ブランド

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 284
感想 : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041112502

作品紹介・あらすじ

一流ブランドには
物語がある


『悪人』『怒り』『国宝』――
数多の賞を受賞し、世界的にも注目を集める著者が、芥川賞受賞から20年にわたり広告で描いてきた、単行本未収録の贅沢な作品集。
エプソン、エルメス、大塚製薬、サントリー、JCB、ティファニー、日産、パナソニック……
錚々たる企業の依頼で描いてきた小説、紀行、エッセイを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 吉田修一さんの書く物語は、花を見てきれいだなと思う感覚と同じ。

    物語はあくまでヤマとなる情景を描くための助走で。
    感動したな、というより、きれいだな、と思わせてくれる小説が好きなんだなと、潜在意識を掘り出してくれた。



    そしてそして。

    ワタシは自分の直感を大いに信じている。
    そして、この本を読んで、この直感はなかなか確かなものじゃないかと自信をつけることになった。


    私は「この場所好きだな」と思ったら、その場所に足しげく通う。
    そしてある日、好きな作家さんの本を読んでいると、その作家さんの行きつけとして私が行く場所が紹介されている。

    そんなことが人生で1度や2度じゃなくある。
    この本でもその経験がまたひとつ。

  • 酒の肴にしたい本だった。

  • 企業からの依頼を受けて書かれた「タイアップ文章」が集められた本。
    パナソニックの家電がわざとらしく登場する話はなんだか笑えた。ささっと読めるような短編だから、このくらいのわかりやすさにしたのかな。
    アジアの紀行文はとってもフラットな文章で、すごく静かだった。
    長崎や台湾について書かれたエッセイはリラックス感が出ていて、吉田さんは地元と台湾が好きなんだな、とわかる。

    すぐに読み終えてしまうタイアップ短編たちと、静かな紀行文、好きな場所について書かれたエッセイ。
    色んな表情の文章だった。

  • ブランドのためにつづった吉田修一のショート。一定のブランドというタガだけで組んだストーリーで、さらっと、抑揚の最低限の起承転結で構成されている。若い頃NYで出逢った若いダンサーの話など、創造なんだろうけど(実話ではないんだろうけど)、すごくサラリとしている。世田谷の家の話は、きっと所謂、夫婦の会話っぽい。世田谷に家を買った時の、なんとなく不思議な縁みたいなものも、また星の巡り的な、そこまで大それたものではないけれど、一つの運命と読んでもいい、肯定感がそこにはある。
    作家という仕事だからといって、特別なものではない。コラムの中でエスプレッソを飲む時間がとても大切におもててくる。何も考えない時間というか、何を考えてもいいこんな時間が、とても贅沢に思えると。
    公園と白ワイン、これも最高の取り合せ。アメリカでは公園でお酒を出すことは違法だ。いろんな国があって、酒もタバコも、自由にできる国もあれば、道でタバコを吸ってポイ捨てしたらむち打ちの刑のシンガポールもある。日本の目から見た、ブランド、これでは全くもって世界と戦うことはできず、またその意識で海外にいって勝てる可能性はない。きっと、これはサントリーだなとか、パナだな、不動産会社だな、ということが透けて見えるけれど、ショートとして楽しむということだけでもいい。ロングフライトの中で、お酒を飲みながら、ショートはいい。

  • いろいろな企業とのコラボで雑誌などに寄せたコラムをまとめた短編集。
    いつもとは違う側面を見て楽しむという見方もできるのだろうけれど、吉田さんの読んでいて引き込まれる長編が好きだから物足りなく感じました。

  • いろいろな広告の短編。時々読む機会はありましたが、こんなにたくさん書いているんですね。
    いつもの読み応えある長編はもちろん面白くて、読み終えた達成感が心地よいものですが。
    こちらは超短編なのでカフェでゆったりしたい時にちょうどいい軽い物語ばかり。
    長編の上手い作家は短編も上手いんだなぁと思いました。
    そして最後のいろいろなBARは、どれも行ってみたくなりました。
    テンポ良く気軽に読める、短編の良さを感じる一冊です。

  • 3.0 吉田修一の感覚、文体が好き。生活の断片の切り取り方も。エッセイでも、小説でも同じだなと思う。しんどくても生きていこうと思える。

  • 短編集化と思いきやエッセイや雑文ありで、読み続けられず中断。再度手に取ることはないかな。

  • メインディッシュではなく、すべて前菜(笑)
    吉田修一前菜集とは、いいえて妙(^^)

    代表作といえば、悪人がまず浮かびますが、本書はブランドに関連したオファーで執筆した短編集、頁をめくる手が軽快にリズムよく♪

    決して、メインディッシュではないんですが、普段とは違う、遊びがきいた作品が多く、感嘆、微笑、うっすら泪……

    前菜でも十分にお腹一杯p(^-^)q

  • 飽きない長さ、とても読みやすい。
    読後感が悪い気持ちにならない安心感。
    軽やかな空気感を感じたい時におすすめな一冊。

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著者プロフィール

一九六八年、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。一九九七年『最後の息子』で文學界新人賞を受賞し、デビュー。二〇〇二年『パーク・ライフ』で芥
川賞を受賞。二〇〇七年『悪人』で毎日出版文化賞。ほか、『パレード』『横道世之介』『さよなら渓谷』『平成猿蟹合戦図』『路』『怒り』『森は知っている』『犯罪小説集』など著書多数。ANAグループ機内誌『翼の王国』での短編小説とエッセイをまとめた書籍に『あの空の下で』『空の冒険』『作家と一日』(木楽舎)がある

「2017年 『最後に手にしたいもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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