- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041115244
作品紹介・あらすじ
《鵺》によってゲームを持ち掛けられた伊織。それは期限までに「小鳩ひろむ」を伊織と青目で奪いあい、奪い取れたほうが勝ちという、悪趣味すぎるものだった。青目と、父である《鵺》との最終対決が始まる!
感想・レビュー・書評
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妖奇庵夜話シリーズ、第9作にして最終巻…
読み切ってサブタイトルの意味を、涙とともに噛みしめる…
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「おまえにすべて差し出せたらと思うんだがーそれはもうできない。
したくてもできない。この身体も、命も、記憶も感情も、自分のもののようで、実のところそうではないからだ。自分が自分であるためには、どうしても他者が必要で、そうやって人は生きている。よくも悪くも他者の影響はあまりに大きく、この身に食い込み、外せない。自分から過去を切り取れないのと同じように。」
(5ページ)
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“鵺”が、青目と伊織にゲームを提案してきた。
弁護士の小鳩ひろむを、青目は奪う、伊織は守る、そんなゲーム。
しかし、あの事件以降、脇坂刑事は未だ目覚めない。
Y対は解体され、鱗田刑事も動けない。
動けるのは伊織、夷、マメ、甲藤のみ。
“鵺”の、本当の狙いとは…?
そして青目は、なにを欲し、なにをおもうのか…?
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ついにきました、最終巻…
冒頭から26ページまでで、8巻までの事件がうま〜くまとめられ、9巻における状況を再確認できるようになっていました。
今回は事件そのものの推理、というよりも、それを通してのそれぞれの胸中の推理に、重きが置かれています。
そのため、謎解き推理ものとして読むと、いささか物足りなくなってしまうのではないでしょうか。
口を開けばネタバレになってしまうこの状況下…書けることは少ないのですが、なんといいますか、最終巻にしていや最終巻だから?!こその、二転三転するそれぞれの真相が、まさに“凄絶”でした。
※凄絶(せいぜつ)→息をのむほど、すさまじい様子。
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表紙絵は横顔の伊織、そして手だけの青目ですが、この表紙を見たときに「なんで伊織、横顔なの??しかもなんか、髪型の雰囲気、違くない??」と違和感がありました。
しかし、最後まで読んであらためて表紙を眺め…「そういうことだったのか…」と納得…、そして涙。
それでも☆3つとしたのにはいくつか理由があります。
まず、“鵺”という人物が、おもったよりもあっさりしていたこと、そして“鵺”がその最終目的になぜ至ったのかが今ひとつ腑に落ちなかったこと。
そして“鵺”との最終対決のシーン。
その結末は“わかる”けれども、それによって目には見えない傷を負った人がいるという、事実。
また、ラスト近くで青目についての発言に、一部伊織が言い淀むシーンがあるのですが、その理由が未だに推測できないこと(266ページ)。(←どなたか考察お願いします(汗))
そして青目の、“今”は…??
推測しきれない謎を含んだまま、物語が終わってしまったこと、そして過去の番外編は書けても、この最終巻の先をえがく物語は、出ないだろうということ。
だからこの謎は永遠に謎のままであり、永遠にこたえを得られない…
知りたい気持ちと、それ以上知ってどうなる?という気持ちとのせめぎ合いが、苦しい終わりになりました。
そして、その状況を“理解”はできても、やはり様々な人たちが追った“傷”の重さ、深さをおもうと、他に道はなかったのだろうか…と考えてしまうのでした。 -
シリーズ9作目。前作で脇坂さんと夷さんが負傷し、緊迫した状況のまま始まった今作。
2人とも命に別状はないものの、重苦しい雰囲気が漂うなか、鵺から伊織にある“ゲーム”が持ち掛けられる。
シリーズ開始から10年余りでついに完結。
兄伊織に執着する青目が、兄の気を引きたいがために事件を引き起こす、という構図が定番となっていたけれど、作を追うごとに、青目の過去を知るごとに、青目をただ悪と思えなくなってきていた。その思いは、鵺の登場によって、ますます顕著になる。
やっぱり最後まで伊織は真っ直ぐで優しくて強い人だった。”家族”である夷さんやマメのことはもちろん、たくさんの人を傷つけ殺してきた青目のことも、弟として放ってはおけなくて、自分一人で背負ってしまうところが、痛々しくて哀しい。
ここ数作、重い話が多かったので、“本編完結”という言葉を信じて、次はほのぼのとした妖奇庵の面々の話に期待したい。 -
最終巻?
鵺の最期があっけなかった感
青目の落とし所は心情展開的にそうかって納得しつつも、できれば伊織に傷をつけないでいてほしかった
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終わってしまった(/ _ ; )
よかった…ホントよかった…
もうラストのシーンが明日美子先生の美しい絵で脳内駆け巡りました\(//∇//)\
青目がどうなったか…読者の思うようにどうぞな終わりかた?
番外編?後日談?なんでもいい楽しみです♪
もう☆5つしかないのが残念です笑 -
終わってしまった!
なんて壮絶な物語だったのだろう。
読んでいて結構痛いし、グロい部分もあるんだけど伊織の柔らかいはんなりとした口調と、脇坂のキャラのおかけで、それを感じさせない。
登場人物がみな、それぞれ魅力を持っていて何度も読んでも飽きない。
あれだけ恐ろしい青目でさえ、鵺と比べると可愛く思えるほどだ。
青目にはバックグラウンドもあるし、伊織への執着もなんだか切ないんだけど、鵺は根っからの怪物だった。
ハッピーエンドで良かった。
著者プロフィール
榎田ユウリの作品





