ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選 (角川ホラー文庫)

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 135
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115220

作品紹介・あらすじ

日常の中にふと忍び込む死の影、狂おしいほどの恋に潜む崩壊の予感、暗闇に浮かび上がる真っ白な肌……。著者が紡ぐ美しくも恐ろしい世界を、エッセイから小説まで見渡して厳選した、これまでにない傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 至福のひととき、の一冊。

    怪奇譚傑作選とあって、さすがのうっとりするほどの粒ぞろい。
    エッセイから始まる構成も良い。まるで静かで幻想的な世界への招待状だ。

    いざなわれた数々の怪奇譚は静けさをベースにしっとりと読ませてくれるのがたまらない。

    物語の中に流れている現の時間に違和感なく溶け込んでいるかのような不思議な時間。

    それが時に哀しみを携えながら、自然と自分の時間に沁み入ってくる感覚は至福のひととき。
    これに尽きる。

    著者あとがきもまた読ませてくれる。

    なるほど。「律子慕情」がふと、小池さんの心に遊びに来たに違いない。

  • 怪奇と幻想は一つになるのだなぁと読みながら思っていました。

    あの世とこの世の幽世を隔てるのは何なのだろうなぁとも。

    ですが、ここで読んだ懐かしい光景は怖いというよりも郷愁を呼ぶものでしたね。

    こういう作品は大好きです。

  • 新潮社2005年10月闇夜の国から二人で舟を出す:霊の話、青春と読書2014年8月号(No.457) 死者と生者をつなぐ糸、河出書房新社1997年8月命日:現世と異界—その往復、集英社1998年1月律子慕情:恋慕、花車、慕情、祥伝社2001年4月午後のロマネスク:ふしぎな話、夏の雨、年始客、旅路、声、小説新潮1995年8月号水無月の墓、新潮社2004年6月夜は満ちる:やまざくら、の3つのエッセイと10の短編を2021年11月角川ホラー文庫刊。見える人の家系の小池さんの話が興味深い。ただ、同じような話が続く。それでも、やまざくらのラストには、はっとさせられた。

  • 律子さん連作は、あれ?これどこかで?と思いながら読んでいたが、著者自身があとがきで書いているように、『神よ憐れみたまえ』の原型と言えるね。

    どれもよく出来ていると思うけれど、『恋慕』『年始客』『やまざくら』あたりが特に◎。

  •  2021年刊、文庫オリジナルのホラー短編アンソロジー。2001年から2017年に発表された作品が収められている。
     冒頭の3編はエッセイである。著者の母親が霊感の強い人だったそうで、著者自身も幾らか霊感があり、何度も霊を見る体験があるとのこと。なるほど、それで幽霊の出てくる物語を多く書いてきたのかと納得。
     続く「恋慕」「花車」「慕情」は『律子慕情』なる単行本に収録された連作で、主人公律子の霊体験を、幼女時代からの成長に伴って描いている。この3編が、とても良い。一般的にこれは「ホラー小説」なのか?という疑問もあり、「恐怖をメインとした小説」という定義からは外れ、普通小説としての滋味を持って物語が進む末に、最後に故人の幽霊が出現する。その故人は主人公にとって親しい人々で、遺恨を遺して死んだわけでもないから「うらめしや」ではなく、生者への優しい愛惜を持って立ち現れるのだから、ほとんど怖くない。怖いホラー小説ではないが、怪異小説と呼ぶなら当てはまる。しかしそれよりも普通小説として「良い作品」だと思う。読んだことはないが、小池さんは恋愛小説を多く書いてきた作家なので、さすが、恋愛体験の細かな機微を巧みに描いている。
     掌編小説も何編か入っているが、ちょっとしたスケッチといったところか。小池さんは川端康成の『掌の小説』を愛読しているそうだ。
     ホラー小説らしく恐ろしい物語を紡いでいる時も、作者の文体は淡々としていていたずらに情動に揺れることは無い。特に文学的に優れた表現は見当たらないが、改行が多すぎることも無く、地味ながら却ってホラーの味わいを際立たせて効果的である。その点、こんにちの他のホラー作家の作品よりもぐっと優れている。
     普通小説の味わいを持ち、ふつうに優れた短編小説の入った、良い作品集だった。
     

  • 小池さんのホラー系は好きでだいたい読んでる。既読でも短編集が出たら読みたくなる。この本も全部既読かなと思ったらエッセイは未読で嬉しかった。著者は小さい頃から不思議な怖い体験がある事を知る。そして著者の母親が霊感がある人だということも。だから小池さんのホラーはリアリティーがあったりするんだと納得。登場する霊が哀しい、寂しい感情をまとっているのも特徴かな。

  • 2022年、31冊目です。

  • 美しいホラーを始めて味わった。
    ひたすら恐怖を感じる作品も良いが、たまにはこういったものに手を出したみるのも悪くないと感じた。

  • 小説のみならずエッセイも収録された怪奇譚傑作選。小池真理子さんの短編ホラーって結構読んでる……って思っていたのですが。「律子慕情」「午後のロマネスク」って、ただの恋愛小説だと思って完全に読み逃していました。不覚。
    特に「律子慕情」に収録されている「恋慕」「花車」「慕情」が素敵。死者の霊が登場するのでホラーとは言えますが、全然怖くないの。むしろこういう現れ方ならしてほしいと感じてしまいます。どこまでもさりげなく現れ、ただただ見守りそして消えていく愛おしい死者の姿がこれほどまでに静謐に描かれている作品ってなかなかないのでは。そして最近「神よ憐みたまえ」を読んだところなので、そちらとの符合にも「おっ」と引っかかりました。
    一番怖いと思えたのは「声」。これ、幽霊なんて出てこないのにね。とても気持ち悪くて怖い物語。そしてまっとうに幽霊が出て怖い「水無月の墓」「やまざくら」も絶品。だけどこれらは怖いだけではなく、ひどく淋しい物語でもあるのですね。読後感がひたすらに切ないです。

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著者プロフィール

1952年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社勤務を経て作家に。89年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)、96年『恋』で直木賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞、21年に第25回日本ミステリー文学大賞など、数々の文学賞を受賞。著書に『間違われた女』『会いたかった人』(祥伝社文庫)ほか多数。

「2022年 『追いつめられて<新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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