カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚 (角川ホラー文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041116364

作品紹介・あらすじ

世は大正。
華族・堀井三左衛門男爵が何者かに殺された。
“華族殺し”を追うコロシ専門の探偵・平島元雪はある日、
美しい年少浪曲師・真鶸亭湖月と出会う。
噂の怪人“ムカデ伯爵”と車中から突如消えたバスガール、堀井邸に現れる“黄金幽霊の首”の謎……次々と難事件に直面する平島。
湖月は僅かな手がかりと各地の伝承をもとに、奇想天外な物語〈カタリゴト〉を繰り広げ、さらに道理の縄で括り上げていく――
その結末は全くの嘘偽りか、それとも事件の真相か? 

驚愕連発の怪奇事件簿、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 角川ホラー文庫から刊行されていますが、ホラーではないですね。大正期の帝都東京を舞台にしたミステリーで、主人公の自称探偵が集めた情報を、街頭で芸事をする謎の美少年がストーリーに仕立てて整理する。そんな流れで進みます。
    この美少年浪曲師である湖月くんのキャラがいい。蠱惑的な面を見せたかと思えば、街頭で行き倒れてたりもする。いい距離間を保ってるキャラです。シリーズ化して、将来的にアニメ化までいくといいなぁ。

  • 柴田勝家さんの小説は個人的に三冊目!
    今までは短編集しか読んだ事がなかったので長編もいけるって感じです!

    舞台は大正時代なのですが、大正という時代は未だ江戸時代の名残を残し、戦後の現代の前の最後の近代と言うのでしょうか、日本でありながら異国情緒あふれる感じが何故か異世界感を生み出しているような気がします!

    華族殺しが起きる!
    その事件を追う探偵の平島は、ある日年少の浪曲師と出会う!
    その浪曲師は、客から三つのお題をもらい、全く関連の無いお題に一本の筋を通して一つの物語にする『カタリゴト』を芸としていた!
    平島は請け負った猫探しを解決するため浪曲師の力を借りる事に・・・

    大正浪漫探偵小説!
    ぜひシリーズ化して欲しい!!!!


    本書を読んでいる時、子供から歴史の問題を出されました。

    織田信長の片腕として仕えた猛将で、信長の死後秀吉に敗れた武将は?

    と出されたので、ブックカバーを外して背表紙を見せたら手品を見た時のように驚いていました!

  • 悪人とはなんだろう?

  •  大正時代の帝都で探偵・平島と美しい年少浪曲師・湖月が、『ムカデ伯爵』『黄金幽霊の首』などの怪奇事件を僅かな手がかりと各地の伝承下敷きにした『カタリゴト』として講談調に仕立てて真相へ導く話と、推しとファンである二人の関係性も面白かった。

  •  連作短篇集。柴田さんの本は以前、熊楠や乱歩らが北一輝らと対決する『ヒト夜の永い夢』(2019年)を手に取ったことがある。本書『カタリゴト』は、大正二年(1913年)頃の駿河台近辺を主な舞台に、元華族の自称探偵と十代の美しい芸人が街を駆け回るミステリ。江戸末期から昭和にかけての社会史的な蘊蓄と講談調の文体、下品と可憐の境目を綱渡りするような台詞回しが披露され、なんとも心地よい。第一話から第三話までに点在する伏線が第四話で綺麗に回収されていくのも見事。二人の関係、この時代においては前途多難だろうけれども、実ってほしいなあ。

  • 口下手な探偵が抱えていたちょっとした謎を、事件を、性別年齢不詳の浪曲師、湖月が「カタリゴト」として謎解きしていく物語。
    「カタリゴト」自体も二段仕立て、一見繋がりのない3つのお題から荒唐無稽な物語を語り、そのあと語り直してネタばらし=謎解き。
    その「カタリゴト」も真実と思っていたら、実際の事件との齟齬が後から見えてきて、まだ裏があることに驚かされるという。
    そして、最後の最後で、これまで語ってきたバラバラの「カタリゴト」が一つの大きな物語として集約されていく。
    この構成が最高によかった!
    一つの事件を何度も噛み締めて楽しめる、いくつもの解釈で楽しめるというか。
    湖月のキャラもいい。
    帯には「美少年」とあったけど、作中で性別って明かされていたっけ?
    少年でも少女でもおいしいキャラでした。
    平島が推したくなる気持ちも分かる。

    口下手だった探偵の平島も湖月と出会って急速に探偵として成長していくその過程も楽しめた。
    最後の事件ではその成長ぶりが遺憾無く発揮されてかっこよかった!
    ぜひまたこの二人での謎解き、読みたいですなあ。

  • 美少年と頼りない探偵とのバディもの、というか美少年に手玉に取られ続ける探偵が良い。
    探偵を取り巻く人物たちも華やかで賑やか。
    語りは騙りでもあり、謎の真相のようでもあり、こうであるかもしれないの「カタリゴト」かもしれず、探偵同様煙に巻かれる心地も楽しい。
    連作短編かと思いきや、話はぱたぱたと組み合っていく。果たして嘘か真か。
    続きが読みたいなあ。

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著者プロフィール

SF作家。ペンネームは戦国武将の柴田勝家にちなんだもの。1987年、東京都生まれ。成城大学大学院(文学研究科日本常民文化専攻)在学中にハヤカワSFコンテスト・大賞を受賞し、『ニルヤの島』で2014年にデビュー。このほか著作に、『ワールド・インシュランス』(星海社FICTIONS)、星雲賞日本短編部門を受賞した表題作を収録する『アメリカン・ブッダ』(ハヤカワ文庫JA)などがある。

「2022年 『メイド喫茶探偵黒苺フガシの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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