名探偵の生まれる夜 大正謎百景

  • KADOKAWA (2022年12月19日発売)
3.60
  • (33)
  • (78)
  • (85)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 1015
感想 : 84
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041114391

作品紹介・あらすじ

大正七年の秋、与謝野晶子は大阪で宙に浮かんでいた。夫である鉄幹と共に通天閣の足元に広がる遊園地「ルナパーク」を訪れたものの、夫の言葉に血がのぼり彼を置き去りにひとりでロープウェーに乗ったのだ。電飾まぶしい遊園地を見下ろし、夫婦というものの不確かさを嘆く晶子。そのとき突然ロープウェーが止まり、空中で動かなくなって……。(「夫婦たちの新世界」)

遠野には河童や山男など不思議なものがたくさん潜んでいるという。隣村を目指して朝もやの中を歩いていた花子は、「くらすとでるま…」という不思議な声を聞く。辺りを見回すと、そこには真っ赤な顔の老人がいた。かつて聞いたむかしばなしに出て来る天狗そっくりの老人から逃げ出そうとする花子だったが、今度は黒い頭巾に黒い蓑をまとった怪しい男から「面白い話を聞かせてくれないか」と尋ねられ……。(「遠野はまだ朝もやの中」)

ほか全8篇。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

大正時代の著名人たちが織り成すミステリー短編集で、実際の歴史と創作が巧みに融合しています。全8編からなる物語は、作家や芸術家、学者などの有名人が様々な事件に遭遇する様子を描いており、登場人物の豪華さが...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大正時代を舞台に、作家、芸術家、研究家、学者、活動家などの有名人たちが様々な事件と遭遇する8編。

    探偵志願の学生・平井太郎(江戸川乱歩)が日本に潜伏中のインド人活動家を探すミッションを受ける…「カリーの香る探偵譚」

    一時帰国した野口英世博士の前に現れたのは英世の娘だと名乗る美しい少女…「野口英世の娘」

    鈴木三重吉が芥川龍之介に児童向けに雑誌への寄稿を頼むために不思議な話を聞かせると乗り気でなかった彼が目を輝かせて…「名作の生まれる夜」

    島田抱月の死後明かされる、芸術倶楽部に造られた使われない階段の謎…「都の西北、別れの歌」

    など8編。

    かなりの短編なのでそれぞれの話はやや物足りなさもあるが、何といっても有名人たちが次々出てくるのが楽しい。有名人たちの背景をもっと知っていれば、実際のエピソードと物語との絡め方の妙も、もっと楽しめたかも知れない。

    個人的に興味深かったのは「渋谷駅の共犯者」。
    上野英三郎博士と言えば、忠犬ハチ公の飼い主というくらいの知識しかなかったが、農学博士としての顔も描かれていたのが新鮮で楽しめた。

    また最終話「姉さま人形八景」は、タイトル通り「姉さま人形」が次々人の手を渡っていく様を時系列を遡って描かれるので、発端がどこなのかを辿っていくのが面白い構成だった。
    発端は物悲しいものだが、最終的に山下清画伯によって美しく昇華されていくのが良かった。
    山下清と言えば『裸の大将』というあだ名を思い出すが、それもこの物語で上手く使われていて楽しかった。

    それにしてもこの時代は芸術も学問も百花繚乱、国としても時代としても成長期で面白い。

  • 8編からなる短編集
    大正から昭和を舞台にしたミステリー調

    とにかく登場人物が豪華すぎます
    文豪、歌人、学者、編集者
    実業家、活動家

    「名作の生まれる夜」と
    「姉さま人形八景」が好きかな

    史実と創作の融合が楽しめる作品です
    新宿中村屋の創業者
    相馬黒光さんを追っかけてみたい

    図書館本

  • 全8編からなる大正謎八景。
    大正時代に活躍した著名人が次から次へと登場し、実話なのか作話なのかわからないような不思議な短編集。
    なかでも8編目の「姉さま人形八景」は平塚らいてうから伊藤野枝まで登場してとてもおもしろい。
    江戸川乱歩の「カリーの香る探偵譚」も秀逸。

  • 大正時代に活躍した、文豪、活動家、学者に、実業者、
    と、オールスターが勢ぞろいのステージ(コメディ)を見ているよう。

    史実とフィクションと、ミステリーとの融合!

    ただただ、楽しかった!!

    松下幸之助の若かりし日の、素晴らしい推理。

    まさか、ハチ公が掏摸の共犯者に?

    山下清の貼り絵の中にこんな秘密が?

    中村屋のカレーパンの謎が解けた?

    とにかく、堅苦しい偉人伝を読む前に、
    興味を持つきっかけになるので、
    子供から大人まで、ぜひ読んでほしい!

