恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118801

作品紹介・あらすじ

ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎の琉球ホラー「ニョラ穴」、誰からも省みられないホームレス男性の最期を描いた平山夢明の衝撃作「或るはぐれ者の死」など、現役の人気エンタメ作家による力強い作品と、小松左京のアクロバティックな発想が光る怪奇小説「骨」、土俗的恐怖とフェミニズム的視点を融合させた直木賞作家・坂東眞砂子の「正月女」、耽美的なゴシックミステリーで没後も熱烈なファンをもつ服部まゆみの和風人形怪談「雛」、昨年11月惜しくも急逝した小林泰三氏渾身の一作「人獣細工」などレジェンド級の名品が、ホラー小説の豊かさをあらためて提示する。心霊・怪談系の作品が多かった『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に対し、『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』にはSFや犯罪小説、ダークファンタジーなどの発想を用いた作品も収録。この二冊合わせ読むことで、日本のホラー小説の神髄を味わうことができる。

コピーライト続き
(C)Masako Bando 1994.2021.Yumeaki Hirayama 2007.2021.Unga Asamiya 2021

感想・レビュー・書評

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  • なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
    1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
    竹本建治「恐怖」1983
    小松左京「骨」1972
     SFっぽさあり
    宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
     新しいなって思う
    坂東眞砂子「正月女」1994
     女の嫉妬の怖さ
    恒川光太郎「ニョラ穴」2013
    平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
     都会の隅で見過ごされる悲しさ
    服部まゆみ「雛」1994
     雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
    小林泰三「人獣細工」1997
     ありえなくもない豚と人間の相互移植

    坂東さんの正月女は、言い伝えにまつわる話。死期が近い若い妻が死んだ後の夫への嫉妬。諦めきれない思いや、優しげだけど裏がありそうな家庭の状況等、怖いより上手し。
    たぶん、坂東さん読みたかったのだと思う。
     

    • 1Q84O1さん
      おおっ!
      ほんとだ!1200!
      すごーいヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
      おおっ!
      ほんとだ!1200!
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      2024/02/21
    • ゆーき本さん
      すごーーー!1200! 祝(*'∇')/゚・:*
      豚と人間の心臓(?)移植ってアメリカであったよね??
      すごーーー!1200! 祝(*'∇')/゚・:*
      豚と人間の心臓(?)移植ってアメリカであったよね??
      2024/02/21
    • おびのりさん
      おはようございます♪
      1200だったかー。
      また、なんでもない本登録しちゃいました。

      豚と人間が、ドナーが逆というオチ付きです。
      おはようございます♪
      1200だったかー。
      また、なんでもない本登録しちゃいました。

      豚と人間が、ドナーが逆というオチ付きです。
      2024/02/22
  • '23年11月28日、読了。Kindle unlimitedで。前回読んだ「再生」に続く、角川ホラー文庫の、アンソロジー。

    僕としては、「再生」よりも、本書の方が衝撃でした。いやぁ、グッタリ╮⁠(⁠╯⁠_⁠╰⁠)⁠╭

    中でも特に気に入ったのは、小松左京さん、服部まゆみさん、小林泰三さん、の三作品。この三作品には、本当に、唸ってしまいました。

    全員、親しみのある作家さんで、さすがのクオリティ!僕には、長編よりも、このくらいの短編の方が読みやすかった。特に「ホラー」では!

    でも…

    それぞれの作家さんの「長編」を、やはり読みたくなりました。怖い物見たさ?トホホ…(⁠。⁠ŏ⁠﹏⁠ŏ⁠)

  • ■「恐怖」竹本健治
    な、なんで坊主?
    むしろ賭けに負けたら髪を剃るという文化の由来が気になったわ。脱線。

    ■「骨」小松左京 ★
    凄まじい寓話。
    諸星大二郎に描いてほしい。

    ■「夏休みのケイカク」宇佐美まこと
    本を介して……というのは誰もが夢想することだが(本当か?)、まさかそんな顛末になるとは。

    ■「正月女」坂東眞砂子
    「東雅夫・編 平成怪奇小説傑作集1」にて既読。

    ■「ニョラ穴」恒川光太郎
    まずは話が嚙み合わないことの恐ろしさ。
    次に、吉村萬一風味。

    ■「或るはぐれ者の死」平山夢明
    「小山力也・編 疾走! 日本尖端文學撰集 新感覚派+新興藝術派+α」
    で、今東光「軍艦」で群衆そのものを描いていたのを、全然近くないのに思い出した。
    勢いが似ているのか。
    群衆を、外れた視点から描いているのが、こっち。

