夜空に浮かぶ欠けた月たち (1)

  • KADOKAWA (2023年4月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041113448

作品紹介・あらすじ

東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。

みんなの感想まとめ

心の奥深くに潜む悩みを抱えた登場人物たちが、精神科医夫婦の営むメンタルクリニックや純喫茶で寄り添い合いながら少しずつ回復していく様子を描いた作品です。さまざまな症状や辛さを抱える人々が、互いに支え合い...

感想・レビュー・書評

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  • 駆け抜けるように読め、読後の爽快感を味わえる作品だった。しかし、内容は、登場人物の心が塞がってしまう場面が多く描かれてあり、重たいものだった。なのに、なぜそう感じたのだろう。

    誰にも言いたくない辛い出来事は、人によって違うだろう。その辛さは、分かってほしいと期待する近い人にも伝わらない時がある。そうすると、次第に近い人だから、伝えられなくなる時もある。そんな時は、どうしたらよいのだろう。話すだけで涙が出てきそうなことは、なかなか口に出せないもの。だからこそ、もし口に出せたら、最後までゆっくりと聞いてもらいたいと願う。それだけでも心が少し和らぐから。

    作品には、そんな心が塞がってしまった登場人物たちに2つの居場所があった。それは、純喫茶・純と椎木メンタルクリニック。そこには、ゆっくりと最後まで話を聞いてくれる人がいた。登場人物たちが、それぞれの辛さを言葉にしていく過程は、心が揺さぶられ、胸にぐっとくるものを感じた。その辛さを受け止めて、包み込みながら寄り添ってくれる登場人物たちがいた。それは、一方向ではなく、互いに受け止める双方向になっていた。打ち明ける立場になることもあれば、受け止める立場になることもあった。そんな温かい関係が心地よい。そんな人たちがいる場所があることが、心を和らげてくれたのだろう。大丈夫だよというやわらかく温かい言葉は、登場人物たちの心に沁みていくものになっていた。その言葉は、その人が丸ごと受け止めてくれているメッセージのようにも感じた。心が疲れている時にかけられるやわらかく温かい言葉で、ふっと緊張が和らぎ、詰まった思いを思いきって出せそうだ。そして、何でも話していいという気持ちになれる気がする。

    それぞれの章で、登場人物たちの背景が徐々に明らかになっていき、登場人物たちが偶然にも繋がった意味やめぐりあわせの幸せや運を感じた。こんなめぐりあわせは、誰にでもあることなのかもしれない。でも、そのめぐりあわせを気づかないこともたくさんあるのだろうな。それも、運だという気もする。

    初めての窪美澄さんの作品であった。またの機会に、窪さんの作品を読んでみたい。

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      こちらの作品のタイトルもきれいですね!
      「いいね」ありがとうございます。

      こちらの作品のタイトルもきれいですね!
      2025/10/31
  • 背中をそっとおすのではなく、やさしく支えるような感じが心地よく、これから転機を迎える方というより、休息が必要な方向けの作品なのかもしれない。
    心が疲れているときは十分な時間と、すぐそばにいる方の支えできっと良くなる。この作品を通じて、そう思わせてくれた。
    欲を言えば、多くの作品を読んだわけではないが、窪さんらしさがもう少し感じられたら良かったかな、と思う。また、とあるシーンで、自分の中でどうしても消化できないところもあった。
    とはいえ、登場人物ごとの視点で章をまとめ、関係性をうまく整理しながら話を作り上げる巧さは今作も健在といえる。 ★3.7

