- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041114421
作品紹介・あらすじ
ときは文政、ところは江戸。武家の娘・志乃は、歌舞伎を知らないままに役者のもとへ嫁ぐ。夫となった喜多村燕弥は、江戸三座のひとつ、森田座で評判の女形。家でも女としてふるまう、女よりも美しい燕弥を前に、志乃は尻を落ち着ける場所がわからない。
私はなぜこの人に求められたのか――。
芝居にすべてを注ぐ燕弥の隣で、志乃はわが身の、そして燕弥との生き方に思いをめぐらす。
女房とは、女とは、己とはいったい何なのか。
いびつな夫婦の、唯一無二の恋物語が幕を開ける。
感想・レビュー・書評
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遥かに遠い出羽から嫁いだ志乃の夫は、若女形の燕弥。
芝居の事を何も知らない武家の娘と、
日常も女として生きる男の、行く末は如何に。
呼込み
一、時姫 二、清姫 三、雪姫 四、八重垣姫
幕引 主要参考文献有り。
時は江戸時代、文政の頃。
自分よりも完璧な女が夫として傍にいる。
カチコチの武家の娘の志乃が嫁いだ相手は、若女形の燕弥。
歌舞伎を知らぬ志乃が、奥役の善吉から教えられる演目と、
役者の女房である、悋気の塊のお富、芸に嫁いだお才との
交流で、芝居小屋の内情や燕弥の立場を知ってゆく。
変化するのは志乃だけではない。燕弥もまた同様に。
役者の女房とは・・・悩み、想い、成長してゆく姿が描かれる。
燕弥の演じる武家の女たちは志乃に影響を与え、変えてくれた。
怒涛のクライマックスの後の幕引はあまりにも呆気なかったけど、
ほんの一瞬の夢のような女房だったけど、
多分彼女は強く生きると思う。登場人物の女性たちのように。
それにいつでもあの人は、傍にいる。
季節の移ろいや人物の機微の描写の他、
匂い、香り、音、声、冷たさ等の五感の表現が印象的でした。 -
<予>
最初本の題名の意味が分からなかった。少し読み進めても変わらず分からなかった。「女房がおんななのはあたりまえだろぅ」などと思いながら、でもなんかどこで題名と結び付く話になっている筈だと深読みしていた。全体の1/3程を読んでやっと気づいた時には「なぁんだそのままの題名だったのね」と唖然としてしまった。まあそういうものだ。
本作 主役 おんなの女房志乃の姿かたちがどうやっても僕の頭の中でハッキリとした像を結ばない。なぜかと云うとその貌や風体についての記述が無いからである。武士の娘 とあるだけ。普通は事細かくではなくとも少し位は何か書かれている筈なのにである。こういうことは僕ら読み手はあらためてこうやって思って書いてみないと気づかなかったりするものだ。
さてここで僕の話はいつも通り脱線するが、主役なのにその風貌風体について一切かかれてない有名人がいる。それは小説『隠蔽捜査』(今野敏著)の主役神奈川県警刑事部長竜崎警視長である。身長とか痩せ型とか太り獅子とか貌の造作とかが一切書かれていない。で、残念な事にこの今野敏のベストセラー小説は既にテレビドラマ化されてしまっていてそれを観た方はその役者の人相風体が思い浮かんでしまうのであろう。僕は観ていないしこの先も観ないのですこぶる嬉しい。というか僕はここ15年ほどはテレビそのものをほとんどは観たことが無いのであるが。
本作の感想に戻ろう。「秀作だと思う。作者がとても若いなぁ僕はついてゆけるかなぁ,と思った。が,計算してみると作者蝉谷めぐ実は既に40歳なのである。これは蝉谷が若くないのでなくて僕が年を取ってしまったという事なんだ とあらためて気づいた。そして僕は著者の前作『化け物心中』を読む決心をしたのであった。すまぬ。 -
女性よりも女らしい女形と結婚した武家の娘の話。
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書評をみて読みたいと思っていた。
恋愛小説、女の成長物語。終盤の志乃の母親の登場は強烈。女房もまた舞台に上がる役者と同じ覚悟を持ついうことか。 -
去年のデビュー作『化け物心中』でファンになった蝉谷めぐ実。待望の2作目に、まさに「よ、待ってました!」と大向うをあげたい心境。
このたびのお話も切ない。
「女形でいたい」という燕弥の思いに、どうにか応えようとする志乃ちゃん。必死に燕弥を支える姿は、危なっかしくも愛おしい。
どうあることが二人の幸せなのか、志乃ちゃんと一緒になって走りながら悩んでいるような読書体験だった。
ただただ、切ない。
◆いちまろの感想・レビュー『化け者心中』 #ブクログ
https://booklog.jp/users/ichimarobooks/archives/1/4041099854
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図書館より。
さらりと。
化け物心中を読んで、気になったので。
独特。でも、惹き付けられる。
そんか作風かな。
好みは割れそう。 -
下級武士の娘の志乃が、歌舞伎の女形の燕弥の元へ嫁ぐ。夫のために尽くし、夫を理解しようと務めるがうまく噛み合わないことだらけ。お富、お才という歌舞伎役者の妻も登場し、彼女らの夫とのあり方もそれぞれ違う。彼女らのとの付き合いを通しながら「歌舞伎役者の妻」に近づこうとするがこれがまた思うようにはならず。
「〇〇の妻」などと形に入ろうとうると楽な面もあるかもしれませんが、窮屈になるかもしれない。みんなそれぞれ、夫婦のあり方は違う。しかし芸の道の妻は大変なんだな・・・。-
デビュー作『化け者心中』で文学賞三冠! 歴史時代小説の気鋭・蝉谷めぐ実さん第二作『おんなの女房』刊行記念インタビュー! | カドブン
htt...デビュー作『化け者心中』で文学賞三冠! 歴史時代小説の気鋭・蝉谷めぐ実さん第二作『おんなの女房』刊行記念インタビュー! | カドブン
https://kadobun.jp/feature/interview/entry-45190.html2022/03/03
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著者プロフィール
蝉谷めぐ実の作品






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