かぞえきれない星の、その次の星

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感想 : 79
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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111741

作品紹介・あらすじ

さみしさは消えない。でも、希望は、ある

かぞえきれないものを、ときどき見たほうがいい。
ぼくたちは皆、また間違えてしまうかもしれないから――


感染症がひろがり休校になってしまった春、子どもたちのためにこいのぼりが企んだのは……。 「こいのぼりのナイショの仕事」「こいのぼりのサイショの仕事」
大切で大好きな相手であればあるほどいまは会えない。父と娘は、画面越しで会話する。 「天の川の両岸」
ミックスルーツのリナはお母さんと二人暮らし。「日本人らしい」っていったい何だろう――。 「コスモス」


「星のかけらには、さみしさが埋まってる」
夜空にちりばめた、11の小さな星たちの物語

「誰かに会いたいと思ってるとき、ほんとうはもう会えてるのかもしれないな」


収録作品:こいのぼりのナイショの仕事/ともしび/天の川の両岸/送り火のあとで/コスモス/原っぱに汽車が停まる夜/かえる神社の年越し/花一輪/ウメさんの初恋/こいのぼりのサイショの仕事/かぞえきれない星の、その次の星
雑誌「小説 野性時代」掲載作に書き下ろしを加えた、全11篇


【著者コメント】
現実にはありえない話だけど、
2021年を生きる10代の自分に届けたくて、
この本を書きました。
 ――重松 清

感想・レビュー・書評

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  • よかった~。。。
    なんだか重松清さんの集大成のような作品。

    11からなる短編集。
    いろいろなさみしさをもった人々をいろいろな角度から優しく語るような物語たち。

    桃太郎の話は少しテイストが違っていたけれど、これも重松清さん。
    そして、これはあとがきか解説が欲しいなぁ と思いながら読んだ最後の「かぞえきれない星の、その次の星」を読んで納得。
    見事に一冊の本に仕上がっている。

    大切な一冊です。。

    メモ
    さみさしさは消えない。でも希望は、ある。

    誰かと会いたいと思っているとき、ほんとうはもう会えているのかもしれない。

    こいのぼりのナイショの仕事/ともしび/天の川の両岸/送り火のあとで/コスモス/原っぱに汽車が停まる夜/かえる神社の年越し/花一輪/ウメさんの初恋/こいのぼりのサイショの仕事/かぞえきれない星の、その次の星

  • この本を読んでコロナ禍を思い出しました。今、2024年を終わろうとしています。いまは誰がマスクしていてだれがマスクをしていないとかは関係なくなってきましたね。でも、2021年、コロナが流行した時は学校はリモートになり外出を控えていました。そんな時代に光る11この短編集です。
    特に好きな話はコスモスです。コスモスはブラジル人の母と暮らす、ミックスルーツのリナの話です。リナは日本人です。しかし、日本人とは少し違うと差別的に扱われるのです。もちろんみんなに悪気は無いのですがリナは、どこか傷ついています。そんなリナの日常がリナ目線で語られています。やっぱり少し違うと特別に見えてしまいます。でも、相手の気持ちになってみて嫌だと感じそうだったら言わないのが一番かなと思います。みんなが幸せになれるような世界になれればなと、思います。

  • 11の短編集。
    未知のウイルスにより休校になった子どもたち。
    妻と娘に画面越しでしか会えない家族。
    亡くなった母に会いたい娘。
    ミックスルーツの母を持つ娘。
    不登校やいじめ、病気を抱える子どもたち、など。
    様々なさみしさを抱えた人たちの物語。

    さみしい。だけど、あたたかい。
    こいのぼりや置き物のかえるの目線、生と死の狭間の世界など、ファンタジックな設定や子どもに語るようなやさしい口調で、読んでいて安心感があった。

    やさしくふわふわとした輪郭だったのが、最終話でくっきり明らかになる。「かぞえきれない星の、その次の星」に出てくるおじさん。きっと、重松さん自身でもあるんだろうな。
    令和2年。作家としてできることを考え続けていたんじゃないのかな。それが、いろんなさみしさがあるなかで、希望はあるんだって、小説を通して伝えること、だったのかなって。

