朝と夕の犯罪

  • KADOKAWA (2021年9月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041111642

作品紹介・あらすじ

別々の人生を歩み、10年ぶりに再会したアサヒとユウヒの兄弟。ふたりはある目的のため、狂言誘拐を実行に移す。その犯罪は成功したかに見えたが、思いもよらない結末を迎えることになった。
それから8年後、神倉駅前交番の警察官・狩野雷太は、マンションの一室で衰弱した男児を保護する。男児の傍らには、餓死した妹の亡骸があった。神奈川県警捜査一課の烏丸靖子は兄妹の母親を取り調べるが、彼女がかつて誘拐事件に巻き込まれていたことがわかり、状況は一変する。悲劇的な事件の裏に横たわる、さらなる衝撃とは――。 

みんなの感想まとめ

テーマは、兄弟の絆と犯罪が引き起こす悲劇的な運命です。再会した兄弟アサヒとユウヒは、養護施設の存続を目的に狂言誘拐を計画しますが、その後の展開は予想を超えたものとなります。8年後、兄弟の過去が影を落と...

感想・レビュー・書評

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  • 20歳の大学生アサヒは8年前まで兄と弟として父と三人で車上生活をしていた弟のユウヒと東京で偶然の再会をします。
    父を亡くして小塚家の養子となった旭と児童養護施設<ハレ>で暮らしていた正近雄飛。

    ユウヒはアサヒに<ハレ>を存続させるためにお金が必要だから松葉美織という15歳の政治家の娘を狂言誘拐するのを手伝ってくれないかともちかけられアサヒは自分の分け前はいらないからと言い、誘拐当日のスパイとして松葉家の選挙事務所にボランティアとして入り込みます。

    狂言誘拐は成功します。しかし、その日アサヒがユウヒのアパートを訪ねると、腹を包丁で刺され血を流して倒れているユウヒを発見します。「料理中に転んだ」と言うユウヒをアサヒは病院に連れていきます。

    そして、第二部はその8年後。
    二人の子どもをアパートに残し置き去りにした母親、吉岡みずき23歳が逮捕されます。兄の夕夜7歳は生き残りましたが、妹の真昼5歳は餓死による死亡。
    そして、吉岡みずきは偽名であり、2011年に松岡家から誘拐された直後に失踪した松葉美織であることが警察の調べでわかります。
    夕夜は児童養護施設<ホルン>に保護されます。

    狂言誘拐の後、ユウヒを刺して逃げたのは美織なのか…。それならば何のために何を隠しているのか…。

    警察は夕夜の証言と美織の古い知り合いから、正近雄飛という名前を探り出しますが、正近雄飛なる人物はどこにもいません。8年前怪我をした病院から逃げ出して行方不明です。

    夕夜が「マサチカユウヒはヒーロー。苦しんでいる人を守って助けてくれる。おれのパパ」と言っているのが泣かせます。

    優しいがゆえに犯罪を起こしたユウヒそして、兄のアサヒ。
    二人がどうか罪に問われないようにと願いながら読了しました。

  • 偽りの春の続編。
    サラッと読めるし、少しホロっと泣けます。
    犯罪者と言えど、その過程は実は切ない過程があるのかも…

  • 2011年、アサヒとユウヒと美織が行った、狂言誘拐。
    そして8年後、母親が何日も帰宅せず、放置された子どものひとりがなくなる事件が発生し……。

    『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』の続編。

    今回は長編で、捜査担当でメインの視点人物は、捜査一課の烏丸。
    狩野たちのの出番は少なめだけれど、鬱陶しいほどの人懐っこさと、推理力は変わらず。

    狩野たちが主体で、みっちゃんとのコンビもたのしめる短編集で、またさらなる活躍を読んでみたい。

  • 第一部は、離れていた兄弟との出会いとそれまでの境遇。
    単純に思われた狂言誘拐は…
    それからこの兄弟は…
    もやもや感が残ったまま、第ニ部へと
    繋がりが感じられないまま、引き込まれてしまう展開に圧倒された。
    真実を見抜く交番巡査である狩野に脱帽。
    悲劇と衝撃の連続で、驚かされた。
    家族の在り方を考えさせられる奥深い内容だった。

  • 親子と兄弟2組の歪みと優しさの物語。
    中盤に展開のスピードは落ちるものの、しっかりと大団円へ向かうところは読み応えあり。

  • とても真っ暗なお話。

    なぜみんなこんな人生を歩んでしまったのか。
    もっと幸せ、とはいかないまでも穏やかな生き方だってあった筈なのに。

  • 重い…。境遇が…。
    暴力の連鎖…辛い…。

  • 作者追っかけ。ホームレスとして窃盗を繰り返して来た父とアサヒとユウヒの兄弟。離れ離れになった家族は10年ぶりに再会し、良家の少女の狂言誘拐を目論む第一部。
    ネグレクトで2人の子供を置き去りにし、妹を衰弱死されてしまった母親が逮捕される場面から始まる第二部。
    家族の不幸の連鎖を真正面から描いた力作。重い話ながら、ミステリとしての意外性も十分。
    作者はエラリークィーンや岡島二人のような連名作家。最近では珍しいですね。なお、シリーズものとして、前作に主要登場人物が出ているようですが、この本だけ読んで問題ないです。

