検事の信義 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2021年10月21日発売)
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115428

作品紹介・あらすじ

検事・佐方貞人は、亡くなった実業家の書斎から高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男の裁判を担当していた。被告人は実業家の非嫡出子で腕時計は形見に貰ったと主張、それを裏付ける証拠も出てきて、佐方は異例の無罪論告をせざるを得なくなってしまう。なぜ被告人は決定的な証拠について黙っていたのか、佐方が辿り着いた驚愕の真相とは(「裁きを望む」)。
孤高の検事の気概と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 著者の代名詞作品である佐方貞人シリーズ4作目。『罪はまっとうに裁かれなければならない』ザ・モットーである検事時代の4話短編集。

    中山七里の御子柴礼司シリーズ4作品連読からの柚月裕子の佐方貞人シリーズ作品。贅沢とリーガルが過ぎる。

    検事作品としては3作品目。
    彼の愚直に真実を追い求める姿は、色褪せない。
    そして、上司の筒井、事務官の増田と言った味のある登場人物も見どころの1つであろう。

    そして何よりも本作中「正義を質す」では、柚月裕子ファンとしては興奮の思わぬ人物が登場する。

    中山七里の作品でもあったが、著者が他作で命を授けた人物が、作品を跨いで登場した時の感動たるや否や、わや、ありがたや。

    がしかし、私はやっぱり弁護士・佐方貞人が1番好きだ。最後の証人は未だ感動の名作である。

    ちなみに本筋と関係は無いが、佐方シリーズを読むと無性に煙草が吸いたくなる。過去、超ヘビー&チェーンスモーカーだった私も今日で禁煙4年9日目。

    佐方シリーズ同様、私の禁煙・禁酒も末長く続きますように。

  • 古本で買ったせいかタイトルに4が付いていなかったのに、登録の時にシリーズ4と気付く。主人公の佐方検事に記憶があり、どれかを読んだはずなのに思い出せない。
    短編集だが、どれも問題無いとされた事件を佐方検事の独自の嗅覚で調べ直ししたもの。そのため、同僚、先輩、上司に恨まれている。直属上司が理解があり、何とか首が繋がっている。疑問を持つと突き進む。最後は真実を掴み取る。
    最後の第四話が圧巻だった。誰も問題視しなかった逃走時間から被告への違和感を感じ、調べ直す。こういう検事が居たなら、袴田事件のような冤罪も無くなるだろうなと思う。

  • 面白かった
    佐方貞人シリーズ第四弾。前作同様、短編連作の物語
    まっすぐで融通利かない主人公の佐方
    この人の上司は辛いなぁっと思います。
    しっかりと見守りサポートする上司の筒井はすごい(笑)

    ■裁きを望む
    亡くなった資産家の高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男。
    自ら起訴を望むような行動をとりながら、結局は無罪論告することになります。
    被告人は決定的な無罪の証拠をなぜ黙っていたのか?
    事件そのものの真相は?
    事件の裏側にあった真相が驚きです!
    そう来たかって感じ!

    ■恨みを刻む
    覚せい剤所持で逮捕された案件。しかし、逮捕に結びついた主婦の証言に疑問を抱いた佐方が事件を追及していきます。
    そこには担当刑事の不正が..
    そして、最後、その裏にあった真相に唸らされます。

    ■正義を質す
    広島に帰った佐方。友人と一献のつもりが、広島でのヤクザの抗争を阻止する為、今の案件の容疑者を保釈を求められます。
    ヤクザの抗争から市民を守る正義。
    罪をまっとうに裁かせる正義。
    それぞれの正義が語られます。
    佐方はどうするのか?

    ここでは、狐狼の血で出てきた日岡も登場!

