くらやみガールズトーク (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114353

作品紹介・あらすじ

なんだろ? この不平等感! そろそろ口に出してもいいんじゃない? 『わたし、定時で帰ります。』の著者が放つ、女子たちの本音満載の物語。例えば――。
女性には”もやもや”がつきものだ。たとえば何回か来る人生の通過儀礼。結婚では夫の名前になり、旧姓は消えてしまう。義理のお母さんから孫を早く生んでと言われる。けれど嫁だから、夫の実家をたてて、自分の本当の気持ちはしまい込む……。最初はちょっとだけのがまんのはずが……。出産、親の痴ほう、失恋、引っ越しなど、人生は常に変わっていく。大小問わず、ふいに訪れる人生の節目で、これまで築いてきた人間関係は変わってしまう。どうして、女性ばかりがそれらを全部背負わなきゃいけないの。普段、人に言えずしまい込んでいる嫌な気持ちを、見つめ、解放してくれる物語の数々。くらやみから聞こえてくるのは――女子たちの本音。私たちはもう一度、生まれ変わる。解放される。自分のために!すべての戦う女性たちのための応援歌!

感想・レビュー・書評

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  • さて、突然ですが、あなたはある夫婦のこんな会話を聞いてどんな思いを抱きますか?
    
    妻: 『妊娠できるかどうかのチェックって、二人で行くんだよね』

    夫: 『君一人で行くんでしょう?』

    妻: 『不妊の原因って半分くらいは男にあるらしいから… あなたも検査してほしい』

    夫: 『いやだよ… 俺に悪いところがあったら… 立ち直れないよ、しかも君の両親に結果を報告するなんて、よくそんな残酷なこと思いつくな』

    妻: 『じゃあ私は…』

    さて、どうでしょうか?このレビューを読んでくださっている方の性別、年齢はマチマチです。未婚、既婚、出産経験の有無等々、さまざまな方が同じ会話文を読む中には、それぞれの人の属性、経験、価値観によって、そこに見えてくるものは全く異なるのだと思います。この会話に何を思ったか、それは当然に異なります。

    この世の数多の小説は読む人が指定されているわけではありません。もちろん、作家さん個々人がその作品を読んでもらいたい対象者を意識されることはあるのだと思います。しかし、そんな作品も本屋さんに並んでしまえば全てが同じになってしまいます。その本に手を伸ばし、カウンターに持っていった人、それが誰かの制御は不可能です。そう、あらゆる作品が老若男女さまざまな人の手に取られ、さまざまな人の読書の対象になっていくのです。

    私は女性作家さんの小説に限定した読書を続けており、その中で極力幅の広い読書を心がけています。対象とした作家さんの数も60名を超えました。そんな作品の主人公はマチマチですし、物語の舞台も当然に異なります。読書をするということは、登場人物に感情移入をする時間でもあります。そこに登場する人物の気持ちを思い、そこに登場する人物の考えを理解していく。私は男ですが、登場人物が女性であったとしても同じように感情移入し、彼女の気持ちを思い、彼女の考えを理解してきた、そのように思って来ました。しかし、その登場人物の気持ちを100%理解することには限界があるのかもしれない、数多の作品は読む人を限定しているわけではないとしても、人によってそこから感じ取れる感覚には大きな差が生じるのではないか、そんなことに思い至りました。

    さて、ここに私をそんな思いにさせた作品があります。『名字をとられた時点で、命はとられたのだ』と結婚した先に経験する初めての事ごとに『私はもう死んだ』と思う主人公が登場するこの作品。『子供を産むというのは、きっと人間をやめることなのだと』考える主人公が登場するこの作品。そしてそれは、”結婚や育児で悩んでいる人から「こんなに醜い感情を抱いているのは自分だけかも」と告白されることもある”という朱野帰子さんが、”女子たちの本音”を、まさかの”怪談”の中に描く物語。”現代人がひそかに抱える暗い感情を、怪談としてすくいあげた短編集”です。
    
