黒牢城

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 8944
感想 : 809
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041113936

作品紹介・あらすじ

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

感想・レビュー・書評

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  • 【読もうと思った理由】
    なんとこの作品、第166回直木三十五賞受賞並びに、第12回山田風太郎賞を受賞。さらに、「ミステリが読みたい! 2022年版」をはじめとする国内主要ミステリランキングすべてで第1位を獲得し、9冠を達成している。また第166回直木賞は、今村翔吾氏の「塞王の楯」と併せた、時代小説でのW受賞で話題になっていた。また、普通の時代小説ではなく、時代小説とミステリーの合わせ技という、過去あまり無かった新しい試みの作品でもある。「塞王の楯」はつい先日読んだので、本作にも興味がでたのが理由。

    【あらすじ】
    本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。

    【感想】
    時代小説ミステリーとして非常に完成度が高いと感じた。また最後の50ページほどで、散りばめられていた伏線を、綺麗に回収してくれるので、読後の爽快感も素晴らしい!

    時代小説ミステリーが難しいと言われる最大の理由が、史実として読者に先に結末が判明してしまっているというところだ。このハンディキャップは、ことのほか大きい。この点について、米澤氏はインタビューでこう答えている。
    「歴史ものは〝こういうことがあってこうなった〟と、入口と出口は決まっている。官兵衛が捕まるという入口、村重が城を出るという出口の「間」に何があったのかを創作しようと考えました」。
    なるほど、曲げられない史実としての入口と出口以外は、物語として変更可能なので、そこでミステリー要素を盛り込み、ここまで面白い作品にしてしまえるのは、流石の一言である。

    物語の構成としては、4つの章で分けられている。各章ごとにミステリー要素があり、村重自身も謎を解こうと頭を捻るが、どうしても謎が解けず、最終手段として、地下牢に幽閉している黒田官兵衛に、謎解きを依頼するという、一種の安樂椅子ミステリーだ。

    単純な謎解きミステリーではなく、戦国時代という、人の命が現代よりもかなり軽く扱われている時代背景の為、解決すべき謎が現代と違う部分もある。

    例えば第二章では、夜討ちにて大勝した村重軍。朝になると討った首が四つあり、どれが誰の首であるか分からない。家来の雑賀衆か高槻衆のどちらかが、大将首を討ったと思われる。果たしてどちらの手柄なのか?

    戦国時代の戦いにおいて、相手の将の首を誰が打ち取ったのかは、ことの他大きい。大将首を打ち取ったとなれば、立身出世も現実に起こる。そう、まさしく下克上の世界だ。なので、間違った判断は決して出来ない。もし間違った判断をすれば部下の心は、あっという間に引いていく。そういった村重の苦悩が、手に取るように伝わってくる。村重を中心とした心理描写も、細部に至るまで非常に丁寧に書き切っているので、直木賞受賞も納得だ。

    最後の4章では、別々の話として完結していた物語が一気に繋がり、伏線回収に至っては、伊坂幸太郎氏を思わせるほど、鮮やかの一言!ラストは、あっと言わせるどんでん返しもあり、最後まで読者を楽しませてくれる。
    何よりも読後感が、想像以上に爽やかなのが読んで良かったと思わせてくれる。
    ミステリー好きの方や、時代小説好きの方は言うまでもなくお薦め出来るし、僕のように読後感の前向きになれたり、爽快感を求めている方にも意外にオススメです!

  • 2021年下期直木賞

    黒田官兵衛は、豊臣秀吉の名軍師として知られる知将。司馬遼作品ではその智謀が余すことなく描かれていたと記憶している。

    その黒田官兵衛が獄中の名探偵として卓抜な推理を見せるのが本作なのだ。歴史小説でありながらのミステリーであり初めて読むジャンルかもしれない。とにかく深く面白さのある小説だ。ちなみに米澤作品は初読み。

    本作主人公は戦国武将の荒木村重で村重視点で描かれている。
    織田信長に謀反を起こして有岡城(現在の兵庫県伊丹市)に立てこもり、毛利の援軍をひたすら待つ籠城が物語のベース。我が実家にほど近い伊丹にこんな歴史があったとは初耳だ(笑