  • 「偽りの春」を読み終えてすぐの今作。
    まさに一気読み。

    狩野雷太の活躍を期待して読み始めたのだけど、
    残念ながら今回は控えめ。

    様々な家族の形が描かれた本作。
    特に幼い子どもたちにとってはつらすぎる経験でしかない。作品の中とはいえ、この先彼らがトラウマとなりそうな経験をどう乗り越えていくのだろう、と
    暗い気持ちになった。
    ラストは明るい雰囲気で締めくくられたが、
    そこには違和感が。

    そしてちょっと納得いかなかったのは美織の行動。
    なぜ二人も産んでしまった?
    憎んでいたわけではなかった我が子を放置できる?
    そしてなぜヒーローだった彼を置き去りに?
    そう言ってしまうとこの物語自体が始まらないんだけれども。

  • 近頃、ネグレクト、幼児虐待を扱った小説が非常に多くて読んでいて憂鬱な気持ちになります。世の中そういう人が増えたというより、昔は表面に現れていなかった問題が表面に出てきていると思っています。
    これもネグレクトが二つ出てくるのですが、それが過去、現在で繋がっています。しかし連鎖では無いんですよね。絡み合っているという感じでしょうか。

    血のつながらない兄弟が一人のクズ男と一緒に賽銭泥棒や万引きなどで糊口をしのいで
    いるのですが、これも一般的にはネグレクトなんだけれど、三人が三人を気遣って生きているのがひしひしと感じられて胸が痛いです。
    世間的にクズなのに子供への愛情は間違いなくある男、世間的には名士で金もあるのに愛情より世間体を取る親。色々な事を考えさせられますが、一番可哀そうなのは放置された子供。どう転んでも許されないからな。と新米おじいちゃんは憤りながら読みました。

  • 軽く読めるかと思ったら
    虐待の連鎖で、子供が不憫でずっと暗い
    こういうの読むと
    どんな親や家に生まれたかで、人生決まってしまうのかなと思ってしまう

  • 虐待の連鎖は辛い。

  • 相変わらず降田天氏達の物語は綺麗なんだけど、これに関してはもっとドロドロした所を描いて欲しかった。
    関係性は解るんだけど、個人的なそれぞれの思考っていうか動機っていうか。

    システム的には二部構成で良かったんだけど、様式美に行ってるのが何とも勿体無いな。

  • プロットが複雑だけど語り口が上手いので混乱せず読める。面白かったけど、いかんせん話が暗すぎる

  • そういう気分じゃなかっただけ。
    少年犯罪とか養護施設とか
    生き別れた兄弟とかに
    今は興味なくて、
    10ページほどでやめた。

  • この女の子は性的虐待受けていたとはいえ、
    兄を殺そうとするし
    友達も殺したし(死ななかったけど本人は殺したと思っていた)
    こどもふたりを殺し(本当は1人だけど)

    どんな理由であってもやりすぎや。
    同情できない。

    その息子も鳥を殺そうとした。

    この子どもことはキチンと治療しないと
    将来、ふとした瞬間で
    母親のようになってしまうような気がする。
    怖い。
    ってこれが差別なのか。
    私も怖いやつなのかも。

    こどもが被害になる話は読むのがつらいな。

  • 話は面白かったけど烏丸の口調がどうも気になった。女の刑事さんだよね?と何度も違和感。そしてスティックシュガーなんかで事故なんて起きる?とこちらも違和感を感じていたらやはりそういうことでした。真昼の父親は誰?

  • 「偽りの春」が面白かったので、同じ著者の二冊目として読了。全体的に暗い作品で、狩野雷太も登場するものの、「偽りの春」ほどの面白さを感じることはありませんでした。

  • アサヒとユウヒの狂言誘拐から始まる物語だけど、思ったよりも深すぎる話だった…。
    第一部と第二部で内容がガラリと変わるというか、児童養護施設を助けるための狂言誘拐が一転、育児放棄致死事件に発展。読み始めの印象よりもかなり重い作品でした。

  • 8年の時を経て浮かび上がる罪と秘密。
    重なるはずのなかった三本の線。兄弟と兄妹。いくつも走る亀裂。絡まり合い、そして途切れた糸。それをほぐしてつないだ一人の刑事。

    外から見るとそれは不幸しかない人生。「かわいそう」しか見えないけれど、そこに幸せのカケラはなかったのか。見つけたいと思いながら読む。どこかに光よあれ、と祈るように読む。

    狂言誘拐、ネグレクト。流れた血が隠そうとしたもの。許したのは誰。許されたかったのは誰。そして、許せなかったのは、誰。
    予想もしなかった罪と秘密。なぜ、という言葉がうつろに響く。

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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