箱庭の巡礼者たち

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041116555

作品紹介・あらすじ

洪水で流れ着いた黒い箱は不思議な別世界と繋がっていた。王族が圧政を敷き、竜が生まれ、吸血鬼が人知れず夜を歩く、そんな「箱庭世界」の観察が少年・内野聖の青春だった。ある日、恋人の絵影久美が箱の中に行くと言い出す。二度と戻れないとしても、箱の外から見ていた自分にしかできないことを果たすために。ただ箱を見つめるだけだった二人の人生は、箱の中と外で目まぐるしく変わり始める(「箱の中の王国」)。時を越える時計、超強力な接着剤、意思を持った機械、そして不死の薬。異能の道具が紡ぐ一繋ぎの連作集。

感想・レビュー・書評

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  • とーっても不思議な話が詰まった作品。THE 恒川光太郎って感じ。ファンタジーだと思うんだけど、今の世界を風刺してるのが面白い。短編集だと思ってたけど、どこかでちょっとずつ繋がってる。

    『箱のなかの王国』 はじめは現実逃避したい人が箱のなかの王国が見れるのかな?と思った。箱の中に旅立った絵影久美の勇気と度胸、私も見習いたい。今世界で起こっている戦争。この戦争を国境の外から傍観してる各国の人々、が頭に浮かんだ。王国での出来事は、今現実に起こっている事だと感じた。

    『スズとギンタの銀時計』 姉のスズと弟のギンタの絆がいいな。タイムスリップ(未来にしか行けない)が出来る銀時計を使って、どんな困難も2人で乗り越えていく。この銀時計ほしいな、なんて思ったけど、読み進めてくとやっぱりいらないかも。なんか孤独が待ってる気がするから。

    『短時間接着剤』 この話が一番好き。これは笑えた。7時間しか効果がない接着剤にみんな振り回されてる。この接着剤のおかげで問題も解決するし、接着剤すごい。

    『洞察者』 記憶力がいいのはすごいと思うけど、それ以上の物事が分かり過ぎちゃうのは嫌かも。知らなくてもいい事もある。中松泰介の洞察力のせいで辛い思いをする事もあるけど、救われる事もある。中松泰介が救った人が元気に暮らしていると便りが来た時は、中松泰介も嬉しいと思ったはず。

    『ナチュラロイド』 これは正に未来はこうなってしまうだろう、と思える話。ちょっと怖い。ロボット、AIが人間をコントロールする。人間とロボットが平和に共存してても、はみ出し者が出てくる。そのせいで世界が危うくなっちゃうんだろうなーと思った。

    『円環の夜叉』 人類は滅亡と再生の繰り返しみたいだ。読んでたら、結局どこの世界と繋がってるのかが分からなくなった。最後で全部繋がってそういう事かと分かったけど、ちょっと難しかった。

  • 恒さまの頭の中はどうなってるんだろ〜.*・゚ 
    あ〜〜めっちゃ楽しい読書時間でした!!

    次元の違う異世界のお話6編と、それをちょっぴり繋げるサイドストーリー的な5つの物語の断片。
    全11話、別々のお話のようで、実は次元も時も超えた壮大な物語でした。

    ファンタジーなので好き嫌い分かれそうですが、私はめっちゃ好きだったな〜!
    大傑作だと思います♡
     
     ◇「箱の中の王国」☆4.5
       偶然拾った箱の中には、箱庭世界が出来ていて  
       人々が生活していた。

      ◇ 「スズとギンタの銀時計」☆5
    ある時、姉が持って帰ってきた銀時計は、未来へ
       飛べる時間飛ばし装置がついたものだった。

     ◇ 「短時間接着剤」☆4.5
        発明家の海田が作ったのは、鉄骨を繋ぎ合わせ
        られるほどの比類のない接着力なのだが、その      
        効果は7時間だけという欠陥品だった。

      ◇ 「洞察者」☆5
        人並外れた洞察力を持つギフテッドの少年の
        切ない心を描く。

      ◇ 「ナチュラロイド」☆3
    働くアンドロイドの世界。

      ◇ 「円環の夜叉」☆4
        薬で不老不死となった者たちの終末世界の話。

    個人的には、「スズとギンタの銀時計」と「洞察者」がめっちゃ面白かったです!