    敵方織田の軍勢に囲まれている環境の中で、ドロドロの人間ドラマが展開さる。

    食糧は減る。援軍は来ない。一向宗とキリシタンの宗教対立。焦燥と疲労が籠城する者たちを追い込め。

    そんな中で、人質の少年が突然誰かに殺されたり、織田方との戦で討ち取った敵の武将首がなぜか特定できなかったり、村重方のスパイ役の僧が謀殺されたりといった謎の事件が勃発。村重は謎が解けねば人心が離れ城内が瓦解してしまうと途方に暮れる。そこで村重は、牢内の黒田官兵衛からアドバイスもらおうと密かに会う。

    官兵衛は織田信長にわびをいれて謀反は諦めるよう村重を説得に来たが村重は逆に官兵衛を牢に閉じ込めた。
    村重は謎事件が起こり困るたびに、牢屋内の半死半生の官兵衛に会いに行く。もともと官兵衛を知謀を評価していた村重は彼が何らかのヒントをくれるのではと期待。その期待通りに、官兵衛は謎事件の真相をめぐるアドバイスを村重に与えていく。

    ただ、この小説の魅力は謎解きミステリー的な面白さだけではない。権力とは何ぞや、歴史を動かすものとはどういう力か、人間とはどのような存在かなど歴史小説の醍醐味もしっかりある。

    また小説は巧みに村重と信長を比べている。登場人物たちの描き分けもはっきりとしていてわかりやすい。村重の側近たち、村重に仕える武将たち、村重の妻などなど、それぞれに人間臭く描かれている。歴史小説好き、ミステリー好き双方にオススメできる稀有な一冊である。

  • 信長に叛旗を翻し有岡城に籠城する荒木村重。その城内で起こる様々な事件と謎を地下牢に拘束した小寺(黒田)官兵衛が解く…と簡単に書くとそういう設定のミステリーになるのだが、読んでみると安楽椅子探偵型ミステリーというよりは歴史小説に近いものがあった。

    だが事件は雪の山荘っぽい密室ものだったり、衆人環視内での密室だったりという密室祭り。ワクワクしながら読んだしそのなぞ解きもなかなか楽しめた。

    個人的に前々から興味があったのは、①なぜ荒木村重は織田信長に謀反を起こしたのか、②なぜ十か月の籠城の挙句、家臣や家族や民を見捨てて城を出たのかという2点の疑問。
    この作品がそこにどう答えてくれるのかということがミステリー部分よりも気になって読んだ。

    歴史小説はあれこれ読んできた積もりでいたが、上っ面しか読み込めていなかったのだなと反省。
    当時の武士の習い、世の習い、宗教、価値観、身分、社会…そうしたものをもっと理解しなければ上記の2点については真に分からないかも知れない。そもそも村重が使者である官兵衛を斬り捨てることも生きて返すこともせず牢に閉じ込めたというのは異例のことだというのも初めて知った。

    この作品での荒木村重は武芸に優れ茶の湯に通じているだけでなく頭も切れる設定になっている。その村重が最後にすがるのが牢内の官兵衛なのだが、この官兵衛もまた知略に優れただけではない底知れない不気味さを漂わせている設定だ。
    十か月もの間、暗くて狭い牢に閉じ込められ体も満足に動かせない状況にいるというのは、読んでいるだけでもゾッとするし、実際の官兵衛はよく生還したなとその体力だけでなく何よりも精神力に感服する。ましてやこの時の官兵衛は息子・松壽丸は殺されたと聞かされているわけで、とっくに心が折れてもおかしくない。

    その二人が片や依頼人、片や探偵役となるのだから面白くならない筈がない。そして敵味方に分かれているからこそ村重は全てを明かせないし、官兵衛もまた一から十まで謎解きはしない。時に狂歌に託したり、時に別の問いで示唆したりと村重にも読者にも意地悪だ。

    二人の話の中で一番印象深かったのは、領主のパターンについて。
    ①『父祖伝来の地を治める』、摂津でいえば池田や伊丹などの例
    ②『命を受け、任として治める』、駿河の今川や甲斐の武田の例
    ③『云い知れぬ力で不思議に人を惹く者を万人が領主として仰ぐという形』で、本願寺領は最初この例だった
    ④『ただ武略をもって国を獲らんとする者は、ひとときの威勢は良くとも末路は哀れ』で『木曽義仲や斎藤道三が良きためし』

