偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 (角川文庫)
- KADOKAWA (2021年9月18日発売)


本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041118764
作品紹介・あらすじ
老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。
感想・レビュー・書評
-
チャラチャラして軽いような交番勤務の人は注意が必要だ!
犯罪者になったら、こんな状態になるんだろうか?というハラハラした心境も味わえます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
街のお巡りさんが大活躍! 緊張感のある中で繰り広げられる犯人とお巡りさんの対決がスゴイ #偽りの春
交番のおまわりさんが、ほんの少し糸口から犯人の犯罪を暴いていく倒叙ミステリー、全五編からなる短編集。何気ないどうしたんですか?という問いかけから、みるみる犯人を追い詰めていく様は超怖いっ
コロンボ、古畑任三郎シリーズの倒叙モノのミステリーです。
これまでの倒叙モノよりも、かなり人情派の話ばかりで、犯人側の描写がとてもよく描かれています。犯人の性格に戦慄したり、思わずほろりときたり、また共感できたりするので、ミステリーでなくとも読み物としても良作だと思いました。
また文章も丁寧で上手で、短編ながら読みごたえがある内容。ストーリーも工夫をされていて、一癖二癖ある設定や展開になっていますね。
本作のメインどころは、やはりお巡りさんの鋭い推理でしょう。犯罪者が狡猾にひた隠しにしたい悪行を、するすると見事に解き明かしていきます。犯人もこんな優秀な警察官に出会ってしまって運がなかったですね…
本作の少し残念な点としては、できればもっとお巡りさんの出番や描写があっても良かったかなと思いました。性格や過去の背景、好きなものや趣味などの情報、犯人を追い込むシーンなど、もうちょっとボリュームがあってもよかったかな。
今後もシリーズ化できる作品だと思うので、ぜひ期待したいです! -
どの話も面白かった。神倉駅前交番と書いてあったので警察側かと思ったらどれも犯人側だった。最初の話が全編の中で一番嫌悪感を抱いたのに何故か一番ドキドキしたのもこの話だった。ページをめくる度に自分が追い詰められていくようで手汗を書きながら読んだ。
-
評判を聞いて読んでみた。
五つの連作短編集で、全てが犯人視点で進んでいく。
へらへらしてるのに洞察力が半端ではない狩野が魅力的過ぎた
会話しているだけで、常に首元にナイフを突きつけられているかのような感覚(作中にも出てきた表現)が、下手なこと言ったら全て暴かれてしまいそうな感じが痺れた。
そのような評判は聞いていたので、まさにその通りだなと思いました。
それでいてどんでん返しが一話一話の中にあったり、進んでいく中で狩野の過去について少しずつ明らかになったりと、とにかく読んでいて面白い要素が多かったです。
次作と早く読みたい! -
面白かった!決してサイコパスではなく、普通に常識ある一般人寄りの犯人視点で進んでいくので、狩野雷太に追い詰められる時のハラハラ感がすごい。全話卒なく面白いけど、私は「偽りの春」と「見知らぬ親友」の2つが好きだったな。
-
犯人目線で進む古畑任三郎スタイルです。捜査一課とか刑事ではなく、おまわりさんが事件解決って珍しいパターンだなと思いました。
ヘラヘラした軽い感じのおまわりさんがかなりキレ者でネチネチ問い詰めてくるのが癖になります!ドキドキしました。
このシリーズは長編もあるようなので、そちらも読んでみたいです。 -
YouTube「ほんタメ」で紹介されていた一冊です。
表紙のデザインが秀逸というか、
不穏な気持ちにさせられます。
その印象通り、
本書は犯罪を犯した犯人目線で物語は展開し、
突然、町のお巡りさんである狩野に出会います。
読者としては犯罪を知っているだけに、
ひょうひょうと現れる狩野さんに緊張するし、
退路や逃げ道をふさがれていくような息苦しさに
どきどきしました。苦笑
読んでて古畑任三郎を思い出しました。苦笑
登場する犯人も、
決して完璧なサイコパスというわけでなく、
焦ったり平静を装ったり、
読んでるこっちまで不安になりました。苦笑
通勤で読みましたが、一気読みでした。
個人的には「見知らぬ親友」が好きです。
シリーズ続編が出てるんですよね。
読みたい…
