彼女の背中を押したのは

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041113899

作品紹介・あらすじ

書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りた。相談したいことがあるとメールをしてきたその日に。結婚と同時に上京し平穏に暮らしていた姉・梢子は、妹に何があったのかを探るため、地元に戻り同僚たちに会いに行く。妹を追い詰めたものは何なのか? 母の過剰な期待と父の無関心、同僚からぶつけられた心ない言葉、思うようにいかない恋愛……。妹の過去を辿ることは、梢子自身の傷に向き合うことでもあって――。

感想・レビュー・書評

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  • 書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りたと連絡があり、結婚して東京に住んでいた姉は、実家に戻る。

    その日の朝、妹からメールがあったのに忙しいから後で…と言ったことが気になり、書店の同僚や妹の交友関係を調べる。
    父の無関心や母の過剰な期待だったのか。
    思いのままにいかなかった過去の恋愛なのか。
    仕事がうまくいかずに同僚から言われた言葉だったのか。
    妹のことを辿るうちに自分の気持ちに向き合うことになっていく。
    そして、自分のことを普通じゃないと話す母。
    母は、これまでどれだけ他人からその言葉を投げかけられてきたのだろう。
    良い意味で使われなかった言葉。
    人より劣っている、と知らしめるために使われた言葉。
    母の極端な教育は、娘たちの自立を願ってだと言われれば責めることなどできないだろう。

    何を基準に普通というのか…
    完璧な人などいないのに。
    だが、人は誰かのことばで傷つき、傷つけて、人と関わることが怖くなるのだろう。
    しかし、決してひとりではない。
    必ず、誰かが話を聞いてくれる。

    妹の転落の真相がわかったとき。
    姉自身も変わることができたのだろう。




  • 妹がビルから落ちた。
    妹からの相談メールに応えてあげなかった姉は、罪悪感とともに、しばらく会っていなかった妹の足どりを追う。事故か、自殺か。

    妹の背中を押した犯人を探すミステリーかと思いきや、姉妹の関係、母との関係、いびつな家族、姉の息苦しさなど内面を見つめる内容。

    一気読みしたのは姉の苦しさや、職場である書店で働く女性たちの怒りや絶望が妙に自分と重なってしまったから。
    結局ここに行き着くのかと思って、読みながらつらくもあり、惹き付けられもした。
    性別や年齢に関係なく、ただ正当に評価されたいだけなのに、なんでこんなに難しくなってるんだろう。

  • 本のあるところに物語あり!「書店が舞台の小説5選」 | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/readings/entry-45286.html

    「一人じゃない」と伝えたい。悩み、身動きが取れなくなっているすべての人へ贈る小説『彼女の背中を押したのは』 著者・宮西真冬インタビュー | インタビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/726973

    「彼女の背中を押したのは」 宮西 真冬[文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000886/

  • 過干渉な母親と無関心な父親、容姿に恵まれない代わりに優秀な姉と美しいが勉強のできない妹。
    母親の「普通じゃない」教育方針で壊れていく家族。遠方の人と結婚することでやっと家から逃れた姉に届いた、妹がビルの屋上から転落し意識不明だという知らせ。
    精神的に不安定だった妹。事故か、自殺か、さもなくば他殺か。相談したいというメールをかわしたことに責任を感じる姉は妹について調べ始める…というストーリー。

    姉の元職業が書店員で妹も自分と入れ替わりにバイトとして働き始める。仕事の内容、悩み、ぶち当たる壁、かつての同僚たちの今、どこを読んでも「あるある」と「わかるわかる」。
    女であることゆえの冷遇、不利な条件、やりがい搾取、読んでいるとうちのことか?と思ってしまう。どの業界にもあることだろう、と諦める癖がついているが、この状況は「異常」なことなのだ、とつくづく思う。

    忘年会会場のビルから転落した妹の、その転落の秘密を探ることが本筋ではあるけれど、ここにはそれだけではない、私たちが直面しているジェンダー、非正規、性的搾取、セクハラパワハラモラハラ、そして家族という多くの問題がちりばめられている。
    自分が抱える問題と向き合うこと、そこから一歩踏み出すこと、その勇気が光るラストがまぶしい。

  • 2/3読了、2/18頃発売。プルーフ頂きました。

    妹がビルから飛び降り、姉はその真相を探りはじめる。
    周囲の人々に話を聞くうちに、姉からは見えなかった妹の一面、自分自身の心の内が徐々に明かされていく…。

    この徐々に、の過程を描くのがとても上手い作家さんで、他の作品や今後の作品も読みたくなりました。
    ただ、上手い分暗い心情描写が結構くる。
    コロナで鬱々としている人はなかなかツライかもしれません。
    でも上手い証拠だと思う。

    逆に、自分の気持ちを深く見つめ直したい気分の人にはおすすめかも。
    痛いところを見つめてみる。

    あと、個人的には少しひっかかるところもあったのですけど、今後出てきて欲しい作家さんでした。

  • 残酷なシーンがあるわけでもないのに途中心が重くなった。
    契約社員の愚痴もわかるが、自分より経験も年齢も上の契約社員をまとめる立場の社員も辛そう。

  • 読みながら、苦しくなる表現もあったが
    後半になるにつれて、どんどん面白くなって言った
    2日で読み終えたので読みやすかったと思います

  • 苦しくて苦しくてたまらない。
    ビルから飛び降りた妹は事故か自殺か、真相を知りたい一心で頁を捲り続けた。

    物語には辛辣な言葉が多く登場する。
    『勉強しなさい、あなたは顔が良くないんだから』
    『あんた、マジで使えないね』
    家族や同僚からの容赦ない言葉の暴力。

    皆が要領良く出来る人間ばかりじゃない。
    如才ない振る舞いが出来る人にも出来なかった時があるはずだ。

    人が人を追いこんでいくさまに怒りより恐怖を覚える。

    書店での人間関係を通し浮き彫りになる社会の問題点。

    生き辛さを極限まで描きながら、人として在るべき姿を教えてくれる一冊。

  • すごく良かった!
    ヒリヒリするくらいリアルに繊細な感情が描かれていて、共感できる部分が多かった。
    はじめて読んだ作家さんなので、ほかも読んでみたいと思う。

  • 全体的に最高だった。
    序盤は母親の歪んだ性格の描写にリアリティがあり心をえぐられ、主人公への共感を引き込まれた。一方で、鬱屈なだけでなくきちんと救いも描かれているので読後感も良く、暗さと晴れやかさを一度に味わえる。
    何より少しずつタイトルにある「彼女の背中を押したのは」の真相に近づいていく描写に引き込まれて一気に読んでしまった。著者のファンになりました。

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著者プロフィール

1984年山口県生まれ。2017年、『誰かが見ている』が精緻に組み立てられた心理サスペンスとして高く評価され、第52回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著書に、全寮制女子高で不審な事件が次々と起こる『友達未遂』、介護に悩む女性とDVに苦しむ男性を描いた『首の鎖』がある。

「2022年 『彼女の背中を押したのは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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