    荒木村重がどれに当てはまるのか、そして信長は。
    先に書いた二つの疑問、謀反の理由と城を出た理由がここから見えてくるところは面白かった。
    個人的には『因果は巡る』パターンの方が好きだけど、この作品の村重キャラならこれで良いのかも知れない。
    考え抜いた謀反の積もりだったが、『ほんの少し、早まったのかもしれぬ』と後悔するのは自分の知略を過信していたのか。

    官兵衛の後の言葉『神の罰より主君の罰おそるべし 主君の罰より臣下百姓の罰おそるべし』という言葉は現代にも通じるところがあって納得。

  • 織田信長に謀反を起こし、有岡城に立て籠った荒木村重。城内で起きる不可解な事件を解決するため、土牢の囚人である黒田官兵衛に謎解きを求めるミステリー物。

    苦手な歴史小説だし、米澤穂信さんとはあまり相性は良くない。なかなか、ぴたっときた試しがないというか…

    第166回直木賞受賞と2022年本屋大賞ノミネート作品ということで、オーディブルで聴く。
    本屋大賞ノミネート作品は必ず読む(あるいは、オーディブルで聴く)ことにしているので、半ば仕方なく…

    しかし、これがよかった。

    米澤穂信さんは、直木賞の贈呈式で「もしかしたら小説の普遍性というところに手が届いたのかもしれません。」とスピーチしたそうだ。
    それだ!確かに僕にとっては苦手な歴史小説を超えた普遍的な小説として心に響いてきた。
    直木賞作品ってこういうことなんですね。

    なんと言っても、荒木村重と黒田官兵衛の対峙の場面が濃ゆい!

    何が善で何が悪なのか、死生観や価値観のせめぎ合い、錯綜。思索がぐるぐる回る。
    会社からの帰路、暗い夜道で聴いていると、この小説の舞台である戦国時代から、ロシアのウクライナ侵攻まで思いが飛んでしまったりして…

    背景には様々あるのだろうけれど、戦争はやっぱり狂っているな、と。一般市民だけではない。軍人だって等しく生命を持っている。国や領土のために生命を費やすなんて、僕には理解できない。平和を願う。

  • 第166回直木賞受賞にのみならず数々の賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた本作、いやぁ〜大満足でした。

    大好きな織田信長に叛逆した荒木村重と、私の故郷である姫路で生まれた戦国時代の希代戦術家といわれる軍師・黒田官兵衛の物語。

    物語の中心にドーンと座るのは村重。

    有岡城に籠り来る信長との決戦に向け備える村重と、村重により土牢に囚われた官兵衛の牢越しの会話、ゾクゾクしました。

    そんな2人の物語に人の不条理を語る千代保の存在。

    有岡城を抜け出した村重、首を斬られた千代保の歴史。

    改めて時代物の面白さ、そして著者の筆力を思い知らされました。

    説明
    内容紹介
    祝 第166回直木賞受賞!

    本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

    【受賞・ランキング入賞結果】
    第12回山田風太郎賞
    『このミステリーがすごい! 2022年版』(宝島社)国内編第1位
    週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2021年12月9日号)国内部門第1位
    「ミステリが読みたい! 2022年版」(ハヤカワミステリマガジン2022年1月号)国内篇第1位
    『2022本格ミステリ・ベスト10』(原書房)国内ランキング第1位
    「2021年歴史・時代小説ベスト3」(週刊朝日2022年1月14日号)第1位
    『この時代小説がすごい! 2022年版』(宝島社)単行本第3位
    著者について
    ●米澤 穂信:1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

  • 黒田官兵衛の息子を殺された恨みと有岡城、城主の村重との知恵比べと思いきや、ある真犯人が起こしていた数ある事件が有岡城、城下町を混沌とさせていた。
    人は死ぬことよりも、死んでなおも地獄が続くことが最も恐ろしいことでそれから逃れるために仏に心の平穏を求めていた。いろんな話が絡みあっていたが、官兵衛の罠で村重はついには城からでで毛利の助けをもらいにででいったが帰ってはこなかった。
    時代劇ものは初めてでしたが伏線もあり面白かった。

