大好きな町に用がある (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041116203

作品紹介・あらすじ

スペイン、カンボジア、タイから国内まで。お世話になった親切な人、お国柄の出るトイレ事情……旅先での悲喜こもごもを綴った旅エッセイが文庫化!ウェブ連載していた「角田光代の旅行コラム」も同時収録。

感想・レビュー・書評

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  • 約2年前に読んでいた本書。またもや巡ってきたので、短いスパンだけど再読してみた。いつもはよほど好きな本でないと再読しない。ましてやこんなに短いスパンで。だって、読みたい本がたくさんあって、追いつかないのに。でも、手元に巡ってきたということは、何かあるのかな、と思って再読せずにはいられなかった。

     角田さんの旅のスタイルはなんだかほっこりする。旅の達人のように、全てをスマートにこなせていないことに妙に親近感が湧く。
     サラサラと流れるように読めるエッセイなので、何かが特別に心にひっかかったということは、再読でもなかったけれど、あぁ、そうそう、そうなのよ、と共感するところと、さすが作家さんは思慮深いな、そんなことを考えるのね、と思うところとが、たくさん。
     例えば、日本は全てにおいて「親切」でそのことに海外に言って気が付くという話。最近コロナ禍で海外に行けていないので、あぁ、本当にそうだそうだとこみあげてくるように思い出した。「日本だったら・・・」「ありえない」「効率悪すぎ」と悪態をつきながらも、また飛行機に乗って海を渡ってしまう。そこで、自分の短気を改め、忍耐強さを鍛え、現地の人と同じようにのんびり構えようと努力する感覚。久々に思い出した。
     それから、不機嫌に対応されるだろうなと構えていたのに、親切に対応された時の話。どこの国だからどう、ということはなく、どこに行っても人間の集合体なのだから、親切にされることもあれば、不機嫌に対応されることもある。でも、親切に対応された時の、あの感動にも近い気持ち。その町が一気に10倍も良く見え、好きになってしまうあの感覚。
     
    角田さんが好きだという香港、馴染めなかったというトロント、思い入れが強いタオ島、すぐに好きになったというボルドーなどなど。たくさんの町に絡めた角田さんの考えや思いが綴られていて、二度目も楽しく読めた。

     行ってみたい町、再度訪れたい町は山ほどある。行けるといいな、行きたいな。

  • 読み終われば旅に出たくなること間違いなしの旅エッセイ。人との出会いが縁を繋ぐ、紡ぐ...。なんと人とは多様性に富んだ生き物なのだろう。出てくる食べ物もどれも美味しそうだ。最近、感染者も増加傾向にあり、また、あの日々が戻ってくるのかと戦々恐々としている今だからこそ読みたい一冊。

  • あまり面白くなかった。
    角田さんは真面目な人だと思った。

  • 角田光代のエッセイ3冊目。自分の中で。
    これまでに読んだことのあるエピソードもいくつかあったが、何回も、ふとした文章に惹かれた。
    角田光代にとって旅とは、コロナでどう変わったか、なども後書きで読めて面白かった。

  • だんだんわかってきたのは、笑みは笑みを呼ぶし、怒りは怒りを呼ぶということだ。不機嫌は不幸を呼びこみ、上機嫌は幸福を呼びこむ。格言でも法則でもなくて、真実。最近自分から不幸な感じ、不機嫌な感じを出してない?
    世界は自分の考え方次第でなんとでもなる。それを忘れたくない。

    旅していたときに、その時は気づかないけど、知らず知らずのうちに自分の人生に関わる大切なことを決定していたんじゃないか。何を信じて何を目指して生きていくのか。あの時のあの体験がなかったら?あの時のあのワクワクがなかったら?違う人生になってたかもしれない。でもあの体験があったから今があるから、すごい人生を変えた旅なのかもしれない。

  • 旅好き角田光代さんの書く旅エッセイが好き。
    遺跡よりも市場が好きなところが共感。
    村上春樹さんと同じくマラソンが趣味のようで、旅先でマラソンに参加するパワフルさがすごい。

  • 角田さんの旅エッセイが好きなのですが、久々に読んでやっぱり楽しい気持ちになりました。同じ場所に2度は行きたいような何か変わってたらやだな…と思う気持ちでぐるぐるでしょうか。旅は海外だと非日常感を求めがちで

  • 「いきたくないのに出かけていく」の旅エッセイ集を読んで
    面白かったので引き続きこちらの作品も手に取りました。

    旅好きで多くの海外旅行をしている角田さんの旅の
    エピソード話は盛り沢山で知らないことばかりで楽しめました。
    普通の人だったら大概は一度訪れたら何度も同じ場所への
    海外旅行というのは出来ないですが、
    それを数度もしているなんて羨ましい限りでした。
    そうなるとその国の良さと自分の好みの旅も
    凝縮されていくかと思うとこのエッセイもひときわな味わいを感じました。

    そしてこちらでも運動の嫌いでも長年続けている
    旅先へのランニングやマラソン大会に参加しているというのが
    書かれていて本当に凄いなと感心してしまいました。

    「いきたくないのに出かけていく」よりも一つづずが短めな
    エッセイだったのでさらっと読みながらも、
    旅を満喫しながらもその裏側を考えていたり、
    あまり着目しなそうな所にも目を配っているので
    素晴らしいなと思いました。

    インドもよく呼ばれる人が旅に行けるというのを聞きますが、
    これが八重山でもあるというのが驚きでした。
    縁がある人は早ければ二十歳前後あたりにもう呼ばれていて、
    若い頃に呼ばれていなくでも三十、四十代になって
    呼ばれる人がいて、そうゆう人の独特な時間の流れに
    すんなりとなじむというのがリピーターになるというのもとても興味深い話でした。
    そんな場所が自分にはあるのかなと思いますが、
    なかなか旅に出かける機会が無いので難しそうです。

    旅エッセイとなっていますが、
    角田さんの旅ではあらゆる視点から考えられていて、
    一つの物語のようにも感じられる程深いものがありました。
    旅気分を味わうと共に人と人との繋がりや
    そこ暮らしている人達の息遣いも感じられて温かみのあるエッセイだと思いました。

  • 短編の旅行記集。
    角田さんのものとあって短いが一つ一つがとても面白い。
    旅行記がもっと読みたくなった。

  • 角田さんの、旅のエッセイ集。良かった。旅に出たくなる。

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著者プロフィール

1967年、神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。著書に『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)、『紙の月』(柴田錬三郎賞)など多数。

「2020年 『『源氏物語』完結記念 限定箱入り 全三巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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