黙秘犯 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 130
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041116326

作品紹介・あらすじ

住宅街で起きた大学生撲殺事件。不可解な点を残しながらも、目撃証言と凶器に残った指紋から犯人は確定したかに思われた。しかし、海水浴場での溺死事件と連続婦女暴行事件との奇妙な繋がりが判明し……。

感想・レビュー・書評

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  • 船橋市で発生した大学生撲殺事件。
    目撃者の証言や凶器の指紋から、前科のある板前・倉田 忠彦が逮捕される。

    しかし、彼は事件について一切口をつぐむ黙秘を貫いていた。なぜ彼は黙秘を続けるのか?

    香山刑事たちは、事件の真相を探るべく、捜査を続けていた。そして、次第に明らかとなる真実。

    頑なに黙秘を続ける、彼の悲しい過去とは?
    エピローグで、彼の秘めた想いに触れ、ウルウルです。

  • 翔田寛『黙秘犯』角川文庫。

    ざっくり言えば、無関係に見えた3つの事件が一つにつながり、最後にその真相が明らかになるというストーリーの警察小説である。しかし、同一管内で起きた複数の事件捜査がこんなに杜撰であることがあり得るのかと疑問を感じた。プロットは面白いが、細部の書き込みが粗過ぎるように思った。

    夜の住宅街で起きた大学生撲殺事件。凶器のワインボトルから見付かった指紋と目撃証言から犯人は民宿の板前・倉田忠彦と目され、逮捕するも頑なに黙秘を貫く。警察が事件を捜査する中、事故死と見られた民宿の息子の溺死事件と付近で発生した連続婦女暴行事件との関連が判明する。

    何故、倉田は黙秘を貫くのか……

    本体価格700円
    ★★★★

  • 「冤罪犯」が面白かったので、続編も購入。
    こちらも面白かった。
    ただ懲りすぎたかな。人物相関図が必要(笑)

  • 『冤罪犯』の巻末で、冒頭部分が綴られたのがこの小説。
    前作の刑事たちが登場するが、続編というわけではない。本書単独でも十分楽しめる。
    取調室での描写から、この小説は始まる。
    目撃証言、凶器に残された指紋、その凶器と被害者の致命傷の一致。これだけ揃っていながら、容疑者は黙秘を貫く。
    読者としては、小説上沈黙には理由があり、彼は犯人ではないだろうと推量しながら、ページを捲ることになる。
    過去の傷害事件、不審死、婦女暴行事件、一見繋がりがないかと思えるこれらの事象が、刑事たちの地道な捜査活動により、ひとつの真実へと集約される。
    著者は、自分の幸せを拒否する一人の男の生き様を、容姿に恵まれ豊かな生活を享受する大学生を対局に据えることにより、より鮮やかに浮かび上がらせる。
    エピソードが、この小説の魅力を倍加させ、心地よい読後感となっている。

  • 場面展開がとても早いことと、登場人物が次々に出てくるので理解するのが難しかったです。 
    ストーリー自体はおもしろいのですが、登場人物を絞ったり、誰が何をしているか整理しながら読める方には楽しめる本だと思います。

    最後には黙秘の理由が分かり、すっきり。その理由が切なく、涙がこぼれそうになりました。

  • #本 #読書 #読了 #翔田寛
    『黙秘犯』

    「現場に残されていた凶器の、血の付いた指紋、あれも間違いなく、おまえのものだった。ここまで証拠が揃っていながら、なぜ黙秘する。」

    夜の住宅街で大学生が撲殺され、目撃証言と凶器に残った指紋、傷害事件の前歴から、容疑者はすぐに割り出された。

  • 初の翔田作品。
    期待して読みました。

    悪くはないけれど、ミステリーとしては全体的に弱い印象が否めません。
    登場人物、動機、真相解明のワクワク感、どれもいまひとつ。
    パンチがないってこういうことかな。

    途中からはっきりする犯人を落とす決め手が何なのかが気になって一気に読みましたが、その決め手も後出しジャンケン的な印象が否めないし、犯人があらゆる意味で薄っぺらし、事件は解決したのに読み手のこちらはスッキリしないというか。

    2020年43冊目。

  • 初読作家さん。

    この事件とこの出来事がどう繋がるのか?と、いうピースがいくつか出てきて、その謎解きは読んでいて楽しかったけれど、性的な犯罪に腹が立つ。描写が詳細でないところが助かる。

    なかなかの偶然が多すぎるし、
    睡眠導入剤はドラッグストアでは買えないし、それと、「吝嗇」って言葉を会話で使うかなぁ、等、気になるところがありすぎて、興醒めしてしまったけれど、捜査をしている刑事さんたちがよくて一気読みしてしまった。
    「あなたの勇気を、私たちは絶対に無駄にはする気はありません」
    本当のことを辛くても語ってくれた人に対して、香山が言うセリフが印象的で、よかった。

  •  前作「冤罪犯」に続き、船橋署の香山刑事らが活躍するシリーズ第2弾。
     今回はタイトルの通り、逮捕された後もひたすら黙秘を続ける犯人の真意に迫るミステリー。単純な構図に見えるものが、意外と複雑な線が絡み合っていて大きな事態に発展してしまうことは時々起きる。本作でもそんな展開で次から次へと様々な点が繋がっていって面白い。それに加えて、黙秘を続ける犯人の過去にも迫るという伏線もあり、個人的には前作よりも面白かったように思う。

  • 某サイトの評価が高かったので、読んでみました。
    黙秘犯がなぜ黙秘するのか、過去に何があったからこのような男になったのかは丁寧な描写で分かりました。

    ただ、それ以外の人のキャラは薄く、刑事に至っては男性だったか女性だったか迷うくらい、「刑事の中のひとり」な感じでした。

    私はもっとヘンテコだったりポンコツだったりする人がバンバン事件を解決する、みたいなドラマになりやすい話しが好きなのでちょっと嗜好と合いませんでしたが、いい作家さんだと思いました。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。2000年「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞し、デビュー。01年「奈落闇恋乃道行」で第54回日本推理作家協会賞(短編部門)候補となる。08年『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞受賞。14年「墓石の呼ぶ声」で第67回日本推理作家協会賞(短編部門)候補に。17年『真犯人』で第19回大藪春彦賞候補になり、18年にWOWOWで連続ドラマ化。他の著書に『人さらい』『左遷捜査 法の壁』『左遷捜査2 迷宮入り事件』『冤罪犯』など多数。

「2022年 『時効犯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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