    • チャオさん
      こんにちは。日を跨いでわざわざコメントありがとうございます。
      自分も図書館派で、好きな作家さんの最新作発売の際は早めに予約して、世に溢れるネ...
      こんにちは。日を跨いでわざわざコメントありがとうございます。
      自分も図書館派で、好きな作家さんの最新作発売の際は早めに予約して、世に溢れるネタバレ攻撃を受けないうちに頑張って読んでます。二週間で読まないといけないので、焦って読んでいますが、じっくり読みたい作品もあるので、買ったほうが良かったと後悔することもあります笑
      この作品の感想とはかけ離れた返信となり、失礼しました笑 よかったらまたコメントいただけると嬉しいです。
      2023/08/19
    • shokomamaさん
      作家的には大好きな部類の窪美澄さんです。アカガミから入った私はこんな世界を描く人はどんな人なのだろうと想像を膨らませ過ぎて、窪美澄さんを色々...
      作家的には大好きな部類の窪美澄さんです。アカガミから入った私はこんな世界を描く人はどんな人なのだろうと想像を膨らませ過ぎて、窪美澄さんを色々読み漁ってもアカガミを超える作品に出会っていません。全部読んでは居ないのでこれからも読みたいのですが、私も読むのが遅いのとBOOKOFF派なので値段が高いと買いません(笑)安くなってから読むのでブームは過ぎ去ってしまいます。皆さんのコメントを読んで買いたい作品を日夜探しているのです...あはは。これからもコメントよろしくお願いします。
      2024/03/11
    • チャオさん
      コメントありがとうございます。
      自分も多くは読めていないですが、好きな作家さんです。
      独特な世界観で、どの作品も心をぎゅっと掴まれるもの...
      コメントありがとうございます。
      自分も多くは読めていないですが、好きな作家さんです。
      独特な世界観で、どの作品も心をぎゅっと掴まれるものばかりですよね。
      自分はかさばるので、ひたすら図書館で借りてます。
      発売してすぐに貸出始まるのでおすすめです。
      唯一、作家さんにお金をお支払いしていないのが心苦しいところですが、、
      アカガミ読んでないので、今度借りてみようと思います。
      2024/03/11
  • メンタルクリニックに通う人たちが回復していく連作短編集。ウツにパニック、発達障害といろんな症状が出てきますけど夜眠れなくなるとううことがトリガーになってるようでとりあえず睡眠薬が処方される。
    悩みを聞いてもらえるだけでも効果あるような。
    それに純喫茶「純」、こことの接点がズバッといい感じです。バイトの澪ちゃんから始まる連作メンタルが繋がっていきます。
    父が残した喫茶店を継ごうとコーヒーの淹れ方を修行するなかcloseの店の窓から見える通りすがる人たち。気にかけてチラ見していく常連さんの顔を見つけるたびに、ゆっくりと時間を掛けて美味しいコーヒーを淹れることができるようにと願いが聴こえて来るようでした。
    扉を開いてOpenできる日が早く来るようにと見守ってくれる人たちを温かく迎入れてくれる喫茶店。
    いい感じでした。

    • かなさん
      つくねさん、この作品私好きなんですっ!
      表紙の雰囲気が好きです(*´∀`*)
      気軽に訪ねていける敷居の低い心療内科、
      あったらいいなっ...
      つくねさん、この作品私好きなんですっ!
      表紙の雰囲気が好きです(*´∀`*)
      気軽に訪ねていける敷居の低い心療内科、
      あったらいいなって思いました。
      実際には、とっても敷居が高いし
      なかなか気軽に受診できないし、受診のすすめもできないですよね…。
      2024/12/29
    • つくねさん
      かなさん、こんにちは♪
      心療内科って敷居が高くって、なかなか気軽に受診できないですよね。
      そんな病名で括られたら逆に病気になってしまうようで...
      かなさん、こんにちは♪
      心療内科って敷居が高くって、なかなか気軽に受診できないですよね。
      そんな病名で括られたら逆に病気になってしまうようでw w
      どこか大きな穴があったら思いっきり愚痴を叫んだほうがスッキリしそうです。
      嫌なことあったらノートに書き綴るのもストレス解消になるらしいですよ!
      2024/12/29
  • 泣いた(৹ᵒ̴̶̷᷄﹏ᵒ̴̶̷᷅৹)
    とにかく泣いた(´;ω;`)ウゥゥ
    私も心が疲れてるのかな?
    メンタルクリニックに通う人達の連作短編集です。
    サクサク読める文体だし、どれもがどこかで聞いたようなお話なので、初めは軽い気持ちでページを捲っていました。
    でも、それぞれの人たちが、メンタルクリニックで話を聞いてもらうだけで涙がボロボロ零れてしまうのを読んでいると、もうこちらも涙が止まらなくなってしまって(இωஇ`。)
    登場人物は皆、自分をダメ人間と思っていて、こんな自分は価値がないと思っているのです。他人に認められないのは辛いけど、自分自身を受け入れられないのはもっと辛いですよね。
    そんなことよくある話、大袈裟に考え過ぎだよなんて、人にも、そして自分自身にさえ軽く思ってしまうことはあるけれど、それではいけないな、と強く感じました。
    同じ経験をしても感じ方は人それぞれ。強い人もいれば弱い人もいる。そして弱いことが悪いことじゃない!ということを優しく教えてくれたお話でした。
    ……やっぱりちょっと今、私自身疲れてるんだろうなぁ。いいタイミングで読めて良かった(о´∀`о)

