- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041118436
作品紹介・あらすじ
かけ出しの小説家松原浩三は、ふとしたことからとてつもない恐ろしい事件に巻き込まれていった。暗い夜の町を散策していた彼は、偶然行き会った若い女の異常な様子に不審を抱き、後を追いかけた。だが、通りがかりの警官と共に、女が消えた路地へ踏み込んだ彼は戦慄した! 軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、そして縁側からまっ赤な猫の足跡が続き、血の海と化した座敷には、無数の切り傷から鮮血をしたたらす全裸の女の死体が……。横溝正史の傑作長編推理小説。
感想・レビュー・書評
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駆け出しの小説家・松原浩三は、通りかかった霊媒の家から飛び出してきたという女に不審を抱き、警官たちとともに家へと踏み込む。そこには無数の傷を負った女の死体が──!金田一耕助はこの謎を解けるのか?!
とは言っても、金田一はほぼ登場しない。凄惨な殺人の謎も留め置かれたままお預けを食らう。しかし、それにもちゃんと意味があって、終盤は唸るばかり。事件に首を突っ込む浩三が見せる奇妙で正義感あふれる行動の謎。それに従って浮き彫りになる霊媒の大家・建部多門の邪悪さ。この対決が実に面白い。
入り組んだ人間関係はまさに迷路。複雑で悪辣な迷路の奥に囚われた花嫁たちを見つけ出し、そこから始まる新しいドラマが事件を解決へと導いていく。ミステリというよりは、解説にもある通りにサスペンス・ロマンがしっくりくる。痛快でほろ苦く、味わい深い作品。復刊して読めたのはうれしいね。
それにしても、表紙や事件現場で猫アピールがすごいのに、まったく関係なく終わってしまったのは残念。まあ、表紙の猫が可愛いなあで買って、面白い作品と出会えたからいいとしようかな(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりの金田一シリーズ。狂気の表情を浮かべる猫の表紙。これは冒頭の惨劇のシーン。
ダ・ヴィンチ別冊のムック「金田一耕介the Complete」も合わせて読みながら横溝世界を堪能しました。時代設定としては戦後10年、出版も同じくらいの時期のせいか「戦災」跡の描写が生々しく、今読むと別世界のように感じられると共に非常にリアルな情景です。
今回は金田一はほとんど登場せず、複雑な仕掛けを解くというより、苦境に陥った人々を掬い上げる男の活躍を描くサスペンス比重が高い。共感してほしい、かまってほしいとか
、すぐに心折れたとかが多い今と違って、弱音を吐かないとかなんとしてもやり抜くとか昭和の理不尽なまでのメンタルの強さが魅力的に映ります。もはやこんなところも異世界
と感じてしまう今の自分のひ弱さがショック。優しさが滲み出るシーンも多く、金田一シリーズの中でも特に印象深い作品でした。 -
悪逆非道な心霊術の大家に復讐する物語。推理要素は少なく、主役であるはずの金田一耕助も脇役扱い。金田一耕助が脇役扱いの作品も珍しいから、これはこれでよいのではと感じた。
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横溝作品としては物足りなさでいっぱいです。
序盤の殺人事件がセンセーショナルだからワクワクしたのに、事件の推理というよりは、その背景にある宗教絡みの男女問題が中心の人情モノといった感じです…
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04/24/2022
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女王蜂に引き続き、「相手を見つめるだけで男女の御祈祷()に引きずり込めるオヂサン」が出てきたことだけ面白かった。男も女も応援したいひとがいなさすぎて誰がどうなろうが結構どうでもいいかな…と思ってしまった。ナツメさんの良さってなに?顔?なよなよして頬を赤らめてうつむき、でもヤることはヤる女って感じで一番苦手だった。
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いつもの最後でのトリック証良しです
著者プロフィール
横溝正史の作品






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