ロスト・スピーシーズ

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 146
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115480

作品紹介・あらすじ

がんの特効薬になる幻の植物「奇跡の百合」を見つけるため、大手製薬会社に所属するクリフォードは南米アマゾン奥地への探索チームを結成した。植物研究者としてメンバーに加わった三浦は、ボディガート役の金採掘人ロドリゲス、植物ハンターのデニス、環境問題に取り組む大学生・ジュリアと共にアマゾンに分け入ってゆく。一癖も二癖もある怪しい奴らと共に、緑の地獄ともいうべき過酷な自然と対峙する三浦。さらには正体不明の2人組の男から命を狙われることに――。手に汗握る密林サバイバル!

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの製薬会社が、がんの特効薬になる幻の植物「奇跡の百合」を探索するため南米アマゾンの奥地へ向かう。
    そのメンバーに加わった植物学者の三浦は、他に目的があった。
    一瞬の油断もならないくらいの密林。
    その中で男たちの真の目的が明らかになったとき…

    獰猛な肉食動物からいかに命を守るのか、もそうだが
    アマゾンでの出来事は、現実とは思えないほど。
    インディオの存在やセリンゲイロの集落でゴム採取する集団。
    まさにサバイバルである。
    そして、シナイ族という失われる種(ロスト・スピーシーズ)の存在。
    すべてが明らかになるにつれ、過酷な現状に目を瞑りたくなった。

  • 社会派ミステリーというイメージの下村作品。前情報なしで読んだ。薬品として使えるかもしれない「奇跡の百合」を見つけるために、アマゾン探検隊が組織される。リーダーは、アメリカの製薬会社のクリフォード。ボディーガードのロドリゲス、植物ハンターのデニス、大学生ジュリア。そして日本人の植物学者・三浦。三浦にはアマゾンに行く理由はもう1つ、失踪した彼女(言語学者)を探すため。この物語はタイトルにもあるが種がテーマであるが、植物だけではなく、動物、ヒトが錯綜する。しかもWWIIの日本人との関係性もあり重厚感はあった。③

  • まさにハリウッド版冒険活劇アドベンチャー気分で読んでしまいました。危機ありスリル満点のサバイバル、ぜひ映画化期待しています。はたして「奇跡の百合」はみつかるのか?ハラハラドキドキ読む手が止まりませんでした。

  • 幻の植物「奇跡の百合」を見つけるため、アマゾンの奥地へと踏み入ることになったチーム。とある目的のある植物学者の三浦もそのチームに同行するが、その道中で遭遇する恐るべき野生生物や謎の襲撃者たち。そして森の中で暮らすゴム採取人たちと森林開発者との争いにも巻き込まれることに。終始スリルに満ちた冒険ミステリ。
    読んでいる分には楽しいのですが。アマゾンの奥地って行きたくありません。圧倒的な自然って素晴らしくはあるのだけれど。人間が太刀打ちできるものではない気がして、恐ろしくも思えました。ブラジル入植の歴史もまた重いです。しかしどこでも搾取するものとされるものとがいるのは、都会と変わらないんだなあ。
    滅びゆくものというのはいつの時代にもあって、仕方がないことでもあるのですが。どうせ滅びるのだから好きにしてもいい、というのは傲慢でしかありませんね。

  • アマゾンを舞台に、アメリカの製薬会社が組んだチーム。リーダーのクリフォード、日本の植物学者三浦、植物ハンターデニス、ボディーガードのロドリゲス、そして環境問題に取り組む大学生ジュリア。
    癌の特効薬を作るために役立つ『奇跡の百合』を見つけることがミッション。
    アナコンダだのクロカイマンだのジャガーだの、絶対に遭遇したくない猛獣たちの攻撃を潜り抜け、世界の医療のために奇跡の百合を求めて奥へ奥へ…なんて話かと思いきや、アマゾンに生きる貧しいゴム採取人(セリンゲイロ)たち、木を伐採し土地を売ろうとする地主、先住民たち、そして胡散臭い探検チームが複雑に騙し合い絡み合い殺し合い。まさにノンストップサバイバル。
    彼らの本当の目的とは?ロストスピーシーズの本当の意味とは?
    涼しい部屋でぼんやりコーヒー飲んでる場合じゃない!こんなに血のたぎるサバイバル小説、見逃す手はない!
    細かいアレコレが気になったりもするけど、ブラジルの実情、アマゾンの現状がよくわかる。
    私たちが何気なく使っているあれもこれも、この謀略と策略と差別と搾取の上で製品化されているというこの現実におののく。

  • 頭上の木の上にアナコンダ、ああ恐ろしい…

  • なかなか理解できない、奇抜過ぎです。

  • 私の行きたくない場所トップ3に入る場所であるアマゾンを舞台にした物語。何が嫌って得体の知れない虫とか命を脅かしてくる肉食獣やらがうようよしており,生き残れる気がしないからだ。おまけにアマゾンに入る直前から怪しい男らにつけ狙われるという脅威付き。

    アマゾンに集まる5人の人間。一応,「奇跡の百合」を入手するという目的があるが,全員別の真の目的を持っているし,寄せ集めの集団なので互いに信用できそうにない。特に飛び入り参加したジュリアはどう考えても他力本願だったと思う。生きてきた環境は想像以上に壮絶だったけれども。というか,それだけバイタリティーがあるんなら色仕掛けで他人に任せるより自分で成し遂げれるんじゃないかと思ったよ。
    三浦は植物研究者という肩書上,体力なさそうと思っていたが,いざとなると弱者を守るため勇敢に立ち向かう点が物語の主人公然としていた。ただ,幾度も窮地に陥るのでハラハラさせられるが。

    もう一人の主人公(と勝手に思っている)である高橋も,周囲に翻弄された人生だが,しっかり地に足をつけて生活している人だと思う。貧しい暮らしから抜け出したくてブラジルに来たのに,奴隷のような生活を強いられ,仲間のはずの日本人にもハブられた過去を持つ。
    高橋は自分が苦境に立たされる可能性があっても正直に意見を述べるが,それは彼が過去,自らの過ちにより信頼を失った経験があるからこそだと思う。
    いつの時代も村八分は辛い。

    アマゾンで目的を達した者もいれば,道半ばで倒れた者もいる。
    それぞれ納得のいく理由ではあったし,最終的に三浦と敵対した彼についても,私の中では悪人とは位置づけづらい。もちろん,殺人は賛成し兼ねるが,彼も使命があったからこそ必死だった。
    しかし,未開の地で暮らす人々の暮らしを脅かすことについては反対だ。
    絶滅危惧種を保護しなければという思いは,時に傲慢だと思う。

  • 物語の柱となるテーマが絞りきれてないと感じてしまった。
    未知の植物、アマゾンの大自然、ブラジル移民、言語学までーー。
    メインはどれだったのだろうか?

  • 完成度は高いと思った

    伏線はどんどん回収されるし、
    大蛇、鰐の描写も良くて、
    来るか、来るか?とドキドキする。

    映画の一場面を想起させられます。

    ただ、
    最初のほうで乗れなかったのと
    単純に話が好みでなかったからかな。

    良くできているのにオススメしたいと
    思わなかった…

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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