麒麟児 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041117880

作品紹介・あらすじ

慶応四年三月。鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川慶喜追討令を受け、江戸に迫りつつあった。
軍事取扱の勝海舟は、五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に挑むための決死の策を練っていた。
江戸の町を業火で包み、焼き尽くす「焦土戦術」を切り札として。
和議交渉を実現するため、勝は西郷への手紙を山岡鉄太郎と益満休之助に託す。
二人は敵中を突破し西郷に面会し、非戦の条件を持ち帰る。だが徳川方の結論は、降伏条件を「何一つ受け入れない」というものだった。
三月十四日、運命の日、死を覚悟して西郷と対峙する勝。命がけの「秘策」は発動するのか――。
幕末最大の転換点、「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。

感想・レビュー・書評

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  • 『天地明察』がとても面白かったので、冲方丁の他の歴史ものも読んでみようと手に取った一作。

    幕末も幕末、江戸の無血開城直前における西郷と勝海舟の二人の、江戸での戦争を避けるための駆け引きが本筋。カバー画の荒々しい感じをよそに、血湧き肉躍るような戦いは一切出てこず、二人の心の動きや会話が繰り広げられる。
    それが退屈かというとまったくそんなことはない。勝は、なんとかして主君の徳川慶喜に少しでも有利な条件を勝ち取りたい。西郷も、新政府軍には強硬派もいるものの、本人としてはなんとかして平和に主権交代を成し遂げたい。
    その主張をストレートには表に出せず、それでもそれぞれの目的を達成するために交渉が繰り広げられる様を、読み手をはらはらさせながら展開していくのはお見事。

    このあたりは題材としては手垢がつきすぎているし、冲方丁の筆致も一部司馬遼太郎っぽい感じになったりするが(これはもうどうしようもないね)、それでも独自の視点で切り込んだとても面白い作品だったと思う。

  • 勝海舟と西郷隆盛は、列強諸国に付け込まれないように気を配りながら、何とか日本の位相を転換させるために、フル回転の人生を送ったのだとは思う。小説としては、勝の視点で押し通しているが、西郷があまり印象に残らない。

  • 明治維新の前後の歴史をきちんと把握していないので、ちょっと話についていけない部分があったのが残念。

  • 舞台は幕末の江戸大決戦の前夜から江戸の無血開城がなされるまで。幕末ものの物語が多い中、これだけ短い期間を描いている小説は他にないのではないだろうか。登場人物も勝海舟と西郷隆盛という2人の麒麟児を中心とするだけで、そこまで多くを登場させていない。が、それによって、この江戸無血開城という一連のストーリーにより深みを与えている気がした。また、所々で出てくる過去編も無血開城へ向けた交渉の流れを崩すことなく掘り下げられており、とっても面白かった。
    勝海舟と西郷隆盛という敵同士ながら思考回路が共通している2人だからこそ、江戸の無血開城がなったのだ。ということを納得させられる小説になっている。
    この2人や彼らを取り巻く人物のように現状を理解し問題とその解決策、そして、その次案と言った基本的な物事の解決策、であろう手順の思考をできる人が現代の今の日本にどれだけいるのだろうか。

  • 勝海舟と西郷隆盛。江戸城の無血開城を成し遂げた2人の関係以上のことを知ることが出来て良かったです。もちろん、一部、フィクションの様な話もありますが、私利私欲に走る新政府の人たちや、利権を守ろうとする佐幕の人たちの暗躍。そしてより公正や大局観に持っていこうとする二人の正義のぶつかりあいも良かったです。今の政治や政策も、こうであってほしいと思うばかり。
    たかが理想。されど理想。
    大河ドラマで良い印象のあった徳川慶喜ですが、こちらは暗愚な印象が拭えません。

  • 江戸無血開城。西郷と勝の会談。心理戦は迫力あった。
    いろいろなことを淡々と話を進めすぎな気もした。

  • 周りの人間の理不尽さや利己的な振る舞いに、何度も何度も悪態をつきながらも、決して大義を忘れずにやるべきことを粘り強くやり続ける麒麟児たちの姿には、ただただ畏敬の念を感じる。その一方で、こうも報われない、理解されない状況で行動を辞めない姿には、「なぜそうまでできるのか」「なにが彼らをしてそうさせるのか」と、素直にはてなの気持ちが湧いてくる。そういう点も含め、常人には理解できない麒麟児なんだろうか。

  • 幕末、江戸城開城を中心にした話。
    勝海舟

  • 混乱する時代、過激な行動や集団暴発を防ぐために自身に矛盾やジレンマを抱えつつ最善の行動を選択する。そういった生き方を勝海舟と西郷隆盛の2人の交渉の中で描いた作品。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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