  • ひどく心が疲れてしまうこと。
    生きていれば誰でもそういう時があると思う。
    そんな時は自分を責めないで、ゆっくり自分の心を受け止めてあげよう。
    そんなふうに思った一冊。


    様々な理由により心が壊れそうな登場人物たちを温かく包みこんでくれる場所。
    その一つは、昭和の遺産のような喫茶店
    「純喫茶・純」
    店主の純さんはお母さんのようだ。

    もう一つは
    「心療内科・椎木メンタルクリニック」
    カウンセリング担当の椎木さおり先生と、医師の椎木旬先生が丁寧に話を聞いてくれる。

    こんな優しい場所が二つもあるこの街の人々は幸せだなぁ。


    第四章
    生後3ヶ月の娘を育てる美菜が、義母から酷い言葉を浴びせられた時、精一杯の力を出して
    「私が母親です。玲奈は私の子どもです」
    と言う場面に涙が溢れた。
    私なら言えただろうか。



    心に残った言葉

    「もうだめだと思ったときは避難所みたいな人や場所をいくつか作っておくといいよ」

    「人間は完全な丸じゃないのよ。」
    ──「完全な丸なんてもう目指さない。僕は欠けた月のまま、生きていくのだ」


    これから様々な試練が待ち受けているであろう我が子たちに、この言葉を伝えよう。

    • かなさん
      aoi-soraさん、こんばんは!
      私もこの作品、好きですっ♪
      本当にそうですよね!!
      近くに2つも心癒される場所があるのって
      羨ま...
      aoi-soraさん、こんばんは!
      私もこの作品、好きですっ♪
      本当にそうですよね!!
      近くに2つも心癒される場所があるのって
      羨ましいですよね(*^^*)
      ウチの近くに、
      せめて「純喫茶純」だけでもほしくなります。
      2024/06/18
    • aoi-soraさん
      かなさん、コメントありがとう♪
      本当に素敵な本でしたね(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      純喫茶・純
      近くに欲しいねー
      もう毎日入り浸っちゃう(笑)
      そ...
      かなさん、コメントありがとう♪
      本当に素敵な本でしたね(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      純喫茶・純
      近くに欲しいねー
      もう毎日入り浸っちゃう(笑)
      それと各章のタイトル、私もいいなと思いました!
      ひとつひとつ、どんな絵画か検索しちゃった^⁠_⁠^
      装画のしらこさんも、kの昇天で知ったので、おっ!!となりましたよ
      かなさんと同じところに惹かれたみたいです…
      うれしい(⁠灬⁠º⁠‿⁠º⁠灬⁠)⁠♡
      2024/06/18

  • 初めて読む作家さんでしたが
    ランキングの上位にあって気になり
    手に取りました


    メンタルクリニックに通う人々を綴った連作短編
    なんとなく他人事と思いがちだけど
    実はとても身近な話で、
    誰でも心が疲れる時があるよと気づかせてくれます


