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- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041113080
感想・レビュー・書評
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普通選挙が始まりはしたものの、
その成果の効果も実感をもってまだ感じられていないような
漁村での先生と12人の生徒の話。
小学校の話が前提としてあり、
その話があるからこそ、戦争後の回想シーンがより感慨深い。
初めて受け持った12人の生徒のそれぞれの人生が先生の回想と共に描かれている。
ある者は母の死によって小学校に来ることはもちろん、
扶養家族として養われることも出来ずに親戚に出されたり
家族のその日の暮らしのために売りに出されたりと
戦争に起因する貧困を訴えている。
戦争による不幸でその際たるものは人の死であって
12人の生徒のうち、ほとんどの男子生徒は戦死する。
生き残った男子も失明していたりと戦後も続く不幸が悲しい。
直接戦争や空襲といったシーンは描写されていないが、
先生の回想や思い出話で出る戦争のシーンが
間接的ながら直接の描写より生々しく悲しさが増す。
先生の家族で、「戦争は六人の家族を三人にしてしまった」という文が
戦争の悲惨さを力強く語っているように感じた。
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