それでも空は青い (角川文庫)

  • KADOKAWA (2021年11月20日発売)
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感想 : 75
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115305

作品紹介・あらすじ

「うん」「いや」「ああ」しか言わない夫に、ある疑いを抱く妻。7歳年上バツイチの恋人との間にそびえる壁をどうにか飛び越えようと奮闘するバーテンダー。子どもの頃から築きあげてきた協力関係が崩壊の危機を迎える双子。外ではうまく喋れずに、じいちゃんと野球の練習ばかりしている小学生……。
すれ違ったりぶつかったり、わずらわしいことも多いけれど、一緒にいたい人がいる。人づきあいに疲れた心に沁みる7つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • いろんな雰囲気の話が7作集まった短編集。
    荻原さんの作品はいくつか読んだけれど、系統がちょっと違うものもあって面白かった。

    「あなたによく似た機械」は、夫は実は機械なんじゃないかと疑う妻の話。
    もしかして・・・と思ったらやっぱり。不気味だけど、近未来的な気もする。将来ありえてしまうのでは?と思ってしまった。

    「ダブルトラブルギャンブル」は、幼い頃からずっと協力しあってきた双子の関係が、同じ人に恋をしたことで崩れていくという話。
    面白い設定・展開だなと思いながら読んだ。
    身近にいる双子から、双子で互いに同じ人を好きになったという話を聞いたことがあるけれど、そういうのってよくあるのかな?

    「人生はパイナップル」が一番好きな話だった。
    外ではうまく喋れない少年と、戦争を経験した祖父の話。切ない。
    野球を通して、戦争の話をはさみながら大切なことを教えてくれるじいちゃん。じいちゃんのパイナップル嫌いの理由がまた切ない。
    「じいちゃん、やっぱり、好きなことと、うまくいくことは違うみたいだ。」
    このへんは、荻原さんの『僕たちの戦争』で感じたあたたかさ、切なさと似てるかも。


    「「だが、輪はつながってもいる」
    「どゆこと?」
    「答えは自分で考えろ」」

  • 読みやすい7つの短編が入った1冊で、どの話もなんだか心にすっと染み渡る不思議な感じがした。
    これは、1度ではなく2.3回読むことで読むたびに違う感想を持ちそうだなと思った。

  • 好きなタイプの本。
    みんなけして上手く人生を渡れていないけど、そこからまた何をしていこうか動き出す姿に共感出来る。
    短編集の中でも人生はパイナップルのお爺さんのお話が1番好き。理不尽な時代を生きてそんな中であきらめたり失敗してもまた新しい事を始めて最後まで生きていく。華やかではなくてもかっこいい人生とはお爺さんのような生き方なのかも。

  • 感想
    短編集7話。やっぱりもう少し長い話の方が荻原浩の良さが出るかなぁ。

    あらすじ
    短編7話で構成された本。印象に残ったのは、自分の夫をロボットじゃないかと疑う妻が実はロボットだったという話。

  • 人の心の動きって…目に見えないけれど、いや…目に見えないから…面白いのかな。切なくもあり、あたたかくもある7つの物語だ。

  • よくここまでいろんな幅の小説が書けるなぁと感心してしまった。しかも読後感がなんだかどれも心に入り込んでくる、というか。
    内容的にはそうでもないのになんだか後ろを向いていた自分の気持ちを前に向かせてくれるような作品達であった。
    文庫版の最後の中江有里さんの解説がまさに言い当てていて、小説読み終えて後に解説読んで、ウンウンと何度も頷いてしまった。

  • 短編集なんだけど、特に3話目の「あなたによく似た機械」が、思っていた展開と全く真逆になったのが新鮮だった。5話目の「君を守るために、」も、解決したと思ったら、もっと伏線があって、しかもどちらもスッキリ解決して気持ち良かった!
    野球にからめた短編が多かったけど、どの短編も、いいお話だった。

  • 短編集でかなり好きな部類の作品でした。同作者の直木賞のより好き。
    ジャンルバラバラなので、7冊の本を読んだ後みたいな感覚。その分、読むのもスローペースになりました。
    牛男の話が一番好き。
    日常の延長みたいな話を続けた後に変化球、ちょっと凝った文体の話を挟んで、最後は正統派。構成も好きでした。

  • 七つの短編集。全てが題名に絡む訳でもない様でしたが、空が青過ぎると何故悲しい気持ちになるのか、と共感できる篇もありました。

    「人生はパイナップル」
    戦時を生き抜いた人の言葉は重く、伝わりにくくても説得力がある。やはり命懸けだったからでしょうか。想像でしかわかりませんが、ずっしりときます。
    高校最後の試合で聞こえた、じいちゃんの声は生前交わしたもの。状況は違っても必死という言葉が迫ってきました

    自分のことは自分で決めろ。失敗しても後悔はしない。
    じいちゃんの人生から奏太に伝わり、今に至っていることの繋がりが気持ちよく感じました。

    他の篇も多彩で、「君を守るために、」もコメディと思いきや、最後少し怖いホラーでした。

  • 途中ちょっとこわいなと思ったけど
    続きが気になって読み続けて
    双子の話でいいなと思って
    パイナップルもすごくよかった。

    これまで読んだ荻原さんの本とは
    なんか感じが違う気がして新鮮だった。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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