二十四の瞳 (角川文庫)

著者 :
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感想 : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041113110

作品紹介・あらすじ

昭和のはじめ、瀬戸内海べりの一寒村の小学校に赴任したばかりの大石先生と、個性豊かな12人の教え子たちによる、人情味あふれる物語。分教場でのふれあいを通じて絆を深めていった新米教師と子どもたちだったが、戦争の渦に巻き込まれながら、彼らの運命は大きく変えられてしまう…。戦争がもたらす不幸と悲劇、そして貧しい者がいつも虐げられることに対する厳しい怒りを訴えた不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだことなかった名作。
    戦時中の人々の本音が見え隠れするようだった。
    戦争下に生まれ育った幼い大吉の、当然のような「戦死=栄誉、羨望」という思考に、人間が教育や環境によっていかようにもなってしまう怖さを感じた。

  • 瀬戸内の岬にある分教場に赴任してきた大石先生と、個性豊かな12人の教え子たちの賑やかな学校生活と、やがて戦争に巻き込まれ散り散りになってしまうそれぞれの運命を追いかけた不朽の名作。

    私もこういう小説を読むようになったんだな、としみじみ。
    でも新米教師と子どもたちのほっこり成長物語、と思っていたら大間違い。
    戦争への怒りと悲しみ、この時代に生まれたことの不条理、女であることの理不尽……胸にずしんと重みを残していくエピソードが次から次に出てくる。選挙権は無い、子守で学校へ通えないことなんて当然、国のために散ることが栄誉、反戦思想を持てば即逮捕、疑問を持つことさえ許されない。これがかつての日本の姿だったんだ。
    それでもそんな激動の情勢下で、不況や貧乏にも脅かされることなく、今という時間を駆け回りすくすくと成長する子どもたちの、なんと無垢で力強いことか。

    とても良い本を読んだ。一年のせめてこの時期だけでも、こうして75年前のことを知る機会を増やし、自分なりに歴史を考え続けていきたい。

  • 泣いた。素晴らしい作品、の一言。


    高校生のときに読んでおきたかった。でも今読めて本当に良かった。


    平和な時代に生まれてきた僕は、平和な世の中を当たり前と思っていた。


    でもこの作品には、そんな当たり前はなかった。


    僕たちには、この平和な時代を守り、そして二度と戦争がおこらないようにする義務があると強く感じた。


    **********


    罪もない若人の命を奪っていく戦争は次のような時代だった。


    国民精神総動員。戦争に身も心も投げ込めと教え、従わされた時代。


    男たちにはどうしても逃れることのできない道。


    母親たちには戦場で散る命を惜しみ悲しみ止めることもできない。


    治安を維持するということは、命な大切さを訴え命を守ることではない時代。


    戦争に取られる不安を口にしてもいけない時代。


    自分だけではないという理由だけで、発言権を取り上げられていた時代。


    学徒は戦争に動員され、女子供は勤労奉仕にでる時代。


    航空兵を志す少年はそれだけで英雄となる時代。


    花のように散ることが究極の目的とされる時代。


    それが栄誉とされる時代。


    戦士が名誉である時代。


    そういう教育をされる時代。しなければいけない時代。


    **********


    こんな時代があっていいものか。いや、良いはずがない。


    平和のために自分のできること。それは海外の友達や外国人同僚との交流を更に深め、相手を理解し、相手の文化や風習をリスペクトすること、そして、対話を持って解決策を模索していくことにあると思う。

  • 名作なのに読んでいなかった。小豆島の映画村に行きたいのでその前に電書で読了。戦前から戦後にかけて、こんな小さな村にもいなくなった人が多いのが辛い。優しい語り口なのに強く平和を訴える物語だった。

  • 小学生の時に読んだ以来、本棚に眠ってるのを出してきました。こんな風に子どもたちに真摯に向き合える先生になりたいなって思った。子どもたちを想うからこその、戦争に対する先生の姿勢。どんな世の中でも、自分の生き方を貫く先生がかっこよかった。いつ読んでも感慨深い名作。

  • 小学校以来久しぶりに読んだ。
    持ってたイメージとは全く違う。
    きっと私が年を重ねたからだ。
    ただ、戦争はどんな理由があれ、
    することではないということは
    小学校の時から変わらない。

  • 何度も映画化されている名作。

    個人的には、エピソードが時代ごとのぶつ切りっぽいところが、
    ちょっと消化不良。

    しかし、「戦争をしてはいけない」というメッセージ1点のみだけは、
    しっかり伝わってきた。

    短い話なので、
    夏休みの読書感想文にはぴったり。
    もう少し若いころに読んでみたかった。

  • 夏に小豆島へ再訪するため、読了。
    小豆島は祖父の故郷で、とても愛着のある島。
    だけど、祖父は大阪に越してきていたので、3回くらいしかいったことはない。
    物語は1人の先生とその周りの十二人の生徒たちの日常だ。
    だけど後半には、避けられない戦争の話が出てくる。
    大事に大事に育てた子供たちが、戦争に行くだなんて、誰が喜ぶのだろう?
    時代から見ると、戦地に行くのは、もちろん名誉なことかもしれないけれど、身内にはたまらなく悲しく寂しいことなのは、間違いないんだな。とおもった。
    それで非国民だの、罵られたとしてそんな悲しいことありますか…。
    人の心は、その人のものだ。
    戦争絶対、反対です。
    日本の政治家、みんな読んでほしい。

    祖父もこんな時代を生きていたのかなぁ、と
    おじいちゃんを思いながら読みました。

  • 小豆島の漁村に師範学校を出たばかりの大石先生が赴任し、そこで12人の子供たちと出会いう。
    彼らが卒業する頃には次第に戦時色も強くなり、男の子たちは戦地へと赴く・・・。百合の花の弁当箱や服や草履にこっそり明るい色をしのばす女の子たちの姿にやるせなさを感じる。そして、戦争によって家族が亡くなっても大っぴらには悲しめない、そのこと自体が許されない社会で、大石先生の息子が父親が戦死したことを「名誉」だと当たり前に感じている姿が怖かった。
    疑問を抱くことすら出来ない社会が今もあることを忘れてはならないと思う。

  • 終戦の7年後に発表されたというこの小説。デリケートな題材を感情に訴えているからか私の心に刺さる。

    自分の人生なのに自分で進む道を決められなかった時代。他国から輸入(?)された今の我々の価値観からは想像がつかない。

    小学生の頃、道徳の授業で習ったと記憶するが、改めて読むと記憶違いや忘れていることが多く、新鮮な気持ちで読めた。

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著者プロフィール

1899年、香川県小豆島生まれ。1938年、処女作である「大根の葉」を発表後、「母のない子と子のない母」など、数多くの作品を執筆。1952年に発表された「二十四の瞳」は映画化され、小豆島の名を全国に知らしめた。1967年、気管支ぜんそくのため67歳で死亡

「2007年 『二十四の瞳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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