    『実家から脱出した私がたどりついたのは、築三十年の鉄筋コンクリートマンションの一階、六畳一間の部屋だった』というのは主人公の『私』。『実家の母が心配していたのは、つねに妹のことだった』という『私』は、『幼い頃から』『しっかり者の長女に庇護を求める』『母を母と思ったことはあまりない』という過去を振り返ります。一方で『母と違って』『自信のある男だった』という父は『頭がよくて、冷徹で、愛情を示すのが苦手』という個性の持ち主、そんな父を『普通とは違う、ユニークな人』と『友達に自慢もしてい』ました。やがて『預金が貯まった私が実家を出ていくと告げ』ると、大きなショックを受けた両親。そして家を出た『私』に『あなたの記憶は歪んでいる』『大人げないことはやめなさい』と伝える叔母は、母親が泣いているとも伝えますが、『私は家に帰』りませんでした。そんな『私』が入居に際して部屋を掃除しようとすると、『ユニットバスの天井』裏に大量の『炭酸ガスが出る薬用入浴剤』があるのを発見します。『捨てよう』にも多すぎ、『大家に連絡するのも面倒』と、『うっちゃっておいた』『私』。そんな『私』は『引越ししてしばらくして、同い年の男とつきあいはじめ』ます。『休日になると部屋に遊びに』くる彼はベッドの狭さを理由に『どんなに遅くなっても自分の家に』帰ります。『それが唯一の不満』と思うも『でも、彼は優しかった』と彼を思う『私』は、『温水プールにつかっている気分』と『刺激もないけれど、怖いこともない』今を『普通だ。それが一番いいんだ』と思います。『この人と結婚したら、私は、きっと幸せになれる』と考える『私』。そんなある日、『携帯をよこしなさい』と『彼が手を突き出してき』たという瞬間に行き当たります。そんな彼を『ふざけていると思い』笑った『私』。そのきっかけは、彼の『寝ぼけた顔』を『可愛らし』いと思い、思わず『携帯電話で写真を撮』ったことでした。そんな『私』に『まじめな顔』で『許可なく撮影するのは肖像権侵害にあたる』、『訴える用意もある』と『私を睨みつけ』る彼。『やりとりは一時間』も続き、『出ていって!』と叫んだ『私』に、『あとで内容証明を送るからそのつもりで』と言いながら『出ていった』彼を見て『これはどういうことなのだろう』と、『私』は困惑します。そして、『翌日の昼休みに、「昨日は帰れた?」というメールを送』ると、『すぐに返事がき』ました。『帰れたよ、眠い』というその返事に電話をすると『何も覚えていなかった』という彼は、『訴訟だの内容証明だのという話をする私に』、『それって創り話でしょう?』と、答えます。『俺、小さい頃、夢遊病だったらしいんだよね』と続ける彼。そんな話を聞いて『だからうちに泊まらなかったんだ』と『理由がわかって嬉し』いと思う『私』。そんな『私』の彼とのそれからが描かれていきます…という最初の短編〈鏡の男〉。二人の間に緊張が走る彼の突然の変貌が”怪談”らしさを煽るどこか不思議感漂う短編でした。

    “出産、親の痴ほう、失恋、引っ越しなど、人生は常に変わっていく…どうして、女性ばかりがそれらを全部背負わなきゃいけないの…くらやみから聞こえてくるのは ー 女子たちの本音。私たちはもう一度、生まれ変わる。解放される。自分のために!すべての戦う女性たちのための応援歌!”と内容紹介に高らかなまでにうたわれるこの作品。そもそも「くらやみガールズトーク」という小説らしからぬ書名もあって、読む前からどんな”女子たちの本音”が飛び出すのかと読む気満々にさせてくれる(笑)この作品。それぞれに関連をもたない七つの短編から構成されています。ただ、内容的に関係はなくとも”女子たちの本音”が聞こえてくる?という共通な印象の中にある作品ばかりです。では、まずはそんな七つの短編の中から、私が特に気に入った三編をご紹介しましょう。

