ブランド

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041112502

作品紹介・あらすじ

一流ブランドには
物語がある


『悪人』『怒り』『国宝』――
数多の賞を受賞し、世界的にも注目を集める著者が、芥川賞受賞から20年にわたり広告で描いてきた、単行本未収録の贅沢な作品集。
エプソン、エルメス、大塚製薬、サントリー、JCB、ティファニー、日産、パナソニック……
錚々たる企業の依頼で描いてきた小説、紀行、エッセイを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 好きな話もあるにはあったが、ブランドコンセプトの過去作を寄せ集めして作った感は拭えず。
    小説、紀行、エッセイと切り口がバラバラなのも、気になった。
    とはいえ、吉田修一さんの文章の巧さは十分感じることはできる。

  • ハイブランドや企業からオーダーを受けて、広報のために書いた小説やエッセイを集めた作品集。といっても、題名の「ブランド」とは関連のない紀行文も含まれていたりして、統一感にはやや欠ける印象。

    著者は重厚な長編小説も書いている作家だが、本書はほぼ上記の条件で書いた作品たちなのであくまで軽やかでお洒落。著者がいい人なのも伝わってくる。

    けれど読んでいて、若い頃によく新聞に載っていた、今は亡き森瑤子のデパートの広告小説を思い出してしまった。森瑤子ももっと深い小説も書いた人だと思うが、そのバブル期の広告小説は、若者から見てもあまりに虚しかった。

  • 吉田修一さんの書く物語は、花を見てきれいだなと思う感覚と同じ。

    物語はあくまでヤマとなる情景を描くための助走で。
    感動したな、というより、きれいだな、と思わせてくれる小説が好きなんだなと、潜在意識を掘り出してくれた。



    そしてそして。

    ワタシは自分の直感を大いに信じている。
    そして、この本を読んで、この直感はなかなか確かなものじゃないかと自信をつけることになった。


    私は「この場所好きだな」と思ったら、その場所に足しげく通う。
    そしてある日、好きな作家さんの本を読んでいると、その作家さんの行きつけとして私が行く場所が紹介されている。

    そんなことが人生で1度や2度じゃなくある。
    この本でもその経験がまたひとつ。

  • 修一先生の大変贅沢で貴重な一冊。
    始めは掌編集かと思ったけれど読み進めてゆくうち紀行文あり、エッセイありのまさしく題のブランドの名に相応しい多種多様な商品やら企業に提供されている小品だとわかる。
    ファンにとっては贅沢過ぎるし、ありがたい。
    贅沢ついでに一言申し上げれば、長崎ネタももっと盛り込んでいただければ~。
    修一先生の原点は都会よりも乱楽坂だと私は思っているので。

  • 好き
    ・日常前夜 p.115

    東京のBARに行きたい
    ・THE BAR

    ・インタビュー 一流たる由縁

    エッセイって、作者の人となりがわかるからいいよね、
    もちろん、作品で 人となりを想像するのも楽しいんだけど、

    吉田修一さん、素敵な方だなぁ、 小説も読も!って思いました。
    あとは、企業で働いてる友人が思い浮かばれ、勧めたい1冊となりました。

  • 本の最後に書かれた編集者の方?との対談の文章に出てきた、ジェンダーに対してフラットという言葉が印象に残った。20代の頃、吉田修一さんの本を初めて読んだのは、悪人で、吉田さんの本はその当時出てたものは、ほとんど全部読んだと思う。ジェンダーに対してフラットという表現を初めて見たと思うが、自分もそうだったんだろうなと腑に落ちたのが、とても収穫だった。そういう理由でも、吉田さんの作品に引き込まれていたんだなと。

  • 酒の肴にしたい本だった。

  • 企業からの依頼を受けて書かれた「タイアップ文章」が集められた本。
    パナソニックの家電がわざとらしく登場する話はなんだか笑えた。ささっと読めるような短編だから、このくらいのわかりやすさにしたのかな。
    アジアの紀行文はとってもフラットな文章で、すごく静かだった。
    長崎や台湾について書かれたエッセイはリラックス感が出ていて、吉田さんは地元と台湾が好きなんだな、とわかる。

    すぐに読み終えてしまうタイアップ短編たちと、静かな紀行文、好きな場所について書かれたエッセイ。
    色んな表情の文章だった。

  • ブランドのためにつづった吉田修一のショート。一定のブランドというタガだけで組んだストーリーで、さらっと、抑揚の最低限の起承転結で構成されている。若い頃NYで出逢った若いダンサーの話など、創造なんだろうけど(実話ではないんだろうけど)、すごくサラリとしている。世田谷の家の話は、きっと所謂、夫婦の会話っぽい。世田谷に家を買った時の、なんとなく不思議な縁みたいなものも、また星の巡り的な、そこまで大それたものではないけれど、一つの運命と読んでもいい、肯定感がそこにはある。
    作家という仕事だからといって、特別なものではない。コラムの中でエスプレッソを飲む時間がとても大切におもててくる。何も考えない時間というか、何を考えてもいいこんな時間が、とても贅沢に思えると。
    公園と白ワイン、これも最高の取り合せ。アメリカでは公園でお酒を出すことは違法だ。いろんな国があって、酒もタバコも、自由にできる国もあれば、道でタバコを吸ってポイ捨てしたらむち打ちの刑のシンガポールもある。日本の目から見た、ブランド、これでは全くもって世界と戦うことはできず、またその意識で海外にいって勝てる可能性はない。きっと、これはサントリーだなとか、パナだな、不動産会社だな、ということが透けて見えるけれど、ショートとして楽しむということだけでもいい。ロングフライトの中で、お酒を飲みながら、ショートはいい。

  • いろいろな企業とのコラボで雑誌などに寄せたコラムをまとめた短編集。
    いつもとは違う側面を見て楽しむという見方もできるのだろうけれど、吉田さんの読んでいて引き込まれる長編が好きだから物足りなく感じました。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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