    自分としてはやっぱり
    産後うつの話が共感するところが
    たくさんありました
    産後のメンタルってホントに荒波のようで…
    あの時期はホントに辛かった。


    でも作中の椎木夫妻との会話に
    当時の私の心のつっかえというか
    疲れた心がほぐれていく感じがしました。


    人生はほどほどでいい。

    何度でもどこからでもやり直せる。

    完璧な人なんていない。


    そんな言葉が沁みてきます。



    優しくて、疲れてる心を
    温かく包んでくれるような作品です



    作中に出てくる純喫茶もすごく素敵で
    家の近くにあったら通っちゃうよなー

    メンタルクリニックと純喫茶が近くにある人々を
    羨ましく思ったり。



    優しさに触れたい時に
    読んでみて欲しい一冊です

  • メンタルクリニックのお話。
    じんわりと心温まる内容でした。誰かを頼っていいんだよと教えてくれる作品でした。

  •  読んでよかったなぁ~と思えた作品です。この作品は今までの作風とは違う…らしい、けど私は好きだなぁと感じました。

     まず、この表紙、しらこさん、乙女の本棚シリーズの「Kの昇天」も手がけてらっしゃる方なんですね!そして6編の短編のタイトル、チェックしながら読むと美術館巡りができちゃうような…それぞれが名画のタイトルになっているんです。第5話の「夜のカフェテラス」は、この作品の裏表紙のような…。

     ストーリーは、椎木夫妻が営むメンタルクリニックとその近くにある「純喫茶純」が主に描かれています。将来のことや、家族のこと、恋人のこと、仕事のこと…みんな様々な悩みを抱え、心がいっぱいいっぱいになって…そんな人たちの悩みを聴いてくれる、寄り添ってくれる…そんなかけがえのない場所があるっていいなって、感じました!いつもの日常に疲れたときの処方箋的な作品にもなりえるのではないかなぁ~。

     心療内科の敷居がちょっと下がったような…でも、もし私が心の病になっても、近くの心療内科には行きたくないなぁ…だって近くの心療内科は評判めちゃくちゃ悪いんだもん…。

  • 「ひどく心が疲れてしまうこと…
    人間だもの、そういう時期は誰にでもあるよね。
    でもね、人間は完全な丸じゃないし
    誰だってどこかが欠けているものなの。」

    ほんとにそうですねぇ。
    完全をめざすのじゃなく程良く力を抜かないと。

  • 町の片隅にある一軒家で、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりは「椎木メンタルクリニック」を営んでいる。

    夫婦で患者に寄り添う治療は、とても癒やされ安心できる。

    そして近くには純喫茶・純があり、そこでバイトしている澪は大学へ通うことができないほど心身が病んでいた。

    第1話 キャンベルのスープ缶 澪のうつ病
    第2話 パイプを持つ少年 サラリーマンをしながらイラストを書いている直也がADHD
    第3話 アリスの眠り 自信がなくてうまくいかない恋愛に悩む麻美
    第4話 エデンの園のエヴァ 子育てがうまくいかず育児ノイローゼにパニック障害をおこす美菜
    第5話 夜のカフェテラス 旬とさおりの出会いからさおりが子どもを亡くして鬱になり、旬が精神科医になるまで
    第6話 ゆりかご 純喫茶の純が産後うつとパニック障害で娘を置いて離婚となったこと

    エピローグの澪ちゃんのキラキラ度を見て、寄り添ってくれる人と話を聴いてくれる人がいることで、人ってこんなにも変われるんだということがわかった。
    クリニックと喫茶の繋がりも良いなぁと感じた。
    すぐに手を貸してくれる人のありがたさは、身に沁みる。


    情報過多ではある現代、やみくもにネットに頼ることよりも信頼できる人との繋がりが如何に大切かということ。
    目を見て話を聴いてくれる人がいることはほんとうにありがたいこと。