  • フィーリングの一冊。

    流れ着いた小さな箱から始まる壮大な時間と世界。

    時に残酷、時に物哀しさが灰色のさざなみのように心を揺らしてくる感覚は言葉にできない好きが溢れてくる。

    これはまさにフィーリング。

    各々独立的に見せられながらも、緩やかな交わりの時を手繰り寄せる瞬間はまるで浪漫飛行をしている気分。

    自分の創り上げた時間がもしかしたら誰かの新しい時間へ繋がるかも。
    過ちを遺し伝え世界は再生して行くのかも。
    この世も今もしかしたら誰かに覗かれ、行く末を見つめられているいる途中の箱なのかも。

    そんな想像妄想がまた楽しい読後感。

  • 連作短編形式のSFファンタジー。壮大な時間の旅の物語でもある。各作品のつなぎ役として「物語の断片」1~5が挿入されていて、構成自体もなかなか面白い。「箱の中の王国」から「円環の夜叉」までに、一体何千年が経過したのだろう??

    「箱の中の王国」: ナルニア国物語張りの、箱の中に広がる別世界にダイブした少女の活躍を箱の外から見守る恋人の少年。

    物語の断片1 吸血鬼の旅立ち

    「スズとギンタの銀時計」
    懐中時計のような装置で時間跳躍を繰り返す姉弟。明治の炭坑町から昭和の東京へ、時代の早回し。

    物語の断片2 静物平原

    「短時間接着剤」
    天才発明家が作った強力な接着剤(接着効果は数時間しか持たない)を使って,暴力団系の振り込め詐欺グループを手玉にとる痛快なイタズラ。

    物語の断片3 海田才一郎の朝

    「洞察者」
    〈超洞察〉力を持つ天才児が、驚異のプロファイリング能力で拉致事件を解決に導き、凶悪犯罪を未然に防ぐが、それは正しいことだったのか?

    物語の断片4 ファンレター

    「ナチュラロイド」
    AIロボット(ナチュラロイド)が管理する未来社会で、象徴としての王様に選ばれた少年が、ナチュラロイドの暴走を暴く。

    「円環の夜叉」
    鉱魅により不死となった人々(ロック)は、普通の人々(ターナー)に混じってひっそり生活している。やがて世界の終焉が近づき…。

    物語の断片5 最果てから未知へ

  • 「箱庭から未知へ。」六つの世界の物語がひとつに繋がる「一大幻想奇譚」。


    「箱庭」どころじゃない物語の広さ。
    時代や世界をどんどん飛び越えて広がっていくから頭が追いつかなくなりそうになる。あとの短編ほど異世界度が強いから、読み進めるうちに徐々に渦に巻き込まれていくみたいな感覚になって、それがとても良い。

    「スズとギンタの銀時計」が一番好きかも。
    銀時計を使って時間を飛び越えるスズとギンタを追ってくる物の怪の集団。その集団につかまってしまうと死んでしまう。その物の怪たちが時代の混乱のエネルギーを背負っているという設定もすごくおもしろい。スズたちがスキップした時代が混乱していればしているほど、物の怪のエネルギーも活発になってどんどん追いかけてくる。戦争とか争いのつらさをきれいに飛び越えることはできないというか、経験しなかった分の苦しさの代償を支払わなければいけないことを象徴しているかのような。

    物の怪の集団が祭りの神輿で、奇妙なかけ声と音を鳴らしながら追ってくる。
    「それは〈怪物〉の個体というよりも、〈祭り〉の集団に見えた。まず巨大な大蛇がいる。その大蛇の上には神輿が載っている。神輿には御簾がかかっていて、中に誰かが座っている。大蛇の脇に女がいる。黒塗りの化粧か、もしくは黒い面を被って着物を着ている。赤いマントをつけた男もいる。アグニ会のババに見える男もいる。黄色い毛が逆立った猫もいる。海ガメもいる。狸もいる。ショーンもいる。なんだかよくわからないものがたくさんいる。それらが〈うぇい、うぇい、ヘヘア! うぇい、うぇい、ヘヘア!〉というかけ声を、笛と太鼓と三味線の神楽にのせて、じりじりと進んでくる。」
    文章だけで伝わるこの不気味さ。
    「むろんそれは、そのように見えるだけであり、実際何が追いかけてくるのかはわからない―ただ、追いつかれたならば死ぬ、というのはわかる。」

