- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041115428
作品紹介・あらすじ
検事・佐方貞人は、介護していた母親を殺害した罪で逮捕された息子の裁判を担当することになった。事件発生から逮捕まで「空白の2時間」があることに不審を抱いた佐方は、独自に動きはじめるが……。
感想・レビュー・書評
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著者の代名詞作品である佐方貞人シリーズ4作目。『罪はまっとうに裁かれなければならない』ザ・モットーである検事時代の4話短編集。
中山七里の御子柴礼司シリーズ4作品連読からの柚月裕子の佐方貞人シリーズ作品。贅沢とリーガルが過ぎる。
検事作品としては3作品目。
彼の愚直に真実を追い求める姿は、色褪せない。
そして、上司の筒井、事務官の増田と言った味のある登場人物も見どころの1つであろう。
そして何よりも本作中「正義を質す」では、柚月裕子ファンとしては興奮の思わぬ人物が登場する。
中山七里の作品でもあったが、著者が他作で命を授けた人物が、作品を跨いで登場した時の感動たるや否や、わや、ありがたや。
がしかし、私はやっぱり弁護士・佐方貞人が1番好きだ。最後の証人は未だ感動の名作である。
ちなみに本筋と関係は無いが、佐方シリーズを読むと無性に煙草が吸いたくなる。過去、超ヘビー&チェーンスモーカーだった私も今日で禁煙4年9日目。
佐方シリーズ同様、私の禁煙・禁酒も末長く続きますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった
佐方貞人シリーズ第四弾。前作同様、短編連作の物語
まっすぐで融通利かない主人公の佐方
この人の上司は辛いなぁっと思います。
しっかりと見守りサポートする上司の筒井はすごい(笑)
■裁きを望む
亡くなった資産家の高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男。
自ら起訴を望むような行動をとりながら、結局は無罪論告することになります。
被告人は決定的な無罪の証拠をなぜ黙っていたのか?
事件そのものの真相は?
事件の裏側にあった真相が驚きです!
そう来たかって感じ!
■恨みを刻む
覚せい剤所持で逮捕された案件。しかし、逮捕に結びついた主婦の証言に疑問を抱いた佐方が事件を追及していきます。
そこには担当刑事の不正が..
そして、最後、その裏にあった真相に唸らされます。
■正義を質す
広島に帰った佐方。友人と一献のつもりが、広島でのヤクザの抗争を阻止する為、今の案件の容疑者を保釈を求められます。
ヤクザの抗争から市民を守る正義。
罪をまっとうに裁かせる正義。
それぞれの正義が語られます。
佐方はどうするのか?
ここでは、狐狼の血で出てきた日岡も登場!
■信義を守る
認知症の母親を殺害した男の案件に疑問を持った佐方。
刑事部検事と軋轢になることを知りながらも、再調査することに。
これを許可する上司の筒井はすごいです(笑)
そして、事件の真相にたどり着きます。
それぞれの物語を通して感じられる佐方の信念。
どこまでも貫き通すまっすぐさが心打たれます。
お勧め -
シリーズ第4弾!
ぶれへんな〜
相変わらず、佐方さん、愚直に真実を追い求める。
それが、検察機構を揺るがすことになっても!
「検事の責務は、罪をまっとうに裁かせることだと思います」って言いきるだけの事はある!立場とか組織の事情なんな関係ない!
こういう態度が、日頃、色々、辛い目に会ってる一般の勤め人の1人としては、何か憧れてしまう〜
出来んからね。なかなか(−_−;)
思ってはいても!
私なんか、ぶれまくりで…グラグラやし…(^◇^;)
今回も楽しませて頂きました〜
他の人の感想読んでると「狐狼の血」の面子が出ていると!
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柚月裕子『検事の信義』角川文庫。
検事の佐方貞人を主人公にした連作短編4話収録のシリーズ第4弾。
検事としての正義を貫くために自らの信念を決して曲げず、闘い続ける佐方貞人。いずれの短編もずしりと重い。
昨今は本当に真っ直ぐに生きることが難しくなったと思う。全うに生きていても余り良いこともなく、苦しいことの方が多いように感じる。良い思いをするのは何時も悪い奴等ばかりなのだが、真っ直ぐに生きることの意味をもう一度考えてみたい。
『第一話 裁きを望む』。ミステリーとしての面白さと検事も組織という枠組みの中で行動しなければならない普通の人間であることを認識させてくれる快作。佐方貞人が異例の無罪論告をせざるを得なかった窃盗事件の裁判を巡る物語。佐方はもう一度事件を調査し、被告人の無罪を証明する証拠を確認するが、何故か被告人の証言に違和感を覚える。
『第二話 恨みを刻む』。正義を貫くことの難しさとそれに伴う過酷な試練を描いた短編。昨今、コンプライアンスなどと流行りに乗る組織は得てして、正義を貫くことを善しとしないのだ。覚醒剤取締法違反の罪で送検された男の逮捕の経緯に疑問を抱いた佐方は……
『第三話 正義を質す』。佐方の正義と組織の正義は永遠に交わることはないのか。佐方は検察仲間の木浦から年末に宮島の旅館への宿泊の誘いを受ける。木浦は付き合っていた女性から婚約を解消されたと言うが、実は佐方を誘わざるを得ない理由があった。何と面白いことに『孤狼の血』『凶犬の眼』に登場した日岡秀一がゲスト出演する。
『第四話 信義を守る』。やりきれなくなるほど悲しい事件の真相。85歳の認知症を患う母親を殺害した息子の事件に違和感を覚えた佐方。あくまでも真実を追求しようとする佐方……
定価748円
★★★★★ -
検事・佐方 貞人の活躍を描くシリーズで、『裁きを望む』を含む4篇の中編。
・裁きを望む
・恨みを刻む
・正義を質す
・信義を守る
特に、『信義を守る』の最後の裁判官の言葉にウルウルしました。
『人間は、誰もが同じ場所に行き着きます。地位がある人も無名な人も、裕福な人も貧しい人も、みな同じです。』
『あなたもいつか、必ずお母さんに会えます。その時まで生きてください。』
最近、郷里の父を亡くしたのですが、この言葉が自分の心に深く深く響きました(涙)。
なお、解説を読むと、作者の柚月さんは、東日本大震災で父親を亡くし、何度も郷里へ足を運びついに遺骸と対面すると言う劇的な体験をしているそうです。
そうした体験も、この小説の佐方検事の信念のバックグラウンドになっているのかも知れませんね。 -
佐方貞人シリーズ第四弾。4つの短編からなるリーガルミステリー。第三話では『孤狼の血』の日岡刑事が登場。本作も十分面白かったが、対決する相手の悪役度がそんなに高くなかったので、星4つ。
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色々な心理や事情があるなか 気になる事を追究し、真実にたどり着く。信頼できる上司も良いです。
涙もろく 4話の昌平さんの母親に伝えたい言葉に泣かされました。
佐方シリーズ一気読み 短編で空いた時間に読むことができました。
著者プロフィール
柚月裕子の作品






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