    さみしさは消えないけど、希望を見つけることはできるよって、やさしく勇気づけてくれた。
    未知のウイルスと戦い続けている今、この本に出会えてよかった。

    • hiromida2さん
      ひろさん٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱
      素敵なレビューありがとうございます♪
      レビューを通して、ひろさんと重松さんの
      優しさが伝わってきました。
      ひろさん٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱
      素敵なレビューありがとうございます♪
      レビューを通して、ひろさんと重松さんの
      優しさが伝わってきました。
      2022/07/15
    • ひろさん
      hiromiさん(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
      コメントありがとうございます!嬉しいです♪
      現代の社会問題である、コロナやいじめ、不登校、人種差別など...
      hiromiさん(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
      コメントありがとうございます!嬉しいです♪
      現代の社会問題である、コロナやいじめ、不登校、人種差別など、内容は軽くないはずなのに、その言葉自体を使わずに描かれていて、優しく希望を感じさせてくれるようなお話でした。
      大人も楽しめますが、小学生くらいの子にも読んでもらいたい作品だなぁと思いました。
      2022/07/15
  •  暫くぶりで重松氏の本を読むも、何か今までの感覚とは違う…物足りなさのようなものを感じてしまった。感染症の世の中の様子、いじめ、育児など淡々とながれる日常を描いているのだが、今一つ読み手の私に触れてこなかったのだ。私自身の感性の問題であるのだが…。またいつか読み返してみようと思う。

     しかしながら、『花一輪』は他の編とは少し違った話で、鬼退治の桃太郎の話である。一文に

     『鬼の本性を露わにしなかった者は誰一人としていなかった。きびだんごとは、もともと「きみだんご」だったのが転じた名前だった。きみー鬼見。人間がふだんは隠している鬼の本性を見せる菓子、それがきびだんごなのである。』と。また、
     『自分の中に鬼がいることすら気づいていない人は、たくさんいるのだ。』とも。

     私もこの「きびだんご」を食べた時、自分では気づいていないどんな鬼の本性が現れるだろうか。怖くも自分の鬼の部分を知りたいとも思いました。

  • 久しぶりにまた読みました。
    私は淡い感じが好きなので、どの短編も自分の好みでした。
    誰かと向き合っているとき、自分の弱さとも向き合えやすいのかなと思いました。

  • コロナ禍のとても窮屈な事だったり、いじめだったり、自分はどうかなと思い直したり、いろいろな人の心を描いた話が多かったけどいまいち入り込めませんでした。

  • ファンタジーです。特に鯉のぼりの話なんかは、絵本として読みたいですね。

  • 重松清さんの短編集。
    短編なのに泣かせてくるのが、本当にすごい。
    簡単に泣かされるわたしですが。


    「とあるウィルス」が出てくるお話は、
    ちょっと、まだ、読むのがしんどい。

    桃太郎のお話が皮肉たっぷりでよかったです。

  • 久々の重松作品は、星をテーマにした11の短編集。コロナ禍である今、自分を重ねて読めるのは重松さんならではの優しい言葉の綴りだと思う。
    「原っぱに汽車が停まる夜」「送り火のあとで」「かぞえきれない星の、その次の星」が特に印象的。

    どうしようもない寂しさは消せないけど、希望満ち溢れている。
    寂しさを埋めるのに、時間は必要だけどその中でふと側にいてくれているように感じ出す時がある。
    寂しさを感じる時会いたいと思う時には、もうその相手に会えている・・・と言う感覚が持てたらいいなぁと思う。

  • ブクログの皆さんの本棚を見ていて、一番読んでみたかったのが重松清さんでした。
    やっと新刊が手に入った!初めて読める!
    (でも今しらべたら『木曜日の子ども』を読んでいました。)

    一昨日読んだ本のせいで、その後怖い夢を見ました。
    小中学生には読ませられないなぁ。
    でもこの『かぞえきれない星の、その次の星』は
    どれも心温まる良いお話で、小中学生の皆さんにも読んでほしいと思いました。
    あ、桃太郎の話だけはちょっと悪いかも。
    でも世の中良い人ばかりと信じるのもそれはそれで危険だから、一つぐらいそういう話があるのも良いでしょう。

    さて私には一人だけ、どうしても会いたい人がいます。
    思い出さない日はありません。心痛めています。
    その辺を解決する術も読書に求めていて、今までで一番慰められたのは小川糸『ツバキ文具店』『針と糸』の
    〈なくしたものを嘆くのではなく、
    今、手のひらに残っているものを、
    大事にして生きていこう〉でした。

    重松清さんは、というかプロの嘘つきのおじさんは、
    「誰かに会いたいと思っているとき、ほんとうはもう会えているのかもしれないな」と言いました。
    それでは解決にならないですよー。

    でも、もしかしたら解決するときがくるかもしれない。
    久しく夜空の星を見ていなかったのです。
    これから毎日見てみようと思いました。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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