    ■「雛」服部まゆみ ★
    もう断然好き。
    服部まゆみの美点は、もちろん皆川博子と並ぶ幻想だが、結構コミカルなところもある。
    視点人物の片方がシリアスなのに、もう片方が右往左往する姿が、実に面白い。
    で、やっぱり怖い。

    ■「人獣細工」小林泰三
    これは嫌な話だ……グロテスク趣味者としては小林泰三も読まねば。

    ◇解説 朝宮運河



    ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、
    ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、
    現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎の琉球ホラー「ニョラ穴」、
    誰からも省みられないホームレス男性の最期を描いた平山夢明の衝撃作「或るはぐれ者の死」など、
    現役の人気エンタメ作家による力強い作品と、
    小松左京のアクロバティックな発想が光る怪奇小説「骨」、
    土俗的恐怖とフェミニズム的視点を融合させた直木賞作家・坂東眞砂子の「正月女」、
    耽美的なゴシックミステリーで没後も熱烈なファンをもつ服部まゆみの和風人形怪談「雛」、
    昨年11月惜しくも急逝した小林泰三氏渾身の一作「人獣細工」
    などレジェンド級の名品が、ホラー小説の豊かさをあらためて提示する。
    心霊・怪談系の作品が多かった『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に対し、『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』にはSFや犯罪小説、ダークファンタジーなどの発想を用いた作品も収録。
    この二冊合わせ読むことで、日本のホラー小説の神髄を味わうことができる。

  • 最近(90年代〜)のホラー小説に詳しくないので、入門的な感じで読んでみた……ら、小松左京が入ってる!!!
    あとがきによると、読者投票によって選ばれた短編が入ってるのね。納得。

    面白いと思ったのは、土着系とか信仰系の話が根強く人気なこと。
    まとめサイト的なところでもよく見るし、いつまでも日本人の心をくすぐるのかな。わたしも大好き。

    小松左京「骨」は殿堂入りとして、他に個人的に面白かったのは宇佐美まこと「夏休みのケイカク」。
    オチが「そっちいくんかい!」って、結末の先を想像するのが楽しかった。

    小林泰三「人獣細工」が、この本の中で唯一(たぶん)のSFホラーとして異彩を放っていたのもよき。
    以前、作家読みしたときは「あんまり好みではないかも?」と思ったけど、この作品は好き。

    ただ、この本が面白いとはそんなに思わなかった。
    たぶん新鮮味に欠けてたからかな?
    今はネットのホラースレのほうが好き。
    2020年代に入って、もっともっと面白いホラー小説が誕生しますように!

  • 小林泰三『人獣細工』、怪奇趣味的でもありSF的でもあり。
    すごいなこれ。惜しい人を亡くしたって改めて思った……

    他の作品もどれも良かったけど恒川光太郎『ニョラ穴』が特に好き。
    程よく謎が謎のまま残ってて余韻のゾワゾワ感ヤバい。やっぱホラーはこういう読後感が残ってこそですよね!

    ジワジワ怖い、ゾッとする不気味な印象の話が多め。
    同シリーズの『再生』とは毛色の違ったアンソロジーに仕上げてきたなーって感じ。

  • 数編からなるホラー短編集。

    前作にあたる再生も読了しています。前作はいかにもホラーという作品が多かったですが、本作は不気味、奇怪といった印象が強かったです。
    正直に言うと『う〜ん、ちょっといまいちかな?』
    どの作品もアイデアは面白いと思うのですが、短編としてはちょっとテンポが悪いように感じるものがわりと多かった気がします。

    個人的に面白かったのは↓です。
    ・夏休みのケイカク
    文通していた相手が実は過去の自分自身であったというオチ。ループもののようなSF要素もあり。
    ・雛
    スッキリしないオチに不気味な仕掛け雛。『人形の顔が変わる』というよくある話かと思わせて、実はただのカラクリであることが中盤で判明します。でもそこからも面白さが持続するのが良かったです。

