五つの季節に探偵は

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 342
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111680

作品紹介・あらすじ

人の心の奥底を覗き見たい。暴かずにはいられない。わたしは、そんな厄介な性質を抱えている。

高校二年生の榊原みどりは、同級生から「担任の弱みを握ってほしい」と依頼される。担任を尾行したみどりはやがて、隠された“人の本性”を見ることに喜びを覚え――。(「イミテーション・ガールズ」)
探偵事務所に就職したみどりは、旅先である女性から〈指揮者〉と〈ピアノ売り〉の逸話を聞かされる。そこに贖罪の意識を感じ取ったみどりは、彼女の話に含まれた秘密に気づいてしまい――。(「スケーターズ・ワルツ」)

精緻なミステリ×重厚な人間ドラマ。じんわりほろ苦い連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 本格探偵推理小説ですね。
    「星空の16進数」の私立探偵みどりの五話の成長物語。
    高校時代に初めて探偵の真似事を経験。
    この頃から真相の究明に必要以上の好奇心に駆られることに気付く。
    二話の大学時代にも友達から真相の究明を頼まれるのを切っ掛けに乗り出すが、解決が人を傷付ける事になっても、謎解きの解明に躍起に成ることに気付く。
    殺人事件の話はありませんが、探偵に夢中になって危ない目にあったり、無茶な捜査にのめり込み性格が顔を出す。
    探偵のジレンマをテーマにしているように思える作品です。
    読みやすい作家さんなのですが、あまり後味が良くないかな。

  • ❇︎
    逸木裕さんの小説、2冊目を読了。

    イミテーション・ガールズ 2002年 春
    龍の残り香 2007年 夏
    解錠の音が 2009年 秋
    スケーターズ・ワルツ 2012年 冬
    ゴーストの雫 2018年 春

    一人の人間の年を経ても変わらない本性と、
    様々な経験を積むことで得る成長と変化の物語。

    人の隠された謎を暴くことに魅せられたみどり。

    例え、相手が不幸になるとしても、
    謎を暴くことがやめられない。

    それはまるで、流行り熱のようでもあるし、
    これまで気づかなかったみどりという人間の
    秘めた本性だったのかもしれない。

    人の謎を暴く、という行為への執着に共感は
    出来ませんでしたが、
    その衝動を止められない、と言い放つみどりの
    自分勝手さに嫌悪感を感じつつも、
    何かを失っても手放せないぐらいに
    夢中になるとは一体はなんだろう
    と考えさせられました。

    表紙のデジカメは人生の友か戦利品か、
    もしくは自分への戒めか。

  • 【収録作品】イミテーション・ガールズ/龍の残り香/解錠の音が/スケーターズ・ワルツ/ゴーストの雫

    探偵の娘・榊原みどりが他人の隠している本性を知りたいという欲求に目覚め、探偵として生きていく連作。
    「イミテーション・ガールズ」みどり、高2。同級生から「教師の弱みをにぎってほしい」と依頼され、不本意ながら行動するうちに、内なる欲求に気づく。
    「龍の残り香」みどり、京大の2年生。友人の依頼で香道の先生を調べる。
    「解錠の音が」みどり、卒業して父親の探偵事務所に勤める。元カノがストーカーになったという依頼。
    「スケーターズ・ワルツ」軽井沢で休暇を楽しむみどり。偶然入ったドイツ料理の店で、ピアノを弾いていた土屋尚子と知り合う。話を聞いて推理する。
    「ゴーストの雫」森田みどりとなり、産休明けで探偵にもどる。新人の須見要と組んで、エアドロップを使ったリベンジポルノの調査にあたる。

    みどりの危うさが魅力でもあり、怖さでもあり。欲望に忠実だが、さて、出産したみどりは変わったのか。

  • 父親が探偵のみどり。高校、大学、父親の会社に就職、そして探偵になり、課長になり。「人の本性を見たい」という欲求はいつまでも変わらないけど、だんだん大人の振る舞いにはなってるんだなーと。
    「龍の残り香」と「解錠の音が」が良かった。

  • 榊原みどりは、探偵の父親の影響で、高校生の頃から探偵をはじめ、大学時代、社会人と、各章、探偵調査に関わる人間関係が語られる。
    調査内容、結果ともに探偵業らしく、興味深く読んだ。
    最後の話の語り手は新人探偵で、みどりは育休明けだった。
    一冊の中で、みどりが、高校生、大学生、社会人から主婦へと成長して、面白かった。
    みどりの恋愛については何も語られてないので、そこの部分が気になる。

  • 父が探偵であり、自身も学生時代から探偵の真似事を始めた榊原みどりを中心に起こる5つの出来事を描く短編集。章ごとにみどりが成長していくのも面白い。依頼人を傷付けることになると分かっていても、人間の奥底を暴かずにはいられないみどりを見て「紅蓮館の殺人」の葛城を思い出した。最後は希望の見える終わり方でよかった。

  • 他作品で登場する女探偵が如何なる軌跡を描いて現在に到達するかを時代を追って描かれている。

    女探偵といえば、葉村晶。こちらはみどりさん。どちらもグリーンなイメージでいて、貪欲でタフで安全装置がどこかぶっ壊れている人物描写。どちらも好ましい。

  • 一人の探偵の人生をなぞる短編集。人を壊しかねない真実を暴いてしまう自分の性質が嫌だけどやめられないというジレンマが面白かった。探偵小説では探偵は称賛されるのに、彼女は批難される場面が多かったかな。
    サクサク読めて面白かったけど、なにかがすごく抜きん出てたとは思わなかったので星3。

  • 「わたしはね、〈人間〉を見るのが好きなんだよ」
    他人が被った皮を剥いで、その奥にいる〈人間〉を探らずにおれない榊原みどり。

    高校2年、初めて探偵業の昏い楽しさに目覚めた「イミテーション・ガールズ」
    大学時代、人間の隠していたものを暴き、友を失った「龍の残り香」
    父の経営する調査会社に就職後、危ない好奇心を抑えられない「解錠の音が」
    語られる物語に叙述の罠を見抜いた「スケーターズ・ワルツ」
    結婚し、子供も産んで、女性探偵課課長になって後継者を育てる「ゴーストの雫」

    みどりの16年に亘る探偵としての足取りを描く5つの連作短編は、ただのコージーな謎解きにとどまらず、〈人間〉の昏く歪んだ部分を抉り出す。

    みどり自身が持つ、人間の昏い部分への好奇心がなせる技で、全体を包む重苦しい印象はクセになりそう。
    続編を読んでみたい気もするけど、時代の流れが早すぎるから、これはこれで完結なのかな〜

  • スケーターズワルツが頭から離れない。探偵を始めるきっかけの話が一番嫌かも。調査会社としての探偵って、喜々として謎解きをするのと違って人の嫌なとこいっぱい見るんだろう。

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著者プロフィール

1980年東京都生まれ。学習院大学法学部卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、「虹になるのを待て」で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞。同年、『虹を待つ彼女』と改題しデビュー。その後は青春ミステリを軸に精力的に作品を発表する。著書に『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『電気じかけのクジラは歌う』『銀色の国』『空想クラブ』『五つの季節に探偵は』がある。2022年、「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。

「2022年 『風を彩る怪物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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