けどハードカバーサイズは持ち運びもお値段も辛い…
文庫になるのを待ちたいです。 -
短編集。
犯人主体で物語が進み、突然無関係に現れたかのように見える交番の警察官・狩野が鮮やかに真相を暴く。
そんな馬鹿なっていう感じもするが、妙な説得力はある。
終盤、狩野の過去にかかわる事件が出てくるが、正直、「犯人」の気持ちがあまり理解できなかったことが残念。
いくら芸術家といえど、そりゃあないんじゃない?としか凡人には思えず。
もうちょっと白黒はっきりさせやすい終わり方にして欲しかった。
続編もいつでも書けそうなので期待したい。 -
ちょっとした仕草から犯人を追い詰めていく倒叙ミステリ。
狩野さんの観察力と推理力に脱帽。追い詰めてられていく犯人たちが可哀想になってきます。
短編で読みやすく、特に最後にの二作品が良かったです。
ちょっとした日常が、ゾクゾクする物語に変わっていく様が読み応えばっちりです。-
初コメです。
『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^初コメです。
『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^2023/06/11
-
-
犯人目線の搭乗ミステリー。何故、事件を起こしてしまったのか、犯人の心情とそれを暴こうとする交番勤務の狩野さん。何気ない会話から真実を暴こうとする狩野さんはカッコいいです。狩野さんの過去が明らかになったり、前のお話とのつながりがあったり、犯人の辛い心情があったり。ドキドキしながら読めて楽しかった。
-
本屋で何気なく手にとった。「犯人視点!」と書かれた帯、早速ネタバレか?なんて思ったり。
主人公の飄々としたお巡りさんがどこで登場するのか……ドキドキしながら読みすすめていくのがたまらなかった。自分も犯人になったようなジリジリ感も。また推しが増えた。
続編も読まなくては……!
【自分的 人に薦めたい小説No.1】
-
表紙のお巡りさん なんだか悪人に見えて、帯の「このお巡りさんから 逃げられない」って書いてるのがまた……
っと 悪いお巡りさんの話と思いきや!ちゃらんぽらんな(感じ)の狩野が 犯人を追い詰めて行く5話の連作集。
「鎖された赤」監禁モノでちょっと…な部分があったけど 見事過ぎるどんでん返し♪ 犯人との心理戦 も見事。
「偽りの春」老々 詐欺! 詐欺で生活を支えてきた女が 最後に 手する事が出来なかった幸せに執着した結果……
そして 、刑事に戻れ。っと言われる程 優秀な狩野が犯した過去の罪とは? 連作集の中にも 今後の展開が期待出来る内容でした♪
-
ごりさん、はじめまして。
表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
ちゃんとしたお巡りさ...ごりさん、はじめまして。
表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
ちゃんとしたお巡りさんのようで安心しました^^;2024/02/03 -
なおなおさん
はじめまして♪
いつもイイねありがとうございます♪
なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり...なおなおさん
はじめまして♪
いつもイイねありがとうございます♪
なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり、読書のモチベーションにさせてもらってます
>^_^<2024/02/03
-
-
面白かった!『すみれ屋敷の殺人』に続き、読ませる作家さんだなぁと思う。自分の予想とは違う着地に驚きつつも、最後にはなるほどと思わせる説得力がある。
特に〝鎖された赤〟が強く印象に残った。
シリーズで長編が出ているようなので、そちらも読みたい。 -
狩野の飄々とした謎な雰囲気がなんだか癖になる。
短編集はあまり好きじゃないのに、これぼ面白く読めた。
犯人目線での犯行の記述と、狩野の的確な指摘であっさり追い詰められてしまう感じがよかった。 -
初読みの降田天さんの作品
短編集で犯人視点で書かれているミステリー
派手さはないけど、ジワジワと犯人が追い詰められていく、心理描写が丁寧に書かれている所が、凄く好みでした。
警察側からあまり感情を感じないためか、犯人に共感してしまうところも。
他の作品も読んでみたいと思える作家さんに出会えた良作でした! -
知らなかったのか…?そのお巡りさんからは逃げられない…!
