忘らるる物語

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  • KADOKAWA (2023年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (424ページ) / ISBN・EAN: 9784041113929

作品紹介・あらすじ

辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をしたばかりの環璃(ワリ)は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦(さん)帝国の次期皇帝を選ぶための籤(くじ)、”皇后星”に選ばれたからだ。一族はすべて皆殺し、産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名の戦士だった……。
女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは? 破格のエンタテインメント巨編!

みんなの感想まとめ

女性の運命と社会的立場を描いたこの物語は、歴史ファンタジーとSF要素が見事に融合しています。主人公の環璃は、突如として孤立し、次期皇帝を選ぶために国々を巡る運命に翻弄されます。この作品は、古代風の世界...

感想・レビュー・書評

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  • 忘らるる物語

    著者
    高殿 円

    あらすじ
    男が女を犯せぬ国があるという。
    辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をしたばかりの環璃(ワリ)は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦(さん)帝国の次期皇帝を選ぶための籤(くじ)、”皇后星”に選ばれたからだ。一族はすべて皆殺し、産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名の戦士だった……。
    女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは? 破格のエンタテインメント巨編!

    感想
    高殿円さんの『トッカン』や『上流階級〜富久丸百貨店外商部〜』が好きで手に取ったのですが、本作はこれらとはまったく異なる世界観で、著者の作品領域の広さに驚かされました。

    今回はお仕事小説ではなく、歴史ファンタジーとSF要素が融合したような物語。女性作家ならではの視点で描かれており、設定上は古代風の世界でありながら、女性の社会的立場やジェンダーに関する問題など、現代にも通じるテーマがしっかりと描かれています。

    長編であるうえに、独特な世界設定やSF的な展開もあり、1度で物語の全体像を掴むのは少し難しいかもしれません。それでも、単なる異世界ファンタジーとして読むだけでなく、現実世界の問題と重ね合わせて読むこともできる、奥行きのある作品です。

    高殿作品のファンはもちろん、骨太な物語やジェンダー観を扱ったフィクションに興味のある方にもおすすめです。

  • ファンタジーに苦手意思があるが、この世界の雰囲気は好みですっと入り込むことができた。面白い部分(果てや各藩の描写)も多かったけど、冗長。説明的な台詞が多くまどろっこしく感じた。

  • ファンタジーかしら、などと軽い気持ちで読み始めたら歴史大河エンターテイメントで尚かつジェンダー問題を深く突き詰めて考えさせられる本でした。
    かといって、立ち上がれ女性たちよ、という内容でもなく長きに渡る人類史、カミとヒトと獣のこれまでとこれからとも。

    獣のような男達が一瞬で消え失せる場面に快い胸の高鳴りを感じたのは私だけではないでしょう。
    母となり狂う性と呼ばれる女の身で、子どもの事を我が命よりも守りたいと思う女の多いのには納得。
    ある意味、歴史書としての楽しみ方も出来たし。ゆっくりこの本を読む時間、大切でした。

  • 長い!
    環璃の理不尽な運命を描くには、大事なんだろうと思うけど長いなぁ。
    女性であるために、決められた運命にどう抗い、受け入れるかに尽きるんだと思った。

  • 辺境の小さな国の王女として生まれ、幸せな結婚をし、息子を授かった環璃。だが、その幸せな暮らしは突如終わりを迎え、広大な大陸を統べる燦帝国の次期皇帝を選ぶ「皇后星」に選ばれ、環璃の国は滅ぼされてしまう。

    産まれたばかりの息子は人質に取られ、旦那さんは殺されて、次期皇帝候補の子供を妊娠する為だけに大陸を渡り歩かなくてはならない過酷な旅。そんな中、男に触れただけで塵となる力を持つチユギと出会う事で環璃の運命は大きく変わって行く…

    中々ヘビーな展開で、どんよりした気分でしたが、希望を捨てない環璃の強い意識が格好良かったです。
    息子も殺されてはいないかヒヤヒヤでしたが、最後まで生き延びていてくれたのは救いでした。

    神と共存した環璃の長い年月の先に、また次の物語があるんですよね。次はどんな人に繋がれるのか知りたいです。

  • すごく難しい本だと言うのが第一印象。
    人によっては考え方は違うかも。
    男尊女卑と言われればそうかもしれないが、なぜそう言われるのかもっと深いところを追及しているような気もする。
    私達は繰り返してるんだろうなとは思うし、それはこれから先も変わらない気もする。
    それを知るのはカミに選ばれた者のみって事なのかな。