  • そうだ! 久々にミステリーを、と手にした一冊。
     
    天正六年十一月。
    天正がいつなのかは知りませんが、とにかく戦国時代。織田信長が本願寺の一向宗と戦っているそのとき。
    摂津(現在の大阪あたり)国を任されていた信長の家臣、荒木村重は謀反を起こして、有岡城に籠城する。そこに信長の使者として訪れた黒田官兵衛を土牢に幽閉するところから物語は始まる。
     
    序章と終章を除けば四章建ての連作短編。
    籠城中の城内で不可思議なことが起こり、それを捨て置けなくなる城主の村重は幽閉中の官兵衛の知恵を借りることになる、というのが各章のパターンです。
     
    う~~~ん……。
    青春ミステリーの「氷菓」「本と鍵の季節」
    本格ミステリーの「満願」
    暗黒ミステリーの「儚い羊たちの祝宴」
    等々。いろいろなミステリーに挑戦する著者。
    今回は戦国時代を背景に、しかも智将として名高い黒田官兵衛を“安楽椅子探偵”として用い、しかもしかも籠城中の城の中で土牢の中という二重のクローズドサークル。
    非常にそそられる設定です。
    なんですけど……、戦国時代物×ミステリーのはずが、どっちつかずの印象。
    戦国時代の情景や籠城中の城の中という空気感は良く感じられた。けど、かんじんのミステリーに惹かれない。第一章から「は?」と思う。第二章も「ふうん」で、第三章に至っては「うそーん」と思った。第四章でもそれほどの驚きは得られず、残念でした。
     
    これはどちらかと言えば、時代物として読んだ方が楽しいかな。
    偶然だけど少し前に読んだ「村上海賊の娘」と時代背景が一緒。共に信長を前にしての籠城で「毛利はまだ動かぬのか~」という話。
     
    にしてもこの時代における織田信長という存在は巨大ですな~。
    ラスボス感が半端ない。
    一族郎党、降伏した者だろうが、女子供だろうが容赦のないその殺戮ぶりは“魔王”と畏れられる所以でしょうね。
    いったい、その采配ひとつで何万人を殺したのか。
    後を継いで日本を統一した秀吉や、長く幕府を安定させた家康よりも信長の方が存在感が強いのはなぜだろう?
    そのうち信長の物語をガッツリ読んでみようかな。なにがいいだろう? 司馬遼太郎先生でなにかあったかな?
     
    そして、対する一向宗も半端ない。
    「進めば極楽、退かば地獄」の合言葉で半ば洗脳し、ろくに訓練も装備もない者を死を恐れない「死兵」として利用する。
    恐ろしい。
    でも戦って、戦争って、お互いに知らない者同士で恨みも何もない同士が集団で殺し合わねばならないのだから、まともな神経じゃあ無理なんだろうな。
    きっとある種の狂気が必要で、そのための装置として宗教が都合がいいのか。
    なんて思った。

    • 土瓶さん
      まっちゃん、ありがとー。
      でも、あれは、やっぱり……。
      「うそーん」て、なるわ。
      ( ̄□ ̄;)!!
      まっちゃん、ありがとー。
      でも、あれは、やっぱり……。
      「うそーん」て、なるわ。
      ( ̄□ ̄;)!!
      2022/07/20
    • hiromida2さん
      どんちゃん、こんにちは。
      お〜!ミステリーだけでなく、時代物にも通じているのですね、恐るべし(*ꆤ.̫ꆤ*)
      本当に織田信長の存在感は半端な...
      どんちゃん、こんにちは。
      お〜!ミステリーだけでなく、時代物にも通じているのですね、恐るべし(*ꆤ.̫ꆤ*)
      本当に織田信長の存在感は半端ないですよね!
      随分前に私も司馬遼太郎さんの「国取物語」
      夢中になり読みましたよ!面白い(^ν^)
      私は「国取物語」の一、二の斎藤道三編が好きでした。
      信長編はやっぱり恐ろしい人物ですが…

      やっぱり人気があるというか、圧倒的な存在ですよね。
      どんちゃんの「うそ〜ん」の下りにはまっちゃん同様
      笑っちゃいましたよ( ´∀`)爆笑
      2022/08/07
    • 土瓶さん
      ひろみさん、こんばんは~^^
       
      通じてませんからっ! 時代物。
      ただ、おもしろそうだな~って思ったものは何にでも手を出すだけです。
      ...
      ひろみさん、こんばんは~^^
       