蝶のように舞い、蜂のように刺す!のらりくらりと笑顔で犯人を追い詰めるお巡りさんはもはや大魔王。その名は狩野雷太。彼が関わる事件が連作短編として描かれる倒叙ミステリ。
『鎖された赤』
交番を訪ねた青年・尊。落とした鍵を探しにやってきたのだが、その鍵は少女を監禁している場所の鍵だった!祖父の家で見つけた蔵の鍵。そこから少女への倒錯した愛情への欲求が溢れ出す。途中の日記からホラーを読んでいるような気分に。さらに、のらりくらりとしながらも尊を追い詰めていく狩野も怖い!倒叙ものの探偵で一番怖いって思ったかも。予想以上の闇にゾッとさせられた話だった。
『偽りの春』
高齢者詐欺を仕切っていたリーダーの光代。仲間に一千万円を持ち逃げされた上に、黙っていて欲しくば一千万円用意しろという脅迫状まで届く。窃盗で手にしたお金を持ち帰るところで狩野とエンカウント!顔色が悪いから送るよという言葉を断れず、光代はパトカーに乗る──。
狩野が淡々とにこやかに追い詰めていくのが怖い(二回目)。詐欺からはもう足を洗って、仲良くなった隣の子にランドセルを買ってあげたいという願いを読者は知っているだけに、より感情移入して読んでしまう。読み終わってみると、偽りの春というタイトルも味わい深い。
『名前のない薔薇』
泥棒・祥吾に思いを寄せる看護師・理恵。しかし、自分は泥棒だから関わることはできないと断る。それに対して理恵は「泥棒なんだったら、ある家から珍しい薔薇を盗んでみて」と言葉を返すが──。
自分の気持ちを受け取ってほしいという気持ちが生んだ盗みの種。そこから芽生え、花を咲かせたのは偽りの薔薇だった。泥棒したことで相手まで泥棒にしてしまう皮肉。愛する薔薇への思いがあるからこそ、狩野に揺さぶられる理恵。締め方が粋で、一花咲かせてくれるところが好き。
『見知らぬ親友』
美大に通う美穂は同学年の夏希が借りているマンションで同居していた。独りが心細くてという夏希だったが、美穂は見られたくない瞬間を目撃されたことから始まった展開に疲弊していく。貧富の差、秘密を握られて逆らえない状況は、美穂を追い込んでいき──。
狩野がひたすら執拗に美穂を追い詰めていくのが怖すぎる。読みながら自分まで追い詰められていくようなヒリつきに鳥肌。大魔王の貫禄。倒叙ミステリでこんなに恐怖したのは初めて(三回目)。真実が明らかになることで、美穂と夏希の関係性の歪みも霧が晴れていく。その一方で、友人であり天才と呼ばれる油絵科の一沙が見抜いて描き出したものも恐ろしい。
『サロメの遺言』
アイスティーに入れた毒が元恋人であるエミリを殺した。彼女が声優を務めたアニメ原作者である高木カギは部屋の証拠隠滅を図る。すべては計画通り。彼は逮捕され、取り調べを受ける。そこで彼が要求したことは、狩野雷太を呼ぶことだった。
狩野の過去、解かれなかった事件の真相に手がかかる。高木カギの父が遺した女の両腕だけの石膏像「サロメ」。その腕に乗せられたものは何だったのか。取調べで無双してきた大魔王・狩野との戦い。今までの事件は絶望感が支配していたけど、今回の心理戦は熱量がすごくて圧倒された。圧し掛かる罪の重さと秋の匂いがほろ苦いラストだった。 -
2024.2.6 読了
短編なのでサクッと読める。
『名前のない薔薇』と『見知らぬ親友』の2編が好きかな。
降田天さんの作品は『すみれ屋敷の罪人』を読んで以来2作目だけれど女性の心理描写がお上手な方だなという印象。
短編だから仕方ないのかもだけど狩野さんが犯人を追い込む場面がわりとアッサリしてて最後の狩野さんの語りで裏側がわかる展開ではちょっと物足りなく感じてしまった。
もう少しじっくり狩野さんが犯人を追い込む様子を見てみたいので長編で読んでみたい作品だなと思う。 -
狩野雷太のようになりたい。一見おちゃらけてるのに鋭い観察力を披露する。続きが読みたくなる。
著者プロフィール
降田天の作品