  • 青柳碧人さんの小説『名探偵の生まれる夜』カバーイラストを手掛けました。 : 鳩山郁子ブログ「鳩小屋通信」/ Ikuko Hatoyama Official Blog.
    https://spangle2.exblog.jp/33097198/

    名探偵の生まれる夜 大正謎百景 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/404111439X/

    「名探偵の生まれる夜 大正謎百景」青柳碧人 [文芸書] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322102000162/

  • こ ん が ら が るー!
    最後の話、「姉さま人形八景」ー!
    え?…だから、あれ?
    となってしまった私は理解力が乏しい。
    でも嫌いじゃないなぁ、こういうの。
    いや、むしろ好きです。

    どこからどこまでが本当なのか。
    知識がないので、色々調べながらの読書でしたが、著名人がポッと出てくるのは、読んでいてとても楽しかったです。

    新宿中村屋創業者、相馬黒光さん素敵!
    野口英世さんはダメンズですネ〜(ちょっと知ってた)
    芥川龍之介さんは、写真から伝わる外見、アンニュイな雰囲気が想像通りでした。
    仕立て屋銀次、スリだけど渋い。

    面白かった。
    作者さん、「乱歩と千畝」の方ですね。
    いつか読んでみよう。

  • 大正を生きる文豪・著名人たち。
    さまざまな謎を彼らが紐解く短編集。

    ハチ公や松下幸之助、宮沢賢治など、誰もが知っている著名人を、実際のできごとと結びつけて謎解きにするなんて。
    ノンフィクションなのか?と思うくらい、お話としてとてもよくできている。
    存じ上げない人が出てきたときは、調べてその人生に思いを馳せた。
    そういう意味で二度楽しめたように感じる。
    宮沢賢治と南方熊楠のやりとりには、ほっこりした。
    やっぱり遠野は不思議なお話がよく似合う。
    そして、平塚らいてうがもう一度自分を奮い立たせるお話に私も気持ちを新たにした。
    明治時代を懸命に生きた女性たちの息づかいを感じられた。
    年末に読めてよかったと心から思った。

  • 大正時代をメインに偉人たちを描いた、ゆるくつながる連作短編集。

    メインになる偉人だけではなく、ほかにも実在した人物が多く登場。
    豪華な面々が絡んでいくストーリーが、コミカルで人情味があり、おもしろかった。

    謎解きはあるが、思ったよりミステリ要素は少なめ。

    探偵事務所にしつこく売り込みに来る、探偵小説愛好家。
    想像力豊かな平井太郎がコミカルな「カリーの香る探偵譚」が楽しかった。

  • 大正時代を彩った著名人たちが大集合の一冊。

    実際の逸話に著名人を溶け込ませ、ほんのり謎解きをも楽しませてくれる贅沢な時間を味わえた8篇はどれも甲乙つけがたい面白さ。

    名探偵が生まれ、名作も生まれるこの描き方は青柳さんらしいウィットに富んだ世界。
    ほんとうにこんな時間や絡みが…と一人、錯覚妄想に陥るほど。

    しかも主役に見える人物が決して物語を引っ張るわけではないのもナイス見せ技。

    まるで教科書では教えてくれない著名人の姿を知ってしまった気分になれたのも楽しかった。

    まだまだこの時代を味わっていたい、どストライク作品。

  • 歴史上の人物の共演そしてフィクションとノンフィクションのマリアージュがたまらない。

    「名探偵」とあるので、事件やハプニングの謎解きがメインかなと思いきや、どの物語も人情ストーリーでまとめられているハートウォーミングなお話ばかりの短編集。

    史実から想像を膨らまして、歴史上の人物同士の共演(実際は交友無かったかもだけど?)が実現してたりで明治大正時期好きの私にとってはもう、たまらんです。

    脇役のような人物がのちに大物になるアノ人だった、とか、序盤のお話から最後のお話が実は繋がってた、など、仕掛けも沢山あって楽しめました。

    個人的に好きな話は3つ

    ●新宿中村屋のカレー誕生秘話×若かりし頃の江戸川乱歩

    ●与謝野夫妻×松下夫妻 松下製品「二股ソケット」誕生秘話

    ●上野英三郎ハチ公×仕立屋銀次

  • 誰もが知っている文豪たちとその著書、プロフィールなどなどを元にしたほんのりミステリ、ほんのり不思議な短編集。
    個人的には少し読みにくい文章だったが、元ネタが有名なので内容的には分かりやすく、オチもすんなり入れた。導入がもう少し入りやすければと思うが、単に好みの問題かもしれない。

