- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041116555
作品紹介・あらすじ
洪水で流れ着いた黒い箱は不思議な別世界と繋がっていた。王族が圧政を敷き、竜が生まれ、吸血鬼が人知れず夜を歩く、そんな「箱庭世界」の観察が少年・内野聖の青春だった。ある日、恋人の絵影久美が箱の中に行くと言い出す。二度と戻れないとしても、箱の外から見ていた自分にしかできないことを果たすために。ただ箱を見つめるだけだった二人の人生は、箱の中と外で目まぐるしく変わり始める(「箱の中の王国」)。時を越える時計、超強力な接着剤、意思を持った機械、そして不死の薬。異能の道具が紡ぐ一繋ぎの連作集。
感想・レビュー・書評
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恒さまの頭の中はどうなってるんだろ〜.*・゚
あ〜〜めっちゃ楽しい読書時間でした!!
次元の違う異世界のお話6編と、それをちょっぴり繋げるサイドストーリー的な5つの物語の断片。
全11話、別々のお話のようで、実は次元も時も超えた壮大な物語でした。
ファンタジーなので好き嫌い分かれそうですが、私はめっちゃ好きだったな〜!
大傑作だと思います♡
◇「箱の中の王国」☆4.5
偶然拾った箱の中には、箱庭世界が出来ていて
人々が生活していた。
◇ 「スズとギンタの銀時計」☆5
ある時、姉が持って帰ってきた銀時計は、未来へ
飛べる時間飛ばし装置がついたものだった。
◇ 「短時間接着剤」☆4.5
発明家の海田が作ったのは、鉄骨を繋ぎ合わせ
られるほどの比類のない接着力なのだが、その
効果は7時間だけという欠陥品だった。
◇ 「洞察者」☆5
人並外れた洞察力を持つギフテッドの少年の
切ない心を描く。
◇ 「ナチュラロイド」☆3
働くアンドロイドの世界。
◇ 「円環の夜叉」☆4
薬で不老不死となった者たちの終末世界の話。
個人的には、「スズとギンタの銀時計」と「洞察者」がめっちゃ面白かったです!
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フィーリングの一冊。
流れ着いた小さな箱から始まる壮大な時間と世界。
時に残酷、時に物哀しさが灰色のさざなみのように心を揺らしてくる感覚は言葉にできない好きが溢れてくる。
これはまさにフィーリング。
各々独立的に見せられながらも、緩やかな交わりの時を手繰り寄せる瞬間はまるで浪漫飛行をしている気分。
自分の創り上げた時間がもしかしたら誰かの新しい時間へ繋がるかも。
過ちを遺し伝え世界は再生して行くのかも。
この世も今もしかしたら誰かに覗かれ、行く末を見つめられているいる途中の箱なのかも。
そんな想像妄想がまた楽しい読後感。 -
恒川光太郎の最新刊。
いつも独特な世界に引き込まれ読書を楽しめるんだけど、今回はなぜか全く興味を掻き立てられず、
一話目で失速。。
最近の作品の荒唐無稽さに、ちょっとついて行けなくなってるのかも。
お気に入りの作家の一人なので
かなり残念。 -
恒川光太郎なのに、表紙が楽しそうで、あれ?と思い読む。
箱庭の話、面白い。
連作短編集で、登場人物が繋がっている。
タイムトラベルのスイッチ遠持つ姉弟の話も面白かった。
超洞察の彼は、かわいそうだった。
ナチュラロイド社会に大賛成。
全ての人間はもっと余暇を持つべきだと思う。
ラストのクインフレアの話はドキドキした。
なるほど子孫だった。
これは完全にファンタジー。
とても壮大な物語。
ホラーではない白い恒川光太郎さん。
とても良い。
学校図書館◎
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恒川先生の連作短編集。なかなか面白かったけど、前半部分のが好きかな。最後壮大になりすぎて何がなんだかちょっと迷子になった。ギフテッドと箱庭の世界の話が面白かった。
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洪水の後、流れ着いた不思議な箱をみつけた少年は、その箱の中に異世界があることを発見する。クラスメイトの女子・絵影にだけそのことを打ち明け、二人は箱庭の中の異世界を観察し続けるが、現実世界で家族に虐待されていた絵影は、箱庭世界へ降りることを決意し…。
独立した短編としても読める連作短編集。それぞれの短編の間に「物語の断片」と称したスピンオフ的ショートストーリーが挟まれていて、それですべての異世界が繋がっていることがわかる構成。
2作目の「スズとギンタの銀時計」が面白かった。偶然、未来へと時間を飛び越えられる銀時計を手に入れた少女スズ、彼女の機知が素晴らしい。弟のギンタと共にどんどん未来へと時間を飛び、逃げ続け、ついに二人は「追いつかれて」しまうも…。
後半の短編には、このスズとギンタの子孫や、箱庭世界での絵影の子孫などが登場して、吸血鬼や不死者なども含め、かなり時間的に壮大な物語が構築されていく。この人物とあの人物がこう繋がってたのか!とわかる瞬間が楽しかった。
※収録
箱のなかの王国/吸血鬼の旅立ち 物語の断片 1/スズとギンタの銀時計/静物平原 物語の断片 2/短時間接着剤/海田才一郎の朝 物語の断片 3/洞察者/ファンレター 物語の断片 4/ナチュラロイド/円環の夜叉/最果てから未知へ 物語の断片 5 -
どこかで異次元の世界に繋がっている場所があるのかもしれない。この世界のことを見ている誰かが存在するのかもしれない。
恒川さん特有の、独特の余韻の残る物語でした。 -
壮大だった。
始まりは一つの箱なのに終わりは世界の終わり。
章ごとに世界が変わり時代も変わり混乱するところもあったけど、全てつながりがある。
ラルスの生まれ変わりはルルフェルなのかな。
シグマ怖かった。
日本と箱の中の別世界が繋がっていると最初は思っていたけど、もしかして箱の中の世界はすごく先の未来?
考察は色々考えられる。
私としては久々の読書だったけど夢中で読めた。
これまでの恒川光太郎作品とはなにかが違うような…それが何かうまく説明できないけど。 -
文字通り箱庭の世界から始まった物語世界は、やがて時間の枠や世界の概念そのものすら軽やかに飛び越えた、途方もないスケールにくるまれたものだったことが、読み終えると明らかになっていく。その荒業をそうと感じさせない、巧みな手腕の物語たちがどれも粒ぞろいで素晴らしかった。
民話のような、童話のような、社会の非情を突いているような。手触りはひとつひとつの短編で少しずつ違うのに、当たり前だけれど筆致はどれも静かで淡々と変わらず、不思議と違和感なく、この世界が数珠つなぎになっていることを理解できていく。とはいえ、こんな結末へと運ばれていくとは、思わなかった。
見知らぬ人々の、見知らぬ世界のひとつひとつの自分らしい人生は、何も残らなくてもきっといつかどこかに繋がっていく。その説得力を静かに湛えた、うつくしい物語たちでした。
著者プロフィール
恒川光太郎の作品






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