偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 964
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118764

作品紹介・あらすじ

老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 街のお巡りさんが大活躍! 緊張感のある中で繰り広げられる犯人とお巡りさんの対決がスゴイ #偽りの春

    交番のおまわりさんが、ほんの少し糸口から犯人の犯罪を暴いていく倒叙ミステリー、全五編からなる短編集。何気ないどうしたんですか?という問いかけから、みるみる犯人を追い詰めていく様は超怖いっ

    コロンボ、古畑任三郎シリーズの倒叙モノのミステリーです。
    これまでの倒叙モノよりも、かなり人情派の話ばかりで、犯人側の描写がとてもよく描かれています。犯人の性格に戦慄したり、思わずほろりときたり、また共感できたりするので、ミステリーでなくとも読み物としても良作だと思いました。

    また文章も丁寧で上手で、短編ながら読みごたえがある内容。ストーリーも工夫をされていて、一癖二癖ある設定や展開になっていますね。

    本作のメインどころは、やはりお巡りさんの鋭い推理でしょう。犯罪者が狡猾にひた隠しにしたい悪行を、するすると見事に解き明かしていきます。犯人もこんな優秀な警察官に出会ってしまって運がなかったですね…

    本作の少し残念な点としては、できればもっとお巡りさんの出番や描写があっても良かったかなと思いました。性格や過去の背景、好きなものや趣味などの情報、犯人を追い込むシーンなど、もうちょっとボリュームがあってもよかったかな。

    今後もシリーズ化できる作品だと思うので、ぜひ期待したいです!

  • 短編集。
    犯人主体で物語が進み、突然無関係に現れたかのように見える交番の警察官・狩野が鮮やかに真相を暴く。
    そんな馬鹿なっていう感じもするが、妙な説得力はある。
    終盤、狩野の過去にかかわる事件が出てくるが、正直、「犯人」の気持ちがあまり理解できなかったことが残念。
    いくら芸術家といえど、そりゃあないんじゃない?としか凡人には思えず。
    もうちょっと白黒はっきりさせやすい終わり方にして欲しかった。
    続編もいつでも書けそうなので期待したい。

  • ちょっとした仕草から犯人を追い詰めていく倒叙ミステリ。
    狩野さんの観察力と推理力に脱帽。追い詰めてられていく犯人たちが可哀想になってきます。
    短編で読みやすく、特に最後にの二作品が良かったです。
    ちょっとした日常が、ゾクゾクする物語に変わっていく様が読み応えばっちりです。

    • マメムさん
      初コメです。
      『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^
      初コメです。
      『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^
      2023/06/11
  • 面白かった!『すみれ屋敷の殺人』に続き、読ませる作家さんだなぁと思う。自分の予想とは違う着地に驚きつつも、最後にはなるほどと思わせる説得力がある。

    特に〝鎖された赤〟が強く印象に残った。

    シリーズで長編が出ているようなので、そちらも読みたい。

  • 表紙のお巡りさん なんだか悪人に見えて、帯の「このお巡りさんから 逃げられない」って書いてるのがまた……

    っと 悪いお巡りさんの話と思いきや!ちゃらんぽらんな(感じ)の狩野が 犯人を追い詰めて行く5話の連作集。

    「鎖された赤」監禁モノでちょっと…な部分があったけど 見事過ぎるどんでん返し♪ 犯人との心理戦 も見事。

    「偽りの春」老々 詐欺! 詐欺で生活を支えてきた女が 最後に 手する事が出来なかった幸せに執着した結果……

    そして 、刑事に戻れ。っと言われる程 優秀な狩野が犯した過去の罪とは? 連作集の中にも 今後の展開が期待出来る内容でした♪

    • なおなおさん
      ごりさん、はじめまして。
      表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
      ちゃんとしたお巡りさ...
      ごりさん、はじめまして。
      表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
      ちゃんとしたお巡りさんのようで安心しました^^;
      2024/02/03
    • ごりさん
      なおなおさん
      はじめまして♪

      いつもイイねありがとうございます♪

      なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり...
      なおなおさん
      はじめまして♪

      いつもイイねありがとうございます♪

      なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり、読書のモチベーションにさせてもらってます
      >^_^<
      2024/02/03
  • 初読みの降田天さんの作品
    短編集で犯人視点で書かれているミステリー

    派手さはないけど、ジワジワと犯人が追い詰められていく、心理描写が丁寧に書かれている所が、凄く好みでした。
    警察側からあまり感情を感じないためか、犯人に共感してしまうところも。

    他の作品も読んでみたいと思える作家さんに出会えた良作でした!

  • 知らなかったのか…?そのお巡りさんからは逃げられない…!
    蝶のように舞い、蜂のように刺す!のらりくらりと笑顔で犯人を追い詰めるお巡りさんはもはや大魔王。その名は狩野雷太。彼が関わる事件が連作短編として描かれる倒叙ミステリ。

    『鎖された赤』
    交番を訪ねた青年・尊。落とした鍵を探しにやってきたのだが、その鍵は少女を監禁している場所の鍵だった!祖父の家で見つけた蔵の鍵。そこから少女への倒錯した愛情への欲求が溢れ出す。途中の日記からホラーを読んでいるような気分に。さらに、のらりくらりとしながらも尊を追い詰めていく狩野も怖い!倒叙ものの探偵で一番怖いって思ったかも。予想以上の闇にゾッとさせられた話だった。