    文中にあった「休み、休みでいいじゃない。誰かを頼っていいんだよ。」は心に沁みる言葉だ。

  • 精神科医の夫とカウンセラーの妻が営む『椎木メンタルクリニック』。
    夫婦のもとには様々な悩みを持つ患者が訪れ、傷ついた心をゆっくり癒していく…。

    多くの人が人生の途中で心の疲れを感じることがあると思います。
    この作品の中の誰かは、未来の自分かもしれない。そういう自分も含めて、椎木夫妻にはありのままを肯定してくれるあたたかさがありました。

    現実は椎木夫妻のような先生ばかりではないし、周りも理解のある人ばかりではないです。
    それでも、完璧な人間なんていないのだから大丈夫!生きてるだけで100点!というメッセージは、綺麗事だけではない心強さを感じました。

    誰かに助けてもらった優しさが、今度は同じ悩みや苦しみを持つ人にわたり、巡り巡って別の優しさとなって自分に返ってくる。そんな思いやりの連鎖が続いて、心の病に対する偏見も減ってほしいです。
    私も身近な人が疲れたとき、助けを求めてもらえる人でいたい…!

    欠けた月はそのままでも綺麗だし、心が欠けてしまってもいずれ月のように満ちて回復していく。そんなタイトルが素敵です。

  • 誰だって無理を重ねたら、心が疲れてしまう。自分の人生に完璧でありたい。それは心が、止まれの注意信号を出している。
    ほどほどでいいんだ。
    人生長いんだから。


    注意散漫?、忘れっぽい?、社会のルールが守れない?。注意散漫は好奇心旺盛のしるし、ルールが守れないのは創意工夫のほうが上手だと思いたいよね。
    忘れっぽいのは、ものごとを根に持たない人。どれもポジティブに考えよう!


    椎木メンタルクリニック、この本では、心の病を持った人々がここへやってくる。
    診療内科、というと最初は通うことに抵抗を感じる人が多い。
    でも、このクリニックは少し違った。優しさに溢れ、事務的なところはない。けれども――
    旬先生、さおり先生には乗り越えてきた過去があった。それがあったから、今のクリニックがある。
    それはとても・・・・・

    この本には、そのお話ごとに幾つかの絵画が登場する。
    そのひとつにピカソの「パイプを持った少年」という絵があった。
    私は、ピカソの絵は個性的な変わった絵が印象強かったので、Googってみた。良い絵だった。ピカソの絵は変わった絵ばかりではなかった(笑

    人は皆、満月ではなく大なり小なり
    欠けている。肥満体の三日月や、痩せた三日月も夜空に浮かんでいるのだろう。

    ものごとは考えこまない!
    明日になったら忘れてしまおう!
    自分が思う程、人は自分に興味を
    示してはいないのだから・・・・・


    2023、8、20 読了

  •  東京郊外のとある町を舞台にしたヒューマンドラマ。中心になるのは、住宅街の目立たない心療内科と駅近くの通りにある古い喫茶店。
     そこは、真面目で優しく繊細であるがゆえに心がくたくたに疲れてしまった人たちをゆったり優しく迎えてくれる場所だ。
     支える人、支えられる人が紡ぐ物語。
              ◇
     地方から大学進学のため上京した澪。母子家庭なので仕送り額は最低限だ。だから週4日のアルバイトで生活費を賄わなければならず、華やかさとは縁遠い日々を送っている。

     通うのは都心の女子大。
     目に映る学生は皆、自信に満ち溢れキラキラしているように見える。自分は地方出身で垢抜けないと思っている澪にとっては近寄り難く感じる。
     また、都内出身者のほか内部進学者も多いためすでにグループができあがっている。
     そんなこんなで引っ込み思案な澪は自分の居場所を見つけられずにいた。

     始まったばかりのキャンパスライフ。なのに疎外感と孤独感に苛まれる澪は、早くも精神的に不調を来たしはじめていた。 
     ( 第1話「キャンベルのスープ缶」)
    ※全6話およびエピローグからなる。

