彼女の背中を押したのは

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 209
感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041113899

作品紹介・あらすじ

書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りた。相談したいことがあるとメールをしてきたその日に。結婚と同時に上京し平穏に暮らしていた姉・梢子は、妹に何があったのかを探るため、地元に戻り同僚たちに会いに行く。妹を追い詰めたものは何なのか? 母の過剰な期待と父の無関心、同僚からぶつけられた心ない言葉、思うようにいかない恋愛……。妹の過去を辿ることは、梢子自身の傷に向き合うことでもあって――。

感想・レビュー・書評

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  • 書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りたと連絡があり、結婚して東京に住んでいた姉は、実家に戻る。

    その日の朝、妹からメールがあったのに忙しいから後で…と言ったことが気になり、書店の同僚や妹の交友関係を調べる。
    父の無関心や母の過剰な期待だったのか。
    思いのままにいかなかった過去の恋愛なのか。
    仕事がうまくいかずに同僚から言われた言葉だったのか。
    妹のことを辿るうちに自分の気持ちに向き合うことになっていく。
    そして、自分のことを普通じゃないと話す母。
    母は、これまでどれだけ他人からその言葉を投げかけられてきたのだろう。
    良い意味で使われなかった言葉。
    人より劣っている、と知らしめるために使われた言葉。
    母の極端な教育は、娘たちの自立を願ってだと言われれば責めることなどできないだろう。

    何を基準に普通というのか…
    完璧な人などいないのに。
    だが、人は誰かのことばで傷つき、傷つけて、人と関わることが怖くなるのだろう。
    しかし、決してひとりではない。
    必ず、誰かが話を聞いてくれる。

    妹の転落の真相がわかったとき。
    姉自身も変わることができたのだろう。




  • 妹がビルから落ちた。
    妹からの相談メールに応えてあげなかった姉は、罪悪感とともに、しばらく会っていなかった妹の足どりを追う。事故か、自殺か。

    妹の背中を押した犯人を探すミステリーかと思いきや、姉妹の関係、母との関係、いびつな家族、姉の息苦しさなど内面を見つめる内容。

    一気読みしたのは姉の苦しさや、職場である書店で働く女性たちの怒りや絶望が妙に自分と重なってしまったから。
    結局ここに行き着くのかと思って、読みながらつらくもあり、惹き付けられもした。
    性別や年齢に関係なく、ただ正当に評価されたいだけなのに、なんでこんなに難しくなってるんだろう。

  • 本のあるところに物語あり!「書店が舞台の小説5選」 | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/readings/entry-45286.html

    「一人じゃない」と伝えたい。悩み、身動きが取れなくなっているすべての人へ贈る小説『彼女の背中を押したのは』 著者・宮西真冬インタビュー | インタビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/726973

    「彼女の背中を押したのは」 宮西 真冬[文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000886/

  • 過干渉な母親と無関心な父親、容姿に恵まれない代わりに優秀な姉と美しいが勉強のできない妹。
    母親の「普通じゃない」教育方針で壊れていく家族。遠方の人と結婚することでやっと家から逃れた姉に届いた、妹がビルの屋上から転落し意識不明だという知らせ。
    精神的に不安定だった妹。事故か、自殺か、さもなくば他殺か。相談したいというメールをかわしたことに責任を感じる姉は妹について調べ始める…というストーリー。

    姉の元職業が書店員で妹も自分と入れ替わりにバイトとして働き始める。仕事の内容、悩み、ぶち当たる壁、かつての同僚たちの今、どこを読んでも「あるある」と「わかるわかる」。
    女であることゆえの冷遇、不利な条件、やりがい搾取、読んでいるとうちのことか?と思ってしまう。どの業界にもあることだろう、と諦める癖がついているが、この状況は「異常」なことなのだ、とつくづく思う。

    忘年会会場のビルから転落した妹の、その転落の秘密を探ることが本筋ではあるけれど、ここにはそれだけではない、私たちが直面しているジェンダー、非正規、性的搾取、セクハラパワハラモラハラ、そして家族という多くの問題がちりばめられている。
    自分が抱える問題と向き合うこと、そこから一歩踏み出すこと、その勇気が光るラストがまぶしい。

  • 2/3読了、2/18頃発売。プルーフ頂きました。

    妹がビルから飛び降り、姉はその真相を探りはじめる。
    周囲の人々に話を聞くうちに、姉からは見えなかった妹の一面、自分自身の心の内が徐々に明かされていく…。

    この徐々に、の過程を描くのがとても上手い作家さんで、他の作品や今後の作品も読みたくなりました。
    ただ、上手い分暗い心情描写が結構くる。
    コロナで鬱々としている人はなかなかツライかもしれません。
    でも上手い証拠だと思う。

    逆に、自分の気持ちを深く見つめ直したい気分の人にはおすすめかも。
    痛いところを見つめてみる。

    あと、個人的には少しひっかかるところもあったのですけど、今後出てきて欲しい作家さんでした。

  • 「この作家さんはやはり読みやすいなあ。」というのが読みはじめからの感想。
     主人公である姉の性格にしても、妹にしても色々と根深い問題があり親、特に母親(読んでいて本当に嫌な気持ちになる。)のせいなんだと思ったけどラストあたりで「そうか。母親にも事情があったからか。」と納得。
     妹のビルからの転落のために実家に戻り、姉が責任と痛みを伴いつつ真相を探るために、妹と(数人は自分とも)関わった人に会い、話を聞いていくたびに仕事のこと、家族のこと、人間関係、様々な事に気づかされる。
     それにしても本に関わる仕事は、ブラックな雇用が多いなあ。(わかるわかる。)
     現実は短期間で人はそこまで変われないと思うから、うーん?と思わないでもないけれど、希望のあるラストで良かった。

     「おおっ、あれは妹あずさの感情ではなかったのか。」等、ミステリーとしても楽しめました。
     
     

  • ホントに嫌な人はいなかった。

  • 全体的に最高だった。
    序盤は母親の歪んだ性格の描写にリアリティがあり心をえぐられ、主人公への共感を引き込まれた。一方で、鬱屈なだけでなくきちんと救いも描かれているので読後感も良く、暗さと晴れやかさを一度に味わえる。
    何より少しずつタイトルにある「彼女の背中を押したのは」の真相に近づいていく描写に引き込まれて一気に読んでしまった。著者のファンになりました。

  • 前半ミステリー仕立てでしたが、後半は仕事の愚痴の会話が多く、最後は肩すかしのまとめ方が残念でした。ビルから落ちて意識不明だったのにダメージ無さすぎです。不消化部分が多いけれど、姉妹が前向きに生きていけそうで良かったね、と思います。

  • ありきたりの自分探しものかと思いきや
    思わぬミステリー展開にやられた。

    妹が引きこもっていることに対する
    主人公の心の動き。
    見たくない、認めたくないところを
    もう一度敢えて見つめなおしていく作業が
    誰しも思い当たる部分もあり
    読んでいてしんどいけれど良く描けていて秀逸だった。

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著者プロフィール

1984年山口県生まれ。2017年、『誰かが見ている』が精緻に組み立てられた心理サスペンスとして高く評価され、第52回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著書に、全寮制女子高で不審な事件が次々と起こる『友達未遂』、介護に悩む女性とDVに苦しむ男性を描いた『首の鎖』がある。

「2022年 『彼女の背中を押したのは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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