    物の怪の集団から逃れた方法もなるほどと思ったし、なにより、このあとに続く物語の断片「静物平原」を読むとさらにゾワッとしておもしろい。
    千年時間がとまった土地で、動かない人間たち。その土地で見つかった銀色の物体。


    「ナチュラロイド」も良かった。
    ナチュラロイドは人工知能をもつロボット。ナチュラロイドが労働をすることで楽になった人間の生活。しかし、見方を変えればそれはロボットが人間を支配する社会。そこで人間がロボットを支配しているということを示すために人間による‶象徴的地位(王様)″を置くことになる。
    これからの社会を皮肉るような話。しょせん人間はAIには勝てないのだというかのような結末もとても良い!笑

    登場人物がリンクしているから、「こいつ!ここにいたのか!」となったり、「あれ、この人は・・・」となったり。最初にも書いた通り、物語の広がりはものすごいけれど、でもやっぱり世界は狭いねえと思うような・・・不思議な「箱庭」の物語でした。


    「君はこれから始まるのだ。君は十六歳なのだよ。君の見たもの、感じたもの、それがこれからの君を作る。悔しさも、だ。きっと君は探しているものを見つけることができる。わかりきったことだ。それでは、さよならだ。」

  • 恒川光太郎の最新刊。
    いつも独特な世界に引き込まれ読書を楽しめるんだけど、今回はなぜか全く興味を掻き立てられず、
    一話目で失速。。
    最近の作品の荒唐無稽さに、ちょっとついて行けなくなってるのかも。
    お気に入りの作家の一人なので
    かなり残念。

  • 恒川光太郎なのに、表紙が楽しそうで、あれ?と思い読む。
    箱庭の話、面白い。
    連作短編集で、登場人物が繋がっている。
    タイムトラベルのスイッチ遠持つ姉弟の話も面白かった。
    超洞察の彼は、かわいそうだった。
    ナチュラロイド社会に大賛成。
    全ての人間はもっと余暇を持つべきだと思う。
    ラストのクインフレアの話はドキドキした。
    なるほど子孫だった。
    これは完全にファンタジー。
    とても壮大な物語。
    ホラーではない白い恒川光太郎さん。
    とても良い。
    学校図書館◎

  • 恒川先生の連作短編集。なかなか面白かったけど、前半部分のが好きかな。最後壮大になりすぎて何がなんだかちょっと迷子になった。ギフテッドと箱庭の世界の話が面白かった。

  • 読み終わった後、またまた不思議いっぱいの話だったなぁ、恒川さん、ネタが尽きないなぁと思いました。

    今回の物語の舞台は、現代(過去もあり)の日本、たまたま拾った黒い箱の中に現れる箱庭世界、そして、次元鉄道で結ばれた異次元の世界の数々。一つ例を挙げるとすれば、現代の日本で発明されたAIロボット(まだ初期段階で、意思疎通もあやふや)が、次元を超え、数百年の時を超え、ナチュロイドと呼ばれ、想像できないほどの発展を遂げていたり。いろいろな世界が、物や人(子孫)で結びついていて、一度読んだだけではどこで繋がっているのか見落としやすく、もう一度確認しがてら読みたいなぁと思いました。

    ちなみに一番のおすすめが、「短時間接着剤」。鉄骨をも繋ぎ合わせることができるほどの、超強力な接着剤なのだけれど、7時間しかもたない、剥がれてしまう欠陥品。それを300万円で買った、お金持ちの女子高生。果たして何に使ったのか?この話は全体的に見ると、雰囲気が違っていて、笑えておもしろかったです。

  • どの話も面白い。
    発想が奇想天外で、ワクワクする。
    タイトルの箱庭の巡礼者たちに始まり、
    箱に入り込んだ人達の冒険物語にゾクゾクする。
    銀時計の話しや接着剤の話も、ちょっと怖い未来の話しも面白い。
    毎度ながら恒川さんの発想にとても感心させられる。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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