木曜日の子ども (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1177
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041113073

作品紹介・あらすじ

7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。結婚を機にその地に移った私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との関係をうまく築けずにいた。晴彦は、犯人の上田祐太郎の面影があるらしい。上田が社会に復帰したこの夏、ある噂が流れる――世界の終わりを見せるため、ウエダサマが降臨した。やがて近所で飼い犬の変死、学校への脅迫が相次ぎ、私と晴彦の距離は縮まらないまま、再び「事件」が起きる。

感想・レビュー・書評

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  • 少年による無差別殺人がテーマとなっているだけに、重たくて、色々なことを考えさせられる小説だった。
    まだ未熟な子どもに宿った狂気は、いとも簡単に暴走する。それに気づいたとき、私たち大人に出来ることは何だろう。一番近くにいるはずの親は、何をしてやれるだろう。
    親子や夫婦、家族の形には正解がなく、答えを見つけるのは難しい。一緒に重ねる時間の中で、皆どこかでもがき苦しみながら、それを掴み取っていくのかも知れないなと思った。

  • 家族などごく身近な者の心の奥底も計り知れないのに、ましてや犯罪者の心理をわかろうとする方が無理、大人は子どもを理解したような気でいる、等々、はっとさせられた。このような事件、起きたらとんでもないが、全くありえない話でもない。前半は不幸がひたひたと忍び寄る感じ、後半は対決姿勢のハラハラした感じに変調する。ドラマ化すると父親役はだれがふさわしいだろう。そういえば人物描写があまりない。私は父親をふくよかなイメージで捉えた。

  • 重松清さんの作品は三作品め!
    映画化される『とんび』が良き昭和良き家族の物語であったのが懐かしい・・・

    本作品は『とんび』と比べると真逆の方向に振られた家族の物語!

    バツイチで連れ子ありの女性と職場結婚する事になった主人公の清水は連れ子の晴彦(14歳)の良き父親であろうとする事に努力しようとするハートフルな物語と思いきや・・・

    7年前に給食に毒物を混入させ、同級生9人の命を奪った上田祐太郎が、かつて住んでいた街を舞台に少しずつ得体の知れない何かが動き出す・・・


    癒しを求めている時、仕事に疲れている時に読むのはオススメしません。
    間違いなく、物語と現実の距離感が読み手の気持ちを不安にさせます。

  • 再婚相手の中二の息子と、過去に中学二年生が同級生を無差別に毒殺した事件があった地域に引っ越してきた男性。事件の犯人が出所し、子供達の間で神格化されていることと、息子が少なからず影響を受けていることを感じ、恐怖感を覚える前半。何を考えているかわからない多感な若者の中にある無邪気で深い闇をゾワゾワと感じて、本当に怖かった。後半の犯人との絡みは、中二病を拗らせて宗教的な自己思想に陶酔した痛い奴がマインドコントロールを頑張ってるみたいな印象だな。最後にどう論破するかを期待して読み進め、なるほど、そこに落とすかと。お父さん頑張った。

  • 主人公は42歳の私。妻の香奈恵は再婚で、連れ子の14歳の中学生晴彦との3人家族。
    引っ越してきた地区は、7年前、中学校で無差別毒殺事件が起きた旭ヶ丘。晴彦が、無差別殺人の犯人の面影があることから、物語は不穏な方向へと動き出し、不気味な事件が続いて起きる。
    読者に、ヒリヒリするような緊迫感を抱かせる小説。
    ある登場人物が語る。
    「だって、戦争もそうでしょ?最初は領土の争いとかメンツがどうしたとかで始まって、最後は国が滅びちゃったりするわけじゃないですか。核兵器使ったら、世界まで滅びるわけでしょ?世界が滅びる『ついで』や『おまけ』で、誰かが巻き添えをくって殺されちゃうわけじゃなくて、誰かが滅びる『ついで』や『おまけ』で・・・世界まで一緒に、バーン・・・」に、ロシアとプーチンを連想してしまった。

  • 前半グイグイ惹き込まれた。
    連れ子との微妙な関係、移住地で過去にあった事件、思春期の心理描写。
    後半、犯人の厨二病感が私には合わず、犯人に魅入られる大人が出てから読むのが辛かった。犯罪者を神格化。まさに思春期の揺れ動く不安定な時期にありがちだけど。周りの大人が無能すぎないか…
    母親どこいった…??

  • 重松清さんの本は何冊か読んだことがあるけど、ヒューマンドラマみたいなのが多くてこういうミステリーみたいなのは初めて読んだと思う。少し奇妙で不気味さがあって次が読みたくなる。木曜日の子供の歌があることを改めて知って展開に最後までドキドキした。新鮮でなかなか面白いと思った。

  • 『お母さんを悲しませたら殺しますよ。』
    コロシマスヨ。とてもゾッとした。

    血縁関係があろうがなかろうが、親と子に信頼関係を結ぶことは非常に困難だ。
    全力で本音が言える人間関係なんてあるのか。
    私はないと思う。
    家庭や職場であったり恋人、友人その関係性によって差はあるが、100%で相対することはできない。

    他者の心境などわからない。

    だから、努力する。

    97年に起きた神戸連続児童殺傷事件を彷彿とさせる作品でした。

  • 少年による無差別毒殺事件『木曜日の子ども』事件を中心に、翻弄される家族の話。
    人間は弱いから、不完全なものに惹かれるのかなぁと考えたりした。
    1日を無事に終えた兵士は逆に安心して眠ることができない。静かで、清潔で、絵に描いたように幸せな街に暮らしても、どこか不気味さを感じる。
    私たちは完全なものを手にしても、それが失われる恐怖に常に迫られる。
    だからこそ私たちは、その恐怖が現実になる確率を下げて、不完全なものにすがって、「自分は大丈夫」と思いたいのかもしれない。

    重松清さんの作品はもともと大好きで読んでいたけど、この作品はいつものような、リアルでどこか温かい親子の物語にとどまらない。ミステリーの要素が掛け合わされた良作だと思ったから、(このアプリ上でしかないけど)評価が意外と低くてびっくりした。

    確かにラスト、というか犯人の言いたかったことは明確に書かれていなくて回りくどく感じる読者も多いかもしれない。
    でもこれこそが作者の伝えたいことでもあるように思う。
    人はみんなわからないものに対して不安を抱き、どうにか理解しようとする。意味づけをしたり意図を知ること、あるいは「狂気」とラベルをつけることで安心したがる。でもそれは自己満足であって、決して本当の意味の理解ではない。そういうことではないだろうか。
    読んでよかった作品。

  • 先が気になって一気に読み切ってしまいましたが、ラストがいまいち、、
    晴彦や高木ののように終わりの世界を見た事ないからなのか、清水のようにわかるのが怖い人間だからなのか、共感できるところはなく、『ウエダサマ』が登場したあたりから置いてけぼり感があります。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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