    ■信義を守る
    認知症の母親を殺害した男の案件に疑問を持った佐方。
    刑事部検事と軋轢になることを知りながらも、再調査することに。
    これを許可する上司の筒井はすごいです(笑)
    そして、事件の真相にたどり着きます。

    それぞれの物語を通して感じられる佐方の信念。
    どこまでも貫き通すまっすぐさが心打たれます。

    お勧め

  • シリーズ4

  • シリーズ第4弾!
    ぶれへんな〜
    相変わらず、佐方さん、愚直に真実を追い求める。
    それが、検察機構を揺るがすことになっても!
    「検事の責務は、罪をまっとうに裁かせることだと思います」って言いきるだけの事はある!立場とか組織の事情なんな関係ない!
    こういう態度が、日頃、色々、辛い目に会ってる一般の勤め人の1人としては、何か憧れてしまう〜
    出来んからね。なかなか(−_−;)
    思ってはいても!
    私なんか、ぶれまくりで…グラグラやし…(^◇^;)
    今回も楽しませて頂きました〜

    他の人の感想読んでると「狐狼の血」の面子が出ていると!
    読んでないのに!ポチッ(^^;; (購入ボタン…)

  • 今月に入り佐方シリーズ第2作〜第4作となる本作までを読み終えました。

    本作「検事の信義」はシリーズ第3作を読み終えた時点では未購入でしたが、思わずポチッとしちゃいました。

    正直な感想を述べると前作までと比較するとなぜか少し物足りなさを感じ、純粋な評価としては☆4つ。

    なのに☆5つの評価をつけたのは...ドハマリした「孤狼の血」シリーズの日岡をはじめとする主要登場人物が本作でちょこっと顔を出したからに違いありません。

    いやぁ、まさかまさかのサプライズ、友情出演枠って感じですかねー。

    愚直、これ以外に表現する言葉を知りません。

    そんな佐方貞人の物語。

    続編を楽しみに。




    説明
    内容紹介
    孤高の検事の気概と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー!

    検事・佐方貞人は、亡くなった実業家の書斎から高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男の裁判を担当していた。被告人は実業家の非嫡出子で腕時計は形見に貰ったと主張、それを裏付ける証拠も出てきて、佐方は異例の無罪論告をせざるを得なくなってしまう。なぜ被告人は決定的な証拠について黙っていたのか、佐方が辿り着いた驚愕の真相とは(「裁きを望む」)。
    孤高の検事の気概と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー!
    著者について
    ●柚月裕子:1968年、岩手県生まれ。2008年、『臨床真理』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリ作家の一人。他の著書に『最後の証人』『検事の死命』『蟻の菜園‐アントガーデン‐』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『盤上の向日葵』などがある。

  • 佐方貞人シリーズ
    検事の佐方さんの短編集。
    米崎検察で刑事担当から判事に。
    事務官の増田さんの視点だった。
    「まっとうに罪は裁かれるべき」
    裁判にあたり、内部や周囲の軋轢も辞さずに事件を捜査する。事実と真実は別、という。
    そこで判明する繊細な事実の数々。それにより判決も変わる。ただ罪をまっとうに裁くために佐方さんは足を運び人と会い、話を聞く。
    佐方さんの誠実な仕事ぶりに思わず姿勢が良くなる気持ち。事件に隠れた人の汚さや苦しみ、悲哀、それから優しい心情。
    本当にこういう検察官ばかりなら、世の中はきれいになるかもしれない。
    これと言って激しいアクションもホラーもないが、とても読み応えがある。嬉しい1冊。

  • 佐方貞人シリーズ第4弾。
    「狐狼の血」の登場人物が出てきてびっくり。
    一癖も二癖もある事件に佐方が公判部の検事として挑む。罪をまっとうに裁かせる、これが如何に難しいか。困難に立ち向かいながら進んでいく佐方に今回も心に響く。

  • 愚直な生き方
    ヘビースモーカー
    裏金
    認知症
    まっとうに裁かせる


    佐方貞人シリーズ第4弾
    事件毎の短編(中編)になってます
    やっぱり引き込まれて、あっという間に読了
    バラバラな印象の証拠や証言、動機、背景が
    佐方検事の中でパズルのピースのように
    カチッとはまる瞬間
    シビレます

  • これまでより少し薄味ですか?
    それとも柚月裕子さんの味に慣らされて麻痺してしまったのかも知れません。
    孤狼シリーズの日岡の関わり方が程よい感じです。
    安易に対峙させてしまうと、これまでが台無しになりかねないですから。
    とりあえずは、ここまでなのですね。
    気を長くして待っていますので、柚月裕子先生、また佐方貞人の物語をお願いします。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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