されました。
    第4章では、女子同士の友達関係といった心情が描かれています。それを男子受験生が解くということで、女心がわかっているのか試されていると考えると、興味深いです。

    海城中学では、第2章の部分が出題されました。こちらも男子受験生が、女子の心情を読み解くということで、どんな回答があったのか興味深いです。

  • 一言で言うと、「生々しい」!!
    小学6年生の小さな世界が、リアリティたっぷりに大きく描かれていました。同じ小学6年生の娘がいますが、彼女から見えている世界はどんなものだろう?と考えるきっかけになりました。
    決してハッピーエンドというわけではなく読後の清涼感はないものの、最後に大人になった彼らのその後が少しでも書かれていたことがありがたかったです。

  • 自分も小学校高学年になったときこんな感じだったなーと思いながら読みました。子どもたちにしか見えてない世界はあまりにも狭く、教室で必死に居場所を探す様子がとてもリアルでした。子どもたちの傲慢さや自分勝手な姿にイライラしましたが、大人になって考え方が変わって成長した姿も見れて良かったなと思いました。

  • 子供の頃のあの閉塞していた世界。
    私が子供の時よりも、今の子の方がずっと難しいのかもしれない。現在小5の娘の毎日もこんなふうなのかしらと思ったら胸がギュッとなった。程度の差こそあれ、こういうことは、きっとある。

    大人はこんなにも心配しているのに、子供には見えていないものがたくさんある。そして子供は「大人は何もわかっていない」と思っている。

    生きていてくれるだけでいい、と思ってしまう。楽しい気持ちも、怖い気持ちも、めんどくさい気持ちも、憧れる気持ちも、好きな気持ちも、嫌いな気持ちも、きっと、全部が本物で、併存している。一言で言い表す必要はないんだよ。全部の気持ちをそのままかみしめて、飲み込んでしまえばいい。生きていてくれるだけでいいよ。

  • 隣のクラスがこれに近かった。自分のクラスにもカナのような子がいた。
    当時はこんなくだらない子たちとは違うとか、私は加勢しないとか嘯いていたけど、ただの傍観者という名の加害者だったんだろうなと思う。
    国語とか現代文とか得意で、たぶんこれが出題された開成中の試験も、解いたら「それなりに」出来ると思う。
    人の気持ちがわかったような気になってそのまま大人になったけど、きっとなんにもわかっていないんだろうな。
    章ごとに変わる登場人物によってもたらされるそれぞれの人物への印象や受け取り方が全然違っててつくづく怖いなと思った。

  • 学級崩壊した小学6年生のクラスを、登場人物の視点を変えて描いた連作集。
    目に見えるようないじめはなくても、子どもの世界では、自覚がない分恐ろしいことが起きています。
    エピローグと文庫書き下ろしの特別編に救われました。

  • 中学受験の国語の入試問題によく引用されている本と新聞で紹介されていて興味を持ち読んでみた。
    学級崩壊気味の小学6年3組の子供たち6人のショートストーリー。ショートだけれど、とても内容は深くすべての主人公に感情移入してしまい、涙が出た。
    小学校の中でも小6は特別だと思う。
    大人への階段を上り始めている子、その手前の子、まったく子供のままの子といろいろな子どもたちがいて、でも小学校という子供の世界にいて、そして友達や先生とのやり取りの中で成長していく。
    教室という狭い世界の中で毎日を過ごし、皆と同じようにして目立たないように過ごすのが良いと感じ取り、目立つ子、自分の意見をきちんと持ち主張できる子供は仲間から排除されてしまう。
    排除されることを受け入れて、良い悪いを主張できる宝田ほのかさんの強さが一番心に残った。
    私はほのかさんとは正反対の、何も主張できない子どもだったから。

  • 思春期の未成年。毎日の何気ない日々で喜び傷つき学び成長する。
    いつかは大人になり世界が広がり、過去を整理しようとする。自分の子供たちが多感な今を生きていることを大切に捉えてあげたい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50268612

  • 小学校6年生が主人公。
    学校カースト、いじめ、ネグレクト
    モンスターペアレント、
    学校生活を取り巻く様々な問題が
    描かれている。大人になった今、
    あの頃の人間関係がいかにしんどかったかを
    思い出させる作品。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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