  • 差別について考えるきっかけを与えてくれるファンタジー小説。

    主人公の環璃が人質にされた子どもを取り返すために4つ国を廻る強制的に・・・
    4つの国にはルールがあり、それが少し考え方によっては哲学的な気がしました。

    ただ、女性への扱いが酷い。
    過去(時代を遡る)の女性差別を考えると現在の女性の扱いは良くなっているけど、
    それでも女性と男性と同じ人間なのに差があるように感じます。
    近いうちに少しでもみんなの考え方が改まったらいいです。

    今まで差別について深く考えたことがないですが、この小説を機会にいい経験ができました。

  • 面白いけど「女は奪われ虐げられる性」を強調しすぎててなんだかなー。
    でも百合ですよね。
    主人公と息子が結局再会せずに遠くから見守るのが良かった。

  • 支配されるシステムは誰かによって作られている。それは父親を頂点とするシステムから、女が統べるシステムになっても誰かが誰かを支配するそのシステムの根本が変わったわけではない。
    選べることはまるで自由なように感じるが、その選択肢だって与えられたもので自分で選び取ったものではない。それに気付かないぐらいにシステムに染まってしまっている。
    忘れることと忘れないことどちらに救われるかわからない。憎み忘れないことさえも、自分の悲劇に、物語に巻き込むことになる。

  • どうやら性差別をとりあげ、ガリバー旅行記みたいな装いの風刺小説かなと読み始めた。しかし男女のまぐわいを「犯す」ものと不快な設定。占いで選ばれた皇后星として、次代の帝候補である藩王の子を孕むことを目的に、孕むまで次々と4か国をめぐる。さっぱり理解の及ばぬ設定でしょう。主役の環璃が、その任務に対して喜びとまではいわずとも、それなりに誇りを抱いていればいいけど、愛する実子を人質にとられて従う無念のさだめ。最後はおそらく誰の予想にも違わず神(悪魔です)が憑依してめでたしめでたし。やれやれ。タイトルどおり忘れます。

  • 高殿円さんが好きなので、作者読み。
    キノの旅をもっとグロくしたようなファンタジー小説。旅をしている理由はもっとえぐいけど。

    たぶんこの作者さんはこういう小説が本当に書きたいのだろうけれど、読み手は選ぶかな、という感じです。

  • 一般名詞も含めてカタカナ造語のルビが振られた単語が多く、その割に一部はそのままの読み方なので統一感がなく、始終ふんわり読む結果に。
    (藩王はジョグルだけど帝はみかど、みたいな)
    その中で情報提供もやや不親切なところがあるので完全に消化不良ですが、再び振り返りたいとは思えないのでしばらく積んでおきます。

    書き出しや帯の文句だけを信じてファンタジーだと思って購入すると肩透かし気味かも。

  • 濃厚な味わいのファンタジー。帝国の次の帝を産むことを義務づけられ、諸国を巡る女が、子宮に神(菌)を宿すことによって最強の戦士となった女と出会い隠された世界の秘密に迫っていく。圧倒されるスケールのラストが素晴らしい。

    高殿さんの作品は初めて。たまたま読んだ、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年4月号に掲載されたインタビュー記事が良かったです。「ここまで振り切った、ある意味では野蛮なラストシーンにしてしまって本当にいいのだろうか?という迷いはありました。でも考えてみればこれまで私たちはずっと、『最後は女が男を許し、包み込む物語』をたくさん読まされてきたじゃないですか? 最後の最後は、我々女性が折れなきゃいけなかった。そういう誰かにとって都合のいい物語は、もういらない時代になった気がしませんか? ここで私が世間からの批判を恐れて〝いい子ちゃん〟な結末を選んでも仕方がない。それよりは歴史の中で忘れられ、見捨てられてきたであろう物語を今、私が世に出そう。そう思えました」

  • この作品の伝えたいことってなんなんだろうなぁ。最初のうちはついていけたが最後の方、わからなくなってしまった。

    物語としては結構面白かったのだけど

    2023.7.10
    111

  • 世界観は東洋の後宮に近いけれど、読んだ感想としてはSFのような感じ。
    とても面白かった。
    女が女であることをここまで突きつめた作品もないと思う。