  • 角川ホラー文庫ベストセレクションのアンソロジー。
    小松左京の「骨」は既読でしたが、久々に読んでも怖いと思った。震災の後の大洪水というくだりが東日本の震災のことを書いてるようで、それが1972年に書かれていたというところにまた戦慄。
    坂東眞砂子「正月女」何かのアンソロジーで読んだか、それとも同じような別の話だったか…ホラーというよりイヤミス的な面白さだった。
    小林泰三「人獣細工」のラストが一番おぞましかった。
    これは角川ホラーセレクションの第二弾らしい。
    第一弾「再生」の方も読みたい。

  • どれを読んでもハズレがなかったアンソロジー。さすがベストセレクション。「再生」は読んだ話が多かったから避けてたけど、こうなると読んでみたくなった。


    「恐怖」竹本健治
    幼少から恐怖の感情が欠けている私が友人との賭けに負けたことにより、その原因を知る皮肉な話。

    「骨」小松左京
    井戸を掘ろうとするとおびただしい数の骨が出てくる。掘っても掘っても出てくるーーシュールなSFっぽいオチを予想してたらば、しっかりホラーだった。

    「夏休みのケイカク」宇佐美まこと
    図書館司書である私と自分の子供時代を彷彿とさせる少女との秘密の交流ーー少女の恐ろしいケイカクに主人公が加担していくのか否か、緊張して読んだ。

    「正月女」坂東眞砂子
    心臓の病で来年も生きられるかどうかの主人公が夫とともに婚家へ戻った年末。正月に亡くなると7人の女を道連れにしていくという言い伝えが、自分の死後、夫に寄ってくる女を案じる主人公を追い込んでいくーー情念がすごくてお腹いっぱいになる。ラストに捻り有り。

    「ニョラ穴」恒川光太郎
    誤って殺めた男を海に捨てた和重が身を隠した無人島で頭のおかしな男シンゴに出会う。シンゴは洞窟の奥にいるニョラという怪物の話をするがーー沖縄の離島が舞台だとは思うけど、夢とも現実ともつかない話が展開する。主人公の手記という形態がまたいいのかも。

    「或るはぐれ者の死」平山夢明
    ホームレスの俺が、道路に張り付いたまま誰にも顧みられることのない幼女の遺体をちゃんと葬ってあげようと奮闘する話ーーああ、無情って感じ。

    「雛」服部まゆみ
    古いが立派な女雛の人形を買い取った画商の修造は、人形の形相がふいに恐ろしいものに変わり驚くーー人形モノの怪談と言うより、持ち主であった老女の姉妹の確執とか、人怖な話だった。

    「人獣細工」小林泰三
    夕霞は医師である父親によって生まれた時から度重なる臓器移植手術を受けていたが、その臓器は蓋(豚)のものだったーー以前なら「ありえない」と一笑に付していたかもしれないけど、最近TVで遺伝子操作によるがんや難病の治療の話を見聞きしていたので、これはもしかしたら倫理的にやらないだけで実際は可能なのではないかと思った。ただの小説だから「出来る」の一言で済むはずなのに、生体臓器移植と免疫の問題を一通り書いたのは説得力を持たせるためなのだろう。これもSFの表面をなぞりながら、最後にちゃんとホラーとして落としてくれる。著者のほかの作品も読んでみたくなった。

  • 角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
    何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐ろしさなんですよね……。
    久しぶりに読んだ服部まゆみ「雛」も、再読でさらに恐ろしくなったかも。そしてラスト、小林泰三「人獣細工」で締めるとは!

  • 同シリーズの「再生」が面白かったのでこちらも読んでみた。
    『骨』と『人獣細工』はどうしても好みじゃなかったので飛ばした。

    図書館でのメッセージ交換から始まる『夏休みのケイカク』、無人島で不気味な生き物の存在の有無を巡る『ニョラ穴』やユーモアと臨場感のある文章が印象的な『雛』などミステリー欲を満たしてくれる作品も多かった。
    こういうアンソロジー系は好みでないと感じたら、その作品をすぐ飛ばすとテンポ良く読める。
    しかし好みの問題だから仕方ないが二作品も飛ばしてしまったのは少しもったいなかった。
    「再生」と「恐怖」なら「再生」を読む事をおすすめする。
    両方ともKindle Unlimitedにあったので気になる方は是非。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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