迷路の花嫁 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 74
感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118436

作品紹介・あらすじ

かけ出しの小説家松原浩三は、ふとしたことからとてつもない恐ろしい事件に巻き込まれていった。暗い夜の町を散策していた彼は、偶然行き会った若い女の異常な様子に不審を抱き、後を追いかけた。だが、通りがかりの警官と共に、女が消えた路地へ踏み込んだ彼は戦慄した! 軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、そして縁側からまっ赤な猫の足跡が続き、血の海と化した座敷には、無数の切り傷から鮮血をしたたらす全裸の女の死体が……。横溝正史の傑作長編推理小説。

感想・レビュー・書評

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  • 駆け出しの小説家・松原浩三は、通りかかった霊媒の家から飛び出してきたという女に不審を抱き、警官たちとともに家へと踏み込む。そこには無数の傷を負った女の死体が──!金田一耕助はこの謎を解けるのか?!

    とは言っても、金田一はほぼ登場しない。凄惨な殺人の謎も留め置かれたままお預けを食らう。しかし、それにもちゃんと意味があって、終盤は唸るばかり。事件に首を突っ込む浩三が見せる奇妙で正義感あふれる行動の謎。それに従って浮き彫りになる霊媒の大家・建部多門の邪悪さ。この対決が実に面白い。

    入り組んだ人間関係はまさに迷路。複雑で悪辣な迷路の奥に囚われた花嫁たちを見つけ出し、そこから始まる新しいドラマが事件を解決へと導いていく。ミステリというよりは、解説にもある通りにサスペンス・ロマンがしっくりくる。痛快でほろ苦く、味わい深い作品。復刊して読めたのはうれしいね。

    それにしても、表紙や事件現場で猫アピールがすごいのに、まったく関係なく終わってしまったのは残念。まあ、表紙の猫が可愛いなあで買って、面白い作品と出会えたからいいとしようかな(笑)

  • 久しぶりの金田一シリーズ。狂気の表情を浮かべる猫の表紙。これは冒頭の惨劇のシーン。
    ダ・ヴィンチ別冊のムック「金田一耕介the Complete」も合わせて読みながら横溝世界を堪能しました。時代設定としては戦後10年、出版も同じくらいの時期のせいか「戦災」跡の描写が生々しく、今読むと別世界のように感じられると共に非常にリアルな情景です。
    今回は金田一はほとんど登場せず、複雑な仕掛けを解くというより、苦境に陥った人々を掬い上げる男の活躍を描くサスペンス比重が高い。共感してほしい、かまってほしいとか
    、すぐに心折れたとかが多い今と違って、弱音を吐かないとかなんとしてもやり抜くとか昭和の理不尽なまでのメンタルの強さが魅力的に映ります。もはやこんなところも異世界
    と感じてしまう今の自分のひ弱さがショック。優しさが滲み出るシーンも多く、金田一シリーズの中でも特に印象深い作品でした。

  • 悪逆非道な心霊術の大家に復讐する物語。推理要素は少なく、主役であるはずの金田一耕助も脇役扱い。金田一耕助が脇役扱いの作品も珍しいから、これはこれでよいのではと感じた。

  • 「ミステリ」を期待したおすすめにはならないけど、物語としてはすごく面白かった

  • 04/24/2022

  • 女王蜂に引き続き、「相手を見つめるだけで男女の御祈祷()に引きずり込めるオヂサン」が出てきたことだけ面白かった。男も女も応援したいひとがいなさすぎて誰がどうなろうが結構どうでもいいかな…と思ってしまった。ナツメさんの良さってなに?顔?なよなよして頬を赤らめてうつむき、でもヤることはヤる女って感じで一番苦手だった。

  • いつもの最後でのトリック証良しです

  • 金田一先生があんまり出てこなくて寂しい。挙動が謎で「何で知ってるんだ」的言動が多いのはかっこいいけど。
    殺人事件というより、罠に嵌って逃げ出せなくなった女性を救い、かつて愛する人を失った男性が奮闘する物語。サスペンスロマンとしてはめちゃくちゃ面白い。本人を倒すだけじゃなく、被害者を解放しようとするところに優しさが現れてる。唯一、よりによって松原の復讐をしてくれた人だけが救われなかったのが残念。
    病院での告白の場面は胸が詰まる。最後の言葉が蝶太への「おれ、おまえがかわいくてなあ…」なのがなんとも切ない。

  • (*星4つ相当です)
    湿度100%!業(ごう) on the 業

    体に良くないとわかっていながらやめられない煙草のような物で、横溝正史って本当に良いですよね。
    たまりません。

    戦後は宗教が流行る、とサラッと書かれていましたが、そう言う物なんだな、と思いました。
    「悪魔が来たりて〜」ほど凄惨ではないですが、良い感じの湿潤気候です。山陰地方じゃないから少しはカラッとしていますが、なんせ梅雨前のストーリー。超オススメです。
    キャスティングを考えたりしながら読んじゃいますねぇ。

  • 金田一耕助がほぼ出てこない金田一耕助シリーズ。
    幸の薄い女性が幸せになる物語を愛する方にはとにかくおすすめ。めちゃくちゃ良質なサスペンス・ロマン。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2022年 『蝋面博士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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