      通じてませんからっ! 時代物。
      ただ、おもしろそうだな~って思ったものは何にでも手を出すだけです。
      知り合いに「どんな本を読んでるの?」って訊かれても返答に困るので、いつも「絵本からエロ本まで幅広く」と答えるようにしてます。
      ほとんど変態ですね((´∀`*))ヶラヶラ 
       
      「国盗り物語」読まれたんですね。
      ひろみさんの方こそ幅広い。いやいや、隅に置けませぬな(ー_ー)!!
      斎藤道三というとマムシの二つ名があったような。
      大名なのにマムシ呼ばわりって凄いよね。
      けっこう興味深々。
       
      「黒牢城」の第三章のラストは……やっぱり今思い返しても「うそーん」(゚Д゚;)ってなります(笑)
      2022/08/07
  •  「安楽椅子探偵」ならぬ「土牢探偵」。信長に反旗を翻した荒木村重に有岡城に監禁されていた黒田官兵衛が探偵役。有岡城内での事件を官兵衛が解く四つの短編からなる連作集だが…。

     これら事件の謎とともに、なぜ村重は信長に謀反したのか? なぜ官兵衛を殺さなかったのか? なぜ一人で城を脱出したのか? これらの歴史的な謎(?)についても書かれている。さすが米澤穂信先生だ。単なるミステリーではなく、歴史小説になっているところがスゴイ。

  • 戦国時代×ミステリーは目新しさはあるものの、完成度としてみると、決して高い作品とも思えず。。
    登場人物も多くいるが、魅力的に感じる者は多くなく、あくまでミステリーを生む人としか感じられず。

  • 【感想】
    素直に面白かった!戦国時代×ミステリーという奇抜な題材でどうやって話を転がすのかと不思議に思っていたが、読み進めてみたら2つが驚くほどピタリと調和している。舵取りを間違えればあっという間に取っ散らかってしまいそうなテーマを軸に、よくぞここまで綺麗にまとめたなぁ、と感心してしまった。

    ミステリー小説に欠かせないのは「犯行の動機」である。しかし、世の中には多くの推理小説が存在し、復讐や私利私欲といった理由は手垢がつきすぎている。かといって奇をてらいすぎれば「そんな動機で?」と消化不良に陥るため、ストーリーやトリック以上にバランス取りと地固めが必要になってくる。
    しかし本小説の犯行動機は「面子を守るため」、「功名争いのため」、「謀叛を隠すため」といった戦国時代特有のものであり、これが絶妙に先の展開を読みづらくしている。加えて、探偵である村重の捜査も「兵士の士気を下げない」、「籠城をしながら手柄を立てさせる」、「己の真意を家中に悟らせない」といった特殊な思惑にもとづいて行われており、これが合わさることで全く新しいタイプのミステリーが生み出されている。

    「新しいタイプ」なのは犯行動機だけでなくストーリーにおいても同じだ。普通は探偵が謎を解いて一件落着、となるが、むしろ謎を解くたびに村重は追い詰められていく。表向きは城内で起こる奇異な事件を解き明かしながら、裏では自分が企む犯行(織田との和睦)を感づかれないよう気を配らなければならない。主人公である村重は探偵であると同時に犯人でもあるのだ。
    そしてその犯人の心の内を暴いていくのが、真犯人であり真探偵でもある黒田官兵衛だ。この二人は探偵と助手でありながら敵同士という奇妙な関係を持っている。数々の謎解きを通じて、黒田が村重の孤独を見抜き、その喉元に手をかけていく。村重は身の危険を感じながらも、自身の言葉を真に理解できる者は黒田をおいて他にいないと確信し、その知略に頼る。この奇妙な互恵関係が物語をつなぎ、「探偵:村重」の立場と「犯人:村重」の立場から二重の面白さが生まれていく。

    あらためて、時代設定の妙が為せる技だと思った。全ては表裏一体なのだが、そんなありえない関係が成立してしまうのも、面子や建前、謀りごとがぐちゃぐちゃに入り乱れる戦国時代ならではであり、それを本当に効果的に使っていると感じた。

    なんとなくだけど、バットマンとジョーカーが手を組んだらこんな感じになりそうじゃないですか?

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

「2021年 『黒牢城』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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