  • いやぁ、おもしろかった!
    楽しかった!!
    短編集なんだけど引き込まれて
    あっという間に読んでしまった。
    この人があの人?!
    とか、フィクションって分かってるのに
    えぇー!と驚く。笑
    まったく別のお話かと思いきや
    繋がっていたり、ひっそりでてきたり。
    前情報なにもなしで
    ただ表紙に惹かれて手に取った本だったから
    そこまで期待もなかったからか
    読後の満足感がめちゃくちゃあった。
    与謝野晶子のお話が好き。

  • 実在している人物が出てくる作品が好きなので楽しく読むことが出来た。
    特に好きだったのは野口英世の娘と渋谷の共犯者と姉さま人形八景。
    野口英世の娘にはいかにも詐欺な娘が登場し、一体どうなるのかと心配になったけど意外な人物が見事に撃退してスッキリ。
    渋谷駅の共犯者はHACHI約束の犬でハリウッドデビューを果たしたハチ公が登場。ある人物との連携プレーが素晴らしい。
    最後の姉さま人形八景はほんのりと切なさが漂うものの締めくくりにふさわしい物語だった。

  • 江戸川乱歩、野口英世、芥川龍之介、与謝野晶子、ハチ公、柳田國男、宮沢賢治、高村光太郎と智恵子、なんとも豪華な文豪たちの謎解きが含まれる大正時代の物語。子供の頃に野口英世の生家には何度か行ったことがあるので懐かしいけど、まさかこんなに浪費家だったとは知らなかった。伊藤野枝、平塚らいてう、松井須磨子などあの時代を強く逞しく美しく生きた彼女たちの壮絶な人生に胸を打たれた。謎を解くには話が短めでもったいなく感じたものの、功績しか知らない彼らがもしかしたらこんな人たちだったかも知れないと読んでいて楽しかった。

  • 青柳先生の本は基本的に読むようにしているが、『浜村渚』シリーズや『むかしむかしあるところに』シリーズなど先生得意の軽快なタッチが特徴的な作品とは異なり、久しぶりにしっかりとミステリーだなと思って読んでいて楽しかった。

  • 【収録作品】カリーの香る探偵譚/野口英世の娘/名作の生まれる夜/都の西北/別れの歌/夫婦たちの新世界/渋谷駅の共犯者/遠野はまだ朝もやの中/姉さま人形八景

    文豪たちが事件に挑む大正浪漫ミステリ。とのことだが、どちらかというと、文豪たちをモデルとした、ゆるくつながる短編集。
    探偵志願の平井太郎、野口英世と友人でパトロンの製薬会社社長・星一、芥川龍之介、島村抱月、与謝野晶子・鉄幹夫妻、忠犬ハチ公の飼い主・上野教授、宮沢賢治・南方熊楠・柳田国男、山下清・平塚らいてう、などを取りあげている。

    これも好みの問題だが、実在の人物をモデルとしたフィクションは相当注意深く書かないといけないと思う。それっぽく書かれてはいるけれど、こんなもん? という作者の思惑が感じられて(偏見)、違和感が残った。

  • 明治、大正、昭和の文豪たちが登場する短編リレー。
    どっぷりミステリーって感じではないけど、読みやすくてあっというまに読了。
    作り話だとしても文豪を絡ませた話は、元ネタを知ってるだけにその人の新しい側面を発見したみたいで面白い。
    また他の文豪での話も読みたい。

  • 青柳先生の『むかしむかしあるところに死体が…』シリーズが好きだったので、これも手にとってみました。『むかしむかし…』は昔話をもとにミステリーになっていたけれど、これは昔話のかわりに偉人が出てくるミステリーでした。
    組み合わせ的に、いかにもフィクションって感じだったけど娯楽小説として楽しく読めました。
    知ってる偉人が出てくると、もしかするとこんな感じのことがあったのかなぁ〜と妄想もできて楽しく読めました。

  • 大正時代の文豪たちを取り上げたミステリー短編集。ミステリー的な展開は少なめですが、誰もが知っているであろう名だたる文豪たちが繰り広げる展開は、これが大正浪漫なんだろうな思わせるユニークさもあって面白かった。短編集だが、連作風に鍵となる物もあり、文豪を取り巻く人々の繋がりにニヤリ。

  • 短編集

    一つ一つの短編は大したことないけど、

    登場人物を著名人にすることで
    背景やパーソナリティが見えてきて面白くなる
    “青柳マジック”

    昔話シリーズでは、
    それを逆手に取る手法が目立ったけど、
    これは割と印象に忠実だった

    短編で文字数が制限されているときは
    登場人物を著名人にすることで説明が不要になるんだな
    と勉強になった

    あと、

    短編の「都の西北、別れの歌」で

    やたら早稲田推ししてくるので、

    なんだコイツ早稲田出身か

    と思って著者プロフィールみたら
    やっぱり早稲田卒だったので冷めた…

全76件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青柳碧人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×