- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041115473
作品紹介・あらすじ
一年にたった一度の逢瀬。それだけを楽しみに機を織りつづける織女の緋浅は、自分たちを縛る「罪」の託宣の違和感に気づき、恋人の牛飼いに天の川を下って逃げだそうと提案する(「ながれゆく」)。他3編。
感想・レビュー・書評
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美しいタイトルと装丁、気になっていた本です。
違う世界に行ける気がする、川を越えれば。しかし、なかなか渡れないのが現実。先入観、人の見方(世間の目)そんな呪いを断ち切ることができたらどんなに楽かと思う。
川と橋をモチーフに、ジェンダーレス、男性の育児、神話(過去)、ファンタジー(未来)へと舞台は飛び、ラスト男尊女卑世代の背景(この世代の妻の心理を若い作家さんが表現され凄い)の現代へ戻る。
「らしさ」に縛られ、解放を求めている登場人物。その解放されたい現状は本人しか気づくことはできない。その心情が伝わり、自分の抱えるものと重なりました。
しかし、一概に解放されればいいというものではなく、自分の役割があるほうが楽、ということもありますよね、と。そのバランスと自分で選択できるようになりつつある社会について考えた一冊だった。ツーンとした息苦しさが残った。神話、ファンタジーの章は、訴えは響きはするのですが、宙を浮いてるような不思議な感覚。
ウスバキトンボの北上。ウスバキトンボは北上しすぎて死滅する習性がある。それは自分たちの生きやすい世界が来るのを信じて飛んでいるから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
橋にまつわる短編集。
どの話も好きだったが、同作家さんのSFチックな話を初めて読み、着眼点も好きだと感じた。
最近子供ができ、年中行事や童謡なども調べているため、七夕の話についてもそんな見方があるのか、と興味深く感じた。
確かに、罰として1年に1回しか会えなくされていたなぁと。
他の話でも世間から見た男女の役割の差、出産という行為で愛情の大きさが変わるのかなど、考えてしまう部分が多かった。 -
川が ジェンダーバイアスや
古い価値観の象徴かな
それを越えて 変化したいという人々の
勇気や戸惑いが
読んでいて とても心地いい
がんばれ がんばれ
と本の向こうにも
自分にも帰ってくるような気がする -
優しくて穏やかで、ガラス玉みたいにキレイで澄んだ文体だった。落としたらすぐに割れてしまいそうな繊細さ。すきな文体。
さまざま(本当に”さまざま”)な世界で生きているひとたちが、それぞれなりの形で「羽化」していく物語。
「ながれゆく」はファンタジーの世界だった。天の川の伝説は由来を知らなくて、こんなにいろんなロマンチックな言い伝えがあるのだなあと感心した。
いちばん最初の「わたれない」が、いちばん身近な世界というのもあり好みだった。初めて知る名前のトンボのエピソードが印象に残った。
全体を通して、女性の立場に焦点が置かれているように感じた。
どんな状況でも、一歩を踏み出すのって大変だし勇気がいる。でもその一歩はとても大きな岐路になる。
彩瀬まるさんはずっと気になっていた作家さんで、ようやく著書を読んだ。
ほかの作品も読んでみたくなった。 -
❇︎
わたれない
ながれゆく
ゆれながら
ひかるほし
独特な視点からの不思議な話
『わたれない』が、
読み馴染みが良かった
著者プロフィール
彩瀬まるの作品