    ・〈花嫁衣装〉: 『結婚披露宴が終わり』見送りをする私たちに『うちの一族に合いそうなお嫁さんで安心しましたよ』という夫の伯父。そして、始まった新婚生活の中で『体調がすぐれない』主人公の『私』に『ストレスじゃない?』と話す『職場の先輩』。そんな『私』は、『××さん』と、『上司に呼ばれた時』すぐに気づけず『夫の名字になったのだとふりかえ』ります。『旧姓で通せばよかった』と話す『私』に顔をしかめ『しょうがないだろ。結婚したんだから』『つまらないことでぐちゃぐちゃ言うなよ。夕食がまずくなる』と続ける夫に『ごめん』と謝る『私』の結婚後の複雑な心情が綴られていきます。

    ・〈藁人形〉: 『藁人形には、高田圭介、という名前を書いた紙が貼ってある』と、『トートバッグに手を入れて、人形の輪郭をたしかめる』主人公の祐美は、『ほんとに人を呪ったりしていいのだろうか』と、郊外にある神社へ歩みを進めます。『大手スーパーに勤める営業部員だった』圭介が会社に出入りする中に知り合った祐美。しかし、年上でバツイチの鶴橋も圭介を狙っていることを知り、焦る祐美は偶然電車で一緒になった圭介に『生まれて初めての告白』をしました。『いいですよ、つきあいましょう』とうなずく圭介は、つきあっていることを『秘密』にしたいと言います。そして始まった恋愛の先に待つものは?

    ・〈変わるために死にゆくあなたへ〉: 『美人でも結婚しない人もいるし』というようなことを幼い頃から言われて育った陽菜は、『中学の入学式の日』にその『謎が解け』ました。『顔の善し悪しが、制服のせいで際立っている』、『これはなんて残酷な!』と感じる陽菜は、教室に入り『互いの顔を見合』う中に『神様に祝福された組の女子のグループができ』たのを目にします。『チョウチンアンコウみたいな顔の女子に声をかけられ』『自分もそっちの組だったのだ』と気づく陽菜。そして、『祝福組』と『そうでない組』に『選ぶ権利などな』く分かれた女子たち。そんな中、一人の男子のことが好きになっていく陽菜。

    三つの短編の内容を取り上げてみましたがいかがでしょうか。どことなく何をポイントにどんな話が展開するかのイメージがわくのではないかと思います。結婚後の女性に渦巻く感情を描く〈花嫁衣装〉、初めての恋愛の行く末を描く〈藁人形〉、そして、『顔の善し悪し』に焦点を当てる〈変わるために死にゆくあなたへ〉。それぞれの物語には、女性ならではの感情が赤裸々なまでに語られていきます。そして、恐らくそんな作品に関心がわく方は、

    男性〈 未婚女性〈 既婚女性〈 子有女性

    と、後者の立場でいらっしゃる方ほど面白さが増すのではないかと思います。そう、上記した通りこの作品は”女子たちの本音”を小説から赤裸々に聞くことができるのが最大の魅力なのです。

    例えば、〈花嫁衣装〉で光が当たるのは、結婚した女性が体験していく日常の数々です。この作品では職場で旧姓を使わず改姓手続きをとった女性に光があたります。『夫の名字』を呼ばれてもすぐに自分のことと気づけない『私』。『夫の名字の下に自分の名前』があるのを見て『結婚したんだなあという実感がこみあげ』る一方で、『古い名字のついた私がどこかへ行ってしまう』という思いの中に『古い名字たち』の名刺や訂正印をゴミの中から拾い上げ『ロッカーの奥にしまいこんだ』『私』。そんな『私』に『しょうがないだろ。結婚したんだから』と顔をしかめる夫は、改姓が自身のことだったらと訊く『私』に、『男にとって名字を変えるっていうのは当たり前のことじゃない』、『養子縁組』で『遺産をもらうとか』『交換条件』があればまだしも何もないのに名字を変えるのは『犠牲が大きすぎる』と言い切ります。それに『女は犠牲を払って当たり前だと』?と訊く『私』に『一般論だよ』と話を切る夫。そんな『私』は、夫の大伯父から『このままでは、うちの名字を継ぐ人間が絶えてしまう。一刻も早く、男の子を産みなさい』と迫られ、夫も味方してくれない中に『結婚式でまとった白い花嫁衣装』を『私の死に装束だった』と感じていきます。この辺りの感覚、もちろん男性の私であっても主人公の『私』の気持ちに感情移入していくものはありますが、上記の通り、より当事者経験のある方には、その読み味は別物に響いてくるのではないかと思いました。他にも『子供を産んでから完全に眠った夜はない』と、『子供を産むというのは、きっと人間をやめることなのだと』思う主人公の『私』が、『人間をやめて、何になるのだろう。きっと獣だ』と、その気持ちを切々と綴っていく〈獣の夜〉は、出産を経験された方に是非読んでいただきたい短編です。また、『妹なんか生まれてこなければいい』と思う主人公、その一方で『もう生まれてる子と、これから生まれる子、両方を可愛がれるかどうか、怖いんだ』という母親の気持ちを不思議世界の演出の中で描く〈帰り道〉は、女性の方にはより切々とその感覚が響いていくように思います。そう、読めば読むほどに、この作品は、女子なあなたにこそ是非読んでいただきたい、そんな作品だと思いました。

    『日本の花嫁衣装が白なのは、一度死んで、婚家の人間として生まれ変わるという意味がある』。

    そんな言葉の先に『結婚前の私はもういなくてね。今の私はたぶん別のなにかなの』という思いに囚われていく主人公の『私』。そんな『私』が登場する短編など七つの短編が収められたこの作品。そんな作品では”女子たちの本音満載の物語”が”怪談”の中に描かれていました。男性と女性の視点を絶妙に対比させながら同じ事象がどう違うかを見せてもくれるこの作品。『藁人形』など、”怪談”らしく、背筋をゾクっとさせられる短編も折挟まれたこの作品。

    思った以上にさまざまなシチュエーションを描く一気読み必至の物語展開に、ハマる人にはベタハマりな作品だと思いました。

  • 八つの短編集
    思ったよりホラーでした
    そして“くらやみガールズトーク”
    納得のタイトルです

    さてさてさんのレビューを読ませて頂き、気になっていた一冊で、初読みの作家さんです

    二【花嫁衣装】
    「結婚前の私はもういなくてね
     いまの私はたぶん別のなにかなの」
    「だから死んだと思うようにしてる」
    こんなセリフが出てくる。
    これを読んで
    あぁ、私はこれまで何回も死んだのかもしれない。
    と思った。
    本当の私って、どこへ行ったのだろう?
    でも「死んだ」と思ったら何だかラクになった気がする。

    五【獣の夜】
    六【子育て幽霊】
    この二編は、子育て経験のある人には刺さるかもしれない。
    小さな子供の温かさと息使いを耳元に感じるほどの描写ですが、結構怖いです。

    私が一番好きなのは
    八【帰り道】
    曾祖母の死と妹の誕生という経験をする小さな主人公。
    生と死、そして希望。
    “怪談”であるからこその絶妙さが好み。

    朱野さんの他の作品も読んでみたいと思いました。

    • さてさてさん
      aoi-soraさん、他の方のレビューを起点にできるのでブクログは本当に参考になると思います。この作品ではお役に立てて良かったです。一方で、...
      aoi-soraさん、他の方のレビューを起点にできるのでブクログは本当に参考になると思います。この作品ではお役に立てて良かったです。一方で、aoi-soraさんの本棚で知った椹野道流さん気になってます。食べ物を扱った小説はもともとど真ん中だし、難しいお名前ですが、女性作家さんのようですので大丈夫(笑)です。メモメモさせていただきます!
      2023/04/19
    • aoi-soraさん
      さてさてさん、こんばんは♪
      椹野さんて、女性だったんですね!!
      「最後の晩ごはん」シリーズは知人に借りて読んでるんですが、勝手に男性が書いて...
      さてさてさん、こんばんは♪
      椹野さんて、女性だったんですね!!
      「最後の晩ごはん」シリーズは知人に借りて読んでるんですが、勝手に男性が書いてると思い込んでました(^.^;
      でも納得です!
      登場人物みんな、イケメンなんですよ〜
      それぞれタイプが違ってね♪
      あぁ、もう何で椹野さんは男って思ってたんだろう…(笑)
      2023/04/19
    • さてさてさん
      aoi-soraさん、椹野さん、女子高出身でいらっしゃるようなので女性で間違いないかと。
      私も去年の年明けに乾くるみさんを女性だと勘違いし...
      aoi-soraさん、椹野さん、女子高出身でいらっしゃるようなので女性で間違いないかと。
      私も去年の年明けに乾くるみさんを女性だと勘違いして読んでしまった事件(笑)がありました。名前のイメージだけで判断するのは危険ですね。まあ、男性でも女性でも本来、本筋じゃないわけですが、私の場合は、女性作家さん限定読書とプロフィールで宣言してしまっているので仕方ないです。新しい作家さんを読む時は必ず確認してから読みます。
      …と、そんなことは置いておいて、aoi-soraさんのお陰で新しい作家さんの存在を知ることができて良かったです。イケメンにちょっと期待して読みたいと思います!(キュンとはならないかもしれませんが(笑))
      いずれにしても読みたい作品がどんどん増えて、嬉しい悲鳴です!ありがとうございます!
      2023/04/19
  • 潰されない人生を送りたいあなたへ | レビュー | Book Bang -ブックバン-(2018年3月)
    https://www.bookbang.jp/review/article/564731

    女性たちの本音を“怖い話”に託して 朱野帰子さん「くらやみガールズトーク」[レビュアー] 門賀美央子(書評家)|好書好日(2019.3.23)
    https://book.asahi.com/article/12230475

    「くらやみガールズトーク」 朱野 帰子[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322102000158/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      透明な呪いをかけられて――朱野帰子『くらやみガールズトーク』文庫巻末解説【解説:三宅香帆】 | カドブン
      https://kadobun.j...
      透明な呪いをかけられて――朱野帰子『くらやみガールズトーク』文庫巻末解説【解説:三宅香帆】 | カドブン
      https://kadobun.jp/reviews/entry-45509.html
      2022/04/04
  • ライフステージが変わる度に、元の自分は死んでいく……結婚、出産、子育て、介護。
    経験してることは殆ど無い(失恋のみ)なのに心に刺さるので、経験者だともっと心にくるんだろうと思います。
    「鏡の男」と「花嫁衣装」の描写がキツくて読むのを諦めそうになりましたが、「獣の夜」「子育て幽霊」が圧巻でした。あんまり大きく出るのは好きじゃないけど、老若男女読んで欲しいこれ。。。ここの4篇だけでも。
    ラストの「帰り道」もしみじみ良かった。良い話だ…と思ったらラストそうきたか…。びっくりだけれど彼女は強く生きていくだろうな。
    思ってたより怪談話でした。しんといけれど面白かった。

  • 婚約中の私にまたもや母が貸してくれた1冊。
    なんでですか??
    私が、「結婚し、黙ってたら自分の名字のままでいける風潮の男はずるい」と言ったからですか??
    ……ちなみにそれに対する直接的なアンサーは書かれておりません。
    ホラーテイストの短編もあって、ホラー小説が嫌いじゃない私にはそこそこに楽しめた1冊。
    でも一番怖かったのは(おそらく幽霊の話ではない)、「鏡の男」。なんでしょう、ラストのその先に幸せの欠片も見えないんですけど。

    全体通して、どうしてなかなか、結婚生活に明るさを見いだしにくい内容なのですが、なんというかこう負けないぞという気持ちにもさせられました。
    あと、結婚後にもしこんなこと言われたらどうしてやろう?ってシミュレーションもできました笑

  • 2022年03月20日読了。

  • 帯の説明と全く違うと思ってしまった。
    ホラーでした。

  • わたしたちが生きる過程で否応なく迫り来るライフステージ。
    その段階を踏むたびに、わたしたちは一旦死んでいるのかもしれないね。
    女性性が虐げられる様が怪談になってしまうということ自体怪談。
    老いても、呆けても、死んでも、わたしたちの怨念は消えず、花嫁衣装の美しさだけが最後に輝く。

  • 女性を主人公にした8つの短編集。
    どこにでもあるような女性にまつわる話だが、視点を変えると背筋がゾクっとなる怖い話になる。
    自分ではあまり気にならないことが、気になる人には気になるし、譲れないところでもあるんだなと思った。
    女性って、我慢する生き物なんだろうな。

  • 怖すぎて少し泣きました

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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