夜の黒豹 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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本棚登録 : 172
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118412

作品紹介・あらすじ

金田一耕助は等々力警部とともに、異様な事件現場に急行した。連れ込み宿のベッドに女が縛り付けられて縊死している。その胸部には殴りがきのトカゲの絵が残され、部屋はなぜか水浸し。さらに事件の直前、近くのホテルでは、未遂に終わった同様の事件をベルボーイが目撃していた。だが、警察に事情を話した直後、彼は何者かに轢き逃げされてしまい……。愛と欲にまみれた連続殺人事件の真相に金田一が挑む、名作本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 横溝正史『夜の黒豹』角川文庫。

    横溝正史の没後40年&生誕120年記念企画の第一弾。金田一耕助シリーズの怪作が復刊。金田一耕助シリーズはかなり読んでいるのだが、この作品を読むのは始めて。

    横溝正史の作品にしては珍しくエロチックな描写もあり、終盤に江戸川乱歩の作品のような活劇もあり、怪作と呼ばれる理由も理解出来る。凶悪犯罪はいつの時代にも起きるのだが、まだネットやPCも無く、科学的捜査方法も確立されていないこの時代には探偵と警察は足を使って情報収集するようだ。そして、集めた情報の断片から名探偵・金田一耕助が下した推理は……

    昭和35年11月。連れ込み宿のベッドで女性が縛り付けられ、首を絞められた状態で発見される。街娼と思われる女性の胸部にはマジックで書かれた青いトカゲの絵が残され、部屋は水浸しにされていた。事件の一報を受けた金田一耕助は等々力警部と共に現場を訪れる。

    事件の直前、近くのホテルでも未遂に終わった同様の事件が発生していたが、目撃者のベルボーイが警察に事情を話した直後、何者かに轢き殺される。さらに第3の事件も発生。事件の現場で目撃された黒豹のような人物、青トカゲの正体は……

    本体価格840円
    ★★★★

  • 途中からはさすがに犯人が誰か分かった。なあんか、動機が遺産となると普通に感じて残念。こういう都会の話よりも田舎が舞台の金田一耕助の方が好き。

  • ホテルの一室で起きた殺人事件。ドアが細目に開いた部屋は水浸しにされ、被害者の女の胸には青いトカゲの絵が描かれていた。人間の倒錯した愛欲が滲み出る物語に隠された恐ろしき連続殺人に金田一耕助が挑む!

    ホラーのような導入から、猟奇的な殺人事件へと繋がり、さらに真相へと分け入るほどに心の闇へと迷い込む。登場人物がとにかく多く、関係性が複雑。きめ細やかな人間関係に技巧を凝らして縫い込まれた冷酷な殺人計画。証拠すら残さない犯人を探偵ならではの手腕で追い込む終盤が面白い。

    推理とともに周りの人間をも組み上げて犯人を包囲していく金田一。どんなに優れた犯罪計画でも、実行犯が人間であるということが綻びになり、真相を追う者たちの結束によって破られるというのは皮肉。それにしても、夜の黒豹よりも短編時代の青蜥蜴というタイトルの方がピンとくるね。

    むせるように満ちわたる倒錯した愛欲の霧、膠着状態が長く続くので最初の事件を忘れてしまう、登場人物が多すぎてもはや記憶力テスト&家系図ほしいなど、癖が強い。この作品を金田一耕助シリーズの導入としては薦めないが、復刊して読めてよかったことは間違いないという作品。帯がいい仕事してるのもポイント。

  • 昭和35年11月

    なるほどこれはいろんな意味で映像化は難しい作品だ

  • 解説にもあるが、もともと短編を長編に書き換えたせいか、前半と後半で違和感が生じる。
    トリックや解決は短編のときと同様らしい。
    金田一耕助シリーズ得意の財産争いを交えず、短編のほうがより面白い作品になったのではないかと感じる

  • 事件が次々に起きて、その度に担当刑事がでてきて登場人物が多い!というのが途中までの感想です。
    整理できないと思ったら金田一先生が疑問の数々を整理してくれて、終盤に謎解きをしてくれてさすが金田一先生!と思いました。
    生まれてないけど昭和30年頃を感じられる雰囲気というか内容が良かったです。

  • タイトルの「夜の黒豹」という内容ではなかった・・・

  • 復刊祭り嬉しい。しかもこんな「横溝読んでます」感満載の表紙で。
    ちょっとだけ出てきて流してた物事や人が後になって大きな意味を持つので気が抜けない。物証よりも犯人に直接ボロを出させるラストは好き。
    逮捕で唐突に終わり、後日談がないのはいつものことだけど、金田一を目の敵にしてた牧野警部補がぎゃふんと言わされて降参するところはちょっと見たかったなぁ。

  • 2021/10/29読了

  • 再読。岡戸圭吉のインパクトが凄い。
    改めて読むと伏線もばっちり張ってあるし、ちゃんとしてる。イロモノ的な記憶しかなくて申し訳なかった…

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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