    『偽りの春』
    高齢者詐欺を仕切っていたリーダーの光代。仲間に一千万円を持ち逃げされた上に、黙っていて欲しくば一千万円用意しろという脅迫状まで届く。窃盗で手にしたお金を持ち帰るところで狩野とエンカウント!顔色が悪いから送るよという言葉を断れず、光代はパトカーに乗る──。

    狩野が淡々とにこやかに追い詰めていくのが怖い(二回目)。詐欺からはもう足を洗って、仲良くなった隣の子にランドセルを買ってあげたいという願いを読者は知っているだけに、より感情移入して読んでしまう。読み終わってみると、偽りの春というタイトルも味わい深い。

    『名前のない薔薇』
    泥棒・祥吾に思いを寄せる看護師・理恵。しかし、自分は泥棒だから関わることはできないと断る。それに対して理恵は「泥棒なんだったら、ある家から珍しい薔薇を盗んでみて」と言葉を返すが──。

    自分の気持ちを受け取ってほしいという気持ちが生んだ盗みの種。そこから芽生え、花を咲かせたのは偽りの薔薇だった。泥棒したことで相手まで泥棒にしてしまう皮肉。愛する薔薇への思いがあるからこそ、狩野に揺さぶられる理恵。締め方が粋で、一花咲かせてくれるところが好き。

    『見知らぬ親友』
    美大に通う美穂は同学年の夏希が借りているマンションで同居していた。独りが心細くてという夏希だったが、美穂は見られたくない瞬間を目撃されたことから始まった展開に疲弊していく。貧富の差、秘密を握られて逆らえない状況は、美穂を追い込んでいき──。

    狩野がひたすら執拗に美穂を追い詰めていくのが怖すぎる。読みながら自分まで追い詰められていくようなヒリつきに鳥肌。大魔王の貫禄。倒叙ミステリでこんなに恐怖したのは初めて(三回目)。真実が明らかになることで、美穂と夏希の関係性の歪みも霧が晴れていく。その一方で、友人であり天才と呼ばれる油絵科の一沙が見抜いて描き出したものも恐ろしい。

    『サロメの遺言』
    アイスティーに入れた毒が元恋人であるエミリを殺した。彼女が声優を務めたアニメ原作者である高木カギは部屋の証拠隠滅を図る。すべては計画通り。彼は逮捕され、取り調べを受ける。そこで彼が要求したことは、狩野雷太を呼ぶことだった。

    狩野の過去、解かれなかった事件の真相に手がかかる。高木カギの父が遺した女の両腕だけの石膏像「サロメ」。その腕に乗せられたものは何だったのか。取調べで無双してきた大魔王・狩野との戦い。今までの事件は絶望感が支配していたけど、今回の心理戦は熱量がすごくて圧倒された。圧し掛かる罪の重さと秋の匂いがほろ苦いラストだった。

  • Twitterのカドカワおすすめに出てきて気になっていたがなかなか出会えず。
    大型書店に行ったとき、ついに出会ってしまった!!そんなん買うでしょ!!
    というわけで、相変わらず積んでる間にあらすじを忘れてしまい、予備知識なしで読み始めるという…

    作者様、作家ユニットなのね!
    ネメシスの人!?ドラマの!?てかネメシスって複数作家さんが書いてたの!?知らんかった〜へぇ〜。
    ネメシスって、ネメシスかメネシスか分かんなくならない…?カタカナ苦手な私だけ…?
    (脱線しすぎ)

    さて、敏腕刑事が地域課交番勤務に。犯人側から描かれる短編集です。
    犯人じゃない人もいるけど、概ね犯人。


    ガチガチのミステリかと思いきや、そんなでもない。
    ほんのりミステリくらいかな?
    敏腕元刑事がああでもないこうでもない言ってて、犯人側からそれが描かれる。動揺するな…!とか言ってる。
    ミステリか?これ?ミステリー…定義がよく分からなくなるな…。
    がっつりミステリ期待するとちょっと肩透かしかも。
    それより構成が上手で面白く、ミステリとして楽しめるってより単純に話として面白かったです。エンタメ小説。

    最後の二作はなかなか〜でした。
    特に教授が教え子殺しちゃった動機、教授と教え子の関係性が深くてね…。なんとも言えない雰囲気が漂っててゾクゾクしちゃった!
    あの最後の教授の告白以降で、この作品の持つポテンシャルというか、作家さんの持つポテンシャルというか、見せつけられた気がしました。
    それまではちょっと面白いエンタメ小説くらいだったのに。

    軽いミステリ読みたいときはいいのなもしれない。
    他の作品もこうなのかな?この作家さんのガチガチの重めミステリ読んでみたいなぁー。




    @手持ち本

  • 狩野雷太のようになりたい。一見おちゃらけてるのに鋭い観察力を披露する。続きが読みたくなる。

  • 交番勤務の警察官が活躍する…って思ったから、てっきり人情市井モノの現代版(さすがにこち亀ではないと思ったが)かと思いきや、なんとガッツリ倒叙系の本格ミステリーだったという。

    交番勤務の警官狩野雷太に追い詰められる犯人の、ヒリつくような心理的切迫感がすごい。どの短編も犯人目線で語られているから自分が追い詰められていくようで、心拍数があがるような気がするし、手汗かくし。

    中盤以降の3作は、ユルくつながっている構成なんだが、その展開も絶妙で、ラストのほろ苦さが際立つ。次作は長編ということで、長いのにも十分期待できるぞ。

    思ってたのとは違ったが、思ってた以上にオモロかった。シリーズ追いかけます!

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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