    虐げられ、奪われ、無力であることを強要される。
    それでも、それを強いた男の子供を孕んでしか生きられない。

    「なんのために生まれたのかわからないまま死ぬくらいなら、なにかに成ってから死ぬ」

    選択についての考え方や支配についての思想が深い。
    心理学でもあるし歴史書としての面白みもある。

    チユギとワリの関係性が最後まで美しい。
    純粋な心の通じ合いを感じました。

  • 一行目からドキッ。
    なかなか重たくて読み応えがありました。

    各国を旅して、それぞれの国を見るごとに
    今の世界にも通ずるジェンダー問題や、
    支配と被支配の論理が見えてくる。
    宗教の起こりも被支配に対するものか。なるほど

    そして、最後に忘れられた物語が姿を表す。
    そんな風に終わるとは予想もしていなかった。

    誰かに都合が良いのではないかということを忘れず、予め選択肢を2つ与えられたら、それ以外もあるんだということを忘れずにいたい。

  • プルーフ。途中で断念

  • 読んでいる時の感覚がとても心地よかった。
    環璃が皇后星として通り過ぎた国を見る時は、世界が視界の端を流れていくよう。
    チユギの野宿の様子は、夜の闇の中が思い浮かび、焚いた火を見つめる温かさを感じる。
    環璃が星を見て過去のヒトの在り様を知った時の、個人では体験できない長い長い時間の流れに沈み込み、視界が広がると同時に無力感を覚え、個の意識が遠くなる感覚。
    チユギが長く生きて繋いできた記憶が、環璃へ繋がり、カミによる刑場の出来事で、ヒトを超越した存在の起こす力の爽快さを感じながらも畏怖するような…最終章で環璃に一度すべてが収束された場面のエネルギーがすごかった。
    長く生きる者の見る未来も、変わったようでまだまだ変わらないことも愛おしく感じた。

    父権を強化する支配の輪廻は、知性をもって作られたシステムとされていたけど、支配は理性ではなく獣としての衝動に由来するというところ、とても響いた。
    力関係に差がある状態は不健全。

    瑪瑙のかんむり鹿の女王の名乗り。
    月端から果てへの行き方、逆の順に語られる月端への行き方。
    繰り返し出てくる連なる言葉が、意味あるものとして物語中でつながった時、読んでいるだけの身の感情が拓けたみたい。

  • 古代中国を思わせる諸国割拠の時代を舞台にしたファンタジー。

    菌を寄生させることにより超常の力を得る伝説の民と、次期皇帝を決める駒とされるために一族を滅ぼされた女。世界観の設定が面白い。
    伝説の民の住む「果て」の社会の仕組みみたいなものも面白かった。農業に向かない土地のため、盗みや暗殺請負のようなことをやって生計を立てたり、新入りに密偵がいないか炙り出す通過儀礼。

    一方で、肝心の主人公の心境にあまり入り込めず、お話としては期待したほど楽しめなかった。
    冒頭で環璃は、愛する者を奪われ、自分はモノのように扱われ、その仕組みを変えるために権力を得ると決意する。そこまでは分かるのだが、その動機と、その後の行動、心情の変化がなんとなくしっくりこない。実際に自らの意志で動けない状況だから、というのとは別に。
    なんでだろう。映像化されて、漫画や映画で見るのだったら、もっとついていけそうな気がする。

    入り込めないと、些細な点が気になる。
    「黙学の定めがある以上、王たる彼が常に鉄面皮でいる必要があるのは理解できる(p94)」「鉄面皮」は恥知らずで厚かましいこと。この場面では多分そうではなくて、極端な無表情という意味で使いたいのではないかと思う。
    自分が手にしたのは初版だが、p33「それに、そのカミの力さえ手に入れられれば…(中略)…消し去ることができる。」の3行が重複していた。こんな大きな誤植は滅多に見ない。

  • 木原未沙紀女史の装丁画の引力が強すぎる。
    そして、男が女を犯せぬクニ……。すごい書き出しだ……。

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著者プロフィール

1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。主な著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、『マル合の下僕』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』、『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(文藝春秋)など。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

「2023年 『忘らるる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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