          * * * * *

     どれもいい話でした。
     誰もがスムーズに苦しみから解き放たれているように見えるけれど、それは短編が6つもあるためなので、ある意味しかたないと納得しました。 

     この作品の肝は、椎木夫妻や純さんが精神的に深刻な苦しみを味わい、そこから懸命になって脱した経験を持っているということでしょう。
     だからこそ第4話から最終話が、3話目までの主人公たちの快癒にリアリティを与えるのだし、作品に深みをもたらすのだと思います。

     精神科の臨床医や心理カウンセラーには挫折を知らずに知識先行でクライアントに当たる人間は向いていません。 ( さおりさんが最初にかかった医師などはまさにそのタイプでしょう。)

     頑健そのものの人間には病弱な人の気持ちはわからないし、強靭な精神の持ち主には繊細で傷つきやすい人の気持ちに思い至ることはできない。同じように、苦労知らずで生きてきた者には不幸に見舞われた人の気持ちは理解できないと思うからです。

     現代でも、肉体的や精神的に弱さを持つ人の割合は、昔と比べてさほど変わらないように思います。なのに、自殺者が後を絶たないほど増加しているのは、気持ちに寄り添ってくれる人が少なくなったからではないでしょうか。

     そしてそれは、環境や家庭に恵まれて生きていける人が増えた結果、弱い人の気持ちを理解できない人間が増えたからなのかも知れないと思いました。

  • 心の病気は、誰にでも可能性があり、私自身もならずによく仕事を続けてこれたなって思います。
    こんなクリニックは、きっとどこかにあると信じれば少し気持ちが軽くなる、と心があったかくなる作品でした。

  • 新しい学校、新しいクラス、新しい職場に、新しい生活…来月は生活環境に変化が多い季節。
    何かの始まりには、不安になる気持ちがでてきてしまう小心者なので、この時期どうもネガティブにドキドキする。部署異動や数年周期でやってくる業務に合流する初対面の人などなど。始まってしまえば落ち着くのに、心配事がピークを迎えています。読む本にも安心を求めていたのかもしれません。
    純喫茶とメンタルクリニックに関わる人たちが繋がっていく連作小説。うつ病、ADHD、不眠症、パニック障害、心を塞ぎ込む事情も様々だった。(もっと過激でひどい事情を覚悟してたけど結構マイルドだった。ひたむきに無理して頑張っちゃう系。)クリニックの理想が高くなってしまったかもしれないけど素敵なお話でした。

    『「世の中にはどうしようもない事情があふれ返っているってこと、そういう事情を抱えて生きてる人がたくさんいるってこと。私、鬱になってみてほんの少しわかったんだ」…人が心を病んでしまうことは珍しい話ではない。それは、いつでも、誰にでも、起こり得ることなのだ。-夜のカフェテラス-』

    随分前に「ふがいない僕は空を見た」を読んで、結構大人な内容だったから、しばらく手にとってなかった作家さん。他の作品も気になってきましたʕ•̀ω•́ʔ✧

    2025.3

  • 辛かった。
    まるで自分を見ているみたいで。
    リアルすぎたのかな。
    そろそろ病院に行こうかなと思っていたタイミングだったから余計に重ねすぎてしまったのかもしれない。
    今のタイミングじゃなかったのかもしれない。
    「避難所みたいな人や場所はいくつか作っておくといいよ」
    本当、これ。
    これが出来ないから自分を追い詰めすぎちゃうんだよね。
    分かってる。分かってはいる。
    でもいるって思ってるだけで救われる事も沢山ある。
    でも、この本に出てきた人たち皆最後にはちゃんと光が見えていたから私もそこまで引きずり込まれずに済んだ。

  • メンタルクリニックと 純喫茶に集う人々のこころの再生を描く連作小説。と言っても医療的な観点とか、お仕事小説的なアプローチよりも、もちろんそういう要素はあるんだけども 、もっと 物語としての面白さに満ちている。 前半で 助けていた側が 後半に 自分たちのことを語る構成となっていて 一つの作品として繋がってくる。 タイトル通り 人間は 完全な まるではない 、 だから補いあって …と教えてくれる。

