大好きな町に用がある (角川文庫)

  • KADOKAWA
3.53
  • (6)
  • (25)
  • (27)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 484
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041116203

作品紹介・あらすじ

ネパールでごはんをおごってくれ「年をとったら若い旅行者におごってあげなさい」と笑ったお坊さん、「この世で一番すばらしいところ」と勧められメキシコ・トゥルムへ行ってみると「すばらしい」とは「なんにもない」という意味だった……旅好き作家・角田光代が行く先々で出会い、食べ、考えたあれこれが詰まった傑作旅エッセイ。出会う誰かの“日常”はこんなにも“非日常”で面白い。ウェブ連載「角田光代の旅行コラム」も収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 約2年前に読んでいた本書。またもや巡ってきたので、短いスパンだけど再読してみた。いつもはよほど好きな本でないと再読しない。ましてやこんなに短いスパンで。だって、読みたい本がたくさんあって、追いつかないのに。でも、手元に巡ってきたということは、何かあるのかな、と思って再読せずにはいられなかった。

     角田さんの旅のスタイルはなんだかほっこりする。旅の達人のように、全てをスマートにこなせていないことに妙に親近感が湧く。
     サラサラと流れるように読めるエッセイなので、何かが特別に心にひっかかったということは、再読でもなかったけれど、あぁ、そうそう、そうなのよ、と共感するところと、さすが作家さんは思慮深いな、そんなことを考えるのね、と思うところとが、たくさん。
     例えば、日本は全てにおいて「親切」でそのことに海外に言って気が付くという話。最近コロナ禍で海外に行けていないので、あぁ、本当にそうだそうだとこみあげてくるように思い出した。「日本だったら・・・」「ありえない」「効率悪すぎ」と悪態をつきながらも、また飛行機に乗って海を渡ってしまう。そこで、自分の短気を改め、忍耐強さを鍛え、現地の人と同じようにのんびり構えようと努力する感覚。久々に思い出した。
     それから、不機嫌に対応されるだろうなと構えていたのに、親切に対応された時の話。どこの国だからどう、ということはなく、どこに行っても人間の集合体なのだから、親切にされることもあれば、不機嫌に対応されることもある。でも、親切に対応された時の、あの感動にも近い気持ち。その町が一気に10倍も良く見え、好きになってしまうあの感覚。
     
    角田さんが好きだという香港、馴染めなかったというトロント、思い入れが強いタオ島、すぐに好きになったというボルドーなどなど。たくさんの町に絡めた角田さんの考えや思いが綴られていて、二度目も楽しく読めた。

     行ってみたい町、再度訪れたい町は山ほどある。行けるといいな、行きたいな。

  • 読み終われば旅に出たくなること間違いなしの旅エッセイ。人との出会いが縁を繋ぐ、紡ぐ...。なんと人とは多様性に富んだ生き物なのだろう。出てくる食べ物もどれも美味しそうだ。最近、感染者も増加傾向にあり、また、あの日々が戻ってくるのかと戦々恐々としている今だからこそ読みたい一冊。

  • 私も、人の日常をのぞいてみたい、というか、自分が知らない国の知らない町で営まれてる知らない人の生活に興味がある。そんな誰かの日常にお邪魔できるのが旅の醍醐味だなあと感じるので、あとがき部分で少し共感した。
    私も海外一人旅したいなあ。

  • あまり面白くなかった。
    角田さんは真面目な人だと思った。

  • 角田光代さんの文章が大変読みやすく楽しく読ませていただいた。
    そう、旅は怖い。特にひとり旅。地図をクルクルしても目的地がわからなくて呆然と立ち尽くして同じ場所を行ったり来たり。送迎バスに酔ってホテルに到着した途端に吐き気を催したり。バスの乗り方うしろからで合ってる?電車の行き先聞き逃した!って何度も不安になったり。薄暗くて人気のない道を心細く思いながら歩いたり。ビビりながら旅をするってところに『ああ〜わかるわかる〜』って共感できる本。それでも旅ってなんだかんだ楽しい。

  • だんだんわかってきたのは、笑みは笑みを呼ぶし、怒りは怒りを呼ぶということだ。不機嫌は不幸を呼びこみ、上機嫌は幸福を呼びこむ。格言でも法則でもなくて、真実。最近自分から不幸な感じ、不機嫌な感じを出してない?
    世界は自分の考え方次第でなんとでもなる。それを忘れたくない。

    旅していたときに、その時は気づかないけど、知らず知らずのうちに自分の人生に関わる大切なことを決定していたんじゃないか。何を信じて何を目指して生きていくのか。あの時のあの体験がなかったら?あの時のあのワクワクがなかったら?違う人生になってたかもしれない。でもあの体験があったから今があるから、すごい人生を変えた旅なのかもしれない。

  • 角田光代のエッセイ3冊目。自分の中で。
    これまでに読んだことのあるエピソードもいくつかあったが、何回も、ふとした文章に惹かれた。
    角田光代にとって旅とは、コロナでどう変わったか、なども後書きで読めて面白かった。

  • 角田さんの、旅のエッセイ集。良かった。旅に出たくなる。

  • 他社の本で読んだ角田さんの旅エッセイが面白かったので買って読んでみました。地図や情報より人間に頼って旅していく態度が徹底していて、いいですね。アジアの国々への旅が中心に語られていますが、山登りやマラソンまで!これにはびっくりです。

  • 世界の旅先について、一般的な観光地の書評ではなく旅の中の日常やささいな出来事を中心に書いてあって読みやすかった。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

角田光代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×