  • メンタルクリニックを舞台にした短編集で、心にジーンときました。

    まぁメンタルクリニックを題材としているので、鬱やADHDを始めとした、心の病気が中心となっており、読む人にとっては、少し辛いものだったりするようにも感じました。

    忙しなく、そして先が見えにくい現代を生きる私たちにとって、自分の心と向き合うことの重要度が昨今増しているようにも感じます。実際のところ、私も、コロナ禍での就職、田舎暮らしに対する不安等で心が疲れてしまった経験があります。

    そんな経験があったからこそ、この作品に出てくる人々の言葉にリアルさと切迫した辛さを感じると共に、メンタルクリニックの人たちの言葉に生気と暖かさを感じました。

    心が疲れた時にもう一度読みたくなる素敵な作品でした。

  • とても優しい本でした。
    そっと抱きしめたくなるような……
    メンタルクリニック
    いろんな人の辛い心が語られます
    身近に接してきた人のことを思い泣きました
    7話の話それぞれに重ねることが多くて

    こんなクリニックがあったなら
    こんな喫茶店があったなら

    細い欠けた月でも照らしてくれる夜が愛しいです

    ≪ ほのあかい 月が照らすよ 夜の道 ≫

  • 4月は仕事・プライベートと何かと動き出す時期で(それも一気に!)、心がかなりお疲れ気味に。
    アマゾンをうろうろしてたら、こちらの本に出合ったので読んでみました。

    まず一言。
    沁みる~。
    私が置かれている状況とは全部違うけれども、妙に共感しました。
    人の悩みってのは、形は違えど本質は一緒なのかもしれません。

    この本を読んで、若い頃の感覚とは全く違う受け取り方をしていました。
    この手のメンタル癒し系の小説を若い頃に読んでいたら、全く理解できなかったと思うのです。
    ウツをはじめとした心の病。
    健康でそこそこ頑張って生きてきた私には、「それって甘えなんじゃないの?」って思っている節がありました。(かなり性格悪いですが、どうやって共感すればいいのかわからないかった)
    しかし、歳を重ね体力は想像以上になくなっている昨今。仕事、子どものお世話(勉強見たり)、母親同士のお付き合い(PTA、卒園対策など)等、限られた体力・精神力ではギリギリな毎日を過ごしています。
    毎日、疲弊することが多くなってきたんですよね。(気づくとため息ついている……)

    心の病って、調子がいい時は全く分からないものですね。
    でも、最近、思うのです。
    長く生きていれば、頑張れない時もある。
    (機械でさえ長く使っていれば壊れることがあるんだから、人間もメンテしないと壊れることってあるんだと思う)
    そんな時に頑張れない自分を否定するのではなく、「あぁ、私疲れてるんだな。今まで頑張ってきたんだなぁ」と自分を労わってもいいのかもしれないなぁ、と思いました。(前だけ向いて生きていけないときもあるよ)
    そして、にっちもさっちもいかなくなったら、誰かに頼る。医療機関でも身近な人でも頼るのも選択肢の一つとして考えておくといいのかもなぁ、と思いました。

    下記フレーズが全てを物語っていると思うのですが、自分の居場所と誰かとのつながりがあれば、悩みの9割(大げさ?)は解決したと思ってもいいのではないでしょうか?

    ”東京でもどこでも、私の居場所と誰かとのつながりがあれば、私は生きていけると思った。”(抜粋)

    孤独(精神的ボッチ)って余裕をなくす上に、後ろ向きにさせる元凶なんだろうな。

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著者プロフィール

窪 美澄(くぼ・みすみ):1965(昭和40)年、東京生まれ。2009(平成21)年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また同年、同書で山本周五郎賞を受賞。2012年、第二作『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。2019(令和元)年、『トリニティ』で織田作之助賞を受賞。2022年、『夜に星を放つ』で直木賞を受賞。その他の著作に『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』など。

「